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[Race & Event] PBP(Paris-Brest-Paris) 2015


 
baru  2015-8-25 23:48
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[Race & Event] PBP(Paris-Brest-Paris) 2015
総予算 30万円前後(参加費145ユーロ)


フランスの自転車クラブ「ACP(Audax Club Parisien)」が4年に一度開催する1200kmブルベ。その歴史はツールドフランスよりも古く、世界最古の自転車イベントと言われています。

参加資格を得るには当年度のSuper Randonneur取得(1年以内に200/300/400/600kmのブルベを完走すること)が条件。ACPが主催する中では唯一の1200kmブルベであり、世界中のブルベ愛好者の目標となっています。



■参加動機


元々、フレッシュに出てみたくて始めたブルベでしたが、どうせ出るなら最高峰へということで、PBPに出場を目指すことにしました。以前、東京~大阪を往復する「TOT」というイベントを開催したこともあり、オマージュ元の本家PBPはどんなものか体験してみたかったというのも大きいです。

1200kmという距離は私にとって既に体験済みの距離であり、恐れる距離ではありません。しかし、問題は海外であるということ。生まれてこの方、海外旅行に行ったことがなければ飛行機にも乗ったことがない私にとっては、走り出すまでが大きなハードルでした。

今回は「TOT」や「本州一周」に共に参加したフィリップさん(海外ブルベの経験豊富)が色々とサポートしてくれ、無事にスタート地点まで辿り着くことが出来ました。



■イベント概要


PBPのイベント概要を述べます。

(1) 歴史

パリ・ブレスト・パリ (Paris-Brest-Paris, PBP) は、フランスのパリからブレストまで往復する1,200キロのサイクリングイベントで、1891年に最初に開催され、現在でも定期的に行われている。世界最古の自転車イベントである。ブルベの最高峰とされ、パリ・ブレスト・パリの走行は多くのサイクリストの目標となっている。
開始当初はプロ・ロードレースであったが、1951年大会を最後に、以降は一般サイクリストによる90時間制限のラリーになった。


Wikipediaより。

1931年からはブルベとしての大会も並行して開催され、2015年は第18回を数えます。1971年までは不定期開催だったようですが、以後は4年に一度の開催に統一されています。


(2) 参加資格
当年度にSR(Super Randonneur)資格を取得していること。遅くとも6月前半までに取得していないと申し込めません。1月~5月までの半年以内に200km、300km、400km、600kmの認定を取るのはかなり辛かったです。

「前年度のSRも取っていなければならない」というのは間違い。前年度実績は、エントリーの優先順位を決めるのに使われるだけです。大抵、定員には達しないのですが、スタート時間を選べなくなるリスクはあります。


(3) 参加費用
エントリー費用は145ユーロ(約2万円)です。この中には、以下の内容が含まれます。

 ・参加費用
 ・オフィシャル記念ボトル
 ・オフィシャル反射ベスト
 ・ゴールでの食事
 ・ナンバープレート
 ・ブルベカード
 ・トラッキングセンサー(貸与)
 ・完走メダル(認定時のみ)
 ・リザルト冊子&ドキュメントDVD(大会終了後送付)
 ・オーガナイズの費用(パトロール、コース案内、PC設備等)

後述しますが、PCの設備は素晴らしいものです。これが無ければ完走はかなり厳しいです。


(4) 参加人数
2015年の定員は7000人で、エントリーは6051人。うち、出走は5857人。

日本人の参加者数は200人以上。2011年は173人、2007年は66人、2003年は22人でした。年々増えています。

日本でACPの認定するブルベが行われるようになったのは2002年以降なのですが、調べてみるとそれより前に出場した日本人が二人だけいるようです。

 ・1983 Kyoji Kobayashi 81:02
 ・1987 Kyoji Kobayashi DNF
 ・1999 Noboru Yonemitsu 79:13

海外遠征をして認定を取ったというのは考えにくいので、多分外国在住の日本人の方だと思います。


(5) システム
通常、1200kmブルベの制限時間は90時間です。しかし、PBPでは90時間の他に、80時間と84時間の部が設けられています。

80時間の部は、制限時間が短い代わりに、一番最初にスタートすることが出来ます。一番最初にスタートすると、道中のPCは基本的に空いていますので、補給などに時間が取られることはありません。また、このカテゴリの中でも前の方のグループはレース状態になっているらしいです。

84時間の部は、制限時間が短い代わりに、朝にスタートすることが出来ます。80時間の部は16~17時スタート、90時間の部は17~20時スタートと、基本的にはスタートしてすぐ夜になります。84時間の部は朝スタートなので、体内時計が狂いにくいというメリットが有ります。ただ、あまり補給が残っていないという噂も。


(6) 普段のブルベとの違い
普段の日本のブルベよりも、PBPは全体的に「ユルい」です。

 ・サポートについて
  ブルベでは、PC以外で第三者のサポートを受けることは禁止。
  しかし、PBPでは沿道に私設エイドが出ているし、皆それにお世話になっています。オフィシャルバイクも何も言いません。
  ただし、サポートカーについては厳しく運用されており、PC前後5km以外での利用はペナルティが付きます(+5時間)。
  
 ・PCクローズについて
  PCのクローズ時刻を過ぎたらその時点でリタイヤ扱いになるのが常。
  しかし、PBPでは2つ先のPCまでに遅れを回復すれば問題ないと明記されています。
  もし回復出来なくても、ゴール時間が制限時間内ならおまけして貰えるとも聞いたことはあります。真偽は不明。
  
 ・反射ベストについて
  フランスでは夜間の走行時に反射ベスト着用が義務。
  反射ベストは欧州の安全規格(EN471 or EN1150)に適合している必要があります。
  ただし、反射ベストは夜のみ着れば良く、昼間にベストを着ている人はほとんど居ませんでした。

 ・ヘルメットについて
  「強く推奨する」と大会規約には書かれているものの、義務ではありません。
  昔ながらのクラシックスタイルで走っている人たちを何人も見ました。
  お節介ながら、落車したらどうするんだろうとは思いましたが……。



■ルート概要


イベント名の通りで、フランス中心部の首都Parisから、大西洋に面した都市Brestを往復するコースです。


往路はParis郊外のSaint-Quentinを出発し、一路西へ。


復路は、Brestを折り返して、Saint-Quentinまで一路東へ。

大きな山はなく、道中の最高標高は350mです。しかし、常にアップダウンが繰り返され、その獲得標高は12000m前後になります。

実は、スタート/ゴール地点のSaint-QuentinはParisとは違う県です(Yvelines県)。恐らく、当初は本当にParisの中心街からスタートしていたのだと思われます。しかし、6000人もの人が参加する一大イベントとなった今では、その場所の確保や、安全の観点から郊外にスタートを移すことになったのでしょう。元々、御茶ノ水スタートだった「東京~糸魚川ファストラン」が、高尾山口スタートになった経緯に似ています。Saint-QuentinはParisから出ている鉄道の終点である所も近いですね。



