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標準価格: ¥5,247(税込)
『最大の長所は耐パンク性の高さ。出先でのトラブルを回避するだけでなく、パンクを恐れずに未舗装路を走れる』
■ Gravel Kingとは
Panaracer Gravel King(グラベルキング)は、その名のとおり未舗装路に対応したツーリング用タイヤだ。ロードバイクでも舗装路から未舗装路まで自由に走ることをコンセプトとしており、未舗装路を走行するために耐パンク性、耐摩耗性、耐久性が強化され、長距離でも疲れないように軽量化かつ振動吸収性に優れた仕様になっている。
トレッドパーターンは舗装路を意識したミックスパターンを採用。舗装路を重視したブロックパターンのGravel King SKもラインナップされている。サイズは700×23C、26C、28C、32Cと27.5×1.50、1.75がある。トレッドはすべて黒で、サイドのカラーは黒と茶を選べる。
Panaracer Gravel King 700×28C ブラック
■ ロードバイクとの相性を考えて購入
私が所有するGIANT DEFY1 DISCは、快適性(振動吸収性)に優れており、荒れた路面を積極的に走りたくなる自転車だ。タイヤのクリアランスも広く、700×28Cまで対応できる。DEFY1 DISCの長所を生かすために選んだタイヤは、グラベルキングの700×28Cだ。未舗装路も走れる耐パンク性の高さとエアボリュームによる乗り心地の良さに期待した。700×25Cから交換するとこぎ出しが重くなる可能性があるが、700×28Cをクロスバイクで使った経験から、重量増の影響は大きくないと判断した。
快適性と走破性に優れたGIANT DEFY1 DISC
■ 取り付け
グラベルキングはビードが硬く、取り付けるのが大変だった。ビードのある部分をリムにはめると、別の部分がリムから外れてしまう。結局、私の家族の手も借りて取り付けた。取り付けたのはワイドリムのホイールだが、ナローリムではもっと苦労すると思う。ただ、使っているうちにビードがなじむようで、チューブ交換の際にはタイヤレバーを使ってひとりでスムーズにタイヤを着脱できた。これなら出先のパンク修理でも着脱に苦労はしないはずだ。
GIANT DEFY1 DISCなら、700×28Cでもタイヤクリアランスは問題ない
■ 舗装路の走行
○こぎ出し(ゼロ発進)
カタログ重量は270gと700×28Cにしては軽い方だ。DEFY1 DISCに付属するGIANT P-SL1 TIRE 700×25Cよりも35gくらいしか重くなっておらず、こぎ出しへの影響はほとんど感じられない。100kmを超えるロングライドであっても、信号待ちで発進と停止を繰り返しで、タイヤの重さによる疲れも感じななった。
実測では261gと270gだった
○転がり抵抗
耐摩耗性を重視した硬めのコンパウンドのおかげもあって、グラベルキングの転がり抵抗は良好。やや高めの空気圧にセッティングすれば、ロードバイクらしい軽快感をほぼそこなわず、30km/hでの巡行も楽に行える。ただ、ヤスリ目のトレッドパターンが影響しているのか、35km/hを越えると地面にタイヤが引っかかるような感じがする。私の普段の巡航スピードならあまり問題はないが、ロードバイク用のスリックタイヤの方が転がり抵抗は低いようにも思える。
○グリップ力
700×28Cのタイヤ幅とエアボリュームのおかげもあって、やや高めの空気圧でも高いグリップ力を発揮してくれる。ただ、コンパウンドは耐摩耗性を重視した硬めのタイプのため、地面への食いつきのよさは際立っておらず、モチモチと張り付くような感じはしない。それでも、タイヤがしなやかに路面に追従する感覚があるのは、126TPIと高めのケーシング密度のおかげだろう。また、ヤスリめのトレッドパターンのおかげで、雨上がりの濡れた路面でも滑る心配はない。
ヤスリ目のトレッドパターン
○快適性
700×25Cから乗り換えると、快適性の向上を実感できる。GIANT P-SL1 TIRE 700×25Cよりも空気圧を0.5bar高くして使っているが、グラベルキングの700×28Cの方が乗り心地がいい。エアボリュームの大きさのおかげでマイルドな乗り心地になり、地面の不快な振動もカットしてくれる。高いケーシング数によるしなやかさも乗り心地の良さに貢献し、コンパウンドはやや硬めだが乗り心地を損なうほどではないようで、ゴツゴツとした硬い乗り心地にはならない。100kmを超えるロングライドでも、特に乗り心地を重視して空気圧を下げる必要は感じなかった。
FULCRUM RACING 5 DBやGIANT RWS OFF ROADとの相性も良好。これらのパーツは、加速やダンシングでの反応性を高めてくれるが、同時に乗り心地が硬くなりやすい。グラベルキングの700×28Cなら、硬くなった乗り心地を相殺しやすく、反応性の高さと乗り心地を無理なく両立することも可能だ。
○直進安定性・コーナリング・ダンシング
タイヤの中央部が平らで横幅も広いので、車体のふらつきにあまり気を使う必要がなく、シッティングで淡々と巡行するような走り方には向いている。ただ、コーナリングで急に車体を大きく傾けると、タイヤの角の丸みが小さいため、ワンテンポ遅れて車体が倒れるような感じがする。これはダンシングで大きく車体を左右に振る場合も同様で、ロード用のタイヤとは若干挙動が異なる印象を受けた。タイヤの剛性は十分に高いので、コーナリングやダンシングで横方向のよれを感じることはない。
