エントリー価格 出場カテゴリーによりまちまち
マウンテンバイクで山を走る人なら、ほぼ知っているであろう元祖長距離イベント。
ウェブをググれば山ほどレポートは出てきますが、CBNにそのレビューがないのは
さみしい限りと思うので、投稿してみます。
【概要】
このイベントは2000年から連続開催されていて、2005年からは年2回開催になりました。
2005年は唯一10月に開催されてますが、その後は5月と9月に開催となっています。
俗に5王/9王、春王/秋王などと呼ばれていて、100㎞では5月が時計回り、
9月は反時計周りで開催されています。
距離は、100㎞と42㎞がメインで、120㎞と20㎞が後で追加になっています。
現在スタートは松原スポーツ公園ですが、2回目ぐらいまでは王滝村役場近くの学校?で、
この頃はまだランやカヌーなど、複合/チーム競技の色合いが濃かったと記憶しています。
コースには3つのチェックポイント(以下CP)が存在し、各CPには時間制限があります。
コース全体の制限時間は10時間ですが、機材の進化や経験値の向上、
コースコンディションにより、年々完走率は上がっているようです。
【コース】
ひたすらジープロードを登って下る体力コース。
特に難易度が高い訳でもなく、走るだけなら誰でも走ることができると思います。
路面は砂利からガレ、砂や簡易/コンクリ舗装などバリエーションに富み、
その年の天候や整備状況により変化しますが、台風が少ない年と多い年では、
その差は大きいように思います。
時計/反時計周りでコースに差はあまり感じませんが、5月の方が慣れが少ないせいか、
9月よりしんどく感じます。
晴れていると、非常に雄大な景色を眺めながら走ることができて、満足感が大きく、
その逆、悪天候だとコース状況や気温がかなりサバイバルな様相を呈します。
その他、熊やスズメバチなどによる走行妨害?などもあり得る・・というか、
スズメバチの被害は実際にあったようです。(熊は聞かないが、生息はしているとのこと)
【走ってみて】
筆者、これまで9月100㎞を8回、5月100㎞を1回、5月42㎞を1回参加。
リタイヤは、9月100㎞を1回、比較的完走率は高いが、タイムは7時間を切ったことがないレベルです。
ひたすらジープロードを登ったり下ったり、ちょっと飽きてしまいます。
これを帳消しにしてくれるのが雄大な景色な訳ですが、今年の9月は悪天候故、雲の中を走っているようでした。
私の場合、いつもCP2からCP3の途中で「なぜここにいるのか?」と自問自答が始まるのですが、
ここでの葛藤が、なぜあそこでもっと踏めなかったのかとゴール後に悔しさとしてこみあげてくることが多く、
来年の参加を決断する要因になっていると思います。
今年の9月の自問自答は、雨で気温が低かったせいか朦朧(もうろう)気味で、正直あまり覚えていません・・・。
個人的には、9月の橋を渡ってゴールするほうが好きです。
【完走のコツ】
私程度の者が偉そうに語るのはアレですが、42㎞も含めて一応完走率90%なので、
私自身が取り組んでいる Pre SDA王滝生活をご紹介すると、まず私のスペックとしては、
体重65㎏で体脂肪10~15%、ラン10㎞を45分程度、ロードバイク最長走行距離は270㎞、
月間自転車走行距離は500㎞前後といったで、自称なんちゃってアスリートという自覚です。
この程度のスペックなら、余裕をもって完走はできるはずです。
後は、走行中のトラブルを避けること。一番多いトラブルはパンクだと思いますが、
機材としては、チューブレスにシーラントを入れることが最大の対策で、
走行技術としては、下りで無理しない、石を踏まない、スムーズな路面をトレースする、
荒れた路面上でブレーキをしないなどを心掛ければ、ほぼパンクは避けられると思います。
あと、チェーン切れやブレーキパッドの減りなどありますが、これらは事前の整備で新品にするなどして、不安要素をなるべく取り除いてください。
あとは体のトラブルで、転倒や足攣りなど、できる限り練習でダートの長距離を走り、
