購入価格: ¥24,105 (税込)
標準価格: ¥26,784 (税込)
『安全確認のレボリューション。後方を常時監視し、ミラーでは確認できない遠くの車両も捕捉できる』
■ 購入のきっかけ
道路を走行している際に、目視やミラーの死角から猛スピードで車両に追い越されてヒヤッとした経験は誰にでもあるはずだ。このような状況をできるだけ回避するために、私は「GARMIN Varia J リアビューレーダー」を導入。同社のEdge 520Jもこのことを見越して購入した。
Varia J リアビューレーダーは、後方から接近する車両を検出し、Edgeの画面上に表示する画期的なデバイスだ。私はリアビューレーダーを単体で購入したが、ディスプレイユニットとのセットも販売されている。実際に使ってみると、Edge 520Jと同様に期待を裏切らないデバイスで、交通安全に大きく貢献してくれた。
GARMIN Varia J リアビューレーダー
サイズ: 73×44×23mm、重量: 63.5g
■ リアビューレーダーの取り付け
●シートポストマウント
円断面のシートポスト専用。スペーサーを挟むことでφ27〜31.8mmに対応する。付属のアーレンキーでしっかりと固定できるが、クランプの出っ張りがやや目立ちやすい。
●ユニバーサルシートポストマウント
付属のゴムスペーサーで、円断面とエアロ形状のシートポストの両方に対応する。ゴムバンドで着脱できるので、複数の自転車で使い回せる。GIANTのD-FUSEシートポストには、円断面のスペーサーで強く固定可能。スマートな取り付けにはこちらがオススメだ。
●取り付け位置とサドルバッグの併用
40度の検出範囲に重ならなければ、サドルバッグも併用できる。スローピングフレームのほうが取り付け位置に制限されにくいが、ホリゾンタルフレームでもシートポスト下部に取り付ければサドルバッグを使える。なお、取り付け位置の高さは、検出精度にはあまり関係ない。
●マウントの固定力
Edgeシリーズと同様の固定方法だが、リアビューレーダーの方が固定力が高い。着脱が硬くなる代わりに、脱落しにくくなっている。リアビューレーダー側でガタを小さくしているようで、ステム/ハンドルマウントでも同等の固定力を得られる。
シートポストマウント(左)、ユニバーサルシートポストマウント(右) 意外に大きさが目立たない
■ 接続と各種設定
●接続
Edge 520JとはANT+で接続される。他のセンサーと同様にペアリングや接続が早く、すぐに使うことができる。ANT+による接続は安定しており、使用中に接続が切れたことは一度もない。複数のEdgeシリーズにもペアリングできると思うが、同時に使用した場合の挙動が気になる。
●電源
リアビューレーダーは、Edge 520Jに連動して電源が切れる。電源を入れなければ、Variaは表示されない。だが、リアビューレーダーの電源を先に入れなければ接続されないことがあり、この場合はEdge 520Jの設定画面から再接続するのが面倒になる。また、公園の散策等で電源を切る場合には、レーダー未接続のメッセージが邪魔。これらはアップデートで改善してほしい。
面倒だが再接続は設定画面から行う(左)
使わない場合にはこのメッセージが邪魔になる(右)
●Variaの設定
Variaの設定は以下の画像のようにするのがオススメ。カラーオーバーレイは画面の色で、トーンは音で車両の接近を知らせてくれる。左側走行の日本では、車両列を右にした方が使いやすい。なお、Variaのディスプレイユニットでは音が出ない。トーンの有無で安全性は大きく変わるので、使うならEdgeの方がいいと思う。
Edge 520Jでのオススメの設定
●Edge 520Jの設定
自動ラップや各種アラートを有効にすると、ポップアップメッセージでVariaの表示が覆われて、車両の接近が分かりにくくなる。Variaの表示を優先させるなら、頻繁にポップアップメッセージが出ないように調整した方がいい。また、一部のCONNECT IQアプリの表示は、Variaのアイコンで見えなくなることがある。
ポップアップメッセージが出る頻度を下げた方が使いやすい
■ リアビューレーダーとしての使用
●画面の見やすさ
Variaのディスプレイユニットのように強く発光はしないが、Edge 520Jでも十分に見やすい。車両は小さな○で表示されるだけだが、特に小ささを感じることもなく、直感的に車両の台数を把握できる。カラーオーバーレイは大きく表示されるので目に入りやすく、他の項目の画面の表示をほとんど妨げない。
Edge 520JにおけるVariaの表示
●検出範囲
