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リチウムイオン電池18650の特性について


 
GlennGould  2015-5-1 19:58
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リチウムイオン電池18650の特性について
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えー、電池ファンの皆さん・・・
元気ですかっ!!

唐突ですが本レビューでは、LEDライト用パワーソースとしても一般的になってきたリチウムイオン電池『18650』・・・
この18650って一体どういう素性の電池なのか??
そこを探ってみました。

がしかし、うっかり長文になってしまいました。

「そんなこと探って一体、何になるんだ ? 」
「もうばかなことはよせ!」

という声が聞こえてきそうです。全くの私的興味でまとめただけの代物で恐縮です。
が、電池ファンの方、お時間のあるときに、是非どうぞ!


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18650はいわゆるリチウムイオン2次電池と称される充電電池のひとつの規格です。充電して繰り返し使えるのが2次電池ですが、この2次電池は古くからある鉛蓄電池から、ニッケルカドミウム、ニッケル水素、そして時代は流れてハイパワーなリチウムイオンにシフトしつつある、と言うわけです。

18650は元々、ノートPCなどのモバイル情報機器向けのものですが、用途は極めて広範で、米テスラモーターズのスーパーカー風電気自動車 ”Roadster” には台あたり数千個(!!)搭載されているようです。リチウムイオン電池の商用化は歴史がまだ浅いのですが、この18650はモバイル向けということもあり、色々なメーカーにより大量に製造され、急速に価格も手ごろになったことで大変身近な存在になっています。恐らく信頼性という意味でも、リチウムイオン電池の中でもかなり良好なのではないか、と推測されます。また、端子電圧がニッケル水素2次電池の3倍程度あるので、順方向電圧の大きい白色LEDを駆動する上で有利であることから、自転車用ライトへの応用も時間の問題だろうなー、と思われましたが案の定、です。

なお、円筒型のリチウムイオン電池の規格は、ミリ単位の直径と長さの計5桁で表されます。18650は、径18mm長さ65mmがその名の由来(ですが実物サイズばらつきが大)。 現在、市場に流通している円筒型電池の規格としては、径26mm長さ65mmの26650や、径10mm長さ44mmつまり単四サイズの10440なども存在しています。26650の重量は18650の倍ほどになりますがライトのランタイムも18650の2倍程度と考えられ、自転車用としても魅力的です。CATEYEなどは恐らく、26650の調達コスト推移を睨みつつ商品化を模索しているのではないでしょうか?


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本稿では、自転車ライト用パワーソースとして欠くことのできない存在となったリチウムイオン電池である18650の特性について考究し、理解を深めます。その過程で、リチウムイオン電池の計算モデルを作成し、放電特性を計算することで、さらに理解を深めます。

とは言っても、電池に関して素人の論考であり、しかも一般に出回っている最低限の特性表と睨めっこした結果に過ぎない考究です。というわけで、電池ファンの中高生(ってそんな人いるんか??)の夏休みの自由研究ネタには格好かも知れませんが、それ以外の研究に供するようなネタは提供していないことを最初にお断りしておきます。
(前振り長すぎ)



■■■ 民生用リチウムイオン電池の選定 ■■■

民生用リチウムイオン電池としてPanasonic NCR 18650 を選択します。選択理由は数年前、偶々WEB上で仕様概要を見かけたから。

 Panasonic NCR 18650


現在の仕様概要は以下の通りです。≪ACA4000CE240 pdf≫で検索すれば行きあたります。(2015年5月1日現在)
余談ですがこれは2012年製のspecシートです。で2008年頃のspecシート(恐らく現在WEB上では入手不可能)と比較すると、同じように見えて微妙に違います。また、細かいところでは最大重量が2gだけ大きくなっていました。頑張って詰め込んだのでしょう。


fig.1 18650のspec (Panasonicデータシートから引用)


