購入価格 ¥1620
2014年にエイ出版から発行された、ハンドメイド自転車のムック。国内のフレームビルダーにスポットを当てた内容になっています。
■購入動機
Kindleの立ち読みで、内容が面白そうだったので。特に、フレームビルダーの家系図と、ケルビムの今野家の物語などに興味がありました。
■書籍概要
全144ページ。目次は以下の通り。
Part1. ハンドビルドの現場
Part2. 世界に誇る、3大国産メーカー
Part3. 自転車パーツ工場見学
Part1は、国内ビルダーのインタビューと特集。ケルビムの今野仁氏の追悼特集や、国内ビルダー名鑑と相関図が。
Part2は、国内のマスプロメーカー特集。更に、東京オリンピックに出場した大宮選手の自転車の紹介とインタビュー。
Part3は、NITTOや三ヶ島と言った国内の自転車パーツメーカーの紹介となっています。
■感想

本誌の冒頭はある一台の自転車の紹介から始まっています。
MIYATAのショーモデル。これは伝説のビルダー・梶原利夫氏によるもの(表紙の写真のモ自転車)。このモデルを欧州進出への足がかりとし、梶原氏の作ったMIYATAはツールでステージ優勝を遂げることになります。この辺りの話は、Part2のMIYATA特集に掲載されていましたが、一大伝記ですね。
そして、もう一つ大きな特集が、今野仁氏の追悼特集。今野家の歴史を、現在の当主とも言えるケルビムのビルダー、今野真一氏が文章にしています。今野兄弟は読めば読むほど自転車一家。そして色々ボカしているけれど、同じことをやっていたがゆえの確執も見え隠れしています。
面白いなーと思った記事は、「国内ビルダー相関図」です。そこを見ると、多くの工房が先に挙げた「ケルビム」の今野仁氏、「梶原製作所」の梶原氏に関わりがあったことが分かります。また、関西方面では「ZUNOW」と「PROTON」の一派が強い印象。つくばに行った際にラグドカーボンフレームを作っていた「マツナガ」は「AMANDA」の出身と知り、一人で納得しました。
印象に残った記事は、「東京オリンピックを走った片倉シルク号」。1964年の東京オリンピックに代表選手として出場した、大宮政志さんの特集です。私は何度か立川競輪場の「市民自転車教室(バンク走行会)」でお会いしたことがありましたが、想像以上に凄い方だったことがよく分かりました。オリンピック前年のプレ五輪ではロードレース優勝。オリンピック本番では落車してしまうものの、あのメルクスに食らいつき、先頭集団でゴールしたと。物凄いですね。
■まとめ
「オーダーフレームが欲しい人に向けた本」というよりは、「日本のスチールフレーム・パーツは凄いのだ!」という主張が詰まった本です。ツール・ド・フランスで優勝したフレームを日本で作っていたというのは、この本で初めて知ったことです。表紙に書かれている「ジャパンメイドの底力」というものがよく分かる一冊だと思います。
現在、スチールフレームをオーダーして納車待ちですが、この本を読んでより期待が高まりました。
価格評価→★★★★☆(内容から考えると安いと感じた)
評 価→★★★★☆(伝記や歴史を知る上での貴重な資料)
<オプション>
年 式→2014