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GIANT RWS OFF ROAD


 
LZPT2IB  2016-11-20 22:39
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GIANT RWS OFF ROAD

購入価格: ¥4,104 (税込)
標準価格: ¥4,104 (税込)

『QR仕様のディスクロードなら、ディスクブレーキとペダリングの両方で良い結果を得られる』



■ GIANT RWS OFF ROADとは
GIANT RWS OFF ROADは、135mmのリアエンドに対応したスキュワーだ。クイックリリースレバーと交換して使う。MTBのフロントフォークがスルーアクスルを使うことを前提にしているためか、RWS OFF ROADのフロント用はリリースされていない。ロード用のRWS ROAD SETは前後セットになっており、RWS OFF ROADとはレバーの形状も異なる。

一般的なスキュワーはアーレンキーや専用工具で着脱するが、RWSはシャフトとレバーが一体化しているため工具が不要で、固定後や作業中にレバーを任意の向きに変えられるのが特徴だ。DT SWISSとの共同開発で生まれたパーツであり、マニュアルもDT SWISSのものが付属する。DT SWISSも色違いのRWSをリリースしているが、GIANTのRWSにはナットに回り止めが付いているという違いがある。

 
GIANT RWS OFF ROAD。ナットには回り止めが付く





■ 購入のきっかけ
私が所有するGIANT DEFY1 DISCは、前後クイックリリース仕様のディスクロードだ。制動時のハブのねじれの力を受け止めるという点ではスルーアクスルよりも不利とされるが、クイックリリースレバーをしっかりと締め付ければ、油圧式ディスクブレーキの急制動でも問題はない。ただ、レバーの締め付けが弱くて、ダンシングなどでパッドがローターに当たってカツンと音が生じたことはあった。

クイックリリースレバーは、締め付けの加減でパッドに対してローターの位置が変わることがあり、ローターとパッドの接触やブレーキタッチの悪化につながる。クイックリリースレバーを強めに締め込めば、ローターがほぼ毎回同じ位置に来るが手が痛くなる。上記の異音が生じたのは、レバーの締め付けの強さを調整する際に、ナットをゆるめる加減を間違えたからだろう。

そこで私はRWSを導入することを思いついた。RWSなら比較的小さな力でレバーを回すことができ、強固な締め付けで確実にディスクブレーキ対応のホイールを固定できると考えたからだ。キャリパーにローターをスムーズにセットできれば、クイックリリースレバーよりもホイールを取り付けるのが早くなるかもしれないという期待もあった。なお、フロントにはRWS ROAD SETを使用した。


FulcrumのクイックリリースレバーをRWSに交換





■ 取り付け
ホイールナットをエンドの切り欠きにはめて、レバーを手で回して締め付ける。マニュアルには15Nmで締め付けるように指示されているが、感覚的にはちょっとわかりにくい。RWS ROAD SETのマニュアルによると、「ナットとレバー部がドロップアウト部に接触してから、3/4回転すると正しく固定されます」とある。手に跡がつくほど強く締めると、3/4回転かそれ以下といったところだ。

手に跡がつくほど…といっても、クイックリリースレバーを強めに締め込むよりもはるかに楽だ。その気になればいくらでも締め込むことができそうだが、より高い締め付け力を求めて体重をかけたりすると破断しそう。そんなに無理をしないでも、高い締め付け力は得られる。

また、DEFY1 DISCのディスクブレーキ台座周辺は補強のために外に張り出しているが、RWS OFF ROADのレバーの形状ならフレームに干渉せずに作業できる。レバーの向きを変えるのは、力をかけたり好みの位置にレバーを固定するときだけ。これならクイックリリースレバーに比べても、それほど面倒ではない。なお、RWS ROAD SETは途中でレバーの向きを変える必要があり、作業性ではRWS OFF ROADに劣る。

  
レバーは作業中や固定後に任意の向きに変えられる

 
RWS OFF ROADはレバーがフレームに干渉しにくい形状(左)、RWS ROAD SETはレバーがフロントフォークに干渉する(右)