■準備


PBP開始前にやったことを述べます。

(1) 機材

フレームはLAPIERRE XELIUSを使用。レースフレームですが、ロングライドにも十分な快適性を持っています。また、フランス産のフレームということもあり、一度里帰りをさせてやりたかったのでした。


出走直前の写真はこんな感じです。


トップチューブには簡易キューシート。84時間の部に出場したHideさんに分けてもらいました。


(2) 持ち物

基本的にはいつものロングライドと同じですが、雨が降らない予報だったので雨具は簡易にしています。もしもの時のために、ドロップバッグには本格的な雨具も入れていました。


サドルバッグには出発直前に頂いた鳩森神社のお守りも入れました。


(3) ウェア

秋口向け装備にしました。想定気温は15~25度程度。いつもなら足首に反射バンドは付けないのですが、今回は実を守るために敢えて付けました。


(4) ドロップバッグ
出先では中々買えないものをあらかじめ用意しておいて、ルート上に置いておくことをドロップバッグと呼びます。ドロップバッグは公式のサービスではなく、色々な国のツアー会社が行っているサービスです。私は日本のグッディースポーツのサービスを利用しました。

預けたバッグは448km地点と780km地点に位置するLoudeacに置かれます。往路と復路、両方で通る場所なので、2回荷物を入れ替えるチャンスがあるわけです。


バッグに入れていたものはこんな感じ。予備の雨具と、食料、電源といったところ。あとは、リフレッシュのためにウェアの替えを入れていました。


(5) 車検

PBPは前日車検です。指示された時間に、スタート地点であるSaint-Quentin-en-Yvelinesのベロドローム脇の駐車場で車検を受けます。車検ではライトの点灯や、保安装備の有無についてしっかりとチェックされます。


本来は、主催者からメールで届くPDFファイルを印刷して持参し、そこに車検終了の判子を貰う必要があります。が、私は忘れたので手首に押印されました。こんな所もPBPのユルさですね。


車検終了後はベロドローム内に移動し、参加賞とブルベカード、ナンバープレート等を受け取ります。


これがブルベカードと専用のケース。ブルベカードは冊子になっています。


(6) ナンバープレート
車検が終わると、ナンバープレートが貰えます。フレームのサイド、ハンドル、ヘルメット前方に付けるように指示されています。主に後述する写真サービスのためのものですが、国籍も確認でき、交流のキッカケにもなるので、よく見える位置に付けたほうが良いでしょう。


なお、ハンドルからライトを吊っていると、ハンドルにナンバープレートを付けられません。泣く泣く、ライトをハンドルの上に出しました。


(7) 走行計画

今回もいつものように時刻表を作成しました。90時間の部へのエントリーですが、80時間以内の走行を目標としました。睡眠は道中で10時間取る想定で、安全に振って立てた予定です。

ちなみに私の走力は、

 ・東京大阪(550km)を23時間
 ・東京大阪往復(1075km)を67時間
 ・600kmブルベなら33~4時間程度

くらいです。よほどの山岳ブルベでない限り、クローズ時刻を気にした事はありません。日本人参加者の中ではスピードのあるほうだと思いますが、初の海外で不安もあって90時間の部にエントリーしました。



■結果


2015年の大会の結果を述べます。

(1) 大会リザルト
出走は5857名で、以下はその内訳です。

 ・DONE(完走): 4512人 (77.1%)
 ・OTL(タイムオーバー完走): 138人 (2.4%)
 ・DNF(リタイヤ): 1217人 (20.5%)

面白いのは、タイムオーバーとDNFが別枠であること。通常のブルベでは纏めてDNFです。タイムオーバーを含めた完走率は約80%。やはりこの舞台に出てくるくらいの人はしぶといということでしょう。

過去の完走率は以下の通りです。

 ・2011年: 4068人/5002人 (81%)
 ・2007年: 3603人/5160人 (70%)
 ・2003年: 3458人/4069人 (84%)
 ・1999年: 2977人/3573人 (83%)

天気が崩れなければ、概ね80%前後の数値に落ち着くようです。2007年は稀に見る悪天候だったとのこと。


(2) 個人リザルト
90時間のカテゴリで出場し、完走しました。

 ・距離: 1242km (ミスコース4km含む)
 ・獲得標高: 12023m
 ・累計時間: 85時間46分 (走行: 57時間30分)
 ・累計時速: 14.5km/h (走行: 21.6km/h)
 ・走行ログ: http://ridewithgps.com/trips/6194094

目標の80時間よりも5時間超過しましたが、これは終盤200kmであえて速度を落として睡眠時間を増やしたためです。80時間でのゴールだと深夜ゴールになるわけですが、ホテルの予約をしていませんでした。ゴールしてから宿に困るのは嫌だったので、PCの仮眠所で一泊分増やして対応しました。これにより、余裕を持って走りきれたのは良かったと思います。

睡眠時間は合計で15時間ほどでした。


(3) 掛かった費用

掛かった費用はこんな感じ。PBPのために揃えた機材費用や、輪行箱の作成費用などは含んでいません。それらを含めると、ざっと30万円でしょうか。夏のボーナスの大半はこれに消えました。

今回は海外ブルベの参戦経験が豊富なフィリップさん&そのご家族のお世話になったので30万円以下で済みましたが、おまかせのツアーにすると50万円前後は掛かるものと思われます。


(4) 装備の反省点
走行後に思った装備の反省点について。

 ・ライトの反省
  今回はフロント2灯(CATEYE Volt700, GOREAD Y16)、リヤ2灯(CATEYE TL-LD570-R×2)、
  ヘルメット1灯(GENTOS HW888XE)の構成で臨みました。
  結論から言えばコレで十分でした。
  フランスの田園地帯の夜は真っ暗なので、逆に少しの明かりがあれば路面は確認可能です。
  直線路ならVolt700のオールナイトモード(100ルーメン/10h)があれば十分。
  全体で夜は40時間程度(うち数時間は寝てるはず)なので、替えバッテリーが3つあれば足ります。
  見える範囲が足りなければGOREAD Y16で広範囲を、九十九折の場合はヘルメットライトを補助に使いました。
  
