購入価格:¥4,900 (上野アサゾー)
Trek傘下のBontragerから出ているバーテープです。ここ2~3年Trekをはじめメーカーが推しているHi-Visコンセプトに基づき、大小2列のパーフォレーションを入れたバーテープ表皮の下に3M Scotchliteの反射素材を忍ばせたもので、光が当たればかなり目立つようになっています。Bontragerの他のバーテープはドットの色にバリエーションがあって選べるようですが、反射材を用いたReflectiveはブラック地に反射材のライトグレーの組み合わせのみ。
流行のHi-Visと逆行する真っ黒なステルス系グラフィックのフレームセットにこれまた黒ばかりのコンポやパーツを組み込んでしまった結果、真っ黒なあまりにも視認性の悪いバイクが出来上がってしまった(当然)のですが、さすがに命は惜しいので何かワンポイントで目立つものを、さりとてあまり色を加えたくはないし…という思いがあり、何かいいアイデア無いかなとアサゾーのパーツ棚を眺めながら目についたのが、このバーテープでした。
まずはバーテープとしての基本性能から見ていきます。表皮素材はゴム引きした合皮をバフがけしヌバック調に仕上げたもので、昔PrologoからSkintouchという名で発売されていたものと同じと思われます。手触りは柔らかいけれどドライでも濡れていてもツルツル滑るような触感ではありません。ゴム層・ウレタンフォーム層・繊維層がミルフィーユのように重ねられているためクッション性がかなり高く、グラブなしでも快適に使えてしまえます。反面厚みがあるのでハンドルバーはモコモコのイモムシ状になりやすく、それを嫌ってテンション掛け過ぎで巻くとわりとあっさり千切れてしまうのが欠点でしょうか。ウレタンフォーム系ほどではないにしてもFi’zi:kのmicrotexに近い伸縮性があるので巻きやすさはそこそこ。一度巻くと伸びて癖がつき皺になったところから千切れやすくなるので、本革のように何度も繰り返し巻き直せる素材ではありません。重量は未カット状態でペア90g(飾りテープやエンドプラグを含まず)と軽くはありませんが本革よりは軽量。
付属のバーエンドプラグにはお馴染みの丸bマークが入っていますが、このロゴステッカーも反射素材が使われています。今回は汎用バーエンドプラグが使えないENVEのハンドルバーに巻いたので、エンドプラグはレビュー対象外とします。
室内の少し暗いところだとこんなイメージ(*飾りテープは別途用意したもので付属のものとは異なります)。
蛍光灯程度の明かりでも、ぼんやり光が滲む感じです。孔が結構大きいので密に巻くと表皮の黒よりも反射材のライトグレーの方が目立ちますが、黒やグレー主体で組んだバイクならばほとんど違和感無く馴染むいでたちだと思います。
照明を落とした室内で後ろからライトの光を当てると、こんな具合で光ります。
車やバイクのヘッドライトを想定してそこそこパワーのあるLEDライト(700lm)を1.5m程後ろから照射しました。ドット部分に合わせると写真全体が白く飛んでしまう程反射光が強かったので、露出はほぼ真っ暗闇の床に合わせて撮影しています。ですので、この写真では肉眼で見るよりもだいぶ光り方が弱く写っています。
視認性は確実に上がります。一人のドライバーとしての意見を加えると、ハンドルバー周辺は対向車の運転席から見た場合ライダーのヘルメットと同じくらい目に入りやすいので、フレームやフォーク、リムサイドに反射材を貼るよりも効果が高いと思います。難点はリアホイール側から見た場合ライダーの足や胴に隠れて見え難くなってしまうことで、対向車からはバッチリ見えても後続車からは近くに寄らないと気づき難いであろうことが想像されます。このバーテープを使っているからといって安心せず、サドルや背中付近にもテールライトなり反射材なりを用いて補助してあげるのが肝要でしょう。横から見た場合、ライダーが下ハンを握った状態では手なりグローブなりで大部分が隠れてしまいますが、交差点付近ではトップやシフターブラケットを握っていることが多いと思うのですがどうでしょう。これならさりげなく安全性を高めることが出来るので、買ってよかったと思います。
厚みがあって柔らかいバーテープ本体の感触は好みが分かれるでしょうが、この視認性の高さは他では得がたいものがあります。一般路上で乗るなら反射材は間違いなく有効な機能ですが、反射テープをバイクフレームやパーツにベタベタ貼るとどうしても野暮ったくなってしまうので、こうしてパーツと自然な形で融合させたTrekのデザイナーのアイデアは素晴らしいと言うべきでしょう。個人的には薄めでグリッピーなバーテープが好みなので、ウレタンフォームを省いてもっと薄いマイクロファイバー系表皮を使い握りやすさを向上させたモデルも作ってくれたらな、と思います。そうすれば価格も下げられるでしょうし…合皮系のテープは大抵値が張ってしまうものですが、Bontragerのバーテープは全般的にFi’zi:kあたりと比べると高いのでもうちょっと頑張れないか、と思います。品質と価格が見合っていないとは言いませんが、大体1~2シーズンで巻きかえるバーテープに1セット¥5,000となると気軽には手が出せないし、これはコンフォート機能満載の全部入りみたいな感じなので表皮素材見直しやウレタンフォームの省略などでコスト削って、¥3,000台まで落したバージョンが出たら…
価格評価→★★★☆☆ (品質に見合ってはいるけれども…)
評 価→★★★★☆ (機能的には満足、ただもう少し素材を簡素化して価格を下げたものがあるとなお良い)
年 式→2016
カタログ重量→ N/A (未カット状態実測重量 90g、飾りテープとバーエンドプラグ3gX2は含まず)