表を日本語にすると次の通り。

容量 : 2.9Ah(typical @25°C)
定電圧充電時最大電圧 : 4.2V ( @25°C)
定電流放電時電流 : 550mAで端子電圧2.5Vまで可能 ( @ 25°C)
名目電圧 : 3.6V
解放端子電圧 : 4.2V近辺(この件は数値記載なし)
質量 : 約46.5g
エネルギー密度 : 体積密度577Wh/L、質量密度214Wh/kg

エネルギー密度は、体積密度で577Wh/Lですが、これは、これまで広く使われてきたニッケル水素電池と比較すると、およそ倍です。価格も手ごろになってきた18650はLEDライトに好適であることは明白です。



■■■ メーカー公表特性図の実際 ■■■

Panasonicが公開している特性図を引用しながら説明します。なお、本論考の性質上、特性図の引用は必要不可欠であり、したがって著作権上の問題は存在しないと判断しています。なお、Panasonicが公開しているこの資料には、” The data in this document is for descriptive purposes only and is not intended to make or imply any guarantee or warranty. ” の旨が記載されています。また本論で私が展開する議論は、あくまでも電池特性の考え方、電池モデルの構築方法の一例を示しただけであり、PanasonicのNCR 18650の特性をごく大雑把に推定し、説明しているだけに過ぎないことをお断りしておきます。



■■■ 放電特性 ■■■

これは25℃における放電特性で、電池の端子電圧が低下して2.5Vに到達するまで放電した場合の特性です。


fig.2 18650の放電特性(Panasonicデータシートから引用)


例えば上から2番目の茶色の線。これは0.5Cで放電しています。
このCの定義は・・・

横軸のmAhは、『ミリアンペア・アワー』と読みますが、これは電池容量を表します。電池容量というのは電池を放電させてから放電終止電圧(この電池では2.5V)に至るまでに取り出した電気量mAhのことです。
例えば、の話ですが、電池容量が2800mAhの電池というのは2800mAつまり2.8Aの電流を 1 時間流すことができる電気量を持っていることになります(1000mA = 1A)。 ここで放電レートが 1C というのは、電池容量2800mAhの電池を一定電流で放電して、ちょうど 1 時間で放電終了となる電流値で放電する、ということで、単なるお約束、です。つまり、2800mA×1hour = 2800mAh という具合。

というわけで図の赤茶色の線。これは0.5Cですから2時間で放電終了となる電流値ということになり、1400mA×2hour = 2800mAh ということです。図の各線の放電速度を整理すると、以下のようになります。

青線・・・0.2C・・・5時間で放電終了なので2800/5 = 560mA×5hour = 2800mAh
茶線・・・0.5C・・・2時間で放電終了なので2800/2 =1400mA×2hour = 2800mAh
緑線 ・・・1C ・・・1時間で放電終了なので2800/1 =2800mA×1hour = 2800mAh
紫線 ・・・2C ・・・0.5時間で放電終了なので2800/0.5 =5600mA×0.5hour = 2800mAh

図の横軸は電池容量です。放電電流によって電池容量に差が出ていますが僅かですね。大電流で放電するとAh容量が小さくなるかというと、実はそうでもないようです。2800~2900mAhで端子電圧が急降下となり、凡そ似たような値に収まっています。spec表では、typicalで2900mAhとなっていましたが、とりあえず上のCの説明では2800mAhを採用しておきました。



■■■ 端子電圧に注目!! ■■■

ここで注意したいのが電池の端子電圧です。大電流放電の場合ほど、端子電圧が下側にシフトしています。次の図では紫線で囲まれた部分を薄紫でハッチングしてみました。このハッチングした面積を仮にSとします。この図では電圧が2.5Vのところまでしかグラフがないので、2.5Vまでしかハッチングされていませんが、実際にはゼロVまでハッチングしているつもりでご覧ください。


fig.3 18650の放電特性 (Panasonicデータシートから引用) に紫ハッチング部を加筆


この面積Sは縦軸の電圧を横軸のAhで積分して得られますので、単位はVAhとなります。VA(ボルト・アンペア)というのは実は、W(ワット)ですから、VAhはWh(ワット・アワー)となり、放電終了までに電池が外部に供給できる電力量ということになります。電力料金算出の根拠になる数値です(というのは余談)。