  リヤライトには秘密兵器のリチウム乾電池を使いました。
  公称25時間の点灯時間ですが、電池交換なしで最後まで持ちました。
  
 ・ウェアの反省
  もう少し低い気温に対応できるものをチョイスすべきでした。
  ネックウォーマーなどがあると良かったと思います。
  
 ・反射ベストの反省
  
  反省と言うよりは要望。今回は、ONYONEの作成したPBP用反射ベスト(写真左)で走りました。
  規格には適合しているようですが、反射剤の面積が小さすぎます。
  一度、スタッフに「Gilet?(反射ベストは?)」と聞かれて停められました。
  「着てるよ」ってことで指差すと「OK」とは言って貰えましたが……。
  一方、日本人の大半はこの反射ベストだったので、日本人の判別には役立ちました。
  安全性を考えるなら、PBP公式の反射ベスト(写真右)で走るべきでしょう。これは目立つ。

 ・シューズの反省
  アウトソール剛性の高いシューズ(SH-XC70)を選びましたが、これが失敗。
  1000kmを超えた辺りから足裏に痛みと痺れが出始めました。
  従来、1000km以上のロングライドでは剛性低めのシューズを選んでいます。
  しかし、今年のブルベは全てSH-XC70で走って問題が無く、継続して使っていたのでした。
  もう少し柔らかいシューズにして置けばよかったと思います。

 ・サプリメントの反省
  下痢止めがあると良かったと思います。トイレがすぐにあるとは限らないので。
  持ってて良かったのは胃薬。国内ブルベでは胃腸に異常が出たことはありません。
  しかし、海外の食べ物は合わないようで、胃酸過多に悩まされました。
  持ってきた胃薬(ガスター10)を飲んでからは、問題なく走ることが出来ました。



■大会での気付き


今回の大会で気付いた色々なことについて。次回参加する人の参考になれば。未来の自分へのメモかも。

(1) 各ポイントの設備

数十kmごとに主催者の用意したポイントが設けられています。ブルベカードにチェックが必要な「PC(Point de Controle)」と、補給等のサービスのみを提供するだけのポイントの2種類が存在します。チェックの有無以外のサービスはほぼ同じです。

ポイントの大きさはまちまちですが、どこも相当大きく、中を歩き回るだけで時間が掛かります。大体がスポーツ施設(体育館)を利用していますね。シャワーを提供できる場所というと限られるから当然なのでしょうが。

各ポイントで提供されるサービスは以下の通り。一部のサービスが存在しないポイントもあります。

 ・トイレ(WC/Toilet)
 ・仮眠所(Dormir)
 ・シャワー(Douche)
 ・レストラン(Restaurant)
 ・バー(Bar)
 ・給水所(Eau)
 ・売店
 ・技術サービス
 ・救護室
 
基本的に日本のコンビニでやっていたことは全てこのポイントで済ます必要があります。なお、水とトイレは無料ですが、他は有料です。

食事は、バーとレストランの2種類があります。前者は飲み物(酒も売られてる)と軽食。後者は本格的な食事です。メニューのラインナップはどこのポイントも似たような感じ。


事前の話では、売店でホイールやフレームも手に入るようなことを聞いていましたが、そこまでの規模の売店は見た覚えが無いです。各売店では、ジェルやエナジーバーは必ず売られていました。所により、ボトルやタイヤやチューブなど。電池も、単三と単四は売っているのを見ました。

技術サービスはポイントごとに違う会社のものが入っていました。見覚えがあるのはGIANT、BIANCHI、ORBEA。ホイールのトラブルを直してもらった人もいるようです。


(2) 交通
日本との最大の違いは「右側通行」です。やはり最初は戸惑いますが、そのうち慣れます。

もう一つクセがあるのが「ラウンドアバウト(環状交差点)」です。日本では数えるほどしかありませんが、ヨーロッパでは一般的なようですね。PBPのコース上には信号はほとんどありませんが、ラウンドアバウトは数え切れないほど通りました。とりあえず、「ラウンドアバウト内に居る車が優先」は最低限覚えておくべきルールです。慣れるとスムーズに通行できて便利だと思うようになりました。

フランスでは自転車の追い抜き時に最低1.5mは開けなければいけないルールが徹底されており、追い抜きで怖いと感じることはほぼありませんでした(さすがに大型トラックは怖い)。


(3) 舗装
想像していたよりも、フランスの舗装は良かったです。というか、PBPコースの平均レベルは、日本の国道1号よりも良いのではないかと感じたほどです。さすがに、田舎の山道では悪路もありましたが、長野や群馬の山道とそう変わらないレベル。

心配していた石畳は、街中でごくたまに現れるレベルで、北のクラシックみたいな数百メートル続くものはありません。長くても10m程度です。


(4) トイレ
個人的に一番参ったのがトイレ事情です。日本のトイレは世界最高峰なので、そのレベルを期待してはいけません。

まず、トイレが使える場所というのは、基本的にポイントのみです。あまり行きたくなくても、ポイントでトイレに行くのが無難です。後はルート上で開いている商店やレストランが頼りとなりますが、トイレを使うための言語スキルが必要となります。


各トイレですが、日本で常識とされているものが付いていない場合が多いです。基本的には洋式便器ですが、便座が付いていないことが多々あります。そもそも便座を付けるためのヒンジすら無いもの(写真)や、後から外されて(盗まれた?)ものなど。私は手持ちのウェットティッシュで丁寧に拭いてからそのまま座りました。冷たい。また、トイレットペーパーもあるとは限りません。サドルバッグには芯を抜いたトイレットペーパーが必須です。

注意が必要なのはビブタイツです。ビブタイツの場合はジャージ等のウェアを一度脱ぐ必要がありますが、フランスのトイレには、バッグを掛けるフックや、脱いだものを置いておく所はありません。

我慢できない場合には野外で……というのも沢山見ました。多分フランスでも本当はダメなんじゃないかと思います。私が参加した90時間カテゴリでは、乗ったままする人は見ませんでしたが、タイムアタックをしている80時間カテゴリでは、乗ったままする人も多くいたそうです。プロレースみたい。


(5) 補給

補給についても、基本的にはポイントでするのが主流となります。ただし、各ポイントで出てくる食事は似通っており、途中から飽きてきます。写真は、ほぼ全てのPCのレストランで出されているボロネーゼ。かなり柔らかめ(スピード提供のためゆで置き)です。また、ほとんどの料理は日本より薄味なので、小袋で置いてある塩をかけたほうが美味しく食べられるでしょう。


