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去年から、仕事でインドのデリーに住んでいます。最近、大気汚染絡みでよくニュースになっている、まさにそのど真ん中です。
そんな中、自転車に乗って大丈夫なんだろうか?と思っている皆さん、安心してください、かなり乗れますよ。
但し、それには現地特有の状況により、それなりのノウハウがあります。
そこで今日は、私の経験から得たノウハウを、【共通編】【機材編】【ロードバイク編】【MTB編】に分けてご紹介しようと思います。
【共通編】
よくテレビなどで映し出されるインドの交通事情は、かなり劣悪に見えると思います。実際もまさにあの通りですが、
私の感想では、スリリング以上危険未満という感じです。
私は、日本でも比較的市街地を走ることが多く、車の多い道路を走る機会が多かった為か、慣れればどうってことはありません。
しかしそこはインド、日本と比較した危険度合いは、感覚的に3倍から5倍に感じます。
特に、インド人ドライバーによる代表的な危険行為は、逆走、信号無視、レーンをまたいだ右左折などで、これらは日常茶飯事です。
さらに、聖獣牛の闊歩、猿・犬、もちろん人の急な飛び出しなどもあり、全く気を抜けません。
こう書くと、悪いことばかりに思えますが、多少良いこともあります。
先ず、自転車が車やオートバイと同じ交通手段の一つとして、認知されている点。
なので、車道を走る際も、手信号とドライバーへの目線合わせで堂々と振る舞えます。
あと、移動する為の運転感覚を維持できること。インドに来ると、ほぼ間違いなく車での移動はドライバーが付きます。
インドの交通事情では、日本人ドライバーの運転技術ではほぼ歯が立たないので仕方ないのですが、
(仕事帰りに寝れたり、飲んで帰ることもできたりするので良いこともある)
これが逆に道を覚えることや、多種多様の移動手段の中を、自転車という弱者的立場で走ることの感覚を鈍らせると思います。
なので、インドでの自転車運転は、ある意味日本でより安全に自転車に乗るための修行の場であると考えれば、有意義な動機になると思います。
これは日本以外の諸外国でも同じかもしれませんが、ここインドではそのレベルが格段に上がり、
それ故はぐれメタル級のスキルアップが期待できます。
夏は、日中45度を超えますので、日の出前から走り出し、少なくとも10時までには走行を終えるようにする必要があります。
冬は、最低気温5度程度まで下がりますが、凍結はありません。後、この時期は、大気汚染が本格化するので、マスク必須です。
レスプロなどの専用品が望ましいですが、普通の使い捨てマスクでもなんとかなります。
また、かなり濃い霧が発生するので、前後の灯体類も忘れず持参してください。
また、インドには明確な雨季がありますが、時々雨によって道路やトレイルが冠水することがあります。
そんな時は無理に走らず、家でローラーを回していた方がいいと思います。
ローカルのバイクショップでは、チューブなどの最低限のパーツは入手可能ですが、私は利用していないので、詳細は不明。
正直、あまり期待はできないと思います。
ロード・MTBとも、コース上に長い坂はありません。短い坂はありますが、基本緩いアップダウンをこなすといった感じです。
それでは続いて【機材編】
私はインド赴任にあたり、アルミのリーズナブルなロードバイクを新調しました。
MTBも、頑丈なアルミバイクのHTを日本から持ち込みました。
これは、インドで壊したり、盗まれてもある程度精神的なダメージを低減するためでもありますが、
ラフな取り扱いでも(または誰かにラフに取り扱われても)、気兼ねなく取回せるのが一番重要だと思います。
極論は、金属フレームのシングルスピードのワイヤーキャリパーブレーキ仕様。MTBなら、前後リジッド。
ここから実際の環境に合わせて、モデファイしていくことをお勧めします。
私の場合、ロードバイクはパンクに強い28Cワイヤービードの重いタイヤから、23Cのケブラービードへ変更。
ほぼ日本で乗っている仕様に変わりましたが、これは何度もコースを変更して、乗り方や状況を考慮した上での仕様変更です。
MTBは、前後リジッドで持ち込んで、フロントサスを装着。油圧ディスクブレーキ仕様です。
また、チューブレスとシーラントは必須アイテムです。
これは後程説明させていただきます。
また、ロードでもMTBでも、1年中キャメルバッグを使用します。
これは、道端に埃や聖獣のう○こが一杯落ちていて、走っているとボトルの飲み口に付着しやすい為です。
また、コンビニなどは当然ない為、それなりの水分を持つ必要がある為でもあります。
いざとなれば、道端の露店でコーラやココナッツを購入して水分補給する手もありますが、これは上級者コースです。
続いて【ロードバイク編】
ロードですが、道の状態悪いです。凸凹やスピードを強制的に落とすための「かまぼこ」も多数存在します。
場所によっては、つるつるピカピカのスリッピーな路面も。なので、ブレーキは早めが肝要です。
走れるコースは極端に限られています。主には、南部丘陵地帯のハイウェイ、通称MGロード、デリー市街地ぐらいです。
写真はデリー南部の丘陵地帯を走るハイウェイで、周辺のロード乗りには有名な道です。
石切り場が近くにあって、時々石を運び出すトラックで大渋滞が発生しています。
慣れてきた頃、バリエーションを増やしたいなら、デリー市内の開拓をお勧めします。
デリーは、北のオールドデリーと南のニューデリーに分かれます。
湿気で曇ってますが・・大並木の道を行く行く朝のニューデリー市街地は思いのほか快適です。
かたや、オールドデリーは、色々とハイレベルです。
慣れてきてからの探検をお勧めします。また、一人での突入は避けた方が無難かもしれません。
続いて【MTB編】
デリー周辺では、主に2か所の丘陵地帯で遊べます。それもかなりガッツリと。
一つは通称アソラ。
背の低い木々が茂るシングルトラックが、縦横無尽に走っています。
これは、この地に住む現地人の生活道路であり、または聖獣たちの獣道でもあります。
もう一つは通称アラバリヒルズ
現地のバイクショップが、定期的にMTBレースを行っているのはこちら。
両トレイルとも、頑張れば30㎞以上のトレイルを楽しめます(ジープロード含む)。
ここでの問題は、独特の植生によるパンクトラブルです。
なにせ、棘が凄い。
そして、この棘が、現地人の伐採などによりトレイル上に散乱しています。結果何が起きるかというと、
見えづらいですが、小枝の棘が見事にタイヤに刺さっています。
これを取ると、「シュー・・・」と無念のパンクですが、チューブレスにシーラントをぶち込んでおけば、ほぼ事無きを得ます。
なので、インドのデリー周辺のトレイルを走る場合は、必ずチューブレスとシーラントを忘れずに仕込んでおくことをお勧めします。
ということで、以上です。
実際は自転車の知識やスキルによって、感じ方は違うかと思います。
ちなみに、私は自転車歴16年ほどで、ロードもMTBも乗ります。ワイヤー交換や、ディスクブレーキのエア抜きぐらいができる程度です。
経済発展著しいインドへ、これから生活の場を移す自転車乗りの方の参考になれば幸いです。
価格評価→★★★(←大気汚染が体に及ぼす影響を考慮して)
評 価→★★★★(←私には合っているけど、万人には受け入れられないと思うので)
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年 式→2015年渡印