購入価格 不明(グループセットの一部のため)
SRAMのねじ切りタイプBB。私が購入したのは2010シーズンのRIVALグループセットに付属していたもの。
シマノのホローテックIIのBBと見かけは非常に似ている。シマノとSRAMはカセットスプロケットなどの規格が共通しているので互換性があると思われている節があるが、GXPとホローテックIIは若干異なる。反ドライブ側のベアリング内径がGXPは22mmだったかな。取り付け工具は共通。ってここはカンパニョーロも同じでしたっけ。
BBとしての性能は、多分普通。回転は軽いとも重いともつかず、クランクのみで空転させればくるくるっと3、4回転はするくらい。まあ普通です。
ブログなどでの評価をみるとシール性能が弱いという方もいるが、ベアリングの上に乗っていて、クランクとの間を埋めるラバーシールつきワッシャーの両側に適切なグリスを塗布している限り、水やチリの侵入は気にするほどではない。もっとも、雨天時に長時間走行した後などは、グリスの状態を点検した方がいい。これはホローテックも同じだろう。
ちなみにBBのメンテ風景。散々走った後のドライブ側
同反ドライブ側。けっこうグリスが汚れていますが、流れ去っているというわけではありませんね。
ちなみにAZのリチウムグリスを使用。
シールとなっているワッシャーを外してみた。使用1万km程度、その間に同じメンテを何回かしています。つまり2、3千km走る間に、BBカップ内部のグリスもこれくらい汚れる、というわけです。
ご存じない方のために補足すると、AZのリチウムグリスは、初期状態では琥珀のような透明感のあるグリスです。
針先で引っ掛けて、シールドベアリングのシールを外して、ベアリング本体のグリスアップも可能。私の使っている個体は、
ベアリングの方向性に統一感がなく、反対側のベアリングではリテーナーが向こう側にあって外せませんでした。
・・・とまあ、サービス性も悪くないですね。
ところでこのBB、取り付けのインストラクションが相当の曲者です。
ウェブサイトからダウンロードするSRAM/TRUVATIVのテクニカルマニュアルには、BB幅に応じて付属のスペーサー(厚さ2.5mm)を使用することがアナウンスされています。ですが、ロードフレームにRIVALコンポを組む場合はBB幅に関わらず、スペーサーを使用する必要はありません。「RIVAL/FORCEのクランクセット/BB」に付属する説明書では、スペーサーが図示されていないという点で正しいインストラクションになっているのですが、むしろスペーサーについて全く言及されていないので大変迷う。スペーサーを入れて組めなくもないのですが、2.5mmほどチェーンラインが外側にずれ、規定トルクを大幅に下回る状態でクランクが回らなくなる(ベアリング全体に与圧しちゃう)など、いろいろ不具合が出ます。完全に落とし穴でした。
ということで、本体の性能は普通ながら、マニュアルの瑕疵によってかなり評価を下げざるを得ません。
おそらくMTB中心で考えている結果、共通部品のマニュアル表記に問題が発生してしまったわけですね。(実際、MTBコンポとロードコンポではチェーンラインが3mmほど違います)
まとめると、RIVALのセット品としてみる限り付属のスペーサーは不要。MTBコンポ、たとえばXシリーズのBBとしてみる場合は、テクニカルマニュアルにしたがえば(たぶん)良し。最終判断は、自分でフロントのチェーンラインを実測し、使用するクランク、前ディレイラーとの関係をみる必要があります。いったんBBとクランクを組み付ける必要がありますが・・・
といっても、ダブルタップでフロントトリプル対応はしてないから、フラットバーロードでTRUVATIVのトリプルクランクを使用するとか、いささか特殊なシチュエーション以外では、そこまで慎重に検証をする必要はないでしょう。
・・・と、いろいろ強い調子でエラソーなことを言っておきながら、実は自分も3年以上「おかしい」状態で運用していたクチ。それでも、ディレイラの調整も(色々おかしいところがあったにせよ)どうにかなるもんです。Qファクタについては言い訳できませんが・・・
結論、組みつけのインストラクション以外は、大きな欠点のないパーツ。
でもこれ、専門店でも混乱するんじゃないか??
価格評価→ー(セット購入のため)
評 価→★★★☆☆(マニュアル整備をちゃんとやってよ)