購入価格 ¥251750- (フレームセット)
年式は2011モデル、ほんとうに極初期、出た当初の無印Oltreです。
定価は税込みで約38万円、年式落ちアウトレット価格で購入。
自分のモデルはプリフィックスコードが803なので、純血イタリアのレパルトコルサモデル。
コンポはあれこれちゃんぽんしてますが、いわゆる105&アルテグラの11Sミックスコンポで組み上げました。
ヘッドは上下同型の1-1/8のカンパニョーロIS規格
BBは悪名高い初期型BB30ですが、BBシェルそのものはアルミで作られており、概ね精度は良好。
フルカーボンですが、フォークエンド、リアエンド部分はアルミで繋がれており、こういったところはコンベンショナルで、安易に数値を求めないBianchiらしいクォリティ。
・BianchiはWikiにもある通り、ミレニアム前後、デダチャイのメガチューブを使ったメガプロが大活躍したのもあって、アルミバイクが得意というのと合わせて、カーボンバイクの市販ハイエンドモデル開発、ツアー実戦投入はやや及び腰だったように感じます。
もっとも、それがBianchiらしいといいますか……フレンチ・エスプリに富んだTimeやLookといったフレンチバイクに比べると、Bianchiのやや保守的なモデル作りはイタリア的な精神性もあるのかなと。
市販カーボンモデルは2003年前後のXLカーボンから、928SL、928SL/IASPと進歩してきて、2011年に全く新しいモデルとして、928と入れ替わる形で登場したのが Oltre でした。
保守的なBianchiからすると、エアロシートポストに、フォークブレード上部にフィンが付いたり、ホイールアーチに沿ったシートチューブと、かなり攻めた造形。
加えて、チェレステ単色になりがちなフレームカラーからすると、大胆なグラフィックが特徴。
一応WMP(Wrinkleless Molding Process)っていって、カーボンのプリプレグをかなり吟味して、内部に無駄なシワやバリが出ないように、という技術を謳っていますが、ヘッドチューブ内部を触ってみたり覗いてみたりすると、う~ん?という感じも(汗)
・実際に組み上がって乗ってみると、Bianchiのフラッグシップモデルだけあって、恐ろしくよく走ります。
特にある程度スピードが乗ってきてからの伸びが違う……大体自分の中で9割くらいか、オールアウト一歩手前くらいか、それくらいのパワーで踏み倒していくと、いつもなら頭打ちになっていた巡航速度を打ち破って、もうワンランク上で滑走することができるような、そう言った感覚。
低速走行時や、のんびり流してる時は、あまりこのフレームの凄味というか、ポテンシャルを感じることはないのですが、やはり力いっぱい踏んでいって、自分を追い込んでいくと、あっさり自分が速くなったような、そんな感覚さえ受けました。
自分の場合このフレームのデビュー戦が、初めて出場するエンデューロレースだったわけですが、前を引いていても、後ろに付いていても、ライオンのような走りをすることが出来て、お陰で「レースっておもしろ!」って感じました。
気になるBB30の仕上がりですが、自分の場合、組み立ての時に最初からFSAのコンバーションスリーブを打ち込んで、24mmアクスルのクランクを入れたのもあって、1年半ほど、距離にしたら5000km程度走りこんでトラブル無し、であります。
・剛性感については、各所で時々話題に見るように、Oltreシリーズの中ではあまり高い方ではありません。
Oltreはこのモデルの後、OltreXR(2013) OltreXR2(2014)と進歩していくに連れて、ヘッドやBB周りの剛性が上がり、どんどんピュアレーシングとしての性格を強めていくと言われています。
自分はせいぜいXRを何度か試乗したことある程度なので、どんな感じで変化していくのかまでは、多くを語ることは出来ないのですが、確かに、ダンシングで振った時、急坂で踏み込んだ時なんかに感じる、横方面の剛性に関しては以降のモデルに比べると、やや少ないかな?という印象は受けました。
