購入価格 ¥不明
いつから家にあるのかも不明なタイヤのストックを消費したいと思い、
常用している後輪に取り付けました。
S33は、TUFOの廉価グレードの練習用タイヤという位置づけで、
定価3,700円という謎の安さを実現しつつも
この手のタイヤにありがちな ライオンタイヤ製の実質Vittoria Rallyだった、というオチは無く
ちゃんとTUFO内製です。
その証拠に、タイヤを輪切りにすると カーカスとインナーチューブが一体化されています。
タイヤの裏に縫い目が無いので センター出しが一瞬で終わる、しかもバルブ穴まわりの膨らみが軽微なので
リムへの装着はとても簡単です。下位グレードでも手は抜かない、TUFOの良いところですね。
画像を圧縮しすぎたせいで見えづらいですが、推奨空気圧は6~8Barと TUFOにしては低めです。
これは 24Cという太めのタイヤ幅である事と関係がありますが、
この太さが ことごとく裏目に出たタイヤと言えます。
まず、タイヤの実測重量は バルブエクステンダーを除いた状態で309gでした。
同社のJET PRO 19Cはカタログ重量230gと比較的軽量で、TUFOのタイヤ重量のサバ読みの少なさを考慮すれば
単純に79gの差がある訳です。
たかが79g、されど79g。JET PROを使っていた時は 群馬の峠道もスイスイ登れたのに、
S33だと 実家近くの数十㍍の上り坂すら かったるく感じてしまいます。
もちろんですが、リヤタイヤ以外の条件は全て同じにしています。
また、重量が重い代わりに転がりが軽ければ まだ救いがあるのに、
路面との転がり抵抗も しっかり大きいという二重苦を味わえます。
おまけに、タイヤのサイドが硬いせいで 振動吸収性が(この太さのタイヤとしては)著しく低く、
太いタイヤの悪いところと 細いタイヤの悪いところを合わせたような乗り心地です。
(WOタイヤのような振動吸収性の低さはTUFOのチューブラータイヤ全般に言える事です)
空気圧は 上限ギリギリの7.5Barで使ってみましたが、この有り様なので
自己責任で 指定オーバーの8.5~9Barにしたところ
転がり重さは全く改善されず、振動吸収性は むしろ悪化しただけ、という結果に終わりました。
こうなる原因ですが、タイヤ幅なりに重量が嵩む・・・のは一旦置いといて、
パンク防止ベルトを省いた代わりに トレッドの硬さと厚さで パンクのリスクを回避しようとした事にあると思います。
当然ですが ゴムが厚くなるだけ重たくなります。
2つめ、トレッドの断面形状と空気圧指定が悪い。
両サイドが杉目で 真ん中がイボイボという古典的なトレッド模様ですが、
接地面が異様に横長になる断面形状となっていて、
それを更に低圧運用しろ、と指示しているので接地面は前後にも長くなります。
結果、タイヤと路面が接触する範囲が前後左右に広がるので 転がり抵抗が増える。
3つめ、タイヤ幅が広い。
1つめと2つめに絡めて言うと、タイヤが細ければ まだ救いがあったはずです。
21Cバージョンに関して そんなに悪評価がついていない事からも明らかですが、
・重量がカタログ値で50g(!)軽くなる
・接地面の横幅が狭くなる
・8~12Barの空気圧指定となり、接地面の前後幅も狭くなる
・空気圧の上昇による恩恵も受けて タイヤの変形量が減る→変形によるパワーロスが減る
と良い事づくしです。
総評:2度と買わない。
タイヤを太くすると転がり抵抗が減る、というのは 乗り手の体重次第では本当の話です。
しかし、実際それが観測できるのは レース向けのハイエンドモデルだけで、
こういう安物のタイヤを思考停止で太くしたところでメリットは薄い、
しかも人によっては 重量増加によるデメリットの方が勝り 苦しめられるだけだ、という結論に 改めて至りました。
僕は元々 太いタイヤが好きではありません。体重が60kg未満である事も その理由です。
ある人(僕よりずっと体重が軽い)が「ピレリの23Cが異常に重たく感じる」と言うので、
今まで使っていたタイヤの銘柄を訊いたところ ヴィットリアの21Cだったそうで・・・。
まあ そらそうなるわな。
ワイドタイヤ化は メーカー側が推し進めているものなので、
市場から ナロータイヤが減っていくのを止める事はできませんが 本当に勘弁してほしいです。
価格評価→★★★★★
評 価→★☆☆☆☆