SHIMANO CN-HG600-11
購入価格: ¥2,500 (税込)
標準価格: ¥2,849 (税込)
『HG-X11とSIL-TECが性能に貢献。コスパの高いチェーン』
■ フル105に近づけるために導入
私の3代目の自転車は「GIANT DEFY1 DISC」というロードバイクで、メインコンポーネントには「105 5800シリーズ」が採用されている。チェーンやクランクセットは105ではない。チェーンには「KMC X11L」というものが使われているが、性能には全く問題はなく、動きも変速もスムーズだった。私はDEFY1 DISCのクランクセットを「FC-5800」に交換することを最初から決めており、その際フル105に近づけるために、チェーンも105グレードの「CN-HG600-11」にした。
SHIMANO CN-HG600-11
■ HG-X11とSIL-TEC
CN-HG600-11は、105グレードのリア11速用のチェーンだ。パッケージには「DYNA-SIS11」と書かれているが、これは11速用のチェーンがロード用とMTB用で共通になったためだ。
CN-HG600-11は、上位グレードと同様に「HG-X11」という仕様になった。プレート形状が左右非対称の「ディレクショナルチェーン」と呼ばれるもので、チェーンの外側がフロントの変速用に、内側がリアの変速用に設計されている。これはMTB10速の「HG-Xチェーン」と同様のテクノロジーで、11速になってロードにも採用された。
もう一つの大きな特徴は、「SIL-TEC」というフッ素加工による低摩擦表面処理が採用されていることだ。これもMTBで培ったテクノロジーだ。グレードによってどの部分までSIL-TECが施されているかが異なり、CN-HG600-11はインナープレートのみに採用されている。
仕様は、HG-X、DYNA-SIS11、SIL-TEC、クロマイジンクリンクピン (左)
ディレクショナルチェーンは裏表を間違えないように取り付ける必要がある (右)
■ フロントの変速が特にスムーズ
実際に走ってみると、CN-HG600のほうがKMC X11Lよりも変速がスムーズだ。リアの変速は体感できる差がわずかなものだが、フロントは変速性能の差が顕著で、スチャッ!という小さな音と共にアウターギアにスムーズに乗り上げる。どのタイミングでも同様のスムーズさで安定して変速し、確実な変速操作がストレスのない走行に貢献してくれる。
私はクロスバイクのメインコンポーネントを「DEORE XT T780シリーズ」に交換しており、チェーンはHG-Xチェーンの「CN-HG95」を使っている。これらの組み合わせと比較しても、フロントの変速はかなりスムーズで互角以上の実力だ。これには同時に交換した「FC-5800」のアウターギアの剛性の高さも効いていると思う。
よく見るとKMC X11とは形状が異なる。専用設計のチェーンはスムーズな変速が期待できる
■ SIL-TECによる潤滑性と静粛性
CN-HG600-11はチェーンノイズが小さく、動きもとても滑らかだ。SIL-TEC加工されていないHG-XチェーンのCN-HG54と比べると、明らかな差がある。アウタープレートにもSIL-TEC加工したCN-HG95と比べると、CN-HG95のほうが若干チェーンがスルスル動きやすく、チェーンノイズが小さいような感じがしなくもない。
おそらく、アウタープレートにもSIL-TEC加工されていると、インナープレートとの摩擦を低減するだけでなく、チェーンが斜めになった際に、隣のスプロケットの隣のギアやフロントディレイラーのガイドプレートにチェーンが干渉したことによる音鳴りを低減してくれるはずだ。CN-HG95を経験したかぎりでは、上位グレードのSIL-TEC加工による潤滑や音鳴り軽減の効果は、それなりに期待できると思う。
SIL-TEC加工されていないCN-HG54よりは静粛性・潤滑性ともに高い。CN-HG54は手で可動部を折り曲げると動きが渋かった
■ SIL-TECの防汚効果と純正オイル
SIL-TEC加工がインナープレートのみにしか施されていないということもあり、防汚効果の高さは、CN-HG600-11では特に感じられなかった。それよりも気になるのが、純正のチェーンオイルの粘度の高さで、川の土手などを走るとすぐに砂埃が付着してしまう。現在はチェーン洗浄後にエステル系の粘度が低いチェーンオイルを使用することで、使用開始直後よりも汚れにくくなっている。
アウタープレートもSIL-TECのCN-HG95の方が防汚性が高い
■ 今後は耐久性にも期待
11速のチェーンは10速よりも、プレートが極端に薄くなっているわけではないようだ。私はノギスでプレートの厚みを測定してみたが、この工具の精度では1/100の数値までは読み取れなかった。10速のチェーンは約1年5ヶ月使っても、まだ0.75%の伸びに達していない。CN-HG600-11でも同じくらいの期間使えれば十分だ。
10速用チェーンとの比較
■ コストパフォーマンスが高いチェーン
CN-HG600-11は、左右非対称形状のプレートによる変速がスムーズで、インナープレートのSIL-TEC加工のおかげで潤滑性と静粛性のレベルも高い。アウタープレートにもSIL-TEC加工されている上位グレードのチェーンのほうが、潤滑性・静粛性・防汚性の高さも期待できると思うが、CN-HG600-11は実売価格が2,500円と低価格だ。上位グレードも魅力的だが、CN-HG600-11は十分快適に走行でき、コストパフォーマンスが高いチェーンだと思う。
価格評価→★★★★☆ (コストパフォーマンスが高い)
評 価→★★★★☆ (スムーズで安定感のある変速。SIL-TEC加工はインナープレードのみだが効果はある)
<オプション>
年 式→2015年
カタログ重量→257g (114リンク)