・購入価格 ¥53,700 (PAX CYCLE)
・使用環境
ロングライド、通勤
・周辺パーツ
ブレーキ : BR-RS785
Fディレイラー : FD-6800
Rディレイラー : RD-6800
シマノ初となるデュラエースグレードの油圧ディスクブレーキ用STIです。
私のDEFY ADVANCED PROには油圧STIの第一世代となる機械式のST-R685が装備されていました。ブレーキ・変速性能ともに全く不満の無いものでしたが、機械式油圧特有のブラケット大きさと重さ(約650g)が唯一の不満点でした。
そこで、新たに発表された油圧STI第二世代となる91系デュラを投入することに。自身初となるデュラエースグレードのパーツです。
発売から半年たった今でもネット上にレビューがほとんど見当たらないので、機械式油圧STIでお悩みの方の参考になれば。
◆外観・重量・形状
この箱が嬉しい
重量は529g。これに関しては最後に詳しく後述します。
気になるブラケット部
右がR9120です。
実際に手を置く部分は確かにスリムですが、そのせいか頭頂部にかけてはR9120の方が膨らんだ印象を受けます。
横から見ても、R685のほうが尖ったフォルム。R9120はちょっと野暮ったい…
太さをアバウトながら測ってみましたが、R685が13.6~8mmほどに対してR9120は12.8mmほど。確かに細くなっています。
実際に握ってみた感覚としては、ブレーキに指をかける一般的な握り方をしてみると、たしかにはっきり違いがわかるほどスリムになっています。この点に関しては期待通り。
…ですが、機械式や同じ油圧でもDi2のST-R9170と比べるとそのサイズ感は雲泥の差。特に91系ではR9170の小型化、軽量化が進んだため、R9120のこのデカ頭が際立ってしまいます。
ST-R685と比べると、間違いなく快適になりアップグレードを実感できますが、それでも紐式やDi2とは全くの別物であることは第一世代から変わっていません。
◆ブレーキ・変速性能
今回交換したのはSTIのみで、変速は68アルテ、ブレーキは第一世代のBR-RS785を継続使用しています。これは公式の互換性的にも問題ありません。
ブレーキ性能に関してはR685の時点から不満は無かったのですが、確かにR9120の方が制動力の細かなコントロールは優れているように感じます。
絶対的な制動力に変化なしか気持ち落ちたかな?くらいですが、軽く握ったときのフィードバックが繊細で、下りでの加減速がしやすく性能の向上を実感できます。
変速に関しては流石デュラエース、官能的で素晴らしいです。レバーの可動域が狭いので変速が素早くなり、ワイヤーのリリースや巻取り感がいちいち気持ちいい。ディレイラーが68アルテのままなので、変速性能がよくなったのは気のせいかもしれませんが、フィーリングは確実に向上しました。
◆ST-R9120 公称重量の謎
前述の重量について。
91世代デュラエースの発表と共にアナウンスされた油圧式STIの本製品は、両方で「505g」と150g近くも軽量化されているとのこと。ブラケットも小ぶりなっているらしく、発売されたら絶対買おうと決心しました。
時は2016年6月末。その後91系コンポの発売が続々と続く中、この油圧STIに関しては全くと行っていいほど新情報が出てきませんでした。当初2016年末とアナウンスされていた発売時期は、年が明け春になっても一向に音沙汰なし。結局日本で発売が開始されたのは2017年の8月末のことでした。
で、ここからが本題。
当初この製品の公称重量は505gでした。今検索しても当時の発売を伝えるメディアは全てこの重量で発表しています。
が、実際に届いたこいつを実測してみると、前述の通り529g。誤差約25gほど。シマノの公称重量はほぼ正確なのであれれ?とは思いましたが別にこのこと自体はそれほど悪印象は持ちませんでした。
…が、その後組付け前に何気なくシマノのwebサイトを見ていると、
538g。…あれ?
ということで、いつのまにか公称重量が33gほど増加しています。
個人的な推測ではありますが発売時期の大幅な遅れと合わせて考えると、見切り発車気味に発表したST-R9120は発表直後のプロトタイプで何かしらの不都合があったのではないかと勘ぐってしまいます。
33gの増加がどの部分に肉づいたのかはわかりませんが、デュラエースグレードのカタログ値が505gと538gでは印象が大きく変わってきます。いろいろ探してみましたが、この点に関するシマノの発表は見当たりませんでした。
◆総評
私は自分のこだわりから機械式油圧STIを選びましたが、これからディスクロードを買う人には「予算と嗜好が許すなら油圧はDi2にすべし」というのが、今回のR9120を実際に使ってみた結論になります。
同じ91デュラのDi2油圧式のST-R9170は重量が360g(実測で320gという情報もあり)。形状も紐式とほぼ変わりなく、ブラケットの突き出しもありません。アルテR8000シリーズでも360g前後と、大変軽量です。(ちなみにST-R8020は実測550gほどだそうです。)
ST-R9120が機械式の油圧STIができる現状最高の形というのは間違いないかもしれません。シマノのサバ読み…もとい改良(※願望)による重量増も、よりよい形に近づけるための必要な措置だったのでしょう。
ただ、自転車を構成する1パーツとして考えたときに、油圧STIにおけるDi2と機械式の差は、従来のキャリパー式でのDi2と紐式のそれとは比べ物にならないほど大きな開きがあるように思います。
ディスクロードの普及でこれからどんどん技術革新が進むことでしょう。もしかしたら次世代デュラでは機械式油圧STIもさらなる軽量化を果たすかもしれません。
ただ、少なくとも2018年現在においては、価格・形状の面で機械式油圧だけが置いてけぼりにされてるなあというのが、私の正直な感想です。
価格評価→★★★☆☆(かなり安く買えたがそれでも高い)
評 価→★★★☆☆(「デュラエースのSTI」としての絶対評価)