購入価格: ¥6.021 (税込) ※ワールドサイクル
標準価格: ¥6,804 (税込)
『Chris Kingらしい美しい仕上げのBBグリスアップツール。簡単にBBのグリスアップが可能』
■ Chris KingのBBのグリスアップのために専用ツールを用意
Chris Kingのボトムブラケットは、美しい仕上げと滑らかな回転が楽しめるパーツだ。加工精度の高さとアルマイトの処理の輝きは、自転車の足元にあっても一際存在感を放つ。当然、最大の特徴は回転性能の高さ。適度なグリスの抵抗感を残しつつも、一切の引っ掛かりのない回転がラグジュアリーなペダリングを実現する。このBBは回転精度もまた高いのだ。
私がChris KingのBBに最も期待したものは、耐久性とメンテナンス性だ。Chris Kingの前に使っていたSRAMのBBは、高頻度でグリスアップするよう指示されている面倒な仕様だった。Chris KingのBBなら専用工具で簡単にグリスアップができ、シール性が高いのでメンテナンスの頻度も低くて済むという。このBBを取り付けて9ヶ月以上経った頃、専用工具のChris King BB Injector Toolを入手し、BBのグリスアップを行った。
写真(左) : Chris King BB Injector Tool
写真(中央): Chris King Threaded Bottom Brackets Sram Road
写真(右) : SRAM S300 1.1 Chainsetとの組み合わせて使っている
■ BBやヘッドパーツ同様の美しい仕上げ
届いたBB Injector Toolを手に取って観察してみると、この工具にもChris Kingらしさが随所に見られる。切削加工の精度とアルマイト処理の美しさは、もはや工具の域を超えていると感じさせるほど。Chris KingのBBやヘッドパーツと何ら遜色ない仕上げにうっとりするばかりだ。この美しさは作業中の気持ちを高め、グリスアップ後の回転性能の蘇りを期待させるかのようだ。メンテナンスにさえラグジュアリー感をもたらすのはさすがChris Kingといったところだ。
写真: BBやヘッドパーツと同様の美しい仕上げ。色はPewterだろうか。
■ 使い方によってグリスアップまでの期間やグリスの種類が異なる
Chris Kingのサイトで閲覧できる”BOTTOM BRACKET GREASE GUIDE”によると、使用頻度や使用環境によって、グリスアップまでの期間やグリスの種類が異なる。
私のように毎日乗るわけではなく、かつ、雨天走行しないなら、年に一度のグリスアップでOK。9ヶ月はちょっと早めのグリスアップだ。競技やトレーニングのハードな使用では、当然グリスアップの頻度が高くなる。
使うグリスはGOOD WATERPROOF GREASE、もしくは、PREMIUM SYNTHETIC WATERPROOF GREASEと書いてあるだけで、具体的な銘柄や種類は特に指示されていない。私の場合はハードに使用するわけではないので、無難にシマノ プレミアムグリスを選んだ。
図 : Chris Kingのサイトから抜粋。使い方によってグリスアップまでの期間やグリスの種類が異なる ※赤枠は私の場合
写真: 今回は定番のシマノ プレミアムグリスを使用
■ BBをフレームから外さずに、簡単にグリスを入れ替えられる
BB Injector Toolを使ったグリスアップの方法はとても簡単だ。フレームからクランクを外し、BBの樹脂製の黒いスリーブを外せば準備OK。あとはBB Injector ToolをBBに挿入し、BB Injector Toolのニップルからグリスガンでグリスを供給するだけだ。グリスガンのボタンをゆっくり押すと、BBのシールから新しいグリスに汚れた古いグリスが混ざって出てくる。この時、BB Injector ToolごとBBのベアリングを回せば、きれいなグリスが馴染み、汚れた古いグリスを取り去ることができる。グリスの色がきれいになったらグリスアップは終了だ。
ただ、最初はグリスガンでグリスを供給できているにもかかわらず、なかなか汚れたグリスが出てこなかった。これは私がBB Injector ToolをしっかりBBに押し付けなかったためだ。この状態ではグリスがBBの奥に溜まるばかりで無駄になってしまう。BB Injector Toolでスムーズにグリスアップできるのは、BB Injector ToolをBBにしっかり押し込んでからだ。他は特に戸惑うことなく作業することができた。
SRAMのBBの場合、グリスを足すだけならフレームに取り付けたままでも簡単にできるが、スムーズにグリスを総入れ替えするのは大変だ。フレームからBBを外せばグリスアップしやすいが、BBを着脱するたびに傷がついてしまう。BB Injector Toolならフレームに取り付けたままでもグリスの入れ替えは簡単。しかも、美しいBBを傷つけずに済む。メンテナンスの頻度は低いが、こんなに簡単ならもうちょっとマメにグリスアップしても良さそうだ。
写真(左) : 汚れた古いグリスが押し出されて出てくる
写真(中央): ベアリングを回転させて、新しいグリスを行き渡らせる
写真(右) : BB Injector Toolをしっかり押し込む