■ ローターの位置の出しやすさ
RWSでホイールを固定したところ、一発でローターがパッドの中央の位置に来た。これは出先で着脱を繰り返し練習した際も同様だった。RWSはほぼ毎回同じ締め付け力で固定でき、ローターの位置が決まりやすい。クイックリリースレバーでもコツをつかめばローターの位置をちゃんと出せるが、締め付け力がバラつきやすいため、何度もホイールを取り付け直す場合がある。RWSの方がミスが少ない分、クイックリリースレバーよりも早くホイールを取り付けられることも多い。

ただし、ホイールがわずかに斜めに傾くと、ローターも同時に斜めに傾いてパッドに接触しやすくなる点は変わらないので、自転車をまっすぐに立てるなどの工夫が必要になる。また、私はクイックリリースレバーを強く締め込んだ状態で、キャリパーの取り付け角度をセッティングしたが、RWSに交換後もキャリパーのセッティングをやり直す必要はなかった。


ほぼ毎回同じ締め付け力で固定できるので、ローターの位置を出しやすい





■ ディスクブレーキへの影響
RWSの強固な締め付けはさすがといったところで、自転車をダンシングで横に振ったりコーナリングで大きく傾けたりしても、パッドとローターが接触しない。もちろん、高いスピードからの急制動でもホイールの位置がずれない。これはクイックリリースレバーでも同じだが、RWSの方がガッチリとホイールを固定できる分だけ安心だ。

また、ブレーキタッチも良くなったような気もする。ホイールをしっかりと固定できたことによってローターが振れにくくなり、ローターのゆがみによるフニャッとしたブレーキタッチが出にくくなったような感じだ。もちろん、事前にホイールとキャリパーの取り付け角度を念入りにセッティングしておく必要がある。ただ、制動力やコントロール性などのブレーキ性能に関しては、変化はほとんど体感できない。


RWSの強固な締め付けにより、ローターが横にブレなくなる





■ 乗り心地
最初に感じた変化は、明らかな乗り心地の硬さだ。以前とタイヤの空気圧が同じであるにもかかわらず、タイヤの空気がパンパンになったような感じがした。実際に走ってみても空気圧を高めたような硬い乗り心地で、地面からの振動を拾いやすくなっただけでなく、ホイールが跳ねやすくなった。これでは乗り心地が悪くなるだけでなく、グリップ力も下がってしまう。

この乗り心地の硬さは、DEFY1 DISCに付属するホイールをFulcrum Racing 5 DBに交換したときの感覚に似ている。このときもタイヤが跳ねやすくなったが、空気圧を下げることで乗り心地の良さを確保できた。RWSの場合は3〜5psi程度下げるだけで済み、以前のような快適な乗り心地になった。太めのタイヤなら比較的乗り心地を調整しやすいと思う。


Fulcrum Racing 5 DBをRWSで固定すると硬い乗り心地になるが、タイヤの空気圧で調整可能





■ ペダリング
私の体感では、ホイール周りの剛性が明らかに高くなった。加速やダンシングでの強い踏み込みでの反応がよくなり、軽快な走りができるようになった。また、ペダリングのロスも少なくなり、以前よりも一定のスピードで巡航するのが楽だ。ダンシングではパリッとした硬さがあって力を伝えやすい。しかも、タイヤの空気圧を調整して乗り心地を確保しても、これらの恩恵は享受できる。

そもそも、DEFY1 DISCは快適性と直進安定性を重視しており、チェーンステーも420mmと長めなので、どちらかといえば鋭い反応や加速はあまり得意ではない。だが、これはホイールをFulcrum Racing 5 DBに交換することで改善され、RWSでさらに改善された。特にシッティングでの踏み込みでは、リアバックやD-FUSEシートポストのしなりがパワーロスにつながる感じがしたが、RWSの装着で進みやすくなった。




■ 脚への負担
初めてRWSを装着して走行した際には、調子に乗って踏み込み過ぎて疲れてしまった。その後、72kmほどいつもどおりに走行してみたところ、急加速を抑えて一定のペースで走行したこともあり、以前よりも脚の負担が増したような感じはしなかった。むしろ、少ない労力で早く目的地に到着できた。ホイール周りが硬いので脚の負担になりやすいのは確かだが、実際に疲労するかどうかは走り方次第だと思う。