○ブレーキ性能 ※シマノのロード用油圧式ディスクブレーキ
タイヤの外径が大きくなったからか、P-SL1 TIRE 700×25Cと比べると、強めにレバーを握った際のブレーキの効きがマイルドになった。
制動力がわずかに低下したともいえるが、160mmローターならこれくらいの方が扱いやすい。思いっきりレバーを握れば、ホイールをロックさせることも可能。これはリアを140mmローターにしても同様だ。ブレーキのフィーリングは少々変わったが、小さな握力で大きな制動力を発揮できることに変わりはなく、実用上はまったく問題ないといえる。
700×25Cのタイヤよりもブレーキの効きがマイルド
○空気圧
空気圧のセッティングで乗り味が大きく変わるのが、700×28Cを選ぶメリット。好みや目的に応じて、空気圧を幅広くセッティングできる。舗装路での軽快な走りを重視する際には、私はフロント6.5bar、リア7.0barにしている。基本的に硬めのタイヤなので、これを上回る空気圧ではタイヤが跳ねやすく、グリップ力と快適性が下がると感じた。グリップ力と快適性を重視する際には、0.5〜1.0bar下げることが多いが、転がり抵抗が大きくなるぶんだけ走りが若干重たくなる。それでも、30km/hくらいで巡行するなら大きな問題ではない。
空気圧の微調整のために、空気圧ゲージがあると便利
■ 未舗装路の走行
○グリップ力
舗装路に合わせたやや高めの空気圧の場合は、砂利や土などの比較的硬い路面ではタイヤが跳ねやすいが、ヤスリ目のトレッドパターンのおかげで細かい砂の上では滑りにくい。芝生や泥などの柔らかい路面では、舗装に合わせた空気圧のままではしっかりグリップできず、前に進みにくい。舗装路を本格的に走行するには高めの空気圧のままでは無理があるが、それでもタイヤ幅とエアボリュームのおかげで、700×23Cや25Cのロード用のタイヤよりはずっと走りやすい。
○直進安定性
ロード用のタイヤよりも接地面積が大きいので、舗装路のやや高めの空気圧のままでも、砂利や土などの比較的硬い路面ならバランスを取りやすい。この点も700×23Cや25Cのロード用のタイヤよりも優れている。ただ、タイヤが跳ねやすいことは確かなので、ハンドルを取られないように気を使う必要はある。舗装路から未舗装路に侵入する際にも、タイヤが急に跳ねてコントロールを失わないように、十分に速度を落とした方がいい。
○空気圧
舗装路に合わせたやや高めの空気圧のままでは、タイヤが跳ねてグリップ力と直進安定性が低くなり、未舗装路での走破性の低さにつながる。ただ、未舗装路の距離が短かったり大きな公園を散策したりする程度なら、スピードを低くして車体のバランスを保つことで対応でき、後述する耐パンク性の高さと相まって安心して走れる。
空気圧を大きく下げればグリップ力が高まるので、未舗装路がかなり走りやすくなる。だが、未舗装路に合わせた低い空気圧では、舗装路の走りの重たさや、コーナリング具やダンシングでのタイヤの剛性の低さが気になってしまう。だから、未舗装路も走る可能性がある場合は、舗装路の走りの軽快感を損なわない程度に空気圧を下げるにとどめている。舗装路と未舗装路の両方をベストな状態で走るには、そのつど空気圧を調整するのがベストだと思う。そのためには、今後、高圧に対応した携帯ポンプが必要だ。
未舗装路を走りやすくするためには、空気圧を下げる必要がある
■ 耐パンク性・耐摩耗性
グラベルキングの最大の長所は耐パンク性の高さであり、これまで一度もパンクをしたことがない。このことは舗装路でのトラブルの回避につながるだけでなく、パンクを恐れずに未舗装路を走ることを可能にする。以前は砂利道では自転車を押し歩きすることが多かったが、グラベルキングなら安心してそのまま走り抜けることができる。異物の突き刺さりにも非常に強く、タイヤの表面には突き刺さりの跡がほとんど見られない。コンパウンドの耐摩耗性も高く、約5カ月間の使用では、リアのヤスリ目のトレッドパターンがわずかに消えた程度で済んだ。
フロント(左)、リア(右)
■ 総評
グラベルキングは、舗装路の走りの軽快感をほとんど損なわずに、未舗装路への対応に成功したタイヤだと感じた。最大の長所は耐パンク性の高さであり、舗装路でのトラブルを回避できるだけでなく、未舗装路をパンクを恐れずに走れるようになる。ただ、未舗装路をしっかり走るためには、空気圧を下げてグリップ力を高める必要がある。個人的には、舗装路の高めの空気圧のまま、耐パンク性の高さを生かして未舗装路も楽しむというのが実用的だと感じた。本格的な未舗装路の走行ではなくとも、路面を選ばず走り回れるだけでも大きな価値がある。
ロード用のタイヤとしても満足感が高く、グリップ力や転がり抵抗も良好。700×28Cならエアボリュームを生かして、グリップ力と快適性の高さを味わえる。耐摩耗性が高い硬めのコンパウンドにもかかわらず、高めの空気圧でもしなやかさを感じることができ、各性能のバランスが非常にいい。ただ、これらの走行性能の評価は、”耐パンク性が高いわりには”という前置きが必要なのも正直なところだが、目的や路面を選ばずオールラウンドに自転車を乗るなら、グラベルキングはベストな選択だと思う。
太めのタイヤの見た目もわりと気に入ってる
価格評価→★★★★☆ (コストパフォーマンスが高い) ※販売価格での評価
評 価→★★★★★ (路面を選ばずオールラウンドに楽しめるタイヤ)
<オプション>
年 式→ ー
カタログ重量→270g(実測では261gと270g)