費用 ¥10,000くらい
-注意事項-
*フレームの破損箇所や程度によって、対応すべき方法は異なるので、一様に語ることはできません。
一般的に、ユーザー等が塗装補修を行った場合、メーカー保証対象外となります。
真正性・正確性・信憑性・安全性・妥当性・信頼性・適法性について保証するものではなく、実際に塗装補修等を行う場合は、完全に読者の責任においてとなります。
-今回の目的と方針など-
入手したカーボンフレームの塗装が一部剥げるなどしていたため、それを補修することにした。
できるだけ費用は安く済ませつつも、入手可能な範囲の材料を使って素人なりに上等な仕上がりを目指すことにした。
【情報収集】
VIDEO
剥がれたところだけやすりがけ→パテ埋め→#320でやすりがけ→剥がれに近いところだけマスキング→プライマー・サーフェイサー吹く→サーフェイサーにやすりがけ→全体を#2000で水研ぎ→ロゴ等をマスキング→着色→ロゴのマスキング外してクリアコート→研ぎ出し、という順序で行っているようだ。
他に、塗装にあたって下記のチャンネル等を参考にした。
https://www.youtube.com/c/ETOE -今回の作業手順-
【傷の状態のざっくりとした判定】
今回は若干の傷埋めと塗装で対応できる程度のものだろうと判断した。
【フレームの下準備】
塗装を容易にするため、フレームからドライブトレインのパーツを外した。
また、塗装する部分周辺について、IPA(イソプロピルアルコール)とキムワイプ的なものを用いて清掃を行った。
【塗装の剥離】
塗装が剥げて、凹んでいる部分に限局して紙やすりをかけた(#800まで)。
【剥げている塗装を埋める】
アルミが見えている部分に関しては、プライマーを一応使用することにした。
IPAで脱脂・脱水後、見えているアルミの部分以外をマスキングして、説明通りにスプレー噴霧。
プライマーの乾燥後、2液性のエポキシレジンを盛った。
真空脱泡装置を持っていないので、エポキシの脱泡はお湯を用いて簡易的に行った。
また、別の部分でアルミに接するカーボンが削れている箇所については、金属CFRP用接着剤を使用して埋めた。
【埋めた部分の研磨】
丸い部分を研磨するときは、真っ直ぐな硬いもので研磨しないといけない。
サンドペーパーを工夫して用い、研磨した(水研ぎ、#800まで)。
【足付け(周辺部分の塗装剥離)】
修復部分だけ塗料を吹くわけにはいかないので、周辺を#1000で軽く塗装剥離した(水研ぎ)。
【塗装】
丈夫な被膜を作るのが一番肝心なのである。
IPAで脱脂・脱水後、マスキングを行った後、2液性のウレタンをエアブラシを用いて塗装することにした。
タンク付きのコンプレッサーと、口径は0.5mmのハンドピースを使用(正直口径はなんでもいい)。
ペットボトルでウレタン塗装の練習をして、それから本番。
塗料の乗りにくいエッジにまず塗料を吹き、指で触れる程度に乾燥させた。
その後、塗装→指で触れられる程度に乾燥、を数回繰り返し、着色とクリアコートをした。
【研ぎ出し】
完全硬化後、サンドペーパーで#2000まで研磨。
その後、車用のコンパウンドを用いて研磨。
-必要で今回購入したもの-
・金属用プライマー
・エポキシレジン(東邦産業 エポキシ・コートセット)
・金属CFRP用接着剤(セメダイン メタルロック)
・ウレタン塗料(2液性のもの、自動車用)
・ウレタンシンナー(上記塗料と同一メーカーのもの)
・コンパウンド(Holts コンパウンドミニセット)
-必要だが既に持っていたもの-
・パーツを外したり取り付けたりする工具
・耐水サンドペーパー
・IPA
・キムワイプ的なもの
・ピペット
・混和用の容器
・マスキングテープ、新聞紙(マスキング用)
・はかり
・エアコンプレッサー
・エアブラシ
・防毒マスク
・エアブラシ洗浄液(ガイアノーツ ツールウォッシュ)
・布
-考察、感想-
どの程度の補修が必要なのか詳しいことはちゃんとした非破壊検査をやらないと分からない。
今回は塗装と一部補修で対応できるだろうとざっと判断した。
傷埋めにパテを使用する方法がよく紹介されるが、何が入っているかよく分からないものは使いたくなかったので、パテや市販の脱脂剤は使用しなかった。
塗装剥離の際に中のアルミのインサートが一部見えた。
アルミの部分にはプライマーを塗ってからエポキシを積層したが、セメダイン 金属CFRP用接着剤メタルロックを塗布してからエポキシ積層がよかったかもしれない。
エポキシ樹脂は雨のときに使用するなと書いてあったが、あれは守らなくてよいと思う。
実際、雨の日にエポキシ樹脂を使用したが白化現象は起きなかった。
塗料として、ラッカーは被膜が弱いことからウレタンを使用した。
着色についてラッカー/エナメル/ウレタンで悩んだが、ウレタンに統一することにした。
ウレタン塗料を使用したことがなかったので今回色々インターネットで情報収集を試みたが、重ね塗りをしていい時間帯が限られている、乾燥したウレタンは上から新たにウレタンを吹いても一体化しない、など使用に際しての注意すべき点が多かった。
ウレタン塗料は小分けのをインターネット経由で購入したが、知っている自動車修理工場などがあればそこなどで小分けしてもらうほうがよかろう。
シンナーでの希釈濃度を間違ったように思うが、いちおう全体が濡れて吹けたのでまあよしとしよう。
クリアー塗料を複数回スプレーしたことで、塗膜の厚さが厚めにできてしまった。
実際の自転車製造の現場ではクリアコートはそこまでしていないだろうから、正直やりすぎたように思う。
塗装の際に最も気にかけたのは、これはどんな塗装の際にも当てはまることだが、埃の混入を避けることである。
エアブラシの清掃についてもツールウォッシュで行ったが、これが正しいかは分からない。アセトンにつけるのが一番だと思うが、ツールウォッシュで行っている動画をyoutubeで見たのでそうした。
最後の研磨については、つるんとした塗膜が塗装時にできていればほとんど必要のない作業である。
とはいえ、私のやり方では段差ができ、結局#400から研ぎ直す羽目になってしまった。
液体コンパウンドでさらに磨いてもいいと思う。
難易度が高めなのは塗装と段差を消す研ぎ出しくらいで、あとは手順を追っていきさえすればいい作業だが、まあ面倒。
今回は無彩色で済む箇所だったので自分で行ったが、色合わせが必要な部分をするのであれば諦めてショップ等に依頼するところだった。
それぞれのステップで適切な研磨を行っていくことが重要であり、特に最後の研ぎ出しは段差を消すのが大変だった。
研磨自体は単純な作業で、適切な手順を踏んで、時間さえかければ仕上がる。
価格評価→★★★☆☆ (材料は使い切れない、依頼するよりはたぶん安い)
評 価→★★★☆☆ (やる気=元気が必要、有彩色の塗装なら色を合わせられないので依頼する)