仙台市民におなじみの太白山。仙台駅から秋保温泉へ国道286号線を使って行くと、右手にぽこんと、妙に”きちんと”円錐になっている特徴的なふくらみを見ることができる。その下を通るのが今回ご紹介する太白山林道だ。
レビューを書くにあたって「なんでまた”太白”なんて中国っぽい名前がついてるのやら…」と調べてみたところ、なかなか面白い。"太白" つまり"宵の明星・明けの明星=金星"が山に落ちたという伝承から名付けられたのが通説ではあるが、もちろん金星が「落ちる」わけがない。せいぜい、「沈む」くらいだろう。
そのものずばり、中国にも太白(たいばい)山というのがあり、これは、当時の首都である西安から見ると、金星が沈んだり昇ったりする位置にあるというのだ。そして、当時の首都?である仙台城から太白山を見ると、ちょうど同様の位置関係にある ― その類似性に着目した仙台藩の学者が後付けで名付けたのだろうという説を読んだ時にはすっごーい!君は方角が読めるフレンズなんd…
閑話休題。
太白山林道は基本的にはご神体でもある太白山への参道となっている。そのため、距離はそんなに長くない。位置関係としてはこうだ。
佐保山林道から入ろうとする場合には、太白山林道終点が目印となる。ダートを登って佐保山林道の看板が見えたらちょっと下るとすぐ。
もうひとつは、アスファルトからアプローチできる。人来田小学校前から横に入る小道が林道へ続く道だ。
林道とはいうものの、ダートはほぼない。アスファルトで綺麗に舗装され、看板も豊富。東屋はあるわトイレもあるわと、ゆったりと景色と雰囲気を楽しむには至れり尽くせりといった趣である。
そして、途中には鳥居がある。生出森八幡神社。貴船神社というべきか、もともとおわしました荒神様の領域というべきか。ここから登るにはきちんと登山装備をし、鎖を伝ってでも崖を上るぜという精神力がなければ挑んではいけない。同名の神社は平地にもあるが、それは里宮。こちらは岳宮。登山コースとして人気なので、各自調べていただければどれくらいキツいかはお分かりいただけるだろう。
一部高速道路の上を通り、激坂を超えてしばらく行くとご褒美だ。
ここにもテーブルと椅子があり、眺望を楽しみながらコーヒーなどを入れて飲むとたまらなく"イイ"んだろうなあ…と夢想にふけることができるわけです。
人来田小学校に近づくにつれ、朝夕は学業を終えたキッズたちや老老介護状態で犬の散歩をしている皆さんがゆるゆると歩く姿を見ることができる。佐保山林道側からだと下りであるので、スピードには気を付けていただきたい。
1部ダートはあるものの、頑張ればロードで行けなくもないし、クロスバイクなら何の問題もないし、シクロクロスや MTB では逆にヌルイと感じるかもしれない林道だが、ここは参道なのである。太古の神や、勧請されてきた神、それを綿々と維持発展させてきた人々の心と自然の風景をゆったり楽しみながら登るのが、らしいヤリ方なのではないか、と個人的には思う。
今回は通勤の一環として佐保山林道側からアプローチしたが、逆から行くのもおもしろい。仙台駅あたりからスタートして太白山林道から佐保山林道を県道31号線のほうへ抜け、右手を見ると担々麺が美味しいと噂の中華料理屋がある。ご褒美の一杯を(もちろん麺的な意味で)ひっかけて、馬越石トンネルからダウンヒルしつつ八幡町を抜けて仙台駅に帰るという周回サイクリングコースとかね。アプローチのしやすさ・手軽さ・道の状態からいっても「林道部分は」初心者向け。仙台近郊の方はぜひどうぞ。
評 価→★★★★☆(←林道に着くまでは長い長い上り坂ですのでお覚悟を。)
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年 式→2017年6月