レストランは混んでいることも多いので、手早く食料を調達したいときにはコレ。ポイント内のバーで買えるサンドウィッチです。過去のPBPレポートを見ると「フランスパンを背中に差して走った」という記述が散見されますが、多分コレの事を指してます。食パンではなく、フランスパンに切れ込みを入れ、そこにハムやチーズ、ウインナーを挟んだものです。歯ごたえがあるので、眠気覚ましにも◎。


PBPはバカンスの時期に行われるので、基本的に店はやってませんが、PBPを応援する店は営業しているようです。道中のパン屋やレストランでは、ポイントよりも美味しい食べ物が食べられました。


また、PBPでは「私設エイド」が存在します。地元の方が、家の前に机を出し、その上に水や食べ物が並べられています。無料で貰っていっても良いのですが、自分の持参した補給食や、チップを置いていくことが多いですね。皆素敵な笑顔で対応してくれました。

今回はシングルボトルながら1リットルの大容量ボトルを使いました。これだけ大きいと水分補給に困る場面はありませんでした。日本では「地獄に仏」なこともある自動販売機は道中に一台もありません。パリ市街の地下鉄駅内で見た覚えがあるくらいで、基本的にフランスに自動販売機はないものと思ったほうが良いです。


(6) 睡眠

ポイントでは有料(1回4ユーロ)の仮眠所が提供されています。体育館などに、マットや簡易ベッドが並べられており、ブランケットが1枚提供されます。2011年のPBPで初めて導入されたサービスだとか。通称「野戦病院」。「スリープ」と言っても通じません。「ドーミー」と言えば通じます。

指定時間に起こしてくれるサービスもありますが、逆に申告時間よりも長く寝ていることは出来ません。また、起こしてくれる時間が正確でないことや、忘れられることもあります。私は念のため、携帯のアラームをセットして寝ました。回りを起こさないように、サイレントでバイブのみにするのがマナー。

時間によってはかなり混むので、仮眠所が使えないことも。そういう場合は、レストランやコントロールの床で寝ている人が大勢いました。


また、私はやりませんでしたが、通称「行き倒れ」とも呼ばれる、道端での仮眠も一つの手です。コースの大部分を占める田園地帯では、道路の脇に2mほどの芝生が広がっており、そこで寝ている人も沢山いました。整然と寝ている分には、見回りのバイクの人(事故や違反の監視のため巡回をしている)も無視していきますが、変な姿勢で寝ていると事故や体調不良と思われて起こされるようです。女性が一人で寝ていて、それを通りがかった街の人が起こしているのも見ました。


あと寝ている人を見たのは、街中の電話ボックスと、ATM(多分、キャッシング用)設置店。フランスでは24時間営業の店はほとんど見ないのですが、唯一ATM設置の店舗は夜中でも明かりが灯っていました。小さい街でも一つはこのATM設置店舗があったと記憶しています。


(7) シャワー
各ポイントには有料のシャワーがあります(1回2~3ユーロ)。風呂はありません。体を拭くためのペーパータオルは提供されます。

イメージとしては、プールや体育館のシャワー。天井に取り付けられたシャワーがあるだけです。一番洗いたい下半身を洗うのは大変です。LOUDEACでシャワーを使いましたが、一応お湯が出ました。体を洗うためのスポンジや、石鹸はありません。ちゃんと体を洗いたければ持参する必要があります。


(8) 言語

基本的には、案内は全てフランス語です。たまに、英語の案内が付いている所もありますが期待しないほうが良いです。少なくとも覚えておいたほうがよい単語を以下に挙げます。

 ・Bonjour(ボンジュール)
  →こんにちは。何は無くともまずは挨拶。夜はボンソワール。
   ポイント以外の商店では挨拶しないと相手にもされない。
 ・Merci(メルシー)
  →ありがとう。何かをしてもらったら必ず言う。
 ・Toilet(トワレット)
  →トイレのこと。ポイント内の案内では「WC」表記のことも。
 ・Dormir(ドーミー)
  →睡眠のこと。仮眠所に行きたいときに。
 ・Eau(オー), Aqua(アクア)
  →水のこと。ポイント内の給水所の表記は「Eau」。
   Waterと言ってもフランスでは通じない。とりあえずAquaと言えば水は貰える。
 ・Sandwich(サンドウィッシュ)
  →サンドウィッチのこと。発音に注意。バーで買うときに使う。
 ・Sortie(ソルティー)
  →出口のこと。ポイントの外に出る場合、入口と出口が別の場合がある。
   順路を間違えないために、ちゃんと案内は見る必要がある。
 ・à droite(アドワット)
  →右のこと。ポイントの入口や出口で「右に寄れ」という時に使われる。
 ・à gauche(アゴーシュ)
  →左のこと。同上。
 ・tout droit(トゥドロワ)
  →直進のこと。「そのまま行け」という時にも使われる。


(9) 天候
2015年は、ゴールまでほぼ雨に降られませんでした。ゴール後は雨に降られましたが。

8月のフランスは、イメージで言うと日本の本周における初秋くらいのイメージです。最高気温は25度、最低気温は8度まで見ました。緯度的に言うと北海道より北なので、結構寒いです。風はあまり強くなかったですが、たまたまかもしれません。

あと、明け方の朝霧が印象に残ってます。ヘルメットライトを付けると乱反射してしまって大変でした。フランスは霧が出やすいのかな?


(10) ルート案内

PBPのルート上には「BREST」「PARIS」という文字とともに、矢印の書かれた看板が貼られています。基本的に全ての交差点に設置されているため、その指示に従っていけば、キューシートやGPSが無くても完走出来ます。また、この看板の矢印部分には反射剤が塗られています。ヘルメットライトがあると見逃さないでしょう。

ただ、一度だけミスコースをやらかしたことがありました。ラウンドアバウトの入口に「→」と書いてあったので、3時方向の路地に進んだのですが、実際には12時方向に進む必要がありました。ミスコースした後に戻ってみると、3時方向の路地には「←」にの看板が貼られており、12時方向には「↑」の看板が貼られていました。つまり、「右向きに進入して、反時計周りをして、そのまま12時方向の路地に入れ」という意味なのですが、咄嗟に判断できませんでした。一応、このミスコースからの復帰にGPSは役に立ったので、あるほうが安心ではあります。

注意すべきは大会の終盤です。90時間の部で、制限時間を丸々使って走るような場合、案内看板が無くなっている場合があります。前走者が記念に持ち帰ってしまうからです。そういった意味からも、やはりGPSかキューシートは持っておいたほうが安心です。


なお、街の始まりと終わりには、必ず街の名前を書いた看板が立てられています。街の名前の看板から街が始まり、街の名前に斜線が引かれた看板で街が終わります。キューシートに書いてある地名はこの看板と対応しています。


