購入価格: $72 (@ eBay、送料込)
チェーンの伸びを計測するための工具。名前のとおりデジタルノギスの構造を模しており、1/100mm単位でのチェーンの伸びが測れます。定価$100オーバーとかなり高かった上流通もほとんどしていなかったようですが、卸では在庫を持て余しているらしく時折投売りしているのを見かけます。
化粧箱入りです。パッケージには保管用のハードケースと電池カバーを開ける為の精密ドライバー(電池は懐かしのLR44。モニター用と未使用品の2個入ってました)、キーリングが入っていました。
通常のチェーンチェッカーは、鉄製のゲージを差し込んでローラーに引っかかって止まればOK、スルッと入ってしまうとNGという具合に○X的に簡略化して判断させます。数リンク分の伸びを合計して基準値内に収まっているか判断するだけ、ということですね。原理はアナログですが結果は2通りのみなので実はこっちの方がデジタルじゃないかと思わなくもないですが・・・○Xだけだと消耗の度合いが分からないので、市販されているほとんどのチェッカーは伸び限度の75%、50%といった具合で僅かにずらしたゲージ歯先を用意してあるので、ある程度は判断できるようになっています。
で、こちらのデジタルチェッカー。アナログと測定の原理は同じですがノギス同様にチェーンの伸びを(正確には新品時の設計上の長さとの差異)を直接測ることができます。アナログゲージ同様片側を半円状に切り出してあり、逆側には歯のような突起が設えてあります。両端はノギスのようにスライドする構造になっていて、ローラー間にしっかり押し付けられるよう間にスプリングが仕込んであります。
スプリングが目一杯伸びきった状態で2.15mm、
縮めると0mmになる位置にディスプレイが固定されていて、それ以上にも以下にも動きません。0~2.15mmまで無段階でスライドするので歯先さえ入れば自転車用チェーンなら何でも測定できますが、一応KMCの発表データではシングルスピード用と8~11速チェーン対応ということになっています。
アナログタイプでもそうですが、測定時チェーンのポジションには指定があります。フロントアウター、スプロケットは真ん中(eg.11速なら5もしくは6速コグ)に入れてリアディレイラーがチェーンにテンションをかける状態で測ります。
使い方はシンプルです。スライドの両端を指で握り締めるとスプリングが圧縮され、オートでディスプレイの電源がオンになります(ボタンでのマニュアル操作も可)。そのまま指をホールドすると0mmと表示されますが、ミツトヨ製のような超高精度ノギスではないので若干ガタがあり・・・時折0.03mmなどとズレた数値を吐き出します。その場合は締めこんだままの状態でZEROというボタンを押せばゼロ出しができます。ディスプレイの脇にスライドを固定するためのネジがあるので、締めこんで一旦スライドを固定するか、または指で挟みこんだままの状態でチェーンのローラーへゲージ歯先を差し込みます。
このチェーンはKMC X11SL、走行距離はまだ1,000kmにも届きません。新品もしくはそれに近い状態では、このように歯先が引っかかって入りませんが・・・
同社のX10SL、1,500km程走行した後では少しずつ伸び始めていて、このように歯先が入るようになります。
伸びてローラーとピンの間に遊びが出てくると、その大きさが測れるようになります。スライドには交換推奨の基準値とピクトグラムが記されているので、判断に迷うこともありません。KMCの交換推奨値は、規格問わず0.8mm以上ということになっているようです。
値段を考えれば当然なのですが、使い勝手は非常に良いです。
とはいってもチェーンの伸びを測定管理するだけならここまでの装置は要らないですし、スプリングを内蔵していたり防水や耐ショック性能の怪しい電子部品も使っているので、余計なお金を払って故障リスクを背負っているとも言えるでしょう。引き換えに手に入るメリットといえば定期的に伸びを測って記録しておけば消耗スピードが割と正確に割り出せてチェーンの耐久性能を評価しやすくなること位なので、端的に表現すれば無駄なオモチャ、なのですが・・・
このメリットのためにアナログタイプの3~4倍の価格が出せるか、というのが評価の分かれ目。元々持っていたゲージを知人に譲って新しいものが必要になったため購入しましたが、$70ならまあいいかな、と私は考えてます。
価格評価→★★☆☆☆($50位ならもっと普及するかも)
評 価→★★★☆☆(性能と使い勝手はいいですが、電子部品の耐久性が未知なので)
カタログ重量→ N/A (実測重量 78g)