さきほど、放電電流による電池容量の差は微差、と言ったばかりですが、電力量には差がある、ということになります。目勘定ですが、青線の0.2C放電と、紫線の2C放電では、1割位違うのでは?? 結局、

≪放電電流の大小で電池容量には差はほとんど生じないが、外部に供給できる電力量には有意な差が生じる≫

と言うことになります。放電電力(W)が大きいほど、取り出すことができる電力量(Wh)は少なくなります。



■■■ 充電特性 ■■■

これは25℃における充電特性です。横軸が充電時間です。


fig.4 18650の充電特性の1事例 (Panasonicデータシートから引用)



■ 一定電流充電の期間は76分まで ■

上図fig.4の緑線に着目します。これは電池に流入する充電電流ですが、76分までは1950mAの一定電流で充電しています。この76分からは、今度は青線が一定になります。青線は電池の端子電圧です。ここまで青線は徐々に大きくなり、76分時点で4.2Vになっています。そして赤線。これは電池に充電される容量mAhですが、0mAhからスタートして76分時点で2400mAh付近まで到達しています。

以上の動作はつまり、
・76分までは1950mAの一定電流で充電するが、
・そのために電池に加える電圧は青線のような右上がりの変遷を辿り
・電流が一定なので、それを時間積算した電池充電容量は赤線の如く右上がりの直線になる

というわけです。充電器は76分時点まで一定電流充電のための制御をおこなっていることになります。なお、この電池は端子電圧が2.5Vで空っぽに近い状態から充電をスタートしていますが、残量がある場合には、1950mAの一定電流で充電するために必要となる「電池に加える電圧」は空電池の場合よりも大きくなるので、その値から電池残量を知ることができ、一定電流で充電するべき時間を適宜、短縮することになるであろうことが推測されます。例えば充電器と言うのは、そんな風に動作しているとも想像されます。



■ 76分以降は一定電圧充電 ■

76分以降は様相が変化します。
ここからは青線の電池に加える電圧が4.2Vで一定となります。すると、電池に流入する電流が指数関数的に減少していきます。電流が減少し、十分長い時間が経過すると電流が零になるはずですが、これは、電池に加えている電圧と、電池自身が発生している電圧が釣り合うからです。ちょっと怪しげな言い方をすると、電池の中で発生している電池自身の電圧と、外から充電器で与えている電圧の間に、なにやら邪魔するものがあって、電池内部の電圧が4.2Vに到達しないうちは、充電電圧と、中身の電圧の差を使って、この邪魔者を乗り越えて電流が流入していく、という感じです。で、内外電圧が双方とも4.2Vになると、最早、この邪魔者を乗り越える必要もなくなる、と言うことです。(こ、こんな怪しい説明をしてしまうなんて!)

で、まさか無限大の時間まで充電するわけにもいかないので、電流の値が55mAになったら充電終了にしましょう、というのが図で各線が途切れる133分時点です。



■ 図の能書きの意味 ■

fig.4図中の上の長四角の中にある次の文言
≪Charge:CC-CV 0.7C(max) 4.2V, 55mA cut-off at 25℃≫
は結局、次のような意味となることがわかります。

≪充電は定電流(CC : constant current)と定電圧(CV : constant voltage)で行うが、前半の定電流の値は0.7Cすなわち2800mA×0.7=1950mAであり、後半の定電圧は4.2Vで、電流が減少して55mAになったら終了。ただし環境温度が25℃の場合ですけど≫

