購入価格: ¥7,768 (税込) ※Wiggleで購入
標準価格: ¥10.702 (税込)
『ハンドルバー上部の手の位置をスムーズに変化でき、下ハンも握りやすい形状。剛性と振動吸収性のバランスが良い上に軽量』
■ Cyrano R3 Handlebar Bullとは
Fizik Cyrano R3 Handlebar Bullは、脊柱の柔軟性の低い人向けのモデルで、アップライトなポジションを取れる形状のドロップハンドルだ。アナトミックシャロー、ショートリーチ、コンパクトハンドルなどと呼ばれるタイプで、リーチとドロップが小さい。420mm以上はリーチ80mm、ドロップ130mmだが、400mm以下はリーチ75mm、ドロップ125mmとさらにコンパクトな形状になっている。
Cyrano R3の上位モデルにはCyrano 00、Cyrano R1があり、下位モデルにはCyrano R5が存在する。どのグレードでも形状は同じだが、素材が異なる。Cyrano R3は7075アルミを使用。Cyrano R5には6061アルミが用いられ、表面仕上げも重量も違う。
Fizik Cyrano R3 Handlebar Bull 400mm
■ 購入のきっかけ
私はGIANT FIXER Rというシングルスピードに乗っており、NITTO B125などのピストハンドルを取り付けていた。本来ピストハンドルは下ハンのみを使うためにできており、上部では多くのポジションを取ることはできない。その後、ロードバイクを手に入れて、状況に合わせて多くのポジションを取れるドロップハンドルの快適さを実感。FIXERにもロード用のドロップハンドルを導入することにした。
Fizikのシートポストやサドルに合わせて、Cyrano R3 Handlebarを選んだ。Cyranoの中でもBullの400mmを選んだのは、手元にあったGIANT CONNECTという完成車付属のハンドルバーを用いて、事前にポジションを検討した結果だ。結局、同じサイズのハンドルバーを選んだことになるが、実際に使ってみると握りやすさもシルエットも異なるものだった。
ピストハンドルはハンドル上部が握りにくい上、サイコンやベルなどを取り付けるとますます握る部分が少なくなる(左)
手持ちのパーツでポジションを検討し、Bullの400mmに決めた(右)
■ 取り付け
ハンドルバーの取り付けに特に難しい点はない。ステムをクランプする部分とブレーキレバー(STI)を取り付ける部分には目盛りが印刷されており、ハンドルバーのポジションを出しやすい。目盛りの位置はわりと正確で、ブレーキレバーを取り付け後に左右のズレはなかった。ブレーキレバーのクランプバンドを目盛りにピッタリ合わせない場合でも目安にはなる。
私はブラケットへの手の乗せやすさと取り付け後のシルエットとを重視して、ステム・ハンドルバー上部・ブレーキレバーのブラケットが一直線に連なるようにセッティング。ロードバイクのドロップハンドルとは異なる角度で取り付けてみた。ステムの角度は±10度なので、ハンドルバーはわずかに前上がり。最終的にコラムスペーサーはすべて取り除き、ハンドルバーの位置は最も下げることになった。
目盛りがセッティングの目安になる
■ デザイン
Cyrano R3は梨地のブラックで仕上げられているが、ロゴの部分のみがワンポイントで光沢のブラックになっており、見るからに高品質であることを感じさせる。この光沢のブラックのおかげで、ステムのThomson Elite X2にもマッチした。サイコンマウントやベルを取り付けると一部のロゴが隠れてしまうが、できるだけロゴが見えるように取り付けるのが私のこだわりだ。
そして、リーチ75mm、ドロップ125mmのコンパクトな形状のおかげで、ハンドル周りがスッキリしと仕上がった。ピストハンドルとはまた違った魅力で、実用性を重視しつつ理想どおりのシルエットになって満足している。サイズが同じでもGIANT CONNECTよりもエンド部が短いので、よりコンパクトに見える点も気に入っている。
Cyrano R3 Handlebar Bullを取り付けたFIXERの全体像
■ 形状、握りやすさ、ポジションなど
【ブラケット・肩部・フラット部】
ロードバイクに乗っているにもかかわらず、ドロップハンドルの握る位置の多さにあらためて感動。ピストハンドルよりも多くのポジションを取れるだけでなく、ブラケット・肩部・フラット部の握る位置をスムーズに変えられるのが良い。そのおかげで、ハンドルバーの位置を低くして深い前傾姿勢にしているにもかかわらず、長い時間乗っていても快適だ。
【ドロップ部】
また、ブラケットポジションを基本にセッティングしても、Cyrano R3はドロップ部の曲がり具合がちょうどいいなので握りやすい。しかも、私の小さな手でもブレーキレバーにちゃんと指が届く。ドロップは125mmと浅めだが、私はハンドルバーの位置を低くしているため、そこそこ深い前傾姿勢が取れる。気軽に下ハンを持てるが、浅すぎなくてちょうどいい。