検出される車両から判断すると、検出範囲は上下左右に40度だ。片側一車線ならほぼ確実に検出可能。片側二車線以上の場合は、検出範囲に入れば、内側の車線の車両も捉えられる。レーンを頻繁に変えながら急ぐ車両もあるので、検出範囲の大きさはこれで最適だと思う。ただ、検出範囲が上下にもあるため、川の土手の上を走っていると、土手の下の離れた車両を捉えることもある。
●認識可能距離
最大で車両は140m、バイクは100m、自転車は13m後方から認識できる。目視で後方を長く見るわけにはいかないし、ミラーでは比較的近い車両しか認識できない。ミラーでは小さくて確認できない車両も、リアビューレーダーなら常時監視できる。うまく使うコツは、画面上と目視の車両の位置を一致させることだ。画面の上から1/3くらいの位置に車両が表示されれば、後方の車両が目視できる位置まで近づいている。
距離感はすぐにつかめる
●混雑した道路での使用
自身と同じ速度の車両は検知できないため、混雑した道路では後ろに車両がいても、Variaは反応しないことがほとんどだ。この場合は、確認方法を目視やミラーに大きく依存することになる。ただ、側道をすり抜けるバイクや自転車を検出できるので役には立つ。
側道をすり抜けた自転車やバイクの見え方
●自転車の検出
こちらの停止中や走行スピードが低い場合には、比較的自転車を検出しやすい。無灯火の自転車であっても同様に検出できる。ただ、ロードバイクの巡航スピードでは互いに速度差が出にくく、いつのまにか後ろにくっつかれたり、急に前に出られたりすることは何度かあった。
●急な車両の出現と消滅
画面に車両が急に現れるのは、車両が車線に合流したり、検出可能まで速度を上げた場合だ。逆に画面から車両が急に消えるのは、車両がT字路や交差点で車線から離脱したり、交差点で止まったりした場合だ。ただ、検出した車両が速度差が出なくなるスピードになっても、画面の表示から直ちに消えるわけではないようだ。
●検出可能台数
8台まで検出できるが、私が実際に検出したの7台が最高だ。片側1車線なら台数もほぼ一致し、片側二車線以上でも検出範囲内に車両がいれば表示される。速度差がない場合を除けば、おおむね正しい台数が表示される印象。ただ、ごくまれに車間距離が極めて近い2台の車両を1台として認識したり、1台の長いトレーラーを2台として認識することがある。安全性にはあまり影響しないが、目視での確認は必須だ。
車両が多くても検出する
●カラーオーバーレイ
カラーオーバーレイの表示と車両の状況はほぼ一致し、オレンジからグリーンに切り替わった際には、後方の車両はほぼ存在しない。ただ、前述したように速度差や検出範囲にも影響されるので、目視やミラーで後方を確認することも大切だ。
最も役に立つのが車両の急接近が急接近する場合で、速度差が出やすいので検出の精度が極めて高くなる。画面がレッドになって知らせてくれるので、車両が近づくかなり前に警戒を強められ、いち早く車両をよけやすい位置取りができる。
●トーン
走行中にずっと画面を見続けるわけにはいかないので、Edge 520Jが音で知らせてくれるのは大変ありがたい。疲労で集中力が低くなった際には特に便利で、音の有無で安全性が大きく変わる。音が鳴るのは新たに車両が出現した場合のみで、短時間で続けて車両が現れた場合には鳴らない。なお、音はピッという軽快なものだ。欲をいえば、車両の急接近の際にも音を鳴らしてほしいところだ。
画面を見る前に音で知らせてくれるのが非常に便利
■ テールライトとしての使用
ライト出力は16ルーメンと、夜間に使うテールライトとしては出力が高いわけではない。存在をアピールするライトとしては非力だが、車両の接近に合わせて発光パターンが変化して明るくなることで、車両に注意を促すことができる。
他のテールライトと併用すれば明るさで存在感をアピールできるが、リアビューレーダーの発光パターンの変化がわかりにくくなる。Edge 520Jの画面上でも車両を把握できることを考慮すれば、この明るさでも十分に安全を確保できる。
車両が近づく発光するLEDが2個から8個まで増える。8個光るとかなり明るく感じる
■ バッテリー関連
●ランタイム
ランタイム(連続使用可能時間)のメーカー公称値は、連続照明モードが約5時間、点滅モードが約8時間と長くはない。実際の使用でのランタイムもほぼ公称値どおり。昼間はレーダーの機能とバッテリーの節約を優先し、点滅モードにしておけば長時間行動できる。
