日向涼子 <坂バカ>式 知識ゼロからのロードバイク入門
購入価格800円+税
モデルにして実力派クライマー “初心者以上マニア未満”上達メソッド(帯) 基本中の基本からレース攻略まで!(裏表紙)
モデル業と自転車とを両立させながら、特にヒルクライムレースで確かな結果を残し、 ゲストライダーとして数々のイベントに精力的に参加されている中での初著作。 モデルもヒルクライムも順位、優劣がハッキリした世界に見えますが、そこに身を置いている 著者曰く「いかに私が”普通の人”であるかに触れておきたいのです(P24)」との事。
この1冊の大半が「私の履歴書」と呼べそうな内容です。 ヒルクライムのみならず、18歳での上京から「知識ゼロからの自転車」をスタートさせて今に至るまで、 「著者がどんな方なのか」と「本気の取り組み」をよく知ることができます。
しかしながら、例えば「フィッティングが肝心」という項目では 「ロードバイクに乗っていて他のサイクリストとすれ違ったりすると、 違和感のあるポジションで乗っている人をみかけることがあります(P68)」 「必要以上にサドルを高くしている市民サイクリストもいますが、それでは損してしまいます(P71)」 などと、自分語り一辺倒というわけではないです。
本文中に歴代の自転車が順番に掲載されています。 2009年秋 ルイガノ RSR4(P18) 2010年9月 スペシャライズド ルーベ(P50) ※貰い物 2013年春 リドレー ヘリウムSL(P105) 2015年 トレック ドマーネ6(P139) 2016年 ピナレロ ドグマF8(P154) このうち、ヘリウム、ドマーネ、ドグマには詳しいスペック表が添付されており、 それぞれデュラエースDi2 デュラエースDi2 コーラスで組まれていることが分かります。 (価格の記載はありません)
周囲の方に支えられているのもよく伝わってきます。 「連載でお世話になっている人たち(P86)」元プロ選手からのアドバイス(P129) 「エタップ参加は、多くの企業にスポンサードしていただくことになり、 私一人の問題ではなくなっていた(P138)」 「別府史之選手や俳優の鶴見辰吾さんとともに”エタップ直前猛特訓会”もしてもらいました(P144)」 といった具合に淀みのない文章が続きますが、まさに全部乗せというか、 どこまで「初心者以上マニア未満」に寄せていっているのか気になる方が居るかもしれません。
本全体の中でもパワーメーターと、チェック・ザ・ダメ男の項目は妙にカラーが違うように思いますが、 後者で挙げられている6つのポイントのうち P174「脚力を誇示して女性を置いてけぼりに」する男性がダメだという話と、 P175「機材について熱く解説」する男性がダメだという話と、 P176「フォームについて持論を展開」する男性がダメだという話には特に頷けました。 性別はともかく、相手のことを考えたらほどほどが肝心だなと。
「著者の目線を通じて、追体験や自身の経験とのリンクを楽しむ」タイプの方や、 ハウツー要素を期待する方には、よく考えてからの購入をお勧めします。
価格評価→★☆☆☆☆(コピーと内容とのギャップを強く感じます) 評 価→★★★☆☆(読み手の環境に左右される本だと思いますが、著者の「強さ」は読み応えあります)
|