ホイールを真っ黒なものに交換したため、差し色でもしてちょっと気分を変えようと思い以前から気になっていた本製品を購入しました。ほら、春ですし、、、、(笑)
軽量スキュアというかクイックと言えば、KCNCやTOKENが有名だと思うのですが、前者が元々クックブロスというアメリカンブランドの製品に酷似しており、こういう小物もやはり元々そのデザインをしたメーカーへのリスペクトを忘れてはいけないと思いますので、TOKENにしました。同社には造形的なレバー部の形状のものもありますが、本品は単なる丸棒で、その辺のあっさりした感じや、発色の良さも魅力です。
外観上形状に差の無いTK222は在庫が無かった為、まあ、軽い方が良かろうと思い、シャフトに肉抜きのあるTK223にしました。
【スキュアとQR】
混同されがちですが、本来はスキュアとクイックレリーズはそれぞれ異なる方法でホイールを固定する部品と言えると思います。
QR(クイックレリーズ)とは、元々はカンパが考案(市販)したもので、レバーを開閉し、レバー根元の偏芯したカムの作用で、ホイールの着脱を容易にする為に考え出された機構です。これに対してスキュアとは、倒したレバー部時計回りに回転させ、ねじ切りされたシャフトをドライブサイドのナットをねじ込んで行く事で、フレーム・フォークにホイールを固定させていきます。つまり、カムの作用で固定するのがQR、ねじ込んで固定するのがスキュアだと僕個人は理解しています。
実際にはこれらの中間の様な製品も多々あり,例えば、カムによる締め付けが弱い製品は一端レバーを閉じた後、レバーを軸方向に回転させながら増す締めすることが必要な場合もあります。つまり、見た目がQRでもスキュア的な使い方を併用することが必要な製品がある訳です。また、QRでは、レバーを閉じることで十分な固定力を発揮させる為には、予めドライブサイドのナットを適当な位置まで締め込んでおくこと(与圧)が大事になってきます。言わば、最後の一押しのところまではナットで調整し、そこからレバーを閉じることで固定力を得るという様な手順がQRでは必要になります。
本製品、やや特殊な様に感じましたので、以上、まずは長い前振りでした。
【TK223】

まずはNDS側の写真。
カムは軸に対してそこそこ偏芯しており、実際の仕上も大変滑らかなため、とてもスムースにレバーを開閉することが可能です。実際に製品を入手するまで分からなかったことなのですが、レバーは写真から感じるよりも長め(=軸から55mm|実測)でテコも十分効きそうです。

続いてDS側の写真。
これ、軽量化の為にナットが異常に薄いんですね。こんなの初めてみました。こんなに薄いと、ナットを指で回して十分な与圧をかけることができません。星形の摘みの様なものがついていますが、予めレバーが効くところまで、この摘みを使って十分にナットを締め込んでいくことが、僕には出来ませんでした。ここは、もうすこし外径上げるなり、ローレット加工(ヤスリ目の様な加工)をするなりして、与圧がかけやすい形状になっていないと、レバーの開閉だけで十分な固定力を与える事が難しいと思います。恐らく、軽量化の為にナット部分を薄く、つまみも肉抜きしたということなのだと思いますが、これだと前節の自己流の定義における、クイックレリーズとは呼べないと思います。
【シャフトのねじれ】
では、どうするか?
レバーをシャフトに対して時計回りに回して締め込んで行くことになる(スキュア的な使い方)のですが、ここで問題が、、、本製品、チタンシャフトにY-CUTと称する3箇所の溝加工がされていまして、この為、ある程度レバーを回転させるとシャフトが捻れて、それ以上トルクがかからなくなってしまいます。
なんとなく、私の感触では、もうすこし締め込んでおきたいなと思う手前でシャフトが捻れ始めるので本製品を常用する場合、かなり頻繁にチェックしないとならないなと感じました。
軽量化にもいろいろな方法があると思うのですが、トルクがきちんとかからなければ、固定力に不安が出てきます。こうした加工で軽量化をするというのは、捻れ方向の強度とのトレードオフなので、もしシャフトを軽くし、捻れにも耐えようとするのであれば(比較的伸び易いチタンを使うのであれば)、溝加工するよりは中空シャフトの様なものの方が良いだろうなとか思いました。
実際そうした製品もあるそうです。
【まとめ】
本製品、発色も良く、レバー部の形状もシンプルなので、どんなバイクにも良く合う製品だと思います。ホイールやコンポーネントメーカー純正のQRは概ね100gかそれ以上の重量があることを考えても、こうした軽量QR/スキュアの軽量化への費用対効果も悪くはありません(実測39gでした)。
一方、QR/スキュアは機能性部品でもありますので、ホイールとフレームの固定に不安のある作りでは本末転倒だとも思います。
レバーのカムの効きは悪く無いので、ナット部の手がかりを再考し、もう少し与圧が多くかけられる形状とするか、シャフトの肉抜きの考え方を改め、レバーを回して締め込むことができる様にするかどちらかへの配慮があると、安心して使える製品になるのではないか?と感じました。いろんな意味で無理してます(笑)
(余談)
尚、冒頭に述べましたが、同社ではTK222という、シャフトに肉抜きの無い製品も販売しています。外観上は以下のレビューで取り上げられているものと差が無さそうですので、そちらであれば、スキュア的な使い方では(個人的な感覚ですが)及第点を与える事ができるのではないかと感じました。ただ、ドライブサイドのナットのてがかりは小さなままですので、こうしたシンプルな外観が好みな場合はDIXNAでも似た様なものが販売されていますので(と、いうかカム付近の形状が酷似しています..笑)、そちらを買えば良かったかなと幾分後悔しました。
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=7174&forum=27&post_id=22860仕上が良いだけにちょっと惜しい。これでも保つのかもしれませんが、軽量化って命削ってまでやるもんじゃないよなあと思いました。
価格評価→★★★☆☆(妥当です)
評 価→★★☆☆☆(ちょっと常用しづらいかと、、)
<オプション>
年 式→2015
カタログ重量→38g(実測重量39g)