エントリー費用 ¥12,000 (50kmレース)
『熱帯の花となれ 風となれ』
これが、今年(2015年)27回目を迎えた「ツール・ド・おきなわ」(以下、TDO」)のキャッチフレーズである。今年(2015年)は全体で4593人が、レース部門のみでは2,800人弱がエントリーするという国内最大級のサイクルイベントである。
そのキャッチフレーズのとおり、南国気分が味わえる、誰もが楽しめるイベントTDOのレビューをさせて頂きたい。
※私自身は、2014年に転勤で沖縄在住となったことを契機に、2014年、2015年に市民レースに出場している。
【アクセス等】
TDOのメイン会場となる、名護市21世紀の森体育館は沖縄本島の北部に位置しており那覇空港からは車で1時間半程の距離である。
本土から来る場合は、空港からレンタカーを借りて移動するのが手っ取り早いが、ロードバイクをホテルへ送っていて荷物もあまりない場合はバスで名護まで行くこともお勧めである。(運転するよりも移動中の綺麗な景色を堪能できる)
レースに出場する場合は、前日(土曜)に受付を終える必要があるため、最低限前泊が必要である。
またレース終了後、少し沖縄を満喫したい場合は、後泊することもお勧めする。
※市民レース50kmの場合9時位にはゴールするため夕方の便であれば少し観光して後泊なしで帰ることも可能
宿泊についてだが、自分でネット等で予約することも可能だがTDO期間中の名護周辺のホテルは大会オフィシャル旅行社が抑えているのでそこを通じて予約することとなる。
私は、会場近くのビジネスホテルを利用しているが、すぐに満室となるためレースの申込よりも先にホテルの予約をすることにしている。
【気候・見所】
毎年11月上旬に2日間(2015年は11/7、11/8)で行われるが、この時期は本土では寒くなりはじめてサイクリングには長袖ジャージが必要であろうが沖縄の場合は、早朝のスタートであっても、半袖・半パンのウェアで十分である。
※2015年については、日中の気温が30度近くあり日焼け防止で長袖を着ている方も多数いた
後述するサイクリング・レースともに南国の綺麗な海が見れるところがコース設定されているため、参加することによって南国気分を味わうことができる。
サイクリングについては、適度にエイドステーションが用意されており、沖縄の美味しいものも満喫できる。
【種目】
<サイクリング部門>
TDOといえば、レース部門の認知度が高いように思われるが、実はサイクリング部門がとても充実している。
・沖縄本島一周サイクリング(1泊2日)346km
・伊平屋島サイクリング(1泊2日)73km
・やんばるセンチュリーライド176km
・伊江島ファミリーサイクリング50km
・チャレンジサイクリング100km
・恩納村ファミリーサイクリング70km
距離や高低差の難易度によって、自分の走力にあわせて選ぶことができる。
中でも、「沖縄本島一周サイクリング」は2日間で沖縄本島をまるまる1周走るというもので、自分的には一度は挑戦したいが、過酷であることが容易に想像できるため、これに参加・完走された方々には尊敬の念を覚える。
サイクリング部門は初日から実施されているので、1日目は家族でサイクリングを楽しみ2日目はレースに出場するという参加方法も可能であるので、家族サービス・旅行を兼ねて参加することもできる。
自分はサイクリング部門に参加していないが、色々な方の話を聞くと綺麗な景色を見ながら暖かい(暑い?)沖縄の道を海風を感じながら走れるところが魅力だそうだ。
サイクリング部門には、日本からだけでなく中国や台湾等海外からの参加者が多いのも特徴の一つである。
<国際ロードレース>
こちらは、2日目に行われる。
・男子チャンピオンレース(210km)
・女子国際ロードレース(100km)
・ジュニア国際ロードレース(140km)
男子チャンピオンレースは、UCIアジアツアークラス1.2のレースであり国内最長距離のレースである。(しかも公道を使用している)国内の主要チーム+海外のチームが参戦している。
海外(特にヨーロッパの)ロードレース界は、この時期はシーズンオフとなっているが、国内のチームはTDOをシーズン最後のレースとして走っている。あまり海外の有力チームが参加しないことから、日本チームが勝てる可能性がある数少ない国内UCIレースである。(昨年2014年は宇都宮の増田選手が優勝)
