購入価格: ¥1,588 (楽天市場 自転車館びーくる、送料別)
フロントディレーラー調整用の単機能工具なので、フロントディレーラーのところへ上げようかとも思いましたが、工具としてまずこちらを探す人の方が多いでしょう。
チェーンリングとFDの羽の位置関係を確認するためのゲージブロックのような工具です。
スタンダードとCT用2つのツールがセットで販売されています。52/53T用と50T用で使い分けます。
カンパの指示ではFDのアウタープレートとチェーンリングは平行に設置されなければならず、なおかつアウタープレートの縁とアウターチェーンリングの歯先の間は最も狭いところで1.5〜3.0mmの間隔がなければならない、とされています。新品のFDを購入すると、アウタープレートに埋め込まれた樹脂パーツの周りにオレンジ色したシールが貼ってあるのですが、あのシールなしでFDの位置決めが出来るツール、と言い換えるとわかりやすいでしょうか。
言葉にすると簡単なのですが、変速性能を追求した結果歯先の高さには微妙な高低差が設けられているので、どこを見るのかによって最大1mm近い差が生じてきます。その上、FDのアウタープレートの下の縁は緩やかに弧を描いていて、その弧とチェーンリングの歯先とは曲率が異なるためどこで確認するべきなのかいまいちはっきり分からない。この状態でチェーンリングとプレートの平行まで追い込まなければならないので、目視で完璧に調整するのはなかなか困難で面倒な作業です。10速のSRAMは結構いい加減で、適当でもなんとかなっていたのですが、カンパの11速はチェーンリング同士の間隔が極端に狭くチェーンそのものも細いので、SRAMの時のようにナアナアでなんとなく、というわけにいきません。そこで手に入れてみたのがこのツールです。
結果から先に言うと、勘に頼らずとも確実に一発で位置決めできるので、すっかり気に入ってしまいました。
ツールはこんな形をしています。
取っ手の付いている側が外側に来るように、アウターチェーンリングの歯先にはめ込みます。
ツールを裏側から見たところです。溝が彫られているのが確認できると思いますが、ここにリングの歯先を差し込みます。
ツールを装着した状態です。
ワイヤーを固定する前の方が調整しやすいと思いますが、すでに通してある場合はワイヤークランプボルトから外してしまえば微調整がやりやすくなります。FDを新たに装着する状態の場合、この作業の前にざっとでいいのでインナー側リミットスクリュー調整だけは先に済ませておきましょう。
実際の調整の方法ですが、まずFDの垂直位置を決めます。
最初はFDをツールから少し離れた高めのところへずらしておいて、ツールがチェーンリングの歯先にしっかり差し込まれているのを確認しておくといいでしょう。次にFDの位置を少しずつ下へ移動していき、ツール上面の”CAMPAGNOLO”と書かれた平らな部分と、FDのアウタープレートの下の縁が接触するかしないかの位置まで導いてやります。ツールとFDの相対的な位置関係は上の写真を参考にしてみてください。概ね位置が決まったら、軽くFD本体のクランプボルトを仮固定して、ツールは装着したままでゆっくりと、本当にゆっくりとクランクを回転させ、アウタープレートとツールがほんのかすかに擦れる位置に来ているかを確認します。勢いよくクランクを回してどこかにツールが接触すると吹っ飛んでいくばかりか、ヘタするとチェーンリングやFDにダメージを与えてしまうので慎重に。両者がまったく触れない時は少しFDを下げ、逆に接触して動きが詰まる場合は下げすぎなので上へ戻して高さを追い込んでください。
高さが決まったら、次にアウタープレートの平行を出します。
ツールの取っ手すぐ内側にチェーンリングの歯先に沿ったグレーのラインが描かれているのが見えると思いますが、このラインとFDのアウタープレートが平行になるように位置を調整します。
最後にもう一度クランクを回して高さ・平行がズレていないか確認、必要なら最終的な微調整をしてクランプボルトを本締めすれば作業完了です。
きっちり調整できていれば、リングの歯先とプレートの間隔はおおよそ1.5mmの位置で固定できます。当然変速はサクサク、バッチリと決まります。時間をかけなくても確実に、一発で位置決めができるので、とても便利なツールです(クランクセットにでも付属させてくれるとありがたいんですけどね…)
ここまで読まれて、”Shimano/SRAM互換でもこれ使えるんじゃないか?”と思われた方が多いと思いますが、結果をまず述べると10速用も含め歯数さえ合っていれば”概ね問題なく”使用できます。
ShimanoのFD-9000では指定されたギャップは1.0〜30mm、SRAM Red22だと1.0〜2.0mmとなっており、大体どれも1.5〜2.0mm程度まで追い込めればきちんとセットアップできていると考えてよさそうです。ただ、カンパも含めた各社10速用チェーンリングもShimano/SRAM互換の11速用チェーンリングも、カンパの11速チェーンリングと比べてわずかに厚く作られているので、元来カンパ11速チェーンリング用として設計されたこのツールを他のチェーンリングに嵌めるとすこしだけキツイ、ということになります。実際はそのまま使えるのですが、普段カンパ11速用としてこのツールを使っている人が、他のチェーンリングと共用で使っているうちにチェーンリングの歯先でツールの溝を削り取ってしまい、最終的にはカンパ11のチェーンリングで使うときにガタがでてしまう、ということが考えられます。多少グラついていても、垂直方向に深く抉られるなどして極端に溝の深さが変わっていない限りはツールの機能に大きな問題はないはずですが、気になるなら2セット購入して使い分けるほうがいいでしょう。
価格評価→★★★☆☆ (ただのプラスチック片ですからね、せめて¥1,000は切ってほしい)
評 価→★★★★☆ (機能的には文句無し)
年 式→2015
カタログ重量→ --g (実測重量 各9g)