購入価格 ¥「あまおう」800円
馬鹿野郎!
「呼ばれてないけど来たよ」だの「月曜日を週の始めに設定した人、怒らないので出て来て下さい」だの、どいつもこいつも月曜日のことをぼろくそに言いやがって!
逆に考えるんだ。火曜日になればあと4日で土曜日だし、水曜日になればあと3日だ。
つまり月曜日というのは、週末の楽しみを最も長く楽しめる日なんだよ!
とはいえ、ここまで大口をたたいてしまったからには、どうやらここは俺の体験談を語らなければならない流れのようだな・・・
あれはある1学期の終業式の日のことだ。
その日は雨で、頭痛持ちの俺は明日から夏休みだと沸き立つ生徒たちとは裏腹にテンション低めであった。
ズズゥゥーーーン!
俺の側頭部に鈍い痛みがこだまする。
俺「雨の日は片頭痛がつらい」
謎の生徒A「先生かっこいい!超能力者みたい!!」
そ、そうなのか!?
片頭痛はかっこいいのか・・・その発想はなかった・・・
うっ、中2病が・・・
そんなことがあり俺も晴れて夏休みに突入した。
俺はここぞとばかりに日頃ためていた有給を申請し、「平日・昼間」の自由気ままな自転車ライフを満喫していた。
デヤァァァーーーッ!
炎の12連勤一日平均12時間勤務の通知表峠から解放された俺の喜々とした叫びが白糸の山々にこだまする。
今日はもちろんトレーニングだが、実はもう一つ狙いがあった。
それは夏になるといつも行列ができているかき氷屋「村上家本舗 白雪」。
平日の朝ならば行列はなかろう・・・いつ行くの?今でしょ!
その日も俺は2本のタイムトライアルトレーニングを終え、5km地点を細い路地に折れ、「村上家本舗 白雪」を目指した。
何度も横を通ったことはあるので道は熟知していた。
初見の人も、道みち看板が出ているので、すぐにわかるだろう。
読みは当たり、俺の他に客は1組しかいない。
俺は悠々と外の自転車が見やすい座席に座った。
webで調べると、開店は10時。今10時11分。どうやらジャストタイミングだったようだな。
待つこと30分、才木玲佳似の店員が運んできたかき氷は「白雪の花」「ふわふわかき氷」の名にたがわぬ、
今までに食べたことのあるどんなかき氷とも違う舌触り。
口に触れた瞬間、さわやかなあまおうの風味を口の中に残して静かにとけてしまう。
これは氷ではない。霧だ。いちごの味の、つめたい霧だ。
テーブルに置かれたときは、この盛りに「多いな!」と思ったのも束の間、みるみるうちにかき氷は小さくなっていく。
頭がキーンとしないという前評判も本当だ。
ブゥーーーンッ!
突然、けたたましい羽音を立てて巨大なアブがやってきた。
たとえるならその大きさは福岡は田主丸が誇る名産の巨峰のようであり、
荒々しく隆起したその下腹部には凶悪な毒をたくわえていると思われた。
殺される・・・
こんなアブに刺されたらその部位の肉は腫れ上がりやがて腐り落ちるにちがいない・・・
いったい おれ どうなっ
その瞬間、アブが顔にピトっととまり、思わず俺は取り乱した。
俺「アブッ!アブッ!アブゥーーーッ!」
その瞬間、俺のかき氷「あまおう」を運んできた才木玲佳似の店員の上腕二頭筋が荒々しく隆起し、
俺の顔面もろともアブを叩き潰した。
そんな・・・
俺はかき氷を食べに来ただけなのに・・・
死ぬのか・・・俺ほどの男が、こんな所で・・・
朦朧とする意識の中、俺は幼少の頃おじいちゃんと一緒に昆虫採集に行ったときのことを思い出していた。
俺「おじいちゃん、あそこで蝉を狙っているカマキリをカササギが狙っているよ」
おじいちゃん「つよし、それはまさに『螳螂窺蝉』。
何かを狙う者は自分もまた狙われてることに気付かないものじゃよ」
そうなのだ。螳螂窺蝉は「とうろうきせん」、日本風には「とうろうせみをうかがう」とも読める。
カマキリが蝉をとらえようと夢中になるあまり、カササギが自分を襲おうとしている危険に気付かない事から生まれた言葉だ。
今にして思えば、俺はかき氷に心を奪われるあまり、周囲への警戒心が手薄になっていたのだ。
才木玲佳似の店員は、そのことを俺に伝えたかったのである。
------------------------------------------------【要点をまとめます】------------------------------------------------
いつも行列の人気の店だが、さすがに平日の朝だと待たずに座れます。
店の前。お客が多いときは、店の外までこのベンチに座って並ぶのでしょう。
全く待たずに注文・・・できたのだがそこから30分待ち。
開店直後は氷など準備が整っていない模様。
店内はエアコンがギンギンにきいており、汗に濡れた体は震えるほど芯から冷えます。
ま、もともと汗に濡れた体で入る店じゃありませんね。
山の中という土地柄、店内にアブが数匹おり、客が少ないこともあり集中攻撃を受けました。
見かねた店員さんが手づかみで(!)つかまえて店外に放り投げました。かなり手慣れた様子でした。
たしかにおいしい・・・が、客がいなくても30分待ち、客がいたらもっと・・・という待ちの長さがなんとも。
寒いし、アブに狙われるし、自転車で行く所ではないかな。
価格評価→★☆☆☆☆(値段、寒い、アブ、待ち時間で1つずつ減点)
評 価→★★★★☆(おいしいのはおいしい。ドライブついでなら可)