購入価格: ¥599 (税込)
標準価格: ¥599 (税込)
『コストパフォーマンスが高く、他社のセミウェットに引けを取らない性能』
■ 久しぶりにセミウェットタイプを試してみた
現在、私は「AZ Blc-004 ロードレースSP」というチェーンオイルを使っているが、以前はWAKO’SやKUREのセミウェット(ハーフウエット)タイプを使っていた。これらのオイルは潤滑性・静粛性・耐久性等のバランスが良く、快適な走行を楽しむことができた。
そして、AZもようやくセミウェットタイプのオイルをリリースした。「AZ BCL-005 チェーンルブ セミウェット スプレー 70ml」というものだ。ロードレースSPに満足しきってはいるが、気になったので試してみた。
AZ BCL-005 チェーンルブ セミウェット スプレー 70ml
■ 溶剤が揮発すると粘度が高くなるのが特徴
「AZ BCL-005 チェーンルブ セミウェット スプレー 70ml」は、ベースオイルに化学合成されたエステルを使用し、固形潤滑剤としてMCAとフッ素樹脂を配合している。水置換性も持っており、競合他社のセミウェットタイプを強く意識した仕様になっていると感じた。
噴射直後のオイルはサラサラとして粘度が低く、チェーンの可動部に速やかに浸透する。数時間経つと、溶剤が揮発して粘度が高くなり、チェーンにしっかりと付着する。噴射後の粘度の変化は、WAKO’SやKUREのセミウェットタイプと同様だ。
粘度が高くなるといっても、糸を引いたりベタついたりするわけではない。手で触るとヌルヌルとしていて、ちょうどグリスとオイルの中間といった感じ。感触も他社のセミウェットタイプに似ている。
噴射直後はオイルが垂れる(左)、溶剤が揮発すると粘度が増す(右)
■ ボタンが硬く、噴射量を調整しにくい
容器はロードレースSPのスプレータイプと同じものが使われている。一応、チェーンを一コマずつピンポイントに注油できるが、ボタンが硬めなので、噴射量をコントロールしにくい。
ただ、噴射量が多くても少なくても、余分なオイルを拭き取ることに変わりはない。これは他社のセミウェットタイプも同様だ。だから、ボタンの硬さは大きな弱点ではないともいえる。
このスプレー容器でオイルを薄く塗布したいなら、スプレーを横に動かして注油するか、クランクを回しながら注油したほうがいいだろう。
スプレー缶のボタンは硬めで、噴射量の微調整は苦手
■ 性能のバランスが良く、特に耐久性が高い
塗布したオイルは一晩放置。汚れを寄せ付けないように、余分なオイルはウエスでしっかりと拭き取ってから走行した。約300km走行した感想は以下のとおりだが、塗布後の放置時間や拭き取る量で印象が変わるかもしれない。
【潤滑性】
ロードレースSPを彷彿とさせる、チェーンの動きの滑らかさ。ウェット系らしさのある、しっとりとしたクッション性のあるペダリングだ。150kmを過ぎるとやや滑らかさが少なくなったような気もするが、少なくとも300kmまではしっかりと潤滑してくれた。
【軽さ】
粘度が高い分、やや重めのペダリングになるが、漕ぐのが疲れるほどの抵抗にはなっていない。軽いと断言できるほどではないが、十分に軽いとはいえる。
【静粛性】
音鳴りしにくく、走行中にシャリシャリとしたチェーンノイズのストレスを感じることはなかった。強いていえば、150kmを過ぎてわずかに音が大きくなった程度だ。
【飛び散りにくさ】
粘度が高いだけあって、ほとんど飛散しない。これならフレームやホイールが汚れないだけではなく、ズボンの裾を汚さずに済む。
【汚れの寄せ付けやすさ】
このオイルの粘度の高さは、砂埃を寄せ付ける原因にもなる。海岸沿いを走った際には、大量ではないが、やはりチェーンに砂埃が付着した。特にウエスで十分に拭き取ることのできない、チェーンの内側の汚れが目立つ。
【耐久性】
前述のとおり、300km走ってもしっかりとチェーンを潤滑し、チェーンノイズも極端に大きくなることはなかった。チェーンを手で触ってみると、しっかりと油膜が残っており、これならもっと長い距離を走れそうだと感じた。ただ、走行距離が伸びると、砂埃で若干ジャリジャリとした感じが出てきて、これが潤滑性や静粛性に影響しているよな気がした。
【耐水性】
300km走行後、チェーンを水洗いしたかぎりでは、やや高い粘度のおかげで、簡単にはオイルが流れ落ちないという印象。これなら突然の雨にも対応できると思う。また、このオイルには水置換性があるので、サビからチェーンを守ってくれるだろう。
150km走行後のチェーンとスプロケット。砂埃が多数付着している
■ チェーン以外にも使えそう
WAKO’S メンテルーブのように、パーツの可動部やケーブルの潤滑、パーツの防錆にも使えると思う。自転車のメンテナンスをこれ1本で済ますことも、このオイルの性質ならできそうだ。
■ コスパの高いセミウェットタイプ
AZ BCL-005 チェーンルブ セミウェット スプレー 70mlは、WAKO’SやKUREのセミウェットタイプと同様の性質を持つオイルだと実感した。若干ペダリングが重ためだが、WAKO'Sにほぼ遜色のない性能だ。KUREはペダリングが軽いが、音鳴りしやすく耐久性が低いのが残念だ。コスパの点ではAZが圧勝で、この3社の中なら私はAZを選ぶ。
ただ、やはり、砂埃を寄せ付けにくいロードレースSPの方が私の好み。セミウェットタイプは、比較的軽いペダリングと長期間の耐久性を両立したい人に向いていると思う。低価格なので、他社のセミウェットタイプから、試しに乗り換えるのも悪くない。
価格評価→★★★★★ (コストパフォーマンスが高い)
評 価→★★★★☆ (他社のセミウェットタイプに引けを取らない)
<オプション>
年 式→2015年
カタログ重量→ ー