■ 念のためきれいなグリスが出てからもグリスアップを続けた
Chris Kingのマニュアルには、グリスの種類を変える際に相性の悪いグリス同士を混ぜて使うのは危険といったことが書かれている。だから、念のため、私はきれいなグリスが出てきてからもさらにグリスの供給を続けた。同時に新しいグリスに古いグリスを混ぜ込んで除去できるように、念入りにBBのベアリングを回してグリスを馴染ませた。
確認のために数キロの走行後にもう一度グリスを装填してみたが、出てきたグリスはきれいなまま。グリスの入れ替えはうまくいったようだ。使ったグリスは片側で20gくらいだが、多分これは使いすぎ。15gでも十分すぎるくらいのはずだ。
写真(左): 基本的にはきれいなグリスが出てきたら終了
写真(右): AZのジャバラ容器 20gなら大体のグリスの使用量を把握しやすい
■ 様々なグリスガンノズルの形状に対応
BB Injector Toolのニップルは、チャック式のグリスガンノズルに対応する。チャック式ノズルに交換したグリスガンならワンタッチで接続でき、スムーズにグリスアップを行える。だが、BB Injector Toolにグリスを供給できるのはチャック式ノズルだけではなく、他の形状のノズルでもグリスアップは可能だ。しかも、チャック式ノズルとほぼ同様の使い勝手だ。
BB Injector Toolの穴にグリスガンノズルを挿入し、ニップル先端の鋼玉をノズルで押せば、開口してグリスを供給可能な状態になる。要するに、グリスガンノズルの先端がニップルの穴よりも小さければ、問題なくグリスアップできるというわけだ。正確なニップル先端の穴の大きさは分からないが、1.8mm前後くらいだと思う。
私が試したのはAZのグリスガンノズルの全てとチッコイグリースガン付属のノズルの4つ。検証の結果、これらの全てのノズルでグリスアップが可能だった。他のメーカーでもノズルの先端が細いグリスガンなら対応可能なはずだ。配管用継手やチャック式ノズルが必要かどうかは、手持ちのグリスガンを使ってみてからでも遅くないと思う。
図: AZのグリスガンノズルの使用感のまとめ。グリスガンノズルの選択の参考にしてほしい
写真: チャック式ノズルを取り付けてBB Injector Toolに対応させたチッコイグリースガン
■ ニップルの交換が可能
BB Injector Toolのニップルはレンチで取り外すことができる。これなら万が一ニップルが破損しても、他のニップルに交換できるので安心だ。ちょっと気になるのは、ニップルはBB Injector Toolの本体に対してねじのかかりが浅いことだ。チャック式ノズルの強引な取り外しで大きな力がかからないように注意する必要があるかもしれないが、外し方を知っているなら全く問題ないはずだ。
写真(左): ニップルは取り外し可能。他社製のグリスニップルに交換できるはずだ
写真(右): ニップルの保護と埃の侵入防止のために、AZのグリースニップルキャップを取り付けた
■ 購入直後とはまた違った回転の気持ち良さ
グリスアップ後のChris KingのBBは、ベアリングやカップの精度の高さによる引っ掛かりのなさと、汚れや異物感のないグリスの滑らかさが相まってラグジュアリー感のある回転になる。この感覚は取り付け直後の感覚とはまた違ったもの。このBBを取り付けたばかりの状態では、硬い鋼玉が滑らかに研磨されたカップの中を転がるような感覚があったが、これらのパーツに当たりが出て軽さも感じるようになった。動きが重くなると言われているシマノのプレミアムグリスにもかかわらずである。
まるで熟成したワインやチーズのよう。定期的に手をかけることで品質を維持でき、月日と共に違った味になるといった感じだ。あとどれくらいこの回転の気持ち良さを味わえるだろうか。このBBの耐久性と私の使用頻度・使用環境なら当分は楽しめそうだ。
写真: SRAM S300 1.1 Chainsetとの組み合わせはおすすめ
■ Chris KingのBBの世界に浸れて満足
実はシールとスナップリングを外せば、BB Injector Toolがなくてもグリスアップは可能だ。この方法ではSRAM同様にスムーズなグリスアップはできないと思うが、Chris Kingのマニュアルにはちゃんと案内されているのが親切だ。尚、ベアリングがスムーズに回らないような場合は、BB Injector Toolがあってもシールとスナップリングを外してグリスを除去しなければならない。
今回、Chris Kingのボトムブラケットのグリスアップを通じて、Chris Kingの世界の一部を満喫できたような気がした。Chris Kingは工具までまさにChris Kingといった感じだ。また、事前に色々情報を入手したり、適合するグリスガンノズルの種類を試したり、この作業に関連するレビューを書いたりするのがとても楽しかった。Chris King BB Injector Toolを使ったグリスアップを通じて、自転車の色々な楽しさを味わうことができてとても満足している。
写真: Chris King BB Injector Toolの良い点
価格評価→★★★★☆ (使えば納得の値段)
評 価→★★★★★ (美しい仕上げ、スムーズなグリスアップ)
<オプション>
年 式→ ー
重 量→100g