■ 締め付け力の強さ
試しにクイックリリースレバーを弱く締め付けた状態でリムを指で横に押してみると、ホイールがたわむと同時にローターもパッドに近づくことがわかった。ローター自体がたわむというよりも、ホイール全体が動いているような感じ。一方、ホイールをしっかりと固定すると、リムを押してもローターの横の動きが非常に小さい。あくまで目視によるチェックだが、少なくとも弱い締め付けではダメなようだ。

クイックリリースレバーはレバーを奥まで押し込むと締め付け力が下がる仕様だが、レバーを回した分だけ締め付け力が高まるRWSの方が強くホイールを固定でき、ダンシングなどでローターとパッドの衝突を防いだり、ホイール周りの剛性を高めたりするのに有利だと感じた。締め付け力が強くなると、ハブとフレームの接触面、もしくは、ハブ内部のガタが取れるのかもしれない。

ただ、ちょっと心配なのが、走行の振動によるレバーのゆるみだ。RWSはほどほどの力でレバーを回しても高い締め付け力が得られるが、振動でゆるまない程度にはしっかりと締め付ける必要がある。レバーがゆるむとパッドとローターが接触するだけでなく、最悪の場合はホイールがずれることも考えられる。これまでレバーがゆるんだことはないが、頻繁にレバーのゆるみをチェックするよう心がけたいところだ。


出発前に走行の振動でレバーがゆるんでいないかチェック





■ 総評
GIANT RWS OFF ROADは、ディスクブレーキと相性が良いパーツだ。ホイールを確実に強く固定できるので、ダンシングなどによるパッドとローターの接触や制動力によるホイールのズレを防げる。また、クイックリリースレバーよりも締め付け力がバラつきにくいため、ホイールの装着の際にほぼ毎回ローターをパッドの中央の位置に持ってこれる。ディスクブレーキ台座周辺のフレームの張り出しにもレバーが干渉せず、レバーの向きも変えられるので作業しやすい。

また、RWSでホイールを固定すると、明らかにホイール周りの剛性は高くなる。硬い乗り心地やホイールの跳ねやすさはデメリットだが、これらは空気圧を下げることで対応可能。乗り心地の良さを確保したままペダリングのロスを抑えられ、以前よりも軽快な走りを楽しめる。

クイックリリース仕様のディスクロードなら、ディスクブレーキとペダリングの両方で良い結果を得られるのでオススメ。ただ、RWS OFF ROADはフロント用がないのが残念。フロントにもRWSを導入するには、RWS ROAD SETかDT SWISSのRWSを使うしかない。

 
RWS OFF ROADのアルマイトのブルーがDEFY1 DISCによく似合う。見た目にも満足感が高い



価格評価→★★★☆☆ (価格の分の効果はしっかりと感じられる)
評  価→★★★★★ (ディスクブレーキとペダリングの両方で効果を感じた)
<オプション>
年    式→ ー
カタログ重量→55g(実測重量も同じ)
 
LZPT2IB  2016-11-24 0:21
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GIANT RWS OFF ROAD

購入価格: ¥7,353(税込) ※RWS OFF ROADが¥4,101、工具代が¥3,249

『RWS OFF ROADをリア用からフロント用に加工。これで前後のレバー形状を揃えられる』



■ フロント用のRWS OFF ROADを作る
GIANT RWS OFF ROADはフロント用がリリースされていないため、私はDEFY1 DISCのフロントフォークに、RWS ROAD SETのフロントを取り付けている。前後のレバー形状が異なっても意外に違和感はないし、RWS ROAD SETもホイールをしっかりと固定できる。

だが、やはり前後のレバーの形状は揃えたいところ。その方が見た目の統一感があるし、RWS OFF ROADの方がレバーがフレームに干渉しにくいので使いやすい。そこで、私はRWS OFF ROADをもう1本手に入れて、フロント用のRWS OFF ROADを作ることにした。