この図は、『このルールを参考にしてNCR 18650の充電器ならびに充電制御ロジックを開発して下さい』、というPanasonicからセットメーカーへのメッセージです。なお、詳しい充電制御の手順や、充電仕様設定の方法に関しては別途、Panasonicからセットメーカーにアナウンスされているはずです。



■■■ 放電特性の温度による変化 ■■■

この図は、温度による放電特性の変化です。高温ほど電池容量mAh(図の横軸)が大きく、かつ供給可能電力量(図の線が囲む面積)が大きくなっています。低温環境ではかなり低下します。氷点下20℃ではあっという間に放電終了。低温特性が良くないというのは、NCR 18650に固有の現象ではなく、どうやら通常のリチウムイオン電池全般の特徴のようです。極低温環境で冷え切ったクルマのスタータを回すような用途には、リチウムイオン電池は不向きってことのようで。

・・・というか、すでに零℃付近でも結構な特性劣化を呈しています。



fig.5 18650の放電特性の温度依存性(Panasonicデータシートから引用)



■■■ 25℃放電特性から特徴を抽出する ■■■

再び、fig.1の25℃における放電特性に戻ります。
下図のように、500mAh毎に5個の赤矢印を置いてみます。次に、これらの赤矢印ポイントで、放電特性0.2C, 1C, 2Cの電圧値を拾います。図中に加えた青、緑、紫の●印部の電圧を読み取るというわけです。そして仮に、2.5Vをさらに越えて空っぽになるまで放電させると、これらの線は2900mAhに到達すると仮定します。Typical値も2900mAなのですが、3本のカーブの流れを汲んで(笑)2900mAhでゼロVに達するということで手を打ちます。


fig.6 18650の放電特性の放特性 (Panasonicデータシートから引用)に加筆


各線の放電電流はC値から計算できます。また各点の電圧は図の赤矢印の各点から読みます。これら電圧と電流の組から次の新しい図を作成しました。上図の青緑紫の各●印は、それぞれ放電電流が異なります。1Cを2900mAしていますので、それぞれ0.2C = 0.58A,1C = 2.9A, 2C = 5.8Aの放電となります。これら3点の端子電圧を読み取り、電圧と電流の関係を図示すると下図のようになるというわけです。各3つの●の6組がそれぞれ直線上に乗りました。これら6本の直線を一次関数で表しておきます。


fig.7 18650の放電電流とバッテリ端子電圧の関係(Panasonicデータシートから作成)


6本の直線の式は、上から放電レベルが500mAhごとに示されています。Vbattは電池の端子電圧、Iは流れる電流です。例えば一番上の直線の式、
Vbatt = -0.0652×I+4.178
ですが、これは、
『電池の端子電圧Vbattは、4.178Vから0.0652×電流 を引いたものに等しい』
ということを示しています。青字の4.178V、これは、
『もし電流Iが零ならば、電池の端子電圧Vbattと同じになります』
ということを意味します。となると、
『本来、電池は4.178Vを発生しているのに、0.0652×Iに邪魔されてしまい、電流Iが大きくなればなるほど、電池端子に現れる電圧が小さくなる』
ということになります。しかも、下の直線ほど放電が進んでいるので、
『電池残量が少なくなればなるほど青字の電圧が小さくなるし、赤い数字×Iに邪魔されるのは同じなので、電池端子に現れる電圧はどんどん減っていく』
ということになります。

この式の中の青字は、
『電池が本来持っている電圧発生の能力』
とでも言っておきましょうか。電気化学的な性質で決まる≪起電圧≫または≪起電力≫と呼ばれるものです。
また、この式の中の赤字は、
『流す電流Iと結託して起電圧の邪魔をする』
もので、≪内部抵抗≫などと称されるものです。恐らく、電池を研究開発している現場の方々は、遥かに詳細な捉え方をしているはずですが、極めて包括的マクロ的な表現である≪内部抵抗≫という概念は実に便利なので、ちょっと利用してみようと思います。