(11) コースプロファイル
「PBPは平坦コースだよ」などとうそぶく人が居ますが、信用してはいけません。内陸ながらアップダウンの激しいコースです。

前述したように最高標高地点は350mと、大垂水峠(389m)より低い峠しか通りません。しかし、平坦と呼べる場所はスタート地点のSaint-Quentin以外にはほぼありません。100~200mの標高差の小さな丘越えを繰り返し、100kmでキッチリ1000m登らされます。


関東近辺の人なら、「道志みち」「尾根幹」「富士見峠」あたりを延々と走らされているイメージと言えば解りやすいでしょうか。激坂はありませんが、丘を何度も繰り返す見通しの良いコースでした。走ったことは無いですけど、北海道の海沿いにも似ているらしいです。

海外の参加者を見ていると、「登りは遅くして体力を温存。下りは飛ばして、次の登りを勢いで登れるだけ登る。登れなくなったらギヤを落として遅く登る」といった戦略の人が多かったように見えます。


(12) 装備傾向

PBPは4年に1度のロングライド装備の見本市とも言える場所で、世界のトレンドが垣間見えます。他の人の装備は見ていて飽きませんでした。

日本のブルベのトレンド装備というと、以下のような感じです。

 ・リチウム電池のLEDライト
 ・大型サドルバッグ
 
しかし、PBPで多く見かけたのは以下のような装備でした。

 ・ハブダイナモのライト
 ・シートポストバッグ or シートポストキャリア
 
ハブダイナモ率はかなり高く、全体の4割くらいが採用している印象です。ハブのメーカーはシュミットとシマノが多数でした。走行抵抗は大きいのですが、ドロップバッグサービスを使わないなら私もハブダイナモにすると思います。PBPのコースなら長い登りもありませんし。


サドルバッグ率が低いのは驚きでした。メジャーなのは、トピークのダイナパックや、リクセンカウルのコントアーマグナム、キャラダイスのSQR等の、シートポストに取り付けるタイプのバッグ。他にも、シートポストにキャリアを取り付けて、その上に思い思いのバッグを取り付けている人も多かったです。


サドルバッグは全体の3割程度は居たと思いますが、多かったのはORTLIEBとAPIDURAです。特にAPIDURAは2013年に生まれた新興ブランドにも関わらず、多く見かけました。入手性の良さ、価格の手ごろさ、機能の豊富さが受けているのでしょう。私はOveja Negraで行ったのですが、他に使っている人は見ませんでした。

そしてサドルについて。「革サドルが大半を占め、全体の3割がSelle Anatomicaである」みたいな説明をどこかで見た気がするのですが、革サドルはそこまで多くない印象です。以前は革サドルが主流だったのかもしれませんが、ここ数年で近代のサドルは大きく進化しているということでしょう。


(13) 国籍傾向
調べる限り、約50カ国がPBPに参加しています。全員がフレームに取り付けるナンバープレートには国旗が書いてあるため、どこの国の人か判別可能です。

基本的にメインは欧州勢。やはり開催国であるフランスの人数は多く、全体の40%ほどがフランス人です。次いで、ドイツ・イギリス・イタリア・スペイン勢が多し。もちろんアメリカも大勢居ました。アジア勢では、日本人が多分最多。他には、台湾・中国の人をよく見かけました。

多国籍トレインを組むこともあったのですが、その構成が日本・イタリア・アメリカ・イギリスだったのを見て、「70年前ならありえないことだよなぁ」と思いました。やはりスポーツは平和の祭典。


(14) 様々な自転車
PBPにはロードバイクだけではなく、色々な自転車が出場しています。


インパクトがあるのはベロモービル。フルカウルのリカンベントですね。空気抵抗が少ないので、登り以外は恐ろしい速さで駆け抜けていきます。仮眠も快適そうでした。


驚いたのは、普段着にフラットバーの小径車でやたら早いおじさん。世界にもキクミミさんみたいな人がいるんだなーと。


もちろんタンデムの人もいます。日本からも二組のご夫婦がタンデムで出場しました。


(15) 写真サービス
フレームの前方と側面、及びヘルメットにはナンバープレートを付けることになっています。コース上には写真撮影会社が待機しており、後でその写真は販売されます。日本で言う「AllSports」のようなサービスですね。

ナンバープレートは画像解析され、自動的に分類されます。ナンバープレートを付けていなかったり、指定の場所以外のところにつけていると、上手く分類されません。


枚数が何枚であっても、その人の写真が全部で39ユーロでダウンロード可能。私は19枚だったので、1枚あたり2ユーロほどで写真を買うことが出来ました。国内の価格を考えると、お得感があります。なお、ダウンロードの上限数は5回まででした。



■走行レポート(往路)


Parisから西へ、Brestへと向かう往路のレポートです。

(1) START:Saint-Quentin-en-Yvelines ~ PC1:Villaines-la-Juhel

スタート地点はベロドローム前。ナンバープレートの頭文字順に集合場所に集められ、15分ごとに出発します。私とフィリップさんはM組で、18:45出発でした。


8/16 18:45きっかりに号砲が鳴らされ、出発!1200kmの旅の始まりです。

出発直後、Saint-Quentinの街を出るまでは交通規制が敷かれており、信号を気にせず走れます。それ以降は交通規制はありませんが、ほぼ信号は皆無です。


このような田園風景の中をひたすら進みます。見通しが良すぎ。日が暮れると、この道を埋め尽くす赤いテールライトが川の様に流れていく様が見えます。これには感動。50km地点でフィリップさんに千切られて、以降は色々な国籍の人たちと走っていました。


8/16 23:55、最初のポイント、Mortagne-au-Perche(140km)に到着。ここはPCではないので、素通りしてもOK。ただ、食料が少なかったので色々と買い込むことに。初めてのポイントなので何がどこで売っているのか解らず右往左往して、結局売店でエナジーバーを買って先に進みました。


深夜走行ですが、時折現れるオブジェが目を楽しませてくれます。本当に自転車の国に来たんだな、と思いました。


(2) PC1:Villaines-la-Juhel ~ PC2:FOUGERES

8/17 3:45、Villaines-la-Juhel(220km)に到着。ようやく最初のPCです。「Control」と書かれた矢印が出ていたので、それに従って建物に入ると、並べられた机に紫のオフィシャルシャツを着たスタッフの方が座っていました。「Bonjour(ホントはBonsoirのが正しい)」と言ってブルベカードを渡し、判子とサインを頂きました。


