購入価格 ¥6500(エントリ費用)
信州栄村とその深奥部、新潟との県境の秋山郷を貫く起伏の厳しい舗装路を走るイベント。
豪雪地帯の真夏の風情、原生林の素晴らしさを味わいつつ、各地から集うサイクリストと先を急ぐことなく会話しながら登坂すれば、苦しくともなんとか先に進むことが出来る・・・サイクリングの登坂は楽しいですね。
エントリークラスは100kmクラスが最長で3つあり、私が参加したのは100kmクラスです。総勢400名程度?2006年から数えて11年目のイベントですが、2011年は東日本大震災直後の栄村大地震の影響で変則開催のため、今年が10回目となります。私は2007年からの連続エントリーで、100kmクラスが9回目となりました。今年は8月7日(日)の開催。
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前日午後、受け付けを済ませました。暑すぎ。
コース・プロデューサの輪工房・田口さんに、
「何度目ですか?」
と尋ねられ、
「2007年から小径車で。明日もいい天気になりそうで良かったですよねぇ!」
「いや~、いい天気というか、暑すぎというか」
出走ゲート建造中
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当日朝、うーむ、調子悪い気がします。しかも朝から天気良すぎ。猛烈に暑くなりそう。
牧歌的な出走風景の中にシクロクロスで知られるSUWAKO RACINGのご長老の姿も!
7時ちょうどから順次、拍子抜けするほどに味のあるラッパの音を合図に10名位ずつスタート。沿道に散在する民家の方々が見送ってくれるのですが、このローカル感って、イイですね。
「今年はちょっと調子悪いぞ?」
その感触が本当かどうかは、最初の登坂に差しかかったところで判明します。長い坂というのは冷酷なもので、走る者たちに、この先々のことを容赦なく考えさせ、自ずと、自分のペース配分を守ることを余儀なくされます。後ろから抜いていく人、前から後退してくる人・・・。そうやって坂を上っているうちに、サイクリングにふさわしい落ち着きが、栄村を走る人々を支配し始めます。
私はと言えば結局、今年はもう、明らかにダメ。そのうち何とか持ち直すだろう、と思いながら登坂を楽しみつつ走りますが、昨年の気楽な走りとは対照的な一日となってしまいました。 というかまあ、調子が良かったのはこの数年では、昨年だけかも?元々、体が頑丈な方ではなく、片頭痛とか不整脈からガラスの腰まで、いろいろと不具合があるのですが、そこをどうやって切り抜けるか、というのが程度の差こそあれ、毎年のこと。
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後ろから来た人に声をかけられ、暫くいろいろ話しながら登ります。
安全にコミュニケーションができる。そこがサイクリング登坂のいいところ。だから山サイクリングはやめられません。この方、石川県から来られたそうで、陽気で元気な41歳。ロードに乗り始めて3年ということのようですが、すっかり自転車向きの体型になっており、伸び盛り!のオーラが出ています。
「もっと早く自転車を始めていればよかったなーって思うんですよ」
とのことでしたが、サイスポ元編集長・岩田氏の名言、「これからの人生の中で今のオレが一番若い」ですからねぇ!