 
RWS OFF ROADをもう1本購入(左)、 RWS ROAD SETはレバーを締め込む途中でフロントフォークと干渉する(右)




■ 加工方法の検討
当初は、RWS OFF ROADとRWS ROAD SETのフロント用をニコイチして、RWS OFF ROADのフロント用を作ろうと考えていた。レバーのアルマイトのパーツには溝があり、ここにピンスパナを入れればレバーを分解できそうだと思ったからだ。だが、分解には細いピンスパナが必要で、下手をするとアルマイトのパーツが傷だらけになりそうだったので、この方法は断念した。

あらためてRWS ROAD SETをよく見てみると、当たり前のことだが、前後のレバーの異なる点はシャフトの長さだけであることがわかる。同様にRWS OFF ROADもシャフトを短くしてネジを切れば、RWS OFF ROADのフロント用が作れると私は考えた。


アルマイトのパーツを外せば、レバーを分解・交換できそうだが、傷がつきそうなので断念




■ 加工に必要なもの
・GIANT RWS OFF ROAD
・ねじ切りダイス M5×0.8
・ダイスハンドル
・切削油
・バイス
・糸ノコ
・ナット M5×0.8

GIANT RWS OFF ROADのねじは、一般的なクイックリリースレバーやボトルケージボルトなどと同じM5×0.8。切削油の成分は鉱物油と極圧剤なので、AZ 超極圧水置換スプレーで代用した。




■ 加工方法
①RWS ROAD SETの測定
RWS ROAD SETのフロント用のシャフトとねじ部の長さを測定した結果、シャフトの長さは130mm、ねじ部の長さは22mmだった。フロントフォークに固定する際には、ねじのすべての部分がナットにかかっているわけではないので、実際にはもうちょっとねじを短く切ってもいいと思う。逆にねじを長く切っても問題はなさそうだ。


RWS ROAD SETのフロント用のシャフトとねじ部の長さ


②ねじを切る
RWS OFF ROADをバイスに固定し、ねじ切りダイスでねじを切る。切削油をかけながら、3/4ねじを切っては1/4戻すという作業を繰り返す。シャフトの切断の前にねじを切ったのは、元のねじを利用してダイスをまっすぐに挿入するためだ。スチール製のシャフトは、25mmのダイスハンドルとねじ切りダイスで無理なく切れるが、バイスは机にしっかりと固定できるタイプの方が作業しやすいはずだ。ねじを切ったら、金属の削りカスをきれいに取り除く。


切削油をかけながらダイスでねじを切る


③実際にシャフトを切断する長さを決める
シャフトを切断する前に、フロントフォークに装着して、ナットからシャフトがどの程度出ているかをチェックする。DEFY1 DISCの場合は34mm出ていた。装着の際にナットからシャフトが飛び出すとカッコ悪いので、私は35mm切断することに決めた。RWS ROAD SETよりも長めにしたのは、切断に失敗したときのことを考えたからだ。なお、ナットの穴から内側に6mmの部分はねじが切られていないので、実際にはもう少し短く切断しても大丈夫だと思う。


ナットから出ている長さよりも少し短めに切断する


④糸ノコでシャフトを切断する
切断する長さを決めたら、ねじを切ったRWS OFF ROADをバイスに固定し、切断する部分にナットを取り付ける。外側のナットは糸ノコの歯を当てるためのもので、内側の2個のナットは外側のナットが動かないようにするためのものだ。糸ノコに金属用の歯を取り付ければ、RWSのスチール製のシャフトはかんたんに切断できる。


ナットを取り付けた方が切断しやすくなる


⑥切断面を棒ヤスリできれいに整える
棒ヤスリで切断面を平らにしたら、引き続き棒ヤスリで切断面を面取りし、ナットがスムーズに取り付けられるようにする。この作業はバイスに固定した方がスムーズに行える。この作業で生じた削りカスをきれいに取り除いたら完成だ。


