ヒルクライムの効能
山中の九十九折れを登坂するとき、考え事をすることがよくあります。
*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*
ヒルクライムというのは、頑張ってしまうと結構、つらい。しかしそれが快感で、止められない、という方もたくさんおられると思います。私としては凡脚も手伝って、単に坂を上に向かってマイペースで走るのが好きです。
*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*
いつの頃からか、登坂中に考え事をするようになりました。長年そんな調子で走っているうちに、ヒルクライムの時間というのは、考え事や思索を巡らせるのにとても向いている、ということに気がつくに至ります。
仕事などでちょっとした難題にぶつかっているとき、人間関係じゃなくて、ですが、これを熟考するのに、登坂空間というのはうってつけ、なのです。
「あー疲れた。ま、いいや。これは明日、山で考えようっと・・・」
で、土曜日の朝5時前に家を出て、最寄りの低山に向かい、上って、さっさと帰って往復50km。シャワーを浴びたら書き留めておく、という具合です。走っている最中は紙もペンも計算ツールもないのですが、であるが故に、でしょうか。思索が深まるような気がするのです。制約があるからこそ、集中できる。これが実は、大事なことなのではないかと思うのです。
で、恐ろしいことに、思考が細部に及び始めると、上りが苦しいということをすっかり忘れている自分に気づいてしまう。もちろん、知らず知らずのうちに登坂パワーは8割程度に落ちてはいますが。
*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*
恐るべし、ヒルクライム。
ヒルクライム中に何かを熟考することで、大いに発散できているのではないか?
こんなことが可能なもの、スピードが出ないヒルクライムだからこそ。 静かな山で思索を巡らせば、自ずと道は拓けるかもしれません。(えっ、言い過ぎ?)
*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*
スマホなどネット環境過多で、知らず知らずのうちに貴重な時間を強奪され、自由に思索し自由に語らうことを忘れてしまっている、まるでミヒャエル・エンデの文学作品『モモ』の中で、灰色の男たちに時間を奪われるそのままのネット中毒者、ならびに予備軍が恐らくたくさん存在するであろう今の世の中。自転車でも低山ハイキングでもよいから、たまにはネットから離れて坂を這い上がって思索を巡らせてみては如何でしょうか。
カネなど無くても、自転車で走る、という良薬を手にする者は強いのだ、と思う今日この頃です。
価格評価→★★★★★ 評 価→★★★★★(上りサイコー)
注意:考え事をしながらの乗り物の運転は、一般的には極めて危険、です。かかる行為は、平坦や下り、交通量の少なくない登坂では、ほとんど厳禁であることは言うまでもありません。また、全くクルマや人の往来がなく、安全と思われる登坂でも、考え事をしながらの走行にはそれ相応の危険が伴います。小石でハンドルを弾かれて落車とか、ガードレールのないカーブで下りでもないのに奈落に転落、などということもあり得ます。また未明や夜間は、熟知している登坂コース以外では全くお薦めできません。活発に活動する各種動物に進路を塞がれることもあります。実施される場合は十分、ご注意ください。
|