購入価格 £382.42 (@ wiggle、追跡付送料アップチャージ£6別途、内£40バウチャー支払)
以前頂いてプールしてあったwiggleバウチャー£40を購入代金の一部にあてさせて頂きましたm(_ _)m
負荷を発生させるダイナモ(マグネットを使用したフライホイール)がホイールの構造を模していて、ホイールを介さずにドライブトレーンを直結させるタイプのローラーです。アクスルは130~135mmエンド対応(スルーアクスルタイプ不可)、フリーボディはShimano/SRAM対応。カンパ対応のフリーボディに差し替えることも可能だそう。このタイプのさきがけはLeMond Revolutionでしたが、現在製造販売は行っていない模様。このSilencerの他にもWahoo KICKRというパワーメーターを内蔵した発展型も出てきていますが、もしかしたらLeMondはパテントを手放したのでしょうか。
まずこのローラーの最大の美点を簡潔にまとめてしまうと、これ以上望めなさそうなほど実走に近い走行感と、タイアを省くことで騒音と消耗部品を減らすことに成功している点でしょう。逆に欠点といえば、比較的大きなフレームと問答無用の重量(18kg)のせいで使用場所・保管場所を選ぶ点、リアホイールを外して使用するため使用中はスピードや走行距離がモニターできない点でしょうか。クランクあるいはペダル内蔵型のパワーメーターを併用しないと、ケイデンスと心拍だけでトレーニング強度を管理することになるので本格的なトレーニング機材としては不十分かもしれません。フィットネス的に用いるなら何ら困りはしないのですが。
LeMond Revolutionは特徴的な実走感覚が高い評価を得たローラーでした。タイアとローラーの接触を省くことで摩擦や遠心力に起因する不自然な負荷(泥沼の中タイア引きずりながら走っている感じ)を解消してある点が話題になりましたが、このSilencerでもそこはしっかり引き継がれています。実走時と同じく、足を止めればごく自然な減速スピードを伴ってコースティングもできるほどで、足を止めてサボらないように意識しないとトレーニング負荷を下げてしまう程。固定ローラーにありがちな必要以上の苦行を強いられている感覚は少ないです。またRevolutionは負荷装置にファンを用いていたため騒音の大きさを問題視されることが多かったようですが、後発であるこのSilencerは現在主流となっているマグネットタイプのフライホイールを採用しておりノイズの発生は抑えてあります。とはいっても、重量のあるフライホイールをそれなりのペースで回転させるとやはり振動が発生しますし、チェーンやカセットから出る駆動ノイズも選択するギア比次第で結構大きくなるので、集合住宅などで夜間や早朝使用する際は配慮を求められます。ケイデンス80rpm付近を超えて回しているとテレビを見る時のボリューム設定が普段通りのままでは聞き取り難くなる程度の音と振動が出るので、家族から文句が出るかもしれません。かなり静かな方だとは思いますが、静粛性が絶対的なプライオリティならば他にもっと適したローラーがあるでしょう。個人的には今まで使ってきたTacx Satoriがそこそこ振動と重低音ノイズが少ないモデルだったので、あまり変化はないかな? という感想。タイアの摩擦がなくなった分重低音成分が減ったのはすぐ実感できましたが、いれかわりにドライブトレーンの金属的な高周波ノイズが目立つようになった感じです。
勝手な引用で気は引けますが、cyclowiredに実使用中の動画があります。ノイズレベルも確認できると思うので、ご参考まで。
http://www.cyclowired.jp/?q=node/129756フリーボディはShimano/SRAM 11速対応タイプで、カセットがプリインストールされたモデルとカセットなしのモデルがあります。私が購入したのはカセットなしの方。ここにリアホイールを外したバイクを直接マウントします。ダイナモは鉄製の頑丈な足から突き出たアーム状のマウントにに支えられていて、その中央にフリーボディが収まっています。リアホイールを外したフレームをそこへ装着しダイナモを直接駆動する、というわけです。負荷発生装置はマグネットと小型のフライホイールで、熱はあまり篭らない構造のようです。フリーボディにカセットがプリインストールされたモデルと、カセットなし(フリーボディのスプラインはShimano/SRAM 10・11速用)のモデルがありますが、私が購入したのは後者。CycleOpsから直接カンパ用フリーボディも購入できると聞きましたが、10速ならばともかく11速はRDのリミットスクリューとワイヤーアジャスターの調整でゴマカシが十分効くのであまりカンパ用にこだわらなくても良いのでは、と思います。どうしても9・10速でなければならない事情がある場合はそうも言っていられないので、CycleOpsに問い合わせて相談してみると良いでしょう。
