購入価格 €53.05 (@ r2-bike、送料別)
*大事なことなので最初に記しておきますが、この工具にはレーザーポインターが使用されています。レーザーは出力によっては危険が伴うので規制されています。本品のクラスは"3R"。
Spurtreuのレーザー出力特性(’16年3月版マニュアル)
*tuneのサーバーに残っていないようなのでBike24の商品ページを参照して下さい。商品写真下の”Attachments”タブをクリックするとpdfマニュアルへのリンクが出てきます。
https://www.bike24.com/p298968.html(マニュアルより抜粋)
Operating voltage: 3 x 1,5V / DC LR44 button cell
Laser beam distance: 100 m
Laser output: max. <5 mW
Emitted wavelength: 625-660 nm
Laser class: 3R
Operating temperature: +15 bis +35°C
個人でも合法的に扱える出力ですが、取り扱いを誤れば危険を伴います。特に人や動物の目に直接当てると深刻な障害を起こす場合があるので厳重に注意しなければなりません(皮膚への照射・拡散反射光の裸眼での観察でリスクが生じる事は特にないそうです)。面白半分で照射口を覗き込んだり、人や動物に向けてレーザーを照射するのは厳禁です。使用時はもちろん、保管にも十分注意が必要。
*レーザー安全規格についての情報、KeyenceのHPを参照
https://www.keyence.co.jp/ss/measure/hakaritai/basic/laser_safety/*厚労省による障害防止対策要綱
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei/050325-1a.htmlさて。
ちょっと変り種の工具というか測定器具というか…簡単に言うと自転車版レーザーアライメントテスターです。アイデアはT○peak的ですが、そこは航空機用金属部品加工が本業であるtune、見かけだおしじゃなく精度もちゃんとしています。
ホイールとステムを薮睨みしながらバッチリセットしたつもりでも、いざ乗ってみると微妙にハンドルセンターがズレているのに気がつくというのは良くあること。リーンしてハンドルを切っている時はどうせフォークブレードもホイールも捻れて結局センターはズレるので気にしすぎても仕方ないことなんですが、気になるものはやっぱり気になる。穴あき硬貨にでも糸を通してステムのおおよその中心線上に貼り付けてタイア側へ垂らせば、単純な目測よりはかなり正確なセンター出しは出来るはずですから、こういう測定器具はまあ完璧なセッティングを売りにするショップとか、珍品・奇品好きの変わりモノ(私w)向け、といったところでしょう。原理と構造は単純にして効果も覿面…なのですが、この目的の為だけに€53というのは簡単には出す気になかなかなれないでしょう。精度の高さを考えればボッタクリとは言えない価格ですが…
原理は単純で、レーザーポインターが埋め込まれている鞍状のベースをステムの胴とハンドルバーにポンと掛ければステムの中心線上にポインターが来るので、タイアのトレッドセンターとレーザードットが重なる点でステムを固定し直すと、ホイール/ステム/ハンドルのアライメントがビシッと揃う、という具合です。難なくハンドルセンターが出せます。
ぱっと見自作出来るんじゃないか、と思わせるような単純な原理と構造ですが、各部の精度がいい加減だと全く使い物にならないので、ありあわせのもので作ろうとしてもかなり困難でしょう。マウントはステム胴にあたる部分・フェイスプレートを挟むハンドルバー上の左右2点の3点支持で、バー・ステムと当たる部分は全て半円状に抉られており、何も考えずステムにポンと乗せるだけで水平・垂直軸ともにレーザーポインターが正確にセンタリングできるようになっています。これと同じようにハンドルバーに当てた時ちゃんと軸が出せる正確なベースを作り、さらにその垂直・水平ど真ん中に正確にレーザーポインターを埋め込まなければなりません。
対応するハンドルバーはステム周辺の形状が左右対称にさえなっていればまずOKで、フラット・ドロップ等ほとんど形状を問いません。ステムフェイスプレート脇からすぐにテーパーしたり形状が変化しているようなもの、例えばライザーバー等に使う場合はバー自体がきちんとセンターに来ていないとポインターが斜めを向いてしまうことになりますので注意が必要です。まあほとんどのバーにはマーキングが入っているので、これはそう難しい要求ではないでしょう。ステム側はENVEや3T Arx LTDのような割とボリュームがあって断面が真円でないスクオーバル形状のステムでも問題なく使えるので、ほとんどは大丈夫だと思いますが、Dedaのステム一体型Alaneraのようにステムの上辺とバーのフラット部がつながって扁平になっているようなものだと、使えないかもしれません。
実際の使い勝手は非常に良いです。アルミインゴットからの削り出しでずっしりしているので(実測195g)、うっかり手を滑らせて床やフレーム・ハンドルバーに落さないように注意が必要ですが、その他はほとんど何も考えずに使用できます。各部はちゃんと面取りされていますがカーボンバーの塗装を擦って傷めるのはイヤなので、ベースの裏側にごく薄いビニールテープを貼って養生しました。滑りにくくなるので、作業性も上がります。ただし、貼るならラピーのようなごく薄いテープにしておかないとセンター出しの精度に影響が出てしまうでしょう。
もう一つ重要なポイントが、精度の維持。ポインターレーザーポインターは出荷時にセンターを調整されていますがベースプレートに開いた穴にイモネジで固定されているだけなので、何かの拍子でポインターがずれてしまうことがあります。そうするとセンターを照らさなくなりますので再度校正が必要になります。校正といってもドイツへ送り返す必要はありません。少し広い水平な面、たとえば大きな歪みのない机と段ボール箱かなにかが一つがあればできる簡単な作業です。まず水平な机の上に箱状のものを置き、机の面から35mmの高さにマーカーなどで水平なラインを引きます。そして同じ机の上、先程描いたラインから1m程度離れたところにベースプレートを横に寝かせた状態で置き、ポインターを照射します。センターがズレているとポインターのドットはラインから逸れるので、重なる位置に来るまでポインターを軸方向に回転させてイモネジを固定し直す、という流れです。ベースプレートは同じ位置で上下方向を入れ替えて2度、軸方向のズレを確認するとより精度が高くなるでしょう。具体的なやり方は写真入でマニュアルに記されています。
あと気になるのは経済性でしょうか・・・電池は懐かしのLR44です!
園児の頃お気に入りだった、樵が倒れてくる木を避けながらなぜか次々に落ちてくる子供をキャッチするという今思うと相当にシュールな内容の液晶ゲームウォッチに使われていた記憶がxx年振位で蘇り、とても懐かしくなりましたw しかし3個も使うんですねこれ…購入後2年半あまり、まあ年に精々10回使うかどうか、という感じですがまだ電池交換はしていません。
特に必要はない工具ですし安くもないので強いて購入する必要はないですが、持っていると楽が出来る、そんな工具です。
価格評価→★★☆☆☆ (つくりのよさを考えると仕方ないけれど、安くはない)
評 価→★★★★☆ (使い勝手は非常に良い)
年 式→2014
カタログ重量→ N/A g (実測重量 195g)