購入価格:$199 (@直販。送料失念、$30位?)
φ27.2mm、300mm長で25mmセットバックのものをLynskeyのウェブショップから直接購入しました。サドルレールクランプ機構を除く全てがチタン合金製(3AL2.5V)。丸断面パイプ2本をTIG溶接した極めてシンプルなデザインで、耐久性も期待できます。
・充実のサイズラインナップ、丁寧なサービス
他にも同径でゼロセットバック、φ31.6mm(こちらはゼロセットバックのみ)、400mm長のものなどいくつかバリエーションがありますが、パイプ径や長さが変わっても価格は全て$199の据え置き。ブラッシュフィニッシュのみで、ロゴなしかLYNSKEYロゴのホワイトデカール、レーザーエッチングロゴが選択できます(レーザーエッチングだけは$75のアップチャージ)。初期モデルのクランプ機構はテンションバーとクレイドル、ヨーク2本を使った一般的な2本締めギロチンタイプでしたが、現行モデルはすべてENVE Composites製のクランプに統一されています。7mm丸断面レール用のウェッジ(M6チタン合金ボルト付)とオーバーサイズカーボンレール用のウェッジ(M5クロモリボルト付)の両方が標準で付属しているのはなかなか親切です。
梱包はしっかりした段ボール箱で、ポスト本体にも水道管用の断熱材を用いた養生が施されて送られてきました。こういった細かな気遣いは、フレームや完成車の発送に慣れているビルダーならではでしょう。
・完璧な精度、ただ仕上げはちょっと粗い。カットはかなり面倒なことに。
パイプの精度は完璧で、TIG溶接のビードも美しく熱による歪みもありません。が、肌理が若干荒れている箇所があり、ブラッシュとはいってもあまり手間を掛けて処理はしていない印象。まあ性能とは直接関係ありませんし、気に入らなければスコッチブライトで丁寧に撫でてやれば綺麗になるので良いのですが。
実測重量は公称通りの206g、パイプはプレーン管ですが肉厚は約1.0mmなのでそれほど重くありません。ミニマムインサーション(最低限シートチューブに収まっていなければならない長さ)は110mm、私のロードでは少し余るので60mm程カットしたところ、25gセーブできました。切断にはハックソーと32TPIのバイメタルブレード使用しましたが、かなり難儀でした。新品のブレードをおろしてギリギリまでテンションを掛け、カッティングオイルも使ってどうにか切断できましたが、使ったブレードは1発でご臨終です。摩擦と発熱によるかじりつきが尋常ではなく、あっという間に刃がなまくらに…工具に厳しいチタン合金、フレーム製造コストの闇が垣間見えた瞬間でした。ワンハンドソーではまるでお話にならないでしょう。
・優美なライン、チタンポストとしては最大級のセットバック量。
セットバック版はベンダーで曲げられており、非常にシンプルでクリーンな外観をしています。購入に当たっての最大の動機が、このカーブが醸す雰囲気とたっぷりとしたセットバック量。通常チタンシートポストのセットバックは20mmあたりが上限ですが、これは25mmあります。カスタムフレームを依頼したFireflyでもシートポストを作ってくれるのですが、製法の都合上可能なのは20mmまでとのことでした。低いサドル高でも十分なセットバックを稼ぐのにここはこだわりたいポイントだったので、他所のものとは思いつつもLynskeyのロゴなしを手配したのでした…後日FireflyのKevinとフレームデザインのディテールを詰める際事情を説明したのですが、フレーム・ステム(こちらはFirefly製)にあわせてポストにも貼れる様にと予備のデカールを分けてくれたのでした。しかも無料で…本当にありがたいことです。そういうわけで、紛らわしいのですが私のLynskeyポストはFireflyのデカールをマスキングに使ってポリッシュロゴを入れました。
・微振動はそれなり、中~大入力はおもったよりも減衰できる。
肝心の使用感ですが、ヤグラまでフルカーボンのENVE製ポストと比べると微振動の減衰は不得意なようですが、路面が荒れてくると優しくなる不思議な乗り心地です。肉厚1.0mmのパイプでも低速ではやはりアルミやカーボンより少し突き上げがキツく、Cannondale Hooliganで使っている31.6mmのThomson Eliteよりも微振動が多い印象ですが。しかし一旦ペースが上がると振動があまり気にならなくなるのが不思議なところ。一方、ウェッジを支える円筒がENVEオリジナルのアルミ合金からチタン合金に変わりより確実にサドルを固定可能になっていますし、耐久性も間違いなく高まっていることから、低速時の乗り心地にさえ目を瞑れれば全体的な完成度は本家ENVE製より高いんじゃないかと思えます。カーボン製の方は前後方向に厚を落して撓りやすくする加工も入っているので全速度域で乗り心地がかなり良いのですが、チタンポストは実用速度域にのみフォーカスしているような印象。ガチガチに硬いフレームとでは低~中速域の乗り心地が厳しくなるでしょうが、比較的価格も抑えられているので、ロゴなしを買って他社のチタンバイクに使うのもアリなのではないかと思います。
価格評価→★★★★☆ (オリジナルのカーボン製よりややお求めやすい)
評 価→★★★★☆ (サイズ豊富・性能十分で満足度は高い)
年 式→2014
カタログ重量→ 206g (実測重量 206g)