購入価格 ¥1995
Vittoriaの廉価チューブラタイヤです。同社の位置づけは「トレーニング用」。
RALLYのパッケージがいつの間にか新しくなり、しかも23Cも加わっています。RALLYの上位タイヤであるstradaの常軌を逸した劣悪品質には辟易していましたが、stradaの在庫が空になったのを機に、試しにRALLYを購入してみました。1年前の話ですが。。。
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「コットンケーシングとケブラー 3D コンパウンドを採用した、ロードトレーニングに最適なチューブラータイヤ」 のうたい文句はいつごろからなのか不明ですが、ずいぶん長い間、不変。インチあたりのスレッド数は220、推奨空気圧は7~9bar、バルブ高さは36mm、バルブコア一体、です。昨年の5月に一台のロードに投入し、続いて、8月にもう一台のロードに投入し、主に通勤走行に供しています。今年の5月3日現在でそれぞれの走行距離はおよそ2500kmと1900kmです。
画像左はRALLYの新品。ワックスでテカッています。右側が2500km時点でのリアタイヤ。細かい傷が多く見られます。同社の旧CORSA系では同じ走行距離でもこういった傷の数が少なく、しなやかで強靭、という印象ですが、RALLYは、硬くて脆い、という感じでしょうか。しかし、このお値段であれば十分に納得できるレベルです。2500km時点でのトレッドの表情からすると、極めて真っ当な廉価チューブラタイヤの摩耗の様相を呈しています。リア側で4000km程度は行くかな?というところでしょうか。いずれにしてもしなやかで強靭な旧CORSA系のような長寿命は期待できないとは思いますが。
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過去の廉価タイヤでは必至だった縫い目封止テープ(いわゆるフンドシ)の辺縁の剥がれも目立たず、なかなか健闘しています。よくまあこんなものを市場に流すなあ、という劣悪さを誇ったstrada(日本法人では4月末現在で扱いがありますがイタリアのVittoriaではすでに廃版)と比較すると、もう比べようもないほど良好。新RALLYは、まさしく真っ当な廉価タイヤ、と言えます。
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タイヤ精度ですが、精度の高いチューブラのように、ボケーっとリムに嵌めても簡単にセンターが出る、というわけにはいかず、センター出しに少々手間がかかりますが、廉価チューブラとしては十分に許容範囲内です。また、縦方向の歪みも多少あり、これまた廉価品ならではですが、現在使用中の4本に関しては十分、許容範囲内です。stradaのようにバルブ付近が酷く歪んでいて、モノによっては走って容易にわかってしまう 「なんじゃこりゃーっ!」 な感じではありません。至極平穏無事です。
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乗り心地はまずまず。お値段以上だと思います。推奨上限の9気圧では硬さと粗雑さだけが強調されて、とても使う気になれませんが、5気圧程度まで下げた時の乗り心地はまさにチューブラのそれです。悪くありません。ただしあまり低圧にするとグリップや旋回安定性など、操安が悪化しますので、お勧めはできませんが。(というか5気圧はメーカー推奨範囲外)
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なお、リムセメントを使ってチューブラタイヤをリムに貼る場合、慣れないうちはリムセメントでタイヤサイドが汚れたり、といったこともあろうかと思います。そんな時は、あらかじめセメント未塗布のリム、または使い古しの乾ききったリムにそのままタイヤを嵌めてセンターを出し、高めの空気圧で1か月も放置しておけば、CORSAシリーズも真っ青な位にセンター出しか容易なタイヤに変身します。また、コツを覚えれば、リムセメントによるチューブラタイヤの装着は、至って簡単です。
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RALLYはバルブコアの取り外しができませが、呆気なくシーラントを注入することが出来ました。結局、次の要領に準じてシリンジでスルスル~っと注入できます。
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=12088&forum=82&post_id=20944で、バルブ高さは最短より少し長めの36mm(根元からバルブ先端まで)しかありませんので、リムハイトが大きいリムは使えない、というところが難点と言えば難点です。私はたまたまクラシックなリムばかり使うので36mmでも長めですが。
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というわけで、最近巷で話題のグラフェン添加は行われていないようですが、なかなか真っ当な廉価タイヤ、です。
貧乏性の私はこの手の廉価タイヤを買って通勤に投入する習性が抜けません。
価格評価→★★★★☆
評 価→★★★☆☆
年 式→2016
※チューブラタイヤをリムに嵌めたことが無い方へ・・・こちらを参照してください(ベストではありませんが)
https://panaracer.co.jp/products/pdf/manual_tire_05.pdf(以下完全脱線)ヴィットリアと言えば一昨年から昨年にかけて大掛かりな製品更新が行われましたが、ここで登場したのがグラフェン添加コンパウンド。今世紀に入っていろいろな意味で俄然注目を浴びているグラフェンというと、私のような電気屋系のひとには、もっぱら、その電子物性の卓越性が印象的なのですが、これってゴムに混ぜてもいいことがあるようで。
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0008622316303864この、マンチェスター大学の研究グループによれば、
〇微量のグラフェンを添加するとゴム薄膜の伸縮性が大きく向上する
〇20μmの薄膜エラストマーに、0.1%の酸化グラフェンと酸化グラフェンの還元体を添加すると弾性率50%以上向上する
〇ラテックスでも、濃度0.1%で3~30μmの酸化グラフェン還元体を添加したときに弾性率が50%向上する
とかとか・・・
タイヤからチューブまで応用が効きそうですね。Vittoriaのグラフェン “G+”はイタリアの化学メーカーDirecta Plus社の登録商標のようです。しかも伊DP社にVittoriaも出資しているという気合いの入れよう。コルサ・シリーズといえば以前は種類がいろいろあって何が何だかよくわからないという感じでしたが、グラフェン添加以降はロードとTTそれぞれにコルサは一種類でOK!になっています。微妙なチューニングを施さずともオールマイティに進化してしまった、のでしょうか。自転車雑誌の広告の能書きやオートマチックに垂れ流される記事には、まるでカルトのようなものも散見されますが、Vittoriaのグラフェン添加コンパウンドは、そうではなく、本当に効果があるのかも知れません。CORSA CXの在庫が捌けない貧乏性の自分に新CORSAを使う日は来るのか?(笑)