購入価格 ¥13,900(夕食・朝食付き)
「好きなルートで、好きな時間に走って、時間を決めて直江津に集まる」という、どこかで聞いたようなルールのプライベートライドが、顔と自転車は知っているけど本名を知らないTwitter上の友人たちによって行われたときに宿泊しました。
栂池高原エリアにあるこのホテルは、標高約890mのところにあります。白馬駅が標高約690mですから、ざっと200mの標高差。なんですが、それって単なる200m UPで済むわけでは全然なくって、アップダウンで無駄に位置エネルギーを消費した分がガッツリ上乗せされてきます。さらに、白馬にたどり着くまでには途中駅まで輪行しているとはいえ、小熊山を含め1,000m以上の登坂をクリア済み。そんな脚の状態ですから、もう栂池高原の手前から息も絶え絶え。0.1%でも上りになったら途端にペースがガタ落ちする敏感すぎる斜度センサーを備えた貧脚には、ホテルまでの道のりは「地獄の苦しみを味わい続ける時間」と言うほかありませんでした。
しかも、ホテルの手前には凶悪な斜度の坂が待ち構えていて、迂回路もありません。這々の体でようやく最後の坂を越えて、涙目もいいところ。その瞬間、目に飛び込んできたのは、こんな光景でした。
す、す、すっげえええええええええ!!!
山と雲に囲まれて佇む、赤い三角屋根と白壁の殿堂。どこのスイス高原リゾートですか、ここ? 耳を澄ませば、風に乗ってヨーデルが聴こえてきちゃいますよ?
そして館内に入ると最上階まで吹き抜けになっているロビーに、シースルーエレベーターが上下階を行き来しています。さらにエレベーターを降りてから部屋までの廊下も、外装とコーディネートされていて非常にイイ感じです。
1泊1万円を超える、とんでもない高価格のホテルを予約してしまったけれど、これは…高くない!こんな豪華なホテルなら、むしろリーズナブルプライスだ!今日は、この場所でどれだけリッチな気分が味わえてしまうんだろう…!
そんな最大限に期待が高まった状態で、部屋の扉を開けます。
すると、そこに現れたのは、レトロ感に満ち満ちた昭和スキーホテルの一室でした。
あれ?今まで欧風リゾートホテルにいたのでは…!? ここ…どこ?ワタシ…ダレ?
外観から受けた期待との落差がありすぎて、一瞬何が起こったのかわからなくなりました。
だ、だって内線電話のNECロゴ、旧ロゴですよ!CIしたのはバブル華やかなりし1992年だから、少なくとも四半世紀を駆け抜けた歴史ある一品だよ!?
クローゼットの扉を開けると、吊り下げられているのは渋すぎるカラーのちゃんちゃんこ! このカラーセレクトのセンスたるや…!
日本のスイス高原リゾートから、そこいら辺にある駄部屋への瞬間移動。それは、オースの街から深界七層あたりまで一気に突き落とされた挙げ句、実験台としてカートリッジにされちゃうぐらいの心理的衝撃でした。
こ、こんな部屋で明日まで拘束されるのかよ!!!!!!
せめて、あの超高い吹き抜けのロビーにあるラウンジで、コーヒーを飲みながらゆったり過ごそう。そう思って玄関前で踵を返し、ロビーまで降下してラウンジに向かいました。ですが、そこでも目に飛び込んできたのは、テーブルにかけられた赤いギンガムチェックの安っぽいビニールクロス…。出されたコーヒーが、悲しい味になること間違いなしの光景でした。
ラウンジも…駄目駄目かよ…!!!
ホテルで過ごす時間、それは旅のなかで最もリラックスできる、かけがえのないひとときです。それが…それが…、こんな貧相この上ない内装の中で過ごす時間になるなんて!もう、お風呂に入ってご飯食べて寝る。それだけしか、することはありませんでした。
あ、食事は悪くありません。特に夕食ブッフェで出た、その場で焼いて提供されるハンバーグは長蛇の列に並ぶ価値が十分にある味わいです。
また、このホテルは「北アルプス山麓サイクルステーション」として、白馬村、大町市、小谷村によって整備された施設のひとつ。サイクルラック、ポンプ、工具を完備するなど、自転車宿としての設備に不足はありませんでした。外装と内装の落差にショックを受けないようにすれば、「価格なりの価値があるホテル」と言って差し支えありません。
…まあ、この近辺で最強なのは「シェラリゾート白馬」一択かと。自転車宿じゃないからレビュー書けないですけど。
価格評価→★★★★☆(ちょっと高めですが、ホテルのロケーションと外観と食事と風呂は良いです)
評 価→★★★☆☆(外装と部屋の落差激しすぎ)