実際、いろんなロードサーフェイスを走っていて「硬いな」という印象を受けたことはありません。
なので、スムースなサーフェイスを走るクリテリウムレースで爆発的なアタックをしたい、ガチャ踏みしてもグイグイ進んでくれる推進力が欲しいというライダーには、ちょっと不向きかなという印象です。
とは言え、以前レビューしたInfinito(
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=14782&forum=49) と比べると、遥かにガッシリ感はあります。
むしろ、振動の減衰性は特筆してもいいくらいで、適度な剛性感をスポイルせずに、嫌味のあるロードノイズをいなしてくれるスムースさがあります。
こういった側面は、初期型のOltreの特徴と言えて、XR、XR2となっていくに連れて、ロングライド・ファストランレーサーとしての側面よりも、ピュアレーサーとしての性格をより強めていく感じ、なのかもしれません。
・フレームとして気になる点といえば、この初期型特有のワイヤールーティングの都合の悪さがあります。
基本的にブレーキもシフトもケーブルはフレーム内蔵ルーティングで、かつ、出入口の作業性がきちんと考えられているので、概ね整備性は良好なのですが、ヘッドチューブ周りの取り回しが 「右後ろブレーキ・左前ブレーキ」 を前提に穴が設けられており、日本国内で普及している、右前ブレーキ仕様でルーティングさせると、ややハンドル周りをスマートに収めるのが難しいかなという点。
それからなんといっても、割り箸くらいの太さしか無いんじゃないかというようなシートステー部です。
エアロシートポストも相まって、テールランプの装着に難儀するのもそうなんですが 「折ってみろ!」 と言わんばかりの華奢なバックフォーク部分……
実際身近な人でも何人か、不慮の転倒や不注意で、シートチューブを物に当ててしまい折ってしまった人も居ます。
車体を持つときも、このシートチューブ部を持つのはやめたほうが良さそうです……
さらに言えば、いわゆる「ゆるポタ」はあまり得意ではないですね。
レース用のジオメトリなので、前傾が深く取れるぶん、ペダルに体重を乗せられないと、結構お尻に来ますし、この自転車の楽しいところを楽しめないので、やはりコイツで走るなら、接待よりも、気のあった仲間と 「ゆるポタ詐欺」 したほうが楽しめそうです。
もっとも、あくまでも、完全レース機材と割り切ったHOCカテゴリのフレームです。 モノ付けてゆるポタしたいならSempreでも乗りやがれッ!て感じでしょうか!
・やはり自転車としては、高い次元でパフォーマンスのバランスがとれているモデルなので、是非レースで使いたいモデルですね。
特に長時間走るエンデューロや、公園の小道などを繋いで行われる特設クローズドコースなどでは、フレームの振動減衰性、路面追従性と言った側面から、あらゆるシチュエーション……例えば、コーナーの中での異なったアスファルト、コンクリートの継ぎ目、グレーチングの上に敷かれたマット、タイル・レンガ貼りのサーフェイス……そう言ったあらゆるゾーンでマージンを持って走ることが出来、むしろそう言ったポイントで、ライバルに対してアタックをかけられるような、そういったポテンシャルを期待できそうです。
もちろんOltreシリーズの中でも、一番ロングライド向けと言われてるだけあって、長距離ファストランなんかも似合いそうです。
ただ、ブルベや多くの荷物を持った……バイクパッキングとまでは行かなくても、そう言ったバッグを付けた、エクストリームなライドには、ちょっとこの自転車は華奢かな?という感じもするので、やはり荷物は軽くして乗りたいところですね。
価格評価→★★★★★ (フラッグシップフレームでこの価格は安いし、非常に良く走る)
評 価→★★★★★ (非常に高い次元でパフォーマンスのバランスがとれた良いフレーム)
<オプション>
年 式→2011
カタログ重量→930g(実測重量不明、フォーク、ヘッドセット抜き、未塗装の重量と思われる)