その後はバーで軽食。食べたら眠くなったので、床で寝ている人に倣って15分ほど仮眠しました。起きたら寒かったので、ウインドブレーカーを羽織って出発。


フランスのこの時期は6時ごろから辺りが明るくなり、7時ごろに太陽が昇ってきます。この辺りは今年のツールが通った地域のようで、多くの自転車関連のオブジェが見られました。


朝方の私設エイド。水を分けて頂きました。


(3) PC2:FOUGERES ~ PC3:TINTENIAC

8/17 8:30、FOUGERES(309km)に到着。ここでもブルベカードにチェックを貰います。


このポイントで初めてレストランを使ってみました。パスタ+鶏肉+サラダ+ヨーグルト。パスタを注文した後に、ラザニアの存在に気付きました。さすがに両方は食べられないので、帰りに食べることを誓う。味が薄いし鶏は大味でした……。

イタリア人集団と一緒にPCを出たら、ミスコース。彼らはサポートカーに向かっていたのでした。コースに戻ってしばらく走っていると、hideaさんに遭遇。私より数時間前に出発したはずですが、かなり眠くて仮眠を何度もしたそうです。ここからしばらくパックで。


(4) PC3:TINTENIAC ~ PC4:LOUDEAC

8/17 11:30、TINTENIAC(363km)に到着。日本で言うと、東京から出て名古屋に着いたくらい。


ここでETTジャージのkotonohaさんと遭遇!まさかフランスでこのジャージを見るとは思いませんでした。この後、kotonohaさんとは色々なところで遭遇することになります。

次のポイントであるQUEDELIACまでは、「Seattle Randonneurs」と書かれたジャージを着たアメリカ人と二人でローテーション。自転車には富士山のシールが貼ってあり、多分日本に来たこともあるのでしょう。話しかければよかった。


QUEDELIAC(389km)。PCではないながらも、ゆっくりと食事休憩。フランスに来て初めてのガレット(そば粉のクレープ)はここで食べました。そして、仮眠所のマットがフカフカで気持ち良さそうでした。


時折現れる美しい風景に癒されつつ、大ターミナルとも言えるLOUDEACを目指しました。


(5) PC4:LOUDEAC ~ PC5:CARHAIX

8/17 15:50、LOUDEAC(448km)到着。ここは道中でも一番大きなPCで、各国のドロップバッグもここに置かれています。早速、自分もドロップバッグを回収し、シャワーを浴びて新しいウェアに着替えました。


ここで初めて仮眠所を使用。1回4ユーロで寝ることが出来ます。4時間後に起こしてくれるように指定して、即眠りに落ちました。


4時間後に目を覚ますと、ガラガラだった仮眠所は満杯に。ちょうど睡眠ラッシュの時間だったようです。結構うるさかったので、耳栓を持ってきて良かったと実感。なお、指定時間の1分前に起こしに来てくれました。不正確という話でしたが、意外に正確でした。


ドロップバッグを再度預け、8/17 21:00にLOUDEACを出発。


出てすぐに、対向車線を走る自転車とすれ違いました。既にBRESTを折り返してきた集団です。彼らにとっては780km地点のはずですが、たった29時間でその距離をこなしていることに驚愕しました。


8/17 23:50、St.NICOLAS-DU-PELEM(494km)に到着。ここはPCではないはずなのですが、スタッフの人に「Control!」と言われました。どうやらシークレットPC(不正を防ぐために、予め知らされずに設置されるPCのこと)だったようです。通り過ぎなくて良かった。


ポイントの食事の中でベスト3に入る美味しさだった牛肉の煮込み。圧力鍋で煮込まれているようで、柔らかくて美味しかった。そしてここで日付変更を迎え、現地時間で31歳になってしまいました。誕生日に何をやってるんだか。

この辺りから、ポイントの出口で「Paris?Brest?」と行き先を聞かれるようになりました。PBPでは往復でほぼ同じポイントを通るので、こうした確認が必要になるわけですね。「BREST!」と応えてポイントを出ました。

出発してすぐ、山の中で事故現場に遭遇。既にオフィシャルのバイクが来ていたこと、多少動いていたことから止まらずに先に進みました。申し訳ないけれど、自分に出来ることは今後事故に遭わないように気をつけるくらいなので。そんなリタイヤは嫌なので、より一層気を引き締めました。


(6) PC5:CARHAIX ~ PC6:BREST

8/18 1:35、CARHAIX(526km)に到着。さすがに深夜ということもあって死屍累々。私も机に突っ伏して20分ほど仮眠しました。ここからBRESTまで90km。ちょっと寝ておかないとヤバイ。


ルート上の最高標高地点であるMorlaix。最高標高と言っても350mしかありません。

その先、BRESTまではひたすら人気の無い山の中を走ります。BRESTまで残り20km、道中最大の危機が到来。……腹が痛い!!この時の気温は8度。さすがに腹が冷えたようです。

ホント、この時ばかりはコンビニの無いフランスを呪いました。たまに現れる街にも、トイレが使えそうな施設はなし。これはいよいよ、初の野外体験をしなければならないのか……と諦めかけたその時、ホテルを発見!

 「Toilet!!」
 
と、フロントにいたおばちゃんに告げると、トイレに案内してもらえて事なきを得ました。なんとか尊厳を失わずに済みました。


その時に使ったホテルの名前が「ブリットホテル」でした。全く狙っている余裕なんて無かったんですが、綺麗にオチが付きましたね。BRESTに遊びに来る機会があれば、是非泊まろうと思います。


しばらく走ると、Elorn川を渡る大きな橋に出ます。ここは大西洋に通じる河口であり、フランスの端まで来たことを実感できる風景でした。同じパックで走っていた外国人も、

 「なぁ見ろよ!!Brestまでついに来たぜ!!」
 
と興奮していました。まだ半分あるんだけどな。ここからBRESTの街中までしばらく登ると、チェックポイントに至ります。


■走行レポート(復路)


Brestから東へ、Parisへと向かう復路のレポートです。

(1) PC6:BREST ~ PC7:CARHAIX

8/18 7:35、折り返し点であるBREST(614km)地点に到着! もっと海っぽい景色のPCかと思ったんですが、内陸でした。2011年大会は海沿いだったらしいんですが、今回はPCの場所が移ったそうです。


このPCでは初めてラタトゥイユを食べました。海沿いの町だし、魚料理が食べたかったんですが、生憎魚はありませんでした。ここでも食後に10分ほど仮眠。


これまで「BREST」と書いてあった案内看板が、ここから「PARIS」に切り替わります。PCを出てからしばらくは、BRESTの街中を走行。かなり大きな都市のようで、しばらくは信号に引っかかる場面が続きました。