完成したRWS OFF ROADのフロント用 ※左側はRWS ROAD SETのフロント用




■ 使用感
加工したRWS OFF ROADは、レバーを締め込む際にフロントフォークに全く干渉しないので使いやすい。締め込む途中でレバーの向きを変える必要がないため、ローターを斜めに傾けずにホイールを取り付けやすくなる。やはり、ディスクブレーキにはRWS OFF ROADのレバーの形状の方が相性が良い。実際の走行でもRWS ROAD SETのフロントと全く同じ使用感だった。前後が同じレバー形状で統一感も増し、何よりラインアップされていないRWS OFF ROADのフロント用を装着できる満足感が非常に高い。

RWS OFF ROADをフロント用に加工するのは、工具を揃えるのに費用がかかるが、作業自体はとてもかんたんだった。同様にRWS OFF ROADを130mmエンド用に加工することもできるはずだ。この加工はシャフトを短くしてねじを切っただけなので問題はないと思うが、加工によってメーカーの保証を受けられなくなる点には注意したい。色やメーカーにこだわらないなら、最初からDT SWISSのMTB用を前後セットで手に入れた方がいいと思う。

 
RWS OFF ROADのフロント用を装着。見た目も使いやすさも満足



価格評価→★★☆☆☆ (工具代がかかる)
評  価→★★★★★ (かんたんな作業でRWS OFF ROADのフロント用が手に入る)
<オプション>
年    式→ ー
カタログ重量→55g(加工後は51g)
 
LZPT2IB  2016-12-22 20:04
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GIANT RWS OFF ROAD

購入価格: ¥4,104 (税込) ※1本の価格
標準価格: ¥4,104 (税込)

『締め付けが弱いと走行の振動でゆるみ、締め付けが強いとペダリングが重くなる可能性がある ※ホイールの構造にもよる』



■ 締め付け力次第で問題が生じる可能性
GIANT RWS OFF ROADは、135mmのリアエンドに対応したスキュワーだ。クイックリリースレバーよりもホイールを強く固定でき、ディスクブレーキの制動力によるホイールのズレやダンシングでのパッドとローターの接触を防げる。また、着脱ごとに同じ締め付け力を得やすく、ローターのセンター出しも容易。乗り心地は少々悪化するが、ペダリングでの反応性も向上する。

さて、私はRWSをさらに使い続けて、締め付けが強くても弱くても走行中に問題が生じやすいことがわかった。このことはRWSを快適に使う上で重要だと感じたので報告したい。


GIANT RWS OFF ROAD。画像左はフロント用に加工したもの





■ 締め付けが弱い場合
ホイールを装着する際に、誤ってRWSをやや弱めに締め付けたことがある。その結果、走行の振動でRWSがゆるみ、ローターの位置がセンターからずれて、ダンシングでパッドとローターが接触してシャリシャリと音鳴りが生じた。

私が所有するGIANT DEFY1 DISCではフロントよりもリアの方がゆるみやすいように感じる。これはDEFY1 DISCのフレームのリアバックが、積極的にしなって振動を減衰することが影響していると思う。

RWSのゆるみは、説明書のとおりに取り付ければ防げる。具体的には「ナットとレバー部がドロップアウト部に接触してから、レバーを3/4回転」、もしくは、「手に跡がつくほどきつく締める」ということであり、説明書ではこれが締め付けトルク15Nmの目安になっている。また、毎走行前や出先での休憩中に、RWSのゆるみをチェックすることも重要だ。


GIANT DEFY1 DISCのリアバックのしなりは、RWSのゆるみやすさに影響する





■ 締め付けが強い場合
逆にRWSの強い締め付けも試してみた。前述の説明書どおりに固定した後で、さらにレバーを1/4〜1/3程度回してみた。なお、破断が怖いので少しずつ回し、体重を一気に乗せるようなことはしていない。

だが、この状態で走るとペダリングが非常に重くなる。安価な健康器具のエアロバイクを高負荷にでもしたかのような抵抗を感じた。ブレーキをかけっぱなしで走行しているというのは少々大げさか。とにかく、ペダリングが体力的に苦痛になるほどの重さで、明らかに異常な状態だった。しかも、ペダリングをやめるとすぐに減速してしまう。