だが、ロングライドで帰宅が夜になるような場合には、このランタイムでは心もとない。実際、先日のロングライド(94km)では、日が落ちて連続照明モードの切り替えたところ、帰宅まで残り10kmというところでバッテリーが切れてしまった。昼間もレーダとして使い続けることを考えると、夜間にテールライトとして使える時間は非常に少ないことになる。
●バッテリー残量の確認
電源を入れた直後に、グリーン(残量あり)、オレンジ(残量低下)、レッド(残量なし)の3種類でバッテリーステータスの確認ができる。オレンジは使用中にも表示される。ただ、これでは大まかなバッテリー残量しかわからない。
Edge 520Jのトレーニングページには、ライトバッテリー残量という項目を表示できる。だが、代理店の話では、日本未発売の「Varia Smart Bike Lights」のヘッドライトを接続しなければ表示されないとのことだ。リアビューレーダーのランタイムでは、長時間使うほど正確なバッテリー残量の把握が必要になってくる。これは今後のアップデートで改善してほしい。
電源を入れた直後にバッテリーステータスが表示される(左)
リアビューレーダーのバッテリー残量は表示できない(右)
●バッテリー切れ対策
①予備のテールライトの携帯・併用
夜間にバッテリーが切れた際には、予備のテールライトを携帯していたのが幸いだった。このとき、リアビューレーダーを夜間も点滅モードにし、予備のテールライトは連続照明(常時点灯)にしておけば、リアビューレーダーの発光パターンは分かりにくくなるが、最後まで使えたはずだ。自転車に長時間乗る際には、予備のテールライトを携帯、もしくは、併用したほうがいいと思う。
②給電しながら走行
操作マニュアルには書いていないが、Edge 520Jと同様に、モバイルバッテリーでMicroUSB端子から給電しながら走行ができる。いったんリアビューレーダーの電源を切り、給電を開始してから再度電源を入れれば使用可能になる。なお、リアビューレーダーの電源が入った状態で給電を始めるとなぜか電源が切れる。
実際にバッテリーステータスがオレンジ(残量低下)の状態で給電しながら走ってみた。20km走行後(1時間後)には、バッテリーステータスがグリーン(残量あり)に回復。帰りの20kmはモバイルバッテリーを外したが、帰宅後もバッテリーステータスはグリーンのままだった。モバイルバッテリーの配線をすっきりとさせるのが課題だが、距離や時間を気にせずに走るにはとても有効な手段だ。
サドルバッグ内のモバイルバッテリーから給電。使いながらバッテリーが回復した
③休憩中に充電
充電完了時間は2時間が公称値だが、方法によっては1時間半くらいでゼロからの充電が終わる。充電完了時間は意外に早いので、長めの休憩の間にモバイルバッテリーで充電するのもひとつの手だ。
■ 総評
私にとってEdge 520Jの導入は大当たりだったが、Varia J リアビューレーダーも同様にいい買い物だった。車両の検出精度は非常に高く、安全性の向上は想像以上。車両やバイクの急接近に対してヒヤッとする回数も劇的に減った。Edge 520Jでは音でも知らせてくれるのが便利。これはVariaのディスプレイユニットには存在しない大きなメリットだ。
交通量が多く、なおかつ交通の流れもスムーズな場合には特に便利で、急接近する車両に対していち早く対応できる。後続車がいないと油断をしがちだが、リアビューレーダーなら突然の車両の出現も早い段階で知らせてくれる。交通量が多い方が活躍するが、少なくても役に立つ。
リアビューレーダーの仕様では、速度差のない車両は検出できないので、混雑した道ではあまり役に立たない。自転車の検出も速度次第だが、検出距離が車両やバイクよりも短いので、車両やバイクに比べると大きな効果は期待できない印象を受けた。いずれの場合もこれまでどおり目視とミラーを使えば済む話で、総合的に考えればリアビューレーダーから受ける恩恵の方がはるかに大きい。
また、リアビューレーダーは常時監視できる点で目視よりも優れており、遠くの車両やバイクを捉えられる点でミラーよりも優れている。目視やミラーによる後方確認にリアビューレーダーが加わることで、これまでよりも安全で快適な走行が可能になる。
ランタイムの短さは購入前から弱点だと考えていたが、モバイルバッテリーを使えば克服できることがわかった。これで普段のサイクリングからロングライドまで幅広く使える。単純な比較はできないが、個人的には写りの小さなミラーよりもはるかに役に立つ印象。高価だが導入の価値が高く、私が自信を持ってオススメできるデバイスだ。
価格評価→★★★★☆ (常に使用を実感できるのでコスパは高い)
評 価→★★★★★ (実に素晴らしい。ミラーと併用すれば鬼に金棒)
<オプション>
年 式→2016年
カタログ重量→63.5g