折り返しの最高標高地点周辺では、多くの日本人ライダーとすれ違いました。ピンク色のAJ反射ベストは判別しやすくて良いですね。


CARHAIXのすぐ手前でマクドナルドに吸い込まれました。タッチパネルの端末が導入されており、英語の案内で注文が出来るようになってました。進んでるな……。


でも、出てきたビッグマックの大きさと味は日本のものと寸分違わず同じでした。アメリカンサイズが出てくるのはアメリカだけみたいですね。唯一、ポテトの塩分が薄いのが違いでしたが、デフォルトでケチャップが付いてきたので美味しく食べることが出来ました。期せずして日本の味を食べた気がして元気を取り戻す。


(2) PC7:CARHAIX ~ PC8:LOUDEAC

8/18 12:50、CARHAIX(698km)に到着。夜は気付かなかったんですが、各国の「ようこそ」が書かれたボードが置かれていました。こういうの嬉しい。


ここのPCで見かけた謎のバーテープ。ムックですぞ~。たしか中国の人の自転車でした。


CARHAIXを出て10kmほど走ると、道にスタッフが出て誘導しているのが見えました。シークレットPCです。スタッフの方は「Secret Control!」と呼びかけていたわけですが、通り過ぎて行ってしまう人も多数。彼らは認定されたんだろうか?

往路のシークレットPCだったSt.NICOLAS-DU-PELEM(733km)で仮眠。サドルバッグを枕にしたら良い感じで、25分も寝てしまいました。とりあえずこれでLOUDEACまでは問題なく持ちそう。

St.NICOLAS-DU-PELEMを出てすぐにスペイントレインに合流。中々良いペースで走ってくれるので、ずっとコバンザメでくっついていく。


(4) PC8:LOUDEAC ~ PC9:TINTENIAC

8/18 18:10、LOUDEAC(780km)に到着。ここでは、既にリタイヤしていたK内さんやカマノ夫妻にお会いしました。

再度ドロップバッグを回収し、シャワーを浴びて仮眠所へ。2回目なので慣れたものです。今度は2時間半を指定して仮眠を取りました。またしても寝る前はガラガラだったのに、起きたら満員。タイムスリップ感があります。食事を取ってから出発しようと思っていましたが、レストランが混んでいたのでバーでバナナを買って先へ。


PCを出てすぐに私設エイドが。


QUEDELIAC(839km)。ここではトイレと食べ物の補充だけ済ませてすぐに出発。先行していたフィリップさんに追いつきそうだったからです。途中まで100km以上離されていた訳ですが、膝の調子が悪くてペースを落としたとの事でした。


(4) PC9:TINTENIAC ~ PC10:FOUGERES

8/19 2:15、TINTENIAC(865km)到着。ここのレストランは2階にあり、階段を登らされます。足のダメージを嫌でも実感させられました。


マカロニ。同じゆで置きでも、麺状のパスタよりも、マカロニの方が美味いですね。食後はお約束のように眠くなり、レストランの床で30分ほど仮眠。ホント、今回のブルベはよく寝ている。


夜中に見かけた謎の看板。Japanese Mangaな絵柄。Ecoleとは学校のことらしいけれど、フランスアニメーション学院とかがあるんだろうか。


(5) PC10:FOUGERES ~ PC11:VILLAINES-la-JUHEL
8/19 5:37、FOUGERES(919km)到着。フィリップさんに追いついたかと思ったが、タッチの差で出発してしまったようでした。


結構眠気が強くなっていたので仮眠。仮眠所が一杯だったため、マットがレストランの床に敷かれていました。ありがたい!レスキューシートを纏って1時間半ほど仮眠しました。一度広げたレスキューシートが上手く畳めなかったのでここで処分。


起床後はレストランで食事。往路で食べ逃したラザニアを食べるぞー!と思ったのに売り切れ。仕方なくボロネーゼ。肉を山盛りにしてくれたおばちゃん、ありがとう。でもやっぱり味薄い。

さて、残り約300kmとなり、そろそろゴールの時間が気になってきた。このまま走り続ければ、今日中にはゴールしてしまいそう。ただ、確かホテルの予約は明日からだったはず。部屋に入れるのは、早くても明日の昼になります。

フィリップさんに確認のリプライを飛ばすと、やはり今日のホテルは抑えていないとのこと。ゴールしても仮眠所があるかも解らず、このままだとベロドロームの椅子で一晩を過ごさなければならないかもしれない。


ということで、この辺りからグルメポタリングモードへ。アイスクリームが食べられると書いてあったので、ピスタチオ&フロマージュ。美味い。そしてこの店ではトイレもお借りしました。入口にはタオルが置いてあり、「これで顔を拭いてきな!」と、気風の良いおかみさん。なんと有りがたいのか。


なぜかベッドまであった私設エイド(990km)にて、同じくLAPIERRE乗りのフランス人、Pouillouxさんとしばし雑談。極東の日本人が何故かLAPIERREに乗っているのが珍しかったようです。彼が乗っているのはロングライド向けモデルのPulsium。「32Cタイヤまで入るんだぜ!超快適だ!」と言ってました。リザルトを調べると、時間外ではあるものの完走したようです。


この辺りで、ついに走行距離は4桁に。そして、足裏に痺れと痛みが出てきました。やはり距離が4桁になると、それまでに無いトラブルが色々出てくるんですよね。


(6) PC11:VILLAINES-la-JUHEL ~ PC12:MORTAGNE-au-PERCHE

8/19 13:15、VILLAINES-la-JUHEL(1008km)到着。驚くことに、ツールドフランスのスタート地点と見まごう程の大盛り上がり。割れんばかりの拍手で迎えられてドギマギ。どうやらイベント化されているようで、司会者のマイクが辺りに響き渡っています。有名人らしき人が現れて大喝采を浴びていましたが、地元出身のプロ自転車選手とかなのかな?