この内部抵抗。
抵抗ですから、ここに電流が流れることで損失を発生します。この数値が小さいほど優秀な電池と言うことができ、電池の発熱を抑えつつ大電流を外部回路に供給出来るようになります。図の6本の直線式を見ると、この内部抵抗は放電深さにはあまり依存せず、0.053から0.065の値をとります。一方で起電圧。これは放電深さに依存して着実に低下していきます。同じ電流を取り出すときに、電圧が小さくなるのですから、電池が外部に供給出来る電力が小さくなるということを示しています。

『6つの直線が全て一致し、しかも水平になれば、その電池は極めて優れた特性を持つ』

ということが言えそうですね。



■■■ 25℃放電深度と内部抵抗の関係を近似式で表現する ■■■

これまでたびたび出てくる、電池が保持している容量2900mAhというのは、2.9Aを3600秒間だけ放電し続けられる、と言う意味です。これを100%分、保持している状態を、

「充電状態(state of charge : SOC)が100%」

と表現します。では、SOCと内部抵抗の関係は如何ほどか? 今後の計算に使うために、近似式で表現しておきます。次の図の青線がそれです。横軸は放電深度で、100%放電が2900mAhつまり、2.9Ahすなわち、2.9A×3600secであり、結局、10440Asecが電池容量であり、ここまで放電してしまうと、SOCが零%ということになります。青丸が先ほどの図の≪内部抵抗≫の値をプロットしたもので、青点線は3次式で近似した線です。ただし、一番右側の青丸は、3次関数近似をスムーズに行うために、私が意図的に追加したものです。それにしても、電池の内部抵抗が最小となるのは、放電電流がゼロの場合ではないんですねぇ。へぇ~。。。


fig.8 18650の放電深度と内部抵抗の関係(Panasonicデータシートから作成)


ところでNCR 18650の内部抵抗。古いデータシートの図から読み取ることができる数値を赤で示しています。この古いデータシート、現在は入手が困難ですが、2008年頃に入手したような気がします。この赤よりも、2012年版の青のほうが内部抵抗が小さくなっています。特に放電が進んでいる状態での減少が顕著です。小さい方が電池の発熱が抑えられます。こんな風にひとくふうして図を作成して読み解くと、spec図をパッと見・・・、ではわからないような製品の進化を実感することができます。Panaの18650は着実に進化しています。



■■■ 充電特性から起電力の SOC依存性を記述する ■■■

再び充電特性図です。
下図(再掲)では
●1.95Aで10440Asecまで充電している
●一定電流での最終印加電圧は4.21V
●終了時の電池内部電圧Vefは4.2Vである

と読み取ることにします。


fig.9 18650の充電特性の1事例 (Panasonicデータシートから引用) (fig.4 再掲 )


以上の読み取り結果を使って、Vefと電池充電量SOCの関係を導き、高次関数で近似しておきます。それをグラフ化するとこんな具合です。



fig.10 18650の電池内部電圧と充電量SOCの関係(fig.9から作成)



■■■ 放電電力を計算するモデルを作成する ■■■

実際に電気負荷を接続して外部に電力を供給する場合の計算モデルを作成します。

これまで検討してきた状況を元に計算モデルを考えます。電池は、それ自身が持つ電圧発生能力(これを起電圧Vefとします)を持つのですが、これを阻止する抵抗(これを内部抵抗Rとします)が直列に接続され、これを経たのちに、電池の端子に実際に利用可能な端子電圧(これをVterminalとします)が現れる、と理解します。

これを回路図として描くと、少々マンガっぽいですが次のようになります。
電流をIとしています。この回路は一筆書きで描けるので、いたるところ同じ電流Iが流れます。


fig.11 18650の放電回路


次に、電圧と電流の関係を式で表してみます。
式(1)は電圧の釣り合いの式です。電池の内部抵抗Rによる電圧降下RIと電池の端子電圧Vterminalを足したものが電池の起電圧Vefに等しくなる、という関係です。式(2)は負荷に供給する電力Ploadが端子電圧と電流の積である、という関係、式(3)は電池の起電圧そのものが供給する電力はVef×Iであり、これをPsとする、というものです。なお、負荷と言っているのは、LEDライトであれば、白色LEDを駆動する回路とLEDを含めた部分を指します。