大会のメイン会場となる名護市21世紀の森体育館前をスタート・ゴールと本部町の海岸線を通りやんばるを走るコースである。公道を交通規制して行われるため、なかなかスタート・ゴール地点以外での観戦は地元の人じゃないと難しいが、「ロードレース観戦ツアー」としてバスでレースの見所を回ってくれるツアーもあるようなので、効率的に観戦したい場合は利用するのもありかと思う。
<市民レース>
TDOの市民レースは、よく「ホビーレーサーの甲子園」と評されるが、自分が2回出場してその意味を実感できた。
公道を長い距離規制して行う日本では数少ないレースであることはもちろん、その年のレースシーズンの最後に実施されるので年間の総決算的な意味合いもある。(自分の中ではTDOが終わればほぼ今年が終わった感覚(笑))
本土から参加するレーサーは、高い交通費や宿泊代を払い、時間を費やすして来るので相当なモチベーションで出場する。また、地元沖縄のレーサーは1年間TDOを目標にして暑い中練習を重ねて出場する。(沖縄のレーサーからは「地元開催のレースで恥ずかしい走りはできない」という言葉をよく聞いた)
このようなことからも、TDOの市民レースに出場し自分に納得がいく成績を納めることはサイクリストの憧れになり得る所以ではないだろうか?
・市民レース 210km
・市民レース 140km
・市民レース 100km(アンダー39、オーバー40)
・市民レース 50km(アンダー29、サーティー、フォーティー、オーバー50)
・市民レディースレース 50km
・中学生レース 50km
・小学生レース 10km
市民レース100km オーバー40については、エントリー開始後すぐに定員に達するという人気ぶりである。ちなみに市民50kmでもフォーティーが最も参加者が多い。
※私を含めて、今の自転車人気を支えているのは第二次ベビーブーム世代である40代であることは、『【第87回】アンケート結果分析:cbnanashi基礎データ2015』
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=13695&forum=114 でも裏づけされている
市民レース210Kmについては、市民レーサーのチャンピオンを決めるに相応しい距離・コースであり全国から強者が集うハイレベルなレースだ。(コース自体は、男子チャンピオンレースと同じ)
市民レース140km、市民レース100kmは市民レース210kmと比べ距離は短いものの勝負所の普久川ダムも含まれていて難易度は高めのコースである。また、スタート地点がメイン会場とは別の場所であるため、初めて出場する場合は宿泊場所・移動方法・バイク運搬方法について調べておく必要がある。
※前日受付後にバイクを預けておけば、スタート地点まで運搬してくれます
市民レースでは、関門がいくつかあり制限時間内に関門を通過しないと、DNFとなる。DNFとなった場合は回収車に乗りゴール地点まで戻るのだが、その車内は何とも重苦しい雰囲気が漂っているらしい。。
私が出場した市民レース50Kmは、名護市21世紀の森体育館前をスタートし本部半島をぐるっと1周するコース。途中3箇所ほど短いアップダウンがあるもののほぼ平坦なコース。市民レース50Kmは上位を狙うスプリンター系の参加者とレース初心者が混在するカテゴリーである。
そのため、スタートから10Km位の区間では毎年落車が多い。上位を狙うには少しでも前からスタートし先頭集団についていくことが必要であろう。距離も短く、関門も1箇所しかないので、落車やマシントラブルが起こらない限りは完走できるので、レース初心者でも十分に楽しめる。
レースは、公道を交通規制して開催される。 日本国内でここまで長い距離の公道を使った市民レースは無いのではないだろうか?
スタート直後の海岸沿いの2車線の道路を300名近いレーサーが所狭しと走る光景は圧巻である。
※参照:
http://www.cyclowired.jp/image/node/183607と同時に、公道を使うがゆえに警察や地元住民の理解・協力があるからこそ開催できることも付け加えておく。
※実際、おじぃやおばぁの沿道での太鼓や拍手の応援が力に変ったことは明らか。
日本であって日本でないような沖縄の熱帯の気候、美しい海、地元の人達の暖かさ、全国から集まるサイクリスト。これがTDOの魅力である。
TDOが終わった瞬間に
『また来年もこよう』
と思える、素晴らしい大会だった。
価格評価→★★★☆☆(ちょっと参加費は高い)
評 価→★★★★★