RWSを強く締めたことを思い出したのが、約9kmも走った後のこと。RWSのレバーをゆるめて、説明書どおりに締め付けたところ、いつもの軽いペダリングが蘇った。

私はFULCRUM RACING 5 LG DBという完組ホイールをDEFY1 DISCに装着している。このホイールは樹脂製のキャップを締め込むことで、ハブ内部のガタを取る構造になっている。ハブ内部のガタが取れたということは、ハブ内部のパーツがすべて密着していることになる。ここからさらにRWSを強く締め込んだことで、シールドベアリングやフリーボディーを圧迫したのだろう。

ペダリングをやめるとすぐに減速することから、フリーボディーのラチェットの爪がベアリングに圧迫されて動きが渋くなった可能性が高いと私は考えている。さらに、フリー側のベアリングが圧迫されてグリスがはみ出ていることも確認した。もちろん、シールドベアリングのシールが圧迫されて回転が渋くなったことも否定できないが、同じように締め付けたフロント側では特に問題を感じなかった。とにかく、ハブを壊さずに済んだのは幸いだった。

ちなみに、シールドベアリングを採用したハブでも、トラックハブならホイールナットを体重を乗せて強く締め込んでも、ほとんど回転の滑らかさに影響は出ない。トラックハブの場合は、玉押しナット(というかスペーサー)をシールドベアリングの内輪で支えるので、シールドベアリングのシールが圧迫されにくい構造になっている。一方、RACING 5 LG DBは、ダストカバーやラチェットの爪がシールドベアリングのシールに接触しやすい構造で、外部からの圧迫の影響を受けやすい。

RWSやホイールナットを強く締め付けてペダリングに影響が出るかどうかは、ホイールの構造次第だと思う。ちなみに、FULCRUMのクイックで強めに締め付けても、ペダリングの重さやホイールの回転の滑らかさには影響しなかった。RWSの長所はクイックよりも軽い力で強い締め付け力を得られることだが、これは注意すべき点でもある。

 
樹脂のキャップを締め込むと、ダストカバー、シールドベアリングの順に押され、RWSによってさらに圧迫される可能性

 
フリー側のシールドベアリングはラチェットの爪に触れている状態。RWSによってラチェットの爪が圧迫される可能性





■ 適正トルクで締め付けることが重要
RWSは適正トルクで締め付けることが重要だ。弱い締め付けでは走行の振動でゆるみ、パッドとローターが接触しやすくなるので注意が必要だ。また、さらなる剛性の向上や走行中のゆるみの防止のために、RWSを強く締め付けるのはオススメできない。ホイールの構造にもよるが、ペダリングが極端に重くなったり、最悪の場合はRWSが破断したり、ハブ内部のパーツが破損する可能性があるからだ。

ただ、FULCRUM RACING 5 LG DBがRWSと相性が悪いわけではないということは強調しておきたい。説明書どおりに手に跡がつくほどきつく締める程度でも、ホイール剛性やディスクブレーキに関するさまざまなメリットを享受できるからだ。RWSの締め付け加減を理解し、締め付け力のチェックを欠かさなければ、RWSは非常に素晴らしいパーツだと思う。今後は力加減を間違えないように、締め付けは慎重に行いたい。


ペダリングに影響が出にくいフロント側も締め付けは"ほどほどに"してある



価格評価→★★★☆☆ (価格の分の効果はしっかりと感じられる)
評  価→★★★★★ (ディスクブレーキとペダリングの両方で効果を感じた。締め付け力に注意)
<オプション>
年    式→ ー
カタログ重量→55g(実測重量も同じ)
 
LZPT2IB  2017-4-16 1:14
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GIANT RWS OFF ROAD

購入価格: ¥4,104 (税込) ※フロントはシャフトを加工して使用
標準価格: ¥4,104 (税込)

『シマノのハブならある程度強めに締め付けることが可能』



■ シマノのハブとの相性
前回の投稿から新たに気づいたことをいくつか追記したい。私はクロスバイクにプロショップにお願いした手組みホイールを取り付けており、ハブにはSHIMANO DEORE XT HB-T780とFH-T780を使っている。試しに、このハブに付属するクイックリリースレバーをRWSに取り替えて走ってみた。