ただし、エンド部が短めなので、下ハンでは大きく握る位置を変えることはできず、自ずと握る位置はかぎられる。ちなみに、エンド部が短いと膝をぶつけにくくなるメリットがあるが、ミラーを取り付けると握りにくくなるデメリットがある。エンド部が長いGIANT CONNECTは下ハンで握る位置を変えやすいが、私のCyrano R3と同じ角度で取り付けると、ドロップ部の角度が大きくなって握りにくくなる。リーチとドロップが同じでも、ドロップ部の形状によってずいぶん使い勝手が変わると感じた。
【ハンドルバーの幅】
幅を380mmから400mmにしたので直進時の安定感が増し、コーナリングでも安心してハンドルが切れるようになった。FIXERは直進安定性が低くふらつきやすい自転車なので、少し広い幅のハンドルバーを選択するだけで、かなりコントロールしやすくなる。変速できないFIXERではダンシングもしやすくなり、幅を広くしたことによる恩恵は大きい。
【スパインコンセプトとの兼ね合い】
スパインコンセプトに準じるなら、サドルもBullのALIANTEを使うべきだが、SnakeのARIONEでも全く違和感なく乗ることができた。乗車姿勢によって最適なモデルを選択するスパインコンセプトは理にかなっていると思うが、ハンドルバーとサドルをそれぞれ好きなモデルを選んでも、ポジションは出せると思う。
【その他】
Cyrano R3 Handlebar Bullは私にとても合っており、快適性と力の出しやさを両立するポジションが出せた。そのおかげで、これまでに出せなかったスピードをかんたんに出すことができ、少ない労力で巡航できるようになった。尻や手に痛みが出ることもなく実に快適だ。ピストハンドルにロード用のブレーキレバーを取り付けるよりは、やはりロード用のドロップハンドルを用いた方が断然ポジションが出しやすい。ちなみに、ハンドルを交換したからといって、基本的な乗り味に変わりはない。
ハンドルのどの部分を持っても違和感がない形状。指もレバーに届きやすい
■ 剛性
パリッとした硬さがあり、ダンシングなどで力をかけても全くよれる様子がない。ハンドルバーの剛性が上がると、自転車との一体感が増して走るのが面白くなる。FIXERならヘッドチューブやフォーク、さらにはステムにも剛性が欲しくなるが、ハンドルバーの剛性が上がるだけでも体感では結構変わる。また、路面の情報をハンドルから感じやすいが、後述する振動吸収性もそれほど悪くはなく、ほどよい剛性感だ。
さすがにNITTO B125の剛性には劣るが、これは競輪選手のパワーにも耐えうるNJS認定品の鉄ハンであり、肉厚も大きいカッチカチに硬いハンドルバーだ。凄まじい剛性のNITTO B125から乗り換えても、少なくとも街乗りがメインなら、Cyreno R3の剛性に不満はない。ダンシングを多用するシングルスピードでは、少なくともCyrano R3くらいの剛性があった方がいい。
一方、GIANT CONNECTとは、顕著な剛性の差がある。同一自転車とステムで比較した場合、ダンシングでのカチッとした感覚がGIANT CONNECTでは希薄だった。GIANT CONNECTの方がCyrano R3よりも肉厚だが、素材の差が剛性の差になって現れていると感じた。
■ 振動吸収性
意外にも振動吸収性は悪くなく、剛性とのバランスが取れている印象。ハンドルバーのたわみは大きくないが、地面の細かい振動を小さく収めてくれる。薄手のバーテープでもまあまあ快適だ。NITTO B125では、ゴツゴツとした地面の突き上げをダイレクトに感じたので、Cyrano R3に交換することで快適になった。GIANT CONNECTの方が剛性が低く、突き上げによるたわみが大きいが、振動が収まりにくいので特に快適というわけではない。
■ 重量
特にCyrano R3を選んでよかったのが”軽さ”で、交換後の変化の大きさを最も感じた。実測した重量は236g。NITTO B125は680gもあったので、ハンドルバーだけで444gも軽くなった。自転車の前方が持ち上げると明らかに軽く、広くしたハンドルバーの幅と相まって、ダンシングでも車体を振りやすくなった。約330gのGIANT CONNECTの400mmと比べても、ダンシングでは差を感じるような気がした。
■ 総評
取り付け角度にもよるが、Fizik Cyrano R3 Handlebar Bullは、ブラケット・肩部・フラット部のポジションをスムーズに変化でき、下ハンも握りやすいハンドルだ。取り付け後のシルエットもシャープになって満足している。そして、ドロップハンドルを選ぶ際に最も大切になるのは形状だと、このハンドルを使って再認識した。
剛性と振動吸収性のバランスが取れており、なおかつ、軽量である点も素晴らしい。ダンシングでは振りやすい上に力のロスが少ないし、走行中の地面の細かい振動も小さく納めてくれる。いろいろな意味で完成車に付属するドロップハンドルとは一線を画す性能。ロード用だが、シングルスピードの実用性を重視したハンドルとしてもオススメできる。今後のロードバイクのドロップハンドルの良い経験にもなった。
価格評価→★★★★☆ (海外通販ならCyrano R5との価格差が小さい。定価でも買う価値がある)
評 価→★★★★★ (想像以上に使いやすいハンドルだった。弱点も特になし)
<オプション>
年 式→ ー
カタログ重量→245g(420mm)、実測重量→236g(400mm)