購入価格 ¥1,620(¥1,500+消費税)
Twitter上で、魔法のようにチェーンやスプロケがきれいになるとの評判を見かけた強アルカリ性洗剤です。
汚れたスプロケに直接噴射して、数分放置するだけできれいになった、とのことだったので、どれほどの物だろうか、と思い、購入してみました。
価格は、機械油用の汎用ディグリーザーと比較すると少々高めですが、フィニッシュライン等の「自転車用」をうたったチェーンディグリーザーと比較すると、安めの設定です。
製品としてはTYPE "S"とTYPE "R"があり、"S"は機械油等の強力な油汚れ用、"R"は日常の汚れ落とし用になるそうです。
私が購入したのはTYPE "S"の方で、通販サイトの説明文によるとpH 12.0の強アルカリ性で、主成分は「エチレングリコールモノブチルエーテル」となっています。
化学系サイトの物性情報によると、この物質自体は水溶態でpH 7.0らしいので、強アルカリ性とするために、pH調整剤として、別の何かを使っていると思われます。
ちょうどブルベの雨天走行後、オイルがべっとりとこびりついたスプロケを洗浄しないとなあ、と考えていたところだったので、試してみることにしました。
●初見の感想
私が購入したのは、500mlのスプレー式ボトル入りのTYPE "S"で、使い方は一般的な(窓ガラス用などの)スプレー式洗剤と同じです。
薬液は無色透明で、主成分がエーテル系の物質なので、結構な刺激臭を覚悟しましたが、フィニッシュラインのエコテック・チェーンディグリーザーに似た、どことなく柑橘系のような香りがする程度で、それほど刺激は感じません。
(もしかすると、主成分は同じなのかもしれない。フィニッシュライン製品は、主成分が明示されていないので良く分からないが)
なお、強アルカリ性という事で、本当にアルミ部材を侵さないか心配だったので、キャンプ用の使い捨てアルミ皿や、不要なアルミ金具に吹き付けて数時間、放置してみましたが、特に変わった様子はありませんでした。
メーカー側の使用法を見る限り、中和剤は必要ないとのことですが、気になる方は、洗浄後、十分に水で濯ぐなどして、薬液が極力、残らないようにした方が良いと思われます。
●使用感
ブルベの雨天走行後、チェーンオイル(シマノ PTFE LUBE使用)の黒い汚れがべっとりとこびりついたスプロケの洗浄に使ってみました。
洗浄前。かなり汚い。
スプレーすると、薬液は泡状になってパーツの上に乗ります。
泡切れは意外に早く、薬液は粘性があまりないため、吹き付けたらすぐに液化し、ポタポタ流れ落ちていきます。
スプロケを洗う場合、ホイールを壁などに立てかけた状態では、薬液がどんどん流れ落ちていくと思われるので、ホイールから外して浅いケースの中でスプレーした方が良いかもしれません。
洗剤を吹き付けたところ。
泡はすぐに切れて、
薬液がボトボト流れ落ちる。
SNSやブログなどでは、「泡が切れたらもうきれいになっていた」という報告も見られますが、私が試した時は泡が切れても見た目には黒いままで、油汚れを落とすにはウエスで拭き取ったり、ブラシでこすったりする必要がありました。
ただし、力を入れてゴシゴシこする必要はなく、表面を軽くぬぐう程度で目に見えてきれいになったので、洗浄力はかなり強いと思われます。
「強アルカリだが素手でも触れる」という部分については、私は肌が弱い体質なので、さすがに試す気になれませんでした(使い捨てポリ手袋装着で使用)。
一応、背面ラベルには、「皮膚の敏感な部分や傷口につくと刺激を感じることがあるので、ゴム手袋を用いるなど注意すること」と書かれています。
ちょっと触る程度なら大丈夫かもしれませんが、長時間、濡れたまま(あるいは、薬液がついた衣服などを身に着けたまま)なのは良くないでしょう。もちろん、目に入らないように、十分な注意が必要です。
洗い上がりがこちら。
ウエスやブラシで軽くこすって、
水で濯いだだけ。
実際に洗浄に使ってみた結果、洗い上がりの状態は、大体、揮発性の有機溶剤系のパーツクリーナー(ガススプレー式)と同じくらいになりますね。
揮発溶剤系クリーナーは、ガススプレー式の場合、吹き付けの勢いでどんどん汚れが溶解して流れていくとともに、軽く表面を拭き取ったら、後始末は溶剤が揮発するに任せれば終わりのことが多いです。
こちらの洗剤は、スプレーして数分後、ウエスやブラシで汚れをぬぐい、水で十分に濯いでから乾燥させて……という形で、ちょっと手間がかかります。
汚れの落ち具合は同等レベルと考えると、気になったときにサクッと手早くきれいにするには、有機溶剤系クリーナー。
フレームや他のパーツも含め、がっつり洗車するときは、こちらの洗剤で、という使い分けになると思います。
●まとめ
強アルカリ性の洗剤で、油脂系の汚れを強力に落とす効果があるという製品です。
実際、スプレーして数分放置後、表面を拭き取るだけで、スプロケにこびりついた黒いオイル汚れがきれいに落ちるくらいの洗浄力がありました。
揮発溶剤系のガススプレー式パーツクリーナーと比較して、汚れの落ち具合は大体同等、という感じでしょうか。
私が使う場合、手軽に終わらせる時にはパーツクリーナー、がっつり洗車するときにはこの洗剤、という使い分けになりそうです。
特に雨天ライド後など、油と泥とブレーキシューのカスなど、色々な汚れでグチャグチャになった時の洗車に使えるかな、と考えています。
あと、本製品はpH 12.0という強アルカリ性の薬剤なので、低刺激性・低環境負荷製品とは言っても、長時間、肌についたままにするのは良くないと思われます。
念のため、肌が弱い皆様は、ゴム手袋などを準備した方が良いでしょう。
なお、Web上を流していたら、チェーンを灯油などで洗っている皆様は、廃油の処分の手間がない分、こちらの洗剤の方が使い勝手は良いかもしれない、という感想を見かけました。
私は洗浄に灯油などを使っていないので、そちらで洗浄した時の状況との比較はできませんが、試してみても面白いかもしれません。
価格評価→★★★☆☆(←「自転車用」のディグリーザーより安いが汎用製品より高価。ただし、洗浄力を考えると、★+1しても良いかもしれない)
評 価→★★★★☆(←洗浄効果は高い。揮発溶剤系クリーナーより手間がかかるが、廃油・廃液の処理が楽なので、灯油洗浄よりはお手軽かも)
<オプション>
カタログ容量→ 500ml