式(1)(2)から式(4)を導くことができますが、これは負荷に供給する電力と電池起電圧と電池内部抵抗を使って、電池の端子電圧を表すことができることを示しています。ただし、この式が有効なのは、平方根の中身が正数の場合に限られます。すなわち、ここが負になるような条件では、負荷に電力Ploadを供給できないことになります。

式(5)は電池の起電圧自身が発生しうる電力Psを他の量で表した式ですが、式(1)(2)(3)から導くことができます。

最後の式(6)は電池の起電圧自身が発生しうる電力Psに対する、負荷に供給しうる電力Ploadの比、すなわち

≪電池の効率≫

を示していることになります。




あとは、SOCからVefを算出する高次近似式(fig.10から導出したもの)を準備すれば出来上がりです。



■■■ 計算してみる ■■■

先ほど得た式を使って、fig.11の放電を計算します。流れる電流を積分してSOCを算出するので少々面倒ですが、頑張ればEXCELで計算することが可能です。


fig.12 18650の放電特性計算結果


fig.12は、放電レートを0.5Cから4Cまでについて計算した結果です。時間が進むにつれて電池の放電効率が低下していきます。そして、低下の勢いが増したところで、プチッと線が途切れます。ここが完全放電、すなわちSOC=0の時刻です。小さな電流で放電する場合には効率が高く、大電流放電では効率が低下しています。各々で、放電終了時刻が異なりますが、各々の充電の中間時刻での放電効率をグラフ化したのが、次のfig.13です


fig.13 18650の放電レートと効率の関係

放電レートCと放電効率はほぼ直線の関係があることがわかります。4C放電では79%程度の効率にとどまりますが、18650を2個並列につないで使用すれば、それぞれの電池は2C放電となるので、効率も89%程度まで向上することになります。

以上は、電流を一定にして放電させた場合です。

ところで、LEDライトのような用途では、DC-DCコンバータ(電圧制御器)を内蔵し、LEDそのものに一定の電流を流すことで、電池残量にかかわらず同一の明るさを実現しています。この時、電池はDC-DCコンバータに一定の電力(電流ではない)を供給しながら放電しています。では、18650を一定電力で放電させたらどうなるのでしょうか?


fig.14 18650を一定電力放電させたときの電力と効率の関係


細かい話は省略しますが、この結果は、一定電力を外部負荷に供給するように負荷側の電圧制御回路(DC-DCコンバータ回路)を操作することを前提とした計算を行って得た結果です。現在主流となりつつある電圧制御回路搭載のLEDライトが一定の明るさで点灯し続ける様子を再現していると考えてください。

で、上のグラフ。一定電力で負荷を駆動すると、だんだんバッテリから流れる電流が大きくなっていき、ある時点で突き抜けるようにして尽きてしまいます。SOCが空になるまで放電した場合、5W負荷で2時間ほど持ちますので、1W負荷クラスのLEDならば12時間程度は大丈夫という感じです。実際の放電では、回路側でSOCが空になるところまでは使わないので、もう少し早めに放電停止するでしょうが、このグラフの計算結果は、実際のランタイムのイメージに近いと思います。

・・・実はこの計算モデル。

『放電だけでなく充電動作も計算できます』

が、充電動作の計算に挑戦してみたい、という方のために省略します。



■■■ まとめ ■■■

Panasonicの18650のスペックシートを読み解くことで、リチウムイオン2次電池18650の特性を非常によく理解することが出来ました。また、この読み解きを基に計算モデルを作成し、放電の具体的な理解を深めることが出来ました。