DEORE XTのハブなら、RWSをある程度強めに締め付けても回転が重たくならず、多少の走行の振動でゆるむ心配はない。踏み込みでのかかりのよさやダンシングのキレは、このクロスバイクでは味わったことがないものだった。ガッチリと固定できるぶんだけ、FULCRUM よりもシマノの方が相性がよいと感じた。ただし、リアは締め付けが強すぎると、やはりペダリングが重たくなる。

 
シマノのハブならある程度強めに締め付けられる





■ フレーム・フロントフォークとの相性
クロスバイクにRWSを取り付けたことで、快適性は明らかに悪化した。私のクロスバイクはアルミの硬いフレームであり、フロントフォークもアルミのストレートフォークだ。もともと乗り心地が硬めである上に、RWSによって座り心地がカチカチに硬くなり、グリップは手を乗せるだけでも硬さを感じるようになった。しばらくクロスバイクでRWSを楽しむつもりだったが、ほんの数キロの走行でも乗り心地に支障が出るレベルなので、帰宅後にクイックリリースレバーに戻した。

フレームやフロントフォークの硬さによっては、デメリットの方が大きくなる。フレームとフォークの振動吸収性が高いか、タイヤを低圧にすることができなければ、RWSのメリットは享受できないと感じた。なお、私が所有するGIANT DEFY1 DISCなら、振動吸収性が高いので、RWSを導入しても乗り心地の問題を解決できる。

 
硬い乗り心地のGIANT SEEK R3に取り付けると、ますます乗り心地が硬くなる(左)
振動吸収性に優れたGIANT DEFY1 DISCなら、快適性を悪化させずにメリットを享受できる(右)





■ 未舗装路の走行
DEFY1 DISCにはPanaracer GravelKingの700×28Cを取り付けており、砂利道などの未舗装路をたびたび走るようになった。DEFY1 DISCはリアバックが積極的にしなる上に、未舗装路の走行で振動する事により、RWSがゆるんだことが何度かあった。未舗装路を走る際には、RWSのゆるみを入念にチェックしたほうがいいだろう。

なお、ディスクブレーキ搭載車なら、ローターとパッドが接触してシャリシャリと音がするので、RWSのゆるみがすぐにわかる。問題はリムブレーキの場合で、ディスクブレーキよりもシュークリアランスが大きいので、RWSのゆるみに気がつくまでに時間がかかる可能性がある。いずれのブレーキでも、やはり大切なのはRWSのゆるみのチェックだ。


未舗装路を走る際には、特にゆるみのチェックが必要





■ どの程度反応性が向上するか
GIANTのディスクロードに、CONTEND SL1 DISCというモデルがある。DEFY1 DISCの後継モデルに相当し、前三角はDEFYと同じジオメトリーだが、チェーンステーをDEFYよりも10mm短い410mmとすることでによって反応性の向上を狙っている。

DEFY1 DISCはあまり反応性が高くないが、RWSやFULCRUMのホイールを導入することである程度改善することができた。だが、試乗車のCONTEND SL1 DISCは、私のカスタムしたDEFY1 DISCよりも明らか踏み込みでのかかりがよい。同じ素材のアルミフレームでも、チェーンステー長の違いで反応性はかなり変わる。

つまり、RWSによって反応性を向上させても、もともと反応性が高いフレームには及ばないということだ。あくまで、エンデュランス系ロードバイクであるDEFYの乗り味の範囲内において、反応性が高まるといった感じだ。とはいえ、数あるパーツの中でも、RWSは効果の実感できるパーツであることは間違いなく、反応性や剛性感を高めるなら導入する価値があると思う。

 
RWSをDEFY1 DISCに取り付けても、CONTEND SL1 DISCの反応性には及ばない




価格評価→★★★☆☆ (価格の分の効果はしっかりと感じられる)
評  価→★★★★☆ (ハブ、フレーム、フロントフォークとの相性次第)
<オプション>
年    式→ ー
カタログ重量→55g(実測重量も同じ)
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