購入価格:¥3,240 (@ amazon.co.jp)
チェーンをクリーニングする為の工具です。具体的にはブラシの備わったプラスチック製容器の中に薬剤を投入し、そこへチェーンを通してガラガラ回転させれば薬剤とブラシによるゴシゴシで古くなった油脂や砂埃が落とせる、という仕組み。似たようなものがPark ToolやFinish Line、Barbieriなどからでていますがニッチなアクセサリに関してはセンスが光るPedro’sを選んでみました。専用のPig Juiceという非有機溶剤のディグリーザーリキッドも出ているので合わせて購入してみましたので、そちらは別途レビューしています。
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=14915&forum=83私が常用しているチェーンルブはセミドライ系。Boeshield T9が一番のお気に入りでしたが最近入手性が著しく落ちているので、Wako’s Chainlub CHL A310がメインになっています。できるだけピンとローラーからグリスが流れ落ちないように使い、プレートとローラーに汚れが溜まって来たらペーパータオルに染み込ませたパーツクリーナーとナイロンブラシでこすり落として再度表面をセミドライ系ルブでコートしてやる、というのが基本的な管理方針。雨の中乗る事はまずないですし、バイク全体に水をかける洗車もしないので水置換性のルブは特に必要ないのですが、ためしに使ってみたWako’sの使い勝手が良かったので、ローラーからグリスが落ち切った頃を見計らってWako’sに切り替える、とのが最近のパターン。Wako’s Chainlubはクリーニング効果もあるのでジャンジャンぶっかければ古くなったルブや汚れがガンガン流れ出てくる、のですがいかんせん単価が安くないので、クリーニングは予め別のディグリーザーで行い、Chainlubの使用量を出来るだけ抑えるのが経済的です。財布のことばかりだけでなく洗浄の効率・単価・環境負荷も考えると、生分解性のディグリーザーが一番適しているでしょう。
まず容器から見てみましょう。
プラスチック容器は上下2分割式で、豚さんの目玉に擬えたスイッチを押すとパカッと開く仕組みになっています。
中には2列対向でアウタープレートをこするブラシとローラーとプレート内側から汚れをかき出すブラシの2種のブラシローラーが固定されていて、チェーンの出口側には余分なディグリーザーとブラシで落としきれなかった汚れを拭うスポンジブロックが備わっています。この容器の中にディグリーザーを注ぎ込んで使用するのですが、はきだされたクリーニング済みのチェーンから汚れを含んだ墨汁みたいなディグリーザーが滴り落ちてくるので絨毯やラグ上での使用は禁忌。フローリングもワックスが侵されてしまう可能性があるので、新聞紙などでしっかり養生しておくのが吉でしょう。
1回の洗浄に要する薬剤は1oz(約30ml)。容器の表にラインが引かれているので、水平な場所へ置いて注いでやればOK。
Pig Juiceの16oz入ボトルを例にとると、¥1,800で16回洗える計算なので1回あたり¥112.5ということになります。安いパーツクリーナーや溶剤系のディグリーザーと比べると高くつきますが、せいぜい1〜2ヶ月に1度のことなのであんまり気にし過ぎても仕方ないですが、AZの植物性ディグリーザーは¥1,000切っているので、もっとコストは下げられるかと思います。
豚さんのしっぽに見立てた金属製のフックがついています、これはリアディレーラーのテンションプーリー(下側の滑車)に引っ掛けて容器を保定するためのもの。ですので、基本的にチェーンの回転方向は決まってきます。
空転方向にペダルを回すのが正しい使い方なのですが、ディレーラーやプーリー形状によってはうまく空転してくれないことがあります。どうしても動きが詰まる場合はフックをディレーラーにかけるのはやめて、チェーンピッグ全体を手で押さえてやるしかありません。SRAMのプーリーは問題なかったのですがカンパはあんまり相性が良くないようです。
汚れは面白いように落ちます。落した後の砂埃混じりのディグリーザーは大部分が内部のスポンジに吸い取られてチェーンピッグ内に留まりますが、ローラーやピンに残った分が染み出して垂れてくることがあるので、すでに述べたように床を養生しておきましょう。
砂埃混じりのディグリーザーはクリーニング完了後にチェーンピッグから注ぎ出して廃棄、仕上げにディグリーザー洗浄したチェーンと合わせて水洗いすればキレイになります。洗浄後のディグリーザー廃液は各メーカーの指示と環境関連の法令に従って正しく処理しなければなりませんが、Pig Juiceのように生分解性ディグリーザーなら下水に入っても安全です。薬剤洗浄が済んだら、チェーンを水で洗ってローラーやピンに残った汚れと薬剤を落として乾拭きし、水置換性のあるチェーンルブで潤滑してやれば終わり。慣れれば5分かからない作業です。バイクを水洗い洗車する方はついででやるのがいいのではないでしょうか。
耐久性はもっと継続使用してみないことには何も言えませんが、消耗しそうな部分というとディグリーザー漬けになるナイロンブラシとチェーンを拭うスポンジブロック位でしょう。特にスポンジは経年劣化もあるはずなので、ここがダメになったらPig Gutsというスポンジやブロックをリビルドできるキットを入手するか、自分でスポンジを切り出して補修するか、またはクリーナーごと買い換えるか、ということになると思います。tishibukiさんのレビューによれば1年やそこらの使用でダメになることもなさそうなので、あまり心配する必要はなさそうです。
まとめると、非常に高い洗浄効果を発揮するツールだと思います。
ただ、この方法で有機溶剤や近い洗浄力をもつディグリーザーをチェーンにかけてしまうとしゅう動面のグリスを根こそぎ落としてしまうことになります。最近のShimanoなどのチェーンは特殊なフッ素系コーティングと極圧性の高いグリスでチェーンを保護して出荷していますし、カンパも似たような特殊なコーティング処理とオイルをチェーンに施しています。こういった処理はユーザーレベルで再現する事は不可能ですし、ディグリーザーによる洗浄はできるかぎり避けたほうが…というのがメーカー側の本心のようです。一番負荷のかかるピンとローラーの間へグリスを再封入することはできないので、一旦グリスを落としきってしまえばあとは粘度も極圧性も劣るスプレールブやオイルでしのぐしかなくなってしまいます。あまり頻繁に洗浄するとかえってチェーンの性能と寿命を縮めてしまうのではないかとも思いますが、チェーンが汚いままだと気分が悪いですし、黒いアブラが肌やウェアに ベットリなんてのはできれば避けたいもの。洗浄がいいか悪いかは置いておくとして、チェーンをジャブジャブ洗うにはこのChainpigはとても効率的で簡単なツールです。
価格評価→★★★☆☆(やや高いかも、しかし作りはしっかりしている)
評 価→★★★★☆(良いと思います)
年 式→2016
カタログ重量→ N/A g (実測重量 172g)