すなわち、

1) 放電電流の大小による電池容量Ah(アンペア・アワー)の差は微差だが、電力量Wh(ワット・アワー)には差がある
2) 一定電流で充電するために必要となる「電池に加える電圧」は電池残量で決まる固有の値をとるので、この電圧からどれだけ充電されたかを知ることができる
3) -20 ℃などといった低温環境下ではリチウムイオン電池は(鉛蓄電池などと比較すると)性能劣化が激しい
4) 電池の内部抵抗が最小となる放電電流が存在する
5) 大電流放電の場合ほど、電池の効率は悪化する

となります。


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・・・さあ、これであなたも18650の専門家です。
白色LEDによる自転車ライトとリチウムイオン電池18650の将来について仲間と大いに語り合いましょう!!

(大袈裟なんだよ!)




価格評価→★★★★★(仕様書は無料で入手)
評   価→★★★★☆書いた人は結構楽しんだのだが(コラコラ)



あとがき・・・
わかりにくくてスミマセン
 
GlennGould  2018-1-17 17:46
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18650型リチウムイオン電池 最近の動向
購入価格 ¥0


自転車LEDライトのパワーソースとしてすっかり定着した感がある18650型リチウムイオン電池。
ビデオカメラ用の電源として1990年にSONYから発売されたのが最初の民生向けリチウムイオン電池で、18650型の容量は900 mAhだったそうな。(*1)

現在、リチウムイオン電池の生産は日本、中国、韓国が牽引している模様です。長らく続いた発火インシデント発生頻度がそろそろ落ち着き始めたかにも見えなくもない昨今、18650型が十分な光量を与える自転車LEDライトの標準的なパワーソースの地位を固めつつあるようにも思われます。たった1本で定格端子電圧が3.6Vもあり、ニッケル水素電池のように複数本を直列使用する必要がないというのは、フィールドでの使い勝手、充電回路の設計など、色々と好都合です。

というわけで、今後も有望な18650。入手可能な18650のデータシートから、電池の代表的な2つの性能指標、すなわち、

「電池容量」
「内部抵抗」

の数値を抽出して並べることで、2017年時点での性能状況を俯瞰しておこうと思います。


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18650を自転車LEDライトのパワーソースとして使う場合、電池の内部抵抗は、ライト点灯時の電池動作状態で計測したもの、つまり直流で計測した数値が欲しいところですが、そのものズバリの数値を示しているデータシートというのは少なく、放電特性グラフからくふうして読み取る必要があります。なお、読み取り方に関しては次の既レビューをご参考ください。
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=13240&forum=48

※注:電池内でのリチウムのイオン伝導度を推し量る場合には交流抵抗(インピーダンス)を用いるのが一般的のようです


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まず、次の表が今回比較対象とした18650電池のリストです。データシートはすべてWEB入手可能です。


結果を次のグラフに示します。
横軸が電池容量mAh(ミリアンペア・アワー)、縦軸が直流内部抵抗値mΩ(ミリオーム)です。



〇〇〇 グラフの見方 〇〇〇

一般的には、容量は大きいほどよく、内部抵抗は小さいほどよいので、グラフの右下ほど「高性能」な電池、ということになります。ところで、自転車用LEDライトのパワーソースとして考えると、例えばCATEYEのVOLT800をHighモードで使った場合、3400mAhの容量の電池で、公称ランタイムが2時間です。容量の80%に相当する2720mAhで放電終止と仮定すると、1.36Aの電流が2時間流れ続けるといったレベルです。この間に電池からLED回路(DCDCコンバータを含む駆動制御回路)に供給される平均端子電圧が3.5V程度だとして、LED回路側を見込む直流抵抗値は3.5/1.36= 2574mΩとなります。この抵抗値は、18650にしてみれば、軽々と駆動できる負荷レベルです。つまり、LED回路負荷がそもそもそれほど重い負荷(=小さい抵抗値)ではないため、電池側にそれほど小さな内部抵抗値を要求する必要がない、ということになります。したがって、自転車ライト用途を考えると、あまりグラフの下側に行く必要はなく、負荷抵抗と比較して十分小さい内部抵抗を持つ範囲で、グラフの右側にあればOKとなります。グラフ中の点Cの製品の内部抵抗は73mΩ程度ですが、これは負荷抵抗の3%でしかないので、自転車ライト用として、Cの電池は、その大容量を如何なく発揮するはずです。

