購入価格 ¥15,930(フレーム+標準レンズ)、¥8,640(別売調光レンズ)
メーカー直販サイトで購入。
メガネフレームの生産で有名な福井県鯖江市を本拠地とする、株式会社ジゴスペックが製造・販売しているスポーツ用アイウェアです。
通常のアイウェアのように、ノーズパッドを鼻にひっかけて固定する方式ではなく、テンプルに装着されたサイドパッドを、頭の側面、頬骨の上のくぼみに当てて固定するという、ちょっと変わった方式を採用しています。
製品としては、AF-101型とAF-102型がありますが、違いはカラーバリエーションとレンズの形状だけのようです。
メーカーの直販サイトでは、少し金額が上乗せになりますが、自由に組み合わせを選べます(一部のオプションレンズを除く)。
本体にノーズパッドがない。
テンプルに装備されたサイドパッド。
これが頬骨の上に当たる。
ブルベなどのロンクライドで、長時間、アイウェアをかけていると、ノーズパッドが鼻に食い込んで痛くなったり、汗で滑って頻繁にずり落ちてくるのが煩わしく感じられるため、少しでも快適に走れるようになるなら、と考えて購入しました。
その「少しでも」への投資として、こんなに払ったのか、と突っ込まれると、痛いところではありますが(^^;)。
メーカーのブログやプレスリリースによると、ランニングの世界ではそこそこ有名な製品らしく、市民マラソンの会場などで試着体験会を開くと長蛇の列になるそうです。
しかし、自転車で使っている人を、個人的には見たことがなかったので、どんな具合の製品なのか、と、今シーズンより使用を開始しました。
私の使用条件ですが、フレームについてきた標準レンズではなく、オプション(別売)の調光レンズ(ブラウン:可視光透過率25%〜85%以上)を装着し、主にブルベで使用しています。
この文面の執筆段階で、走行距離は2,400km。一度に走った距離の最長は、1,200kmになります。
なお、走行速度は、グロスの平均で20km/h前後であり、レースのように追い込んで走ることはまれである事を書き添えておきます。
●静止時の掛け心地
このアイウェアを実際にかけてみると、ノーズパッドがないことを除けば、意外に普通のアイウェアです。
正直、最初にかけた時は、ノーズパッドがないため顔に引っ掛からず、ストンと落ちないか心配しましたが、全くの杞憂でした。
サイドパッドは、金属の芯を柔らかいシリコンゴムで覆う構造で、簡単に手で曲げて調節できます。そして、ちゃんと調節すれば、不快感を感じることは、ほぼないでしょう。
パッドが当たっている感覚から推測すると、テンプルが後頭部に巻き込んで頭を抱え込む形状のため、ごくわずかながら、フレーム全体を後方に引っ張る力が働いているようです。
この、後方に引っ張る力がうまく作用して、サイドパッドが頬骨に押しあてられる形となり、4点ホールドの形になっているように感じられます。
また、ノーズパッドがないので、視界にアイウェアのフレームやパーツの入り込みが少ないことや、アイウェアを外した時に、鼻にパッドの跡が残らないことなどは、地味に優れている気がしますが、ここは好みの問題ですかね……。
メーカー側では、ノーズパッドがないので風通しが良くなり、曇りにくい、という効果もセールスポイントにしているようですが、使用時期が晩春〜夏季なので、さすがにレンズが曇るシチュエーションに出会えておらす、これは追って評価になりそうです。
なお、私の目の場合、オークリーのMフレームのように、眼前を1枚の大型レンズで覆った方が、より広い視界を得る効果が高かったように思います。
しかし、その構造だと、レンズのエッジをうまく加工して頂かないと、落車時にレンズが鼻に刺さる気もするので、これが最もよい構造だったのでしょう。
●自転車乗車時の掛け心地
サイドパッドとヘルメットの顎紐との干渉が心配でしたが、先にアイウェアをかけてから顎紐を装着すれば、全く問題ありませんでした。