ここで、ようやくフィリップさんに追いつく。膝の調子は完璧ではないが、だましだましなら走れるとの事。そして、ここで話し合いをした結果、ゴールまで60kmのラストPCで夜明けまで寝て、明朝9時前後にゴールするプランを決定。深夜ゴールだと下手すると誰も居ない可能性がありますが、朝9時ごろゴールなら盛り上がるだろうという算段です。


のどかな田園地帯をのんびりとライド。フランスを満喫している感じ。


そして驚いたのがヒマワリ畑。夜は暗くて気付きませんでしたが、実はコースの脇には大々的なヒマワリ畑が広がっていたのです。日本でも最大規模を誇る東北の「ひまわりの丘」を軽く上回るスケールに圧倒されました。既に枯れかけていたヒマワリが多かったのはちょっと残念。やはりツールドフランスの季節である7月が満開のようですね。


(7) PC12:MORTAGNE-au-PERCHE ~ PC13:DREUX

8/19 18:20、MORTAGNE-au-PERCHE(1088km)に到着。往路ではただのポイントでしたが、復路ではPCになっています。

ここでは、フィリップさんのご両親、叔父さん夫婦がお出迎え。今回、サポートカーとして走ってくれていたのですが、会ったのはここが最初で最後でした。フィリップさんのお父さんから貰った梅干でしばし日本を思い出しました。

眠気があったので、フィリップさんは先に行ってもらうことに。10分仮眠をして出発。

良い感じに走るトレインがあったので、3人で回しながらしばし快走。が、途中の坂で他の2人がミスコースして一人になってしまいました。仕方ないので一人で走っていると、イタリア人のおばちゃんがいるトレインに接続。自信満々に進むので付いていったら痛恨のミスコース!片道2km、往復4kmも余分に走る羽目になりました。


(8) PC13:DREUX ~ GOAL:Saint-Quentin-en-Yvelines

8/19 23:22、DREUX(1166km)到着。ようやく最後のPCです。


ここでは、AR日本橋の代表の坂東さんにお会いしました。彼はAJ設立後に初めてPBPに出場したうちの一人で、これまで4度の出場を誇る猛者です。

仮眠所前でフィリップさんと再度落ち合い、起床時間を確認。どうやら4:30に起きれば良い感じの時間にゴールできそうです。

ここの仮眠所では何故か4ユーロを取られず、そのまま仮眠へ。しかし、あまりの寒さに目を覚ましてしまいました。ここの仮眠所ではブランケットの類は提供されなかったのです。レスキューシートを捨ててしまったことを後悔しましたが、サドルバッグを漁ったら輪行袋が!これを掛け布団代わりに4:30まで仮眠しました。


起床後はレストランへ。何を食べようかな……と迷っていたら、FOUGERESで売り切れだったラザニアがあるではありませんか!朝5時からラザニアってのもどうかと思いましたが、これを逃したらもう食べるチャンスはありません。1秒迷って即注文しました。


また、ここのレストランはデザートが充実。本イベントが名前の由来となった「パリブレスト」もありました。PBP中に食べるパリブレスト、最高です。

お腹も満たしたところで出発。フィリップさん&kotonohaさんと3人パックでどんどん進む。空模様が怪しく、時々パラっと雨が降ってくるものの、本降りにならないのは僥倖でした。

そして、ここで通りかかった取材クルーと思しき人たちに走りながらインタビューを受けました。

 「調子はどうだい?」
 「辛いですね!」
 「日本は左側通行だけど、戸惑わなかった?」
 「戸惑ったけどもう慣れたよ!」
 
こんな会話を英語で交わした気がします。この辺りになるとノリは既に外国人です。

残り15kmを切ると、徐々に風景が都会になり、信号も増えてきました。ラストは街の中を凱旋して終わりだ!と思ったのですが、スタッフの誘導で公園の中のサイクリングロードのような所に行くように指示されました。往路で通ったルートを見ると、かなりの交通量。行きは交通規制をされていましたが、帰りは規制できないので、こうした安全なルートを通らせたのでしょう。


ラストは、日本人3人でゆったりとゴール。85時間46分でした。ゴールゲートも何もないのがちょっと寂しいですね。センサーの上を通るだけでした。一応、ここまでの時間が認定タイムとなるようです。


ゴール後は、ベロドロームの中でゴール受付。ブルベカードに最後のチェックを貰い、無事に受理されました!


これが完走証明。「さようなら、そしてまた2019年に会おう……」と粋なことが書かれていました。


ゴール後の食事。出店などはなく、飲み物が売っているだけのゴール地点。それまでの厚遇っぷりに比べて、ゴール後の扱いのギャップが大きいな印象です。いや、それまでが至れりつくせりであっただけでコレが普通なのですが。


ベロドローム内で食事をしていると、続々とゴールしてくる人たちが全員びしょ濡れであることに気付きました。どうやら、我々がゴールした直後から本降りになったようです。結局、最初から最後まで雨に降られなかったのは幸運でした。初めて雨具を使うのが、ゴールからホテルまでというのは変な感じでしたが。


ということで、雨具を着て「ゴールっぽい」ところで記念撮影。これにて私のPBP2015は終了しました。


■まとめ



初の海外。初の1200kmブルベ。見るもの全てが新鮮でした。まずは無事に帰ってこれてよかった。そして、本当に参加してよかった。

各ポイントの充実ぶりもさることながら、最も感動したのは地元の人たちの歓待です。一度出場した人が何度も出場したくなるのも納得のイベントでした。日本でもこんなイベントが出来ないだろうか……と考えるようになりました。コンビニがこれだけ充実している日本では難しいのかもしれませんが。

次回も出場できるかは現段階では解りません。ただ、いつかまた機会があれば是非参加したいイベントの一つになりました。それまでには少しでもフランス語を話せるようになっていると良いのですが。

最後に、今回のPBP行きに協力して下さった全ての方、そしてPBP運営スタッフの方に感謝します。ありがとうございました。


価格評価→★★★★★(ホスピタリティを考えるとスタッフの方の努力に頭がさがる)
評   価→★★★★★(あらゆる意味で世界最高峰のブルベ)
<オプション>
年   式→2015
 
baru  2016-2-5 23:12
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[Race & Event] PBP(Paris-Brest-Paris) 2015
総予算 30万円前後(参加費145ユーロ)



追加レビューです。参加から半年、記念品が届きました。

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フランスから、完走記念のメダル等々が届きました。内容物は以下の通り。

 ・完走記念メダル
 ・リザルト(冊子)
 ・ブルベカード
 ・ドキュメントDVD
  

メダルは予想外の大きさ。普通のメダルの3倍はあるでしょうか。重量は実測115g。完走時間が刻まれています。一点もの!


写真を撮り忘れて提出してしまったブルベカードですが、ようやく戻ってきました。一つ一つ違ったスタンプで、その時の思い出が蘇るようです。

記念DVDは、全体を35分に纏めたドキュメント。これも思い出が蘇ります。残念ながら私は写っていませんでした……道中、結構取材されたんですが。

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終わってからも楽しませてくれる。本当に素晴らしいイベントでした。改めて、参加して良かったと思います。


価格評価→★★★★★(ホスピタリティを考えるとスタッフの方の努力に頭がさがる)
評   価→★★★★★(あらゆる意味で世界最高峰のブルベ)
<オプション>
年   式→2015
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