ENVE Composites 25mm Offset Seatpost
購入価格: $250 (@ ebay、送料別)
φ27.2mm、400mm長のものをカットして使っています。
・軽さよりどちらかというと強度重視。
カット前の実測重量は187g、15cm程カットした後の重量は148g。このことからも分かると思いますが、かなり分厚いパイプを使っています。このポストはMTBやシクロクロス使用でも耐える強度を持っているそうですが、その理由の一端がこの異様に分厚いパイプ。ロードユースオンリーの軽量ポストと比べると1.5倍近い厚さがあります。
・合理的で軽量な設計のクランプ、ただしカーボンレールとの相性は△
特徴的なクランプメカニズムを持っていますが、要はRitchey WCSなどの1ボルトハグタイプのものと同じ原理で、左右からウェッジを挟みこんでボルトを締めると円筒内でクレイドルが押し付けられ、サドルレールとクランプ機構自体の位置決めを同時に行うという非常にシンプルな構造。クレイドルとウェッジが喰い付く円筒内部には強い摩擦力がかかるので、アルミインサートで補強がされています。ウェッジは通常の7mm○断面用の他カーボン製の楕円径レールに対応するためのオーバーサイズレール用ウェッジが用意されています。通常販売品を買えば両方付属しているのでわざわざ買い増す必要はありません。
私はFi'zi:kのブレイデッドカーボンレールと組み合わせて使っています。オーバーサイズレール用のウェッジを固定するボルトが50mm以上あるM5サイズなのでトルク管理に気を使わせられるという点以外、特に異音やサドルのズレなどの問題もなく使えています(ただしオンロードユースのみです)。通常レール用のウェッジで使うボルトはM6で短いですから特に神経質になることもないのですが、オーバーサイズ用はウェッジ自体が小さく、何よりボルトが細いM5なのでサドルを交換する際はヒヤヒヤもの。一応トルクレンチで8Nm位まではウェッジ側に問題が出ないのは確認済みですが、色気をだしてチタン合金ボルトに換える場合には注意が必要です。精度の悪いものは組み付け時にあっけなく痛んでしまいます。一応私の使い方ではチタンボルトでも大丈夫そうなのですが、特に大きな軽量化になるわけでもないですし、素直に付属のクロモリボルト使用をオススメしておきます。最近発表された新型ではウェッジの形状が見直されたらしく、オーバーサイズレール用も扱いのデリケートさは払拭されているとか。併せてステムやハンドル同様にカラーがブラックオンブラックに変更されているようです。
・厚手だけれども乗り心地は意外と優しい
カーボンパイプは肉厚だと先に述べましたが、Thomsonのアルミポスト同様前後の肉厚は敢えて落すことで撓りが出るようにしてあります。実際微振動から中程度の入力までバッチリいなしてくれるマイルドな乗り心地なのですが、大入力を受けるとサドルクランプがずれてしまう可能性があるので、走行中にやむなく段差へ乗り入れる時はきちんと抜重を心がけたほうがいいでしょう。
・総評
強度や信頼性の面で深刻な欠点を抱えているような事はありません。値段なりに品質は高くすっきりした外観と合理的な設計は魅力的で、満足度も高いのですが…競合と比べると割高なのは事実で、はたして価格差を正当化できるだけの差はあるのか、というとそこは微妙なところ。ぶっちゃけ半額で買えて何の不具合もなく使えるFi'zi:k Cyrano Carbonの方が使い勝手においても優れている面があります。が、ENVEのコンタクトポイント各種はデザインを完璧に統一できるコンボであり、性能も一定以上で耐久性にも不安なく使える、という稀有な存在でもあるんですよね…
価格評価→★★★☆☆ (どこも安売りしてないんですよね、ENVEは)
評 価→★★★★☆ (価格なりに高品質、カーボンレール用クランプはちょっとデリケート)
年 式→2013
カタログ重量→ 195g (実測重量 187g)