また、当初考えていた、「少しでも楽になる」という所に関しては、200km程度では、あまり恩恵を感じませんでした。
しかし、600〜1,200kmのブルベを走った時には、鼻周りだけでなく、耳やこめかみの圧迫もなかったため、かなり快適になったと感じました。
(ただし、かなり主観が入っていると思われるので、ご注意頂きたい)
なお、このアイウェアは、構造的に長時間、かけっぱなしで使用することが前提の製品と思われるため、走行中の脱着はあまり考えない方が良いと思います。
実際、片手で外そうとしても、テンプルが後頭部に巻き込んでいるため、引っ掛かりを強く感じますし、無理にはずすと、サイドパッドの角度がずれてしまい、装着感がおかしくなります。
トンネルのたびに外すなどの、頻繁に付け外しするような使い方には向いていないと思います。
また、私のように、ブルベで昼も夜も走る、という皆様は、オプションの調光レンズを購入するか、夜間用にクリアレンズを購入しておいた方が良いでしょう。
そして、このAirFlyは、ずれにくい事が一つのセールスポイントになっていますが……。
サイコンやGPSを見ようとしたり、激坂でしんどくなって下を見たりすると、ずれていることもありしました。
自転車の場合、体が前傾姿勢になっているので、そこから視線を下に向けると顔面が真下を向きます。
この状態で前後左右に顔を揺らすと、さすがに自重で振られてサイドパッドが浮いてしまうようです。
まあしかし、明らかに「ずれた」と感じる回数は、普通のアイウェアよりも格段に少ないですし、ずれにくい事は実感しています。
フィッティングを見直すことで防止できる部分でもあるでしょうから、テンプルも含めてちゃんと調節すれば大丈夫でしょう。
一応書いておくと、ずれてしまったら、直すのは意外に面倒です。
普通のアイウェアなら、ずれてもブリッジを指一本でクイッと持ち上げれば元通りですが、このアイウェアを直す時は、左右のテンプルを交互に持ち上げて、正しくフィットさせる必要があります。
ハンドルから手が離れる時間が長くなるので、できれば、安全な場所に停車した方が良いかもしれません。
●まとめ
通常とは異なる構造のアイウェアですが、装着感が極端に異なる訳ではなく、普通に使えます。
また、私が使った限りでは、ずれにくく、しっかりホールドしてくれると思います。
一方で、ホールド感が強いため、走行中に頻繁に付け外しする使い方には向いていません。
また、ずれにくいものの、ずれたら意外に直すのが大変、という所が珠に瑕だったりします。
まあ、ちゃんとフィッティングされていれば防げる部分でもあるので、そんなに考えなくともよいでしょう。
不満があるとすれば、メーカー側でアッセンブルされている製品の組み合わせ(フレーム+レンズのセット)の中に、標準で偏光レンズや調光レンズを装備した物がないことでしょうか。
偏光レンズも調光レンズも、オプションで別売になるため、使わないレンズの分だけ、無駄な投資が出てしまいます。
オプションレンズはかなり高価なので、偏光レンズや調光レンズで使いたい方は、今すぐ必要でなければ、今後の製品展開を見ても良いかもしれません。
私の場合は、2016年7月の1,200kmブルベで使いたかったため、購入に踏み切りましたが・・・。
なお、この製品、私が購入した時(2016年4月)には度つきレンズには対応していませんでしたが、現在ではレンズアダプターを介して、度つきレンズも装着可能になったようです。
度つきレンズが使えない件、購入時に気づいた欠点として書こうと思ったら、既に潰されていましたね……。
流石はメガネフレーム職人の町、鯖江のメーカーです。
価格評価→★★★☆☆(←偏光レンズ、調光レンズを使う場合、★-1。別売でしか選べないのは割高)
評 価→★★★★★(←ずれにくい。)
<オプション>
年 式→2016年
カタログ重量→不明(記載なし)。