自分の体がどんな風に消耗していくのかを知るといいと思います。
そこでその消耗をどのように対処するのか?キャメルバッグで給水して足攣り予防や、
サプリメントで対応するのか、基礎体力を底上げするのか、いや、金に物を言わせて機材で解決するのか?などなど、
完走や目標タイムに向けた構想や戦略を練るといいでしょう。
あと、練習はやっぱりジープロードなどのダブルトラックで行うべきです。
私もMTBerとしてもれなくシングルトラックが大好物なんですけど、
間違いなくシングルとダブルでは走り方やラインが変わってきます。
ダブルトラックは道幅が広いのですが、いろんなラインが通れる場所、
ラインが限られる場所など、状況判断の取捨選択数がシングルより多いと思います。
実際のレースでは、そのような状況判断を何十回何百回とするわけですが、
トラブルを避けるうえでそのような判断を、練習の時から意識するといいと思います。
ベストラインをトレースする能力を、練習で磨いてください。
機材は、やはり近年のMTBのホイール大径化を意識したバイクで参加する方が良いでしょう。
26インチよりは27.5インチ、27.5インチよりは29インチといったMTBのほうが、
このような単調なコースで楽にスピードを維持でき、体力を無駄にしない上で良いと思います。
私はまだ26インチを使用していますが、27.5MTB導入を検討中です。
ただ、参加していて思うのですが、ホイールの大径化に伴い、タイヤの接地面積が増えるからか、
スピードが上がるからかはわかりませんが、特に29インチのMTBはパンクをしている人が多いように思います。
ホイール大径化によって、荒れた路面も気にならない…などのメリットが言われていますが、パンクを避ける為の回避動作は、
全てのMTBに共通することだと思いますので、そこは意識する必要があると思います。
そして、好きなバイクで走ること(シクロクロス、ランドナー、果ては一輪車でも)、
制限時間を目いっぱい使って、普段走れないコースを走ることなど、テーマを持って参加されるといいでしょう。
それ自体が、この大会の冠にある「セルフディスカバリー…自己発見」に繋がることだと私は考えています。
【最後に】
2014年9月27日に御岳が噴火して、沢山の方が亡くなられました。
少し古い話ですが、1984年の9月14日に、長野県西部地震が王滝村直下で発生、この地震でも沢山の方が亡くなられています。
両方の災害に行方不明の方が居て、噴火災害の方は捜索が続けられており、早期の発見を願うばかりですが、
慰霊の祭壇が松原スポーツ公園に設置されています。
地震の行方不明の方は、主に大量の土砂に阻まれたことで発見は叶わず、牧尾ダムの脇も地震で崩れて、
当時そこにいた方々が亡くなられており、それぞれの場所で慰霊碑が建立されています。
自然湖に行く途中の慰霊碑
牧尾ダム左岸の慰霊碑
有名なあの自然湖は、この地震で発生した御岳崩れによる土砂によって川がせき止められて出来たもので、
SDA王滝のコース途中、CP1までに広がる荒涼とした風景は、御岳崩れによる大量の土砂が駆け下った跡だということです。
自然湖
御岳崩れの流出跡
このように、王滝村は深い自然に抱かれた土地柄、自然災害に幾度も遭いながら、
本来なら自然災害の爪痕というべき自然湖や、SDA王滝コース途中の御岳崩れの跡が、
村外から来た我々を驚かせ、且つ楽しませていることを理解されているように感じます。
そのような所で自転車で遊ばせてもらっていることを忘れず、感謝したいと思います。
SDA王滝のレビューなのに、こんな話を最後にするのもなんだか歳をとったなーと思うのですが、
これも一つ私なりのSDA王滝感ということでお許しいただけると幸いです。
さぁ、2017年のSDA王滝はもう既に始まっています。皆さん準備はいかがですか?
価格評価→★★★★(←100㎞でおよそ¥100/1㎞、晴れていれば妥当、悪天候で星一つ減)
評 価→★★★★(←私にとっては年に一度の重要なイベント、単調さで星一つ減)