届いて驚いたのが、その重量。wiggleで買ったので送料無料でしたが、通関で足止めをくらうのがイヤだったのでアップチャージを支払いヤマト国際宅急便を指定しました。しかし実際にはParcel Force(Royal Mailから独立した宅急便会社)での配送。Parcel Forceだと日本に届いてからは一般の郵便物とおなじ扱いになるのでちょっと損をしたというか勝手に誤魔化されてしまったような気になりましたが、これだけの重量物をタダ同然で送ってくれるだけでもありがたい話ですから、と思い直して気付かなかったことにしておきました。届いてみたらびっくり、外箱の計量結果の表示を見たら20kg…いくらなんでもこれをヤマトの国際宅急便で送ったら赤字必至です。
大きさと重量で置き場を選ぶ上、負荷を完全にキャンセルすることが出来ないので固定ローラー台にメンテスタンドとしての機能も持たせたい人にはこの手のダイレクトドライブタイプのローラーはオススメしかねます。ドライブトレーン周りの整備に余計な力と時間を要してしまいます。その点はTacx Satoriも、リアディレーラー位置がスタンドの脚の影に来て工具アクセスが極端に悪く、褒められたもんじゃありませんでしたが。
肝心のローラー台としての性能については、私はかなり満足しています。
まずはっきり宣言してしまうと、私はローラー回すのが大嫌いです。まず振動と騒音が耐え難いし、決して抜け出せないぬかるみが延々続くかのような何ともいえないドロドロ感、どれだけ漕いでも景色が一切動かない、暗いガレー船の船倉で延々櫂を漕がされていたローマ奴隷もかくやの徒労感が苦痛で苦痛で、どんなに耐えても1時間位が限度(堪え性なさ過ぎw)。今までごくごくたまーに回していたTacx Satoriも、雨や雪が続くとか忙しすぎて走りに行く時間と気力さえないような時の最後のよりどころとして持っているだけだったのですが、Silencerに替えてからドロドロ感と振動騒音が大分払拭されたおかげで苦痛の度合いが半分近くまで下がり、前よりも"ローラー回して身体に血を巡らそうか"と思えるようになりました。まあ、それでも週1か2回位ですが。
実走行より苦痛感が強いのは同じですが、その度合いは半分くらいに軽減できます。結果的に少しは積極的に回そうかという気も起きてくるので、これはもう買って良かったのだと言い切れるでしょう。負荷調節の幅は広く、ホイールとフライホイールを使うローラーと同程度の負荷はちゃんと出せるので、トレーニング機材としてヌルイのかというとそうではありません。一般的なマグネットローラー同様リモートスイッチで抵抗の強さを10段階で選択することができて、も負荷の高さも設定幅もSatoriにひけを取りません。要は実走行と同じく足を止めてサボれてしまうので意識しないとトレーニングの質を落としてしまうおそれがある、ということです。逆に適度に手を抜きつつ長時間続けるという通常の固定ローラーでは無理なことが可能なわけで、冬の悪天候時に固定ローラーでLSDをと思ってもすぐ挫けてしまう私のような軟弱モノにも活用できるかもしれない機材、だと言えます(いいからグダグダ言ってねぇで足回せオラ、と突っ込まれれば仰るとおりでございます、ハイ)。
固定ローラーをどういう位置づけで使うかは人それぞれですが、私にとっては心理的な側面も含めてとても良い投資になったように思います。
最後に。
私のようにカセットなしモデルを購入する場合は自分で装着することになるわけですが、フリーボディからハブアクスルが盛大に突き出しているため中央に穴が貫通しているロックリング回しが必要になります。私はPark ToolのFR-5Cを使いました。
価格評価→★★☆☆☆(かなり高価な部類ですね)
評 価→★★★★☆(苦痛が低減されている部分は評価したい。本格的なトレーニング機材として運用するならパワーメーター必須?)
年 式→2015
カタログ重量→ 17.6kg (実測重量 18kg、カセット別)