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40kmあたりの私設エイドステーションでは毎年、名物おばさん的な方々が待ち構えていて、食っていかないと通さない!位の勢いで今年は黄色いスイカを差し出してくれました。黄色いスイカをいただいているうちに大腿部裏側の筋肉がちょっと攣るかも?という感じに。で、その後の登坂で、スイッチが入ってしまい、その勢いで、な、何と、両足の大腿部の表と裏、4か所すべてが攣る、というまさかの未体験ゾーンに突入!道路のアウト側に自転車を寄せてかろうじて降りて、そこから全く動けない状態に。太腿の裏と表が両方、攣っているというのがどういうことかというと、裏側を復旧させるために少しずつ伸ばそうとすると、表側が悪化する、という状態。ここから脱出するために、微妙に足を置く位置を操作し、ひざの角度を調節しながら、片足ずつ、ジワジワと好転させていきます。 片足ずつ、ですよ! くぅわ~、事休す、か。「あの人、何やってるの?」な風景。
「大丈夫っすか!?」
と声をかけていただけるのは嬉しいのですが、足が攣ったひとに何かできるかというと、それもなかなか難しいことです。
「あどうも、大丈夫です!」
ハエたたきで叩かれたハエが、その後じわじわ回復していく様を想像してしまいます。そんな風に数分間の静かな格闘の末、ようやく、何とか自転車に乗ることができるまでに復旧しました。太腿の裏表に何も来ないことを念じつつ、恐る恐るクランクを回します。
「や、やっべぇ~・・・」
何だか自分の足じゃないような気さえしてきます。ロー側2枚を残してずっと登坂してきましたが、ここでローエンドを使い、じっくり回復に専念します。元々調子よくないのに、今日は散々だなー。
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コース最南端のチェックポイントを目指し、豪雪地帯特有のバンピーなコンクリートの急坂を下っていくと、今年初お目見え?の私設エイドステーションが。こんな山奥に住まわれているご家族がやってくださっているのでしょうか。かわいらしい子供たちが愉しそう。
癒しの情景
そこで一息ついていると・・・
「その小径車は、GlennGouldさん、ですか?」
というバリトンの美声が背後から。
「いやー私ねぇ、サイクルベース名無しっていうのをよく見てるんだけど、その小径車を見ればピンと来ますよ」
左右大腿筋表裏全攣り(そんな言い方あるんか?)を経験し、騙し騙しのリハビリ走行。しかもあまりの天気の良さに少々気持ち悪くなってきた私はその後、悠然と灼熱サイクリングを楽しんでおられるこのパワフルな方にお世話になることになります。
このエイドステーションで少しお話させていただきましたが、絶不調で全く先が見えない私は、この先の激坂区間に備えて先に行きます。ようやく脚の具合も回復してきて、その後の灼熱登坂もなんとか切り抜け、冷蔵庫のような五宝木トンネルの3%勾配を気付け代わりに時速20km/hで進みます。頭が痛くて少々吐き気を感じている割には、余りにも快適なトンネル内温度のおかげで、走れてしまいます。
71km地点。トンネル出口で昼食を受け取って立ったまま、とにかく腹に押し込みます。座ったら脚が攣りそうでコワイ。その後の登坂でバリトン美声の男性が追い付いて下さり、引っ張ってもらいます。調子は酷いものですが、話をしながら上ると、楽になってくるんですよねぇ。不思議。助かりました。
「サイスポは創刊号から買ってたけど、中学生だったなあ」
御歳を伺えば60歳。おおーっ、大先輩!学年で6年先輩ってことは、創刊号は中三の春ってことか。白いデローザで走るこの大先輩。実にタフで、立ち居振る舞いがジェントル。伺う話も面白い話ばかり。トライアスロンもされるそうなのですが、
「子供の頃、サイクリングから自転車に入って、今、サイクリングに戻ってくる。やっぱりサイクリングだよねぇ!」
と。
この後、ゴールまで付き合っていただき、絶不調ながらも、楽しいサイクリングとなりました。大先輩、ありがとうございます!!
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年に一度の栄村。
この地ならではの、素朴で心のこもった最上級のホスピタリティを感じながらの105km。
最後の最後までありがたくいただき(というかひたすら食い続け)、
しっかり上ってしっかり下ってしっかり曲がり、
今年もどうにか走り切ることが出来ました。
やっぱりサイクリングはサイコー!
一年を平穏無事に過ごして、来年もまた参加したいと思いました。
血沸き肉躍る時代のモゼールも出走!
颯爽と走るリカンベントに今年も遭遇
バナナ アクエリアス 水あり・・・急いで書かなくちゃ
ガードレール無し道路、多数存在
お約束の布岩
ここから標高差200m激坂登坂が今日の白眉
秋山郷にて。苗場山、一度は登ってみたいなぁ・・・
つり橋を押して渡るの図
帰還
我が相棒もグタ~っと。。。
価格評価→★★★★★
評 価→★★★★★
年 式→2016