むしろ、内部抵抗に対してある程度の大きさを許容することで性能を大容量化に振って、青矢印のようにC方面の方向性で開発した電池を使うのが得策です。

一方で、急速放電や急速充電が極めて短時間の間に頻繁に行われる電気自動車やプラグインンハイブリッド自動車、欧州で見られる48V系ハイブリッド車などのバッテリでは、急速充放電による内部抵抗の発熱に伴う過熱問題があるため、温度管理が非常にシビアになるはずです。多少、容量を犠牲にしてでも内部抵抗をなるべく小さくすることが重要となるのではないかと考えられ、その場合には、なるべく下側で、できれば右寄りの電池が選択されることになるのではないかと思われます。進化の方向性は赤矢印であろうと推察されます。

TESLAの電気自動車RoadsterにはPanasonicの18650系が採用されているそうですが、そのスペックは恐らく未公開だと思われます。どういうスペックなんでしょうかねぇ。赤矢印のどこかに位置しているんじゃないでしょうか??

グラフ中で、AはSONYのUS18650VTC6 ただしリチウムマンガン系で端子電圧が僅かに高めですが、容量が3000mA、推定される直流内部抵抗値は20mΩで、ハイパワー用途として開発されたものと考えられます。BはPanasonicのNCR18650GAで、容量3450mAh、推定される直流内部抵抗値は40mΩで、自転車ライト用としては容量はまずまず、内部抵抗は過剰スペック。以上の2つはAMAZONで入手可能で、それぞれ2本で2千円台ですが、特にSONY製品は自転車ライトにはもったいない、という印象です。(※SONYの電池事業は村田製作所に買収されているらしいです)

CはLGのINR18650 MJ1ですが、容量が3500mAhと大きく、内部抵抗が74mΩと大きめ。ハイパワー用途には不向きですが、今回の中ではコレが自転車ライト用としては最適と思われます。


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以上、2017年末時点での18650電池の性能動向をまとめてみました。どこまで性能が向上するのか?楽しみですね!
1990年のSONY製品と現在のPanasonic NCR18650GAの容量を比較すると、四半世紀を経てどうやら3倍以上の進化が見られるようです。これからどこまで行くのでしょうか!今後は安全性の面から電解液を固体化するとか、希少資源のリチウムをやめてナトリウムにするとか、産学での技術的なチャレンジが始まっているようですが、それらが民生用として出回るのはいつ頃になるのでしょうか。

18650ファン(?)の方々のご参考になればさいわいです。


(*1)次の参考文献4ページ目
https://shingi.jst.go.jp/past_abst/abst/p/10/1028/tus6.pdf

価格評価→★★★★★
評   価→★★★★☆(なんとなく4★)

年   式→2017


以下、注意事項です。
他の電池と違って、いまだに発火インシデント(特に充電時)が見られるリチウムイオン電池ですので、取り扱いには細心の注意が必要と思われます。注意点としては

〇過充電しない
〇過放電しない
〇過熱しない
〇短絡(ショート)させない→大電流が流れて急激に加熱し発火の恐れあり
〇変形させない→正極と負極が隔離機構を破り内部短絡し発火の恐れあり

というわけで、例えば充電器がセットになったライトなどを購入した場合、セットメーカー推奨の機器を、取扱説明書にしたがってそのまま使用することが強く推奨されます。




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