アプリ購入価格 :0円
月額:10ドル
私がローラー台に乗るのは朝だ。
といっても早起きするわけではない。妻が出勤したら天袋からローラー台を下し、愛車をセッティングし、30分漕いでシャワーを浴びて片付けて出社する。妻の在宅時にはローラー台は使用禁止なのでこんなやり方になった。30分では物足りないが、物足りないくらいが集中力が切れず、飽きにくいように思える。
さて。
CBNにはPCでのZwiftのレビューがまだないので多少ためらうものがあるが、ここでは先日リリースされたiOS版のZwiftをレビューさせてもらいたい(私が使用しているMacでは性能が足らないのか、起動しても落ちてしまうのだ)。
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レビュワーの環境は以下の通りだ。iOS版の実行環境としては"Poorest"である。
iPhone5s 16GB
iOS9.3.5
スピードセンサー
CATEYE ISC-12
心拍計
CATEYE HR-12
固定ローラー台
MINOURA Quattro-C
Zwiftのバージョンは1.0.15530(2016/12/20時点で最新)。アプリのサイズは500MBだ。
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Zwiftとはなにか?
公式サイトには「フィットネスをソーシャルにしている世界最大のサイクリングコミュニティ」とある。噛み砕くと「他の人と一緒に走っているかのようにローラー台を楽しめるオンラインゲーム」という感じだろうか。
アプリは横画面専用で、起動時には右が下になっている。私が普段使う横画面アプリはすべて左が下なので違和感がある。一度左を下にしても、次回起動時には元に戻ってしまい、もどかしい。
当然のことなのだが、画面はとても小さい。キャプチャでは伝わりにくいと思うが、この画面が9cm×5cmに押し込められている状態を想像してほしい。文字は読みにくいし、ボタン類も押し難い。押し難いだけではなく反応も遅いので、タップに失敗したのか処理待ちなのかの判断が難しい。操作音を聞くためにも、ゲームをより楽しむためにも、音を出した方がいいだろう。それでもスクロールバーの操作はどうしようもない。



7日間/25kmの無償トライアルは、おそらくすぐに使い切ってしまうだろう。だが、センサーとのペアリングと、自分に向いているかを確かめるには充分だ。
私の環境では、センサー類とのペアリングはあっさりと完了した。そのまま30分で15km走って動作に問題がないのを確認し、今後も続けられそうなので月額10ドルの有償アカウントに移行した。
操作はもっさりしているが、一旦ライドを始めてしまえば気にならなくなる。体感できるような遅延もないし、グループライドでの音声ガイドもきちんと聞くことができた。新しい機種やゲーミングPCと比べたら雲泥の差があるのだろうが、上を知らないので、iPhone5sで充分快適に楽しめている。
なお、30分でバッテリーは40%ほど消費する。右上に小さく、本当に小さくバッテリー残量が表示されているが、読み取るのはおそろしく難しい。自分の環境でどのくらいバッテリーがもつのかは、最初の内に確認しておこう。
デフォルトで用意されているワークアウトは実行できるが、カスタムワークアウトは未対応のようだ。作成は勿論、PCで作ったカスタムワークアウトを実行することもできない(一覧に出てこない)。β版のフォーラムを覗くと、iPadでは作成不可/実行可で、iPhoneでは作成不可/実行不可のようである。
プロモコードの入力方法も不明だが、こっそり会社のPCにZwiftをインストールしてジャージを入手してみたら、iOS版でも選択可能になっていた。
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他のアプリに切り替えたり、画面をロックしたりするとゲームは停止(?)する。

このライドは5分ウォームアップ10分200W5分レスト10分200Wの合計30分、のつもりではじめたのだがバッテリー残量の警告が出たので26分で終了したものだ。
ウォームアップ中はアプリをバックグラウンドに回し、レスト中は画面ロックをしていた。その結果、ライド時間16分の後ろに10分の“平らな時間”が加わった。
ゲーム内で他のプレイヤーからどう見えていたのかは分からないが、入力なしの時間は後ろにまとめて追加されるようだ。
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・対応するiOSデバイスを持っていて
・BLEのセンサー類を持っていて
・ローラー台を持っていて
・Zwiftが動くPCを持っていない
この4つに合致するひと(まさに私だ!)が、追加費用なしでとりあえずで試せるようになったのはとても大きい。Zwiftに興味を持ちつつも、0から環境を構築する予算の当てはなく、指をくわえて眺めていた身としては「やっとここまで来てくれた」と嬉しくなってしまう。
逆に、Androidユーザーだったり、既にANT+のセンサー類を揃えているのであれば、わざわざiOSデバイスやBLEセンサーを買い足すよりも、PC版を使えるようにした方があらゆる面で快適だと思われる。
画面の小ささに起因する物理的な使いにくさはどうしようもない。ユーザーインターフェイスの大幅な最適化が必要だろう。iOS版のリリースで、iPhone Zwifterが爆発的に増えていればコストを割いて対応してくれるかもしれない。
カスタムワークアウトができないのも残念なところだ。用意されているワークアウトで、30分で終わるのはひとつしかないのだ。今後のアップデートに期待したい。
価格評価→★★★★★
評 価→★★★★☆