購入価格: ¥0 (税込) ※BRAの副賞で入手。Amazonで¥2,795
標準価格: ¥3,013 (税込)
『力加減を微調整しやすい。ローターの振れを実用上は問題ないレベルまで修正できる』
■ ディスクローターの振れが少々気になって…
私のロードバイクには、両側のパッドが動くデュアルピストン式を採用した「TRP SPYRE-C」というメカニカルディスクブレーキが搭載されている。ある日、ブレーキの調整をしている際に、原因は分からないが、ローターの一部がわずかに振れていることに気がついた。走行中にパッドがローターをこするわけではないが、パッドがローターを押し出してたわむのが気になった。
そこで、ディスクローターの修正工具を手に入れることにした。私が選んだ工具は「ParkTool DT-2 ローター修正」というもので、BRAの副賞をさっそく使わせていただいた。
ParkTool DT-2 ローター修正器
■ ParkTool DT-2 ローター修正器とは
ParkTool DT-2 ローター修正器は、厚みのある金属の板に溝が入っただけのシンプルな工具だ。作業方法もシンプルで、溝にディスクローターを挿入して曲げることで、ローターの振れを修正できる。工具の厚みは約6.5mm。2.0mmのディスクローターに対応する。
パッケージの裏側のイラストを見ると、この工具の浅い方の溝でローターのブレーキ面を曲げ、深い方の溝でスパイダーアームの根元から曲げるようにできていることがわかる。
他のメーカーからも同様の工具が販売されているが、外見だけではParkToolならではの特徴は感じられない。それでもParkToolを選んだのは、精度の高い作業をスムーズに行えそうな気がしたからだ。これまで使ったParkToolの工具は、どれもできがよく使いやすかった。
DT-2 ローター修正器は、厚みのある板に溝が入った工具 (左)、パッケージ裏側のイラスト (右)
■ 力加減を微調整しやすい
この工具は溝の奥までローターを挿入することによって、工具の面でローターをしっかりと押さえられ、ダイレクトに力を伝えやすい。また、ちょうどいい工具の長さと手になじむグリップの形状によって、手の感覚で伝えた力のフィードバックを得やすく、直感的に力加減を調整しやすい。また、ローターに対して溝はわずかに大きめになっているため、工具をスムーズに挿入しやすい。
実はこの工具を手に入れる前に、モーターレンチや手でローターの振れの修正を試したが、ParkToolの工具ほど振れを小さくすることはできなかった。モーターレンチは下あごにガタがあるし、手では十分に力をかけることができない。一方、この工具は専用品ならではの使いやすさをしっかりと感じ取ることができる。
DT-2 ローター修正器は力をかけやすく、力加減も調整しやすい。内側に曲げる際は、ホイールのスポークの干渉に注意
■ 作業で試してみたこと
ローターの振れを修正するには、力加減に気をつけながらいろいろな部分を曲げ、どの部分がどれくらい振れているかを把握することがポイントになると感じた。私が作業中に試してみたことは、以下のとおりになる。
①振れている部分に目印をつける
ローターの振れを修正する前に、ローターの振れている部分に目印をつけておくと作業しやすい。私はローターのブレーキ面以外の部分に、油性マジックで小さな目印をつけておいた。当然、この目印は作業後にパーツクリーナーでふき取る。
振れている部分に目印をつけると作業しやすい
②力加減に注意する
ローターには徐々に力をかけるようにする。いきなり強く曲げると、反対側に振れが出ることがあるので注意。私はこれで一度失敗した。ローターを曲げたらパッドクリアランスを確認し、修正が不十分なら、工具にかける力やローターの曲げを大きくするということを繰り返す。
③振れている部分の周辺も軽く曲げてみる
大きく振れている部分だけに力を加えても、あまり修正できていないことがあった。実際には大きく振れている部分の周辺もわずかに振れていることがあり、広範囲に修正するとうまくいくことがあるようだ。
大きく振れている部分の周辺も軽く曲げてみた
④ローターの根元も曲げてみる
アルミ製のスパイダーアームを採用したSM-RT86の場合、スパイダーアームの剛性が高いせいか、ローターのブレーキ面だけに力を加えても、あまり修正できていないこともあった。こんなときは、ローターの根元から曲げた方が修正できるような気がした。
ブレーキ面を曲げて修正できなかったら根元から曲げてみる
⑤ホイールをゆっくり回してチェックする
ローターの振れを修正したら、ホイールを回してパッドクリアランスを確認する。ゆっくり回すことで、どの部分の振れがどれくらい取れたのかがよくわかる。ここで十分に振れが取れていない部分があったら、もう一度ローターを曲げて修正する。このあとにホイールを速く回して振れをチェックする。
ホイールをゆっくり回して、目視で振れのチェックを行う
■ 修正できるのは実用上は問題ないレベルまで ※SM-RT86の場合
なお、この工具を使っても振れを完全に取り切ることは難しい。修正できるのは「実用上は問題ないレベルまで」といったところ。私はローターの位置がほぼ中央にあり、パッドが動いたときにローターがたわまず、走行中にパッドにこすらなければOKとした。
今回修正したSM-RT86は、厚みのあるアルミ製のスパイダーアームとブレーキ面がカシメてある。もっと強く曲げられたかもしれないが、カシメが外れたりガタが出たりしそうだと思ったので無理はしなかった。ただ、ブレーキ面とスパイダーアームが一体化した薄手のローターなら話は違ってくるかもしれない。
ローターの構造によって、修正しやすさが異なるかもしれない
■ ディスクブレーキにいずれ必要になる工具
ParkTool DT-2 ローター修正器は、念入りにチェックしながら作業すれば、ローターの振れをかなり小さく修正できる。手やレンチで曲げるよりも専用工具の方が使いやすいし、良好な結果を得られる。スムーズに作業できるのは、さすがParkToolといったところだ。
ディスクローターの厚みは2mmしかないため、何らかの原因で曲がることはありうる。ディスクブレーキ搭載車には、このような工具が遅かれ早かれ必要になると感じた。今後はディスクロードの普及につれて、ロードバイク乗りにもこのような工具を使う機会が出てくると思う。個人的には、ParkTool DT-2 ローター修正器は、使いやすくてオススメできる。
価格評価→★★★☆☆ (他社のローター修正の工具よりやや高価)
評 価→★★★★☆ (特に弱点もなくスムーズに作業できる)
<オプション>
年 式→ ー
重 量→181g