SHIMANO ACERA FC-M391
購入価格 ¥1680(新古品)
ざらついた、つや消し黒の真新しいクランクを手にした瞬間、自転車乗りは漠とした不安を覚えた。 はじめ微かなものだったそれは、波紋のように拡がり治まりがつかなくなった。 その早さは
「俺は光よりも速く弾く」
と80年代デビュー時にイングヴェイへの対抗心から吹いた言葉が通り名にまでなって生涯消えそうにない、クリス・インペリテリのギターソロよりも速かった。
南仙台のサイクリーで安パーツを買い、次に名取のアストロプロダクツで安工具を、返す刀で『はしあん』の絶品たこ焼き&イカ焼き&お好み焼きを買って仕事に戻るという、その日の自転車乗りのスケジュールは入り口で砕け散った。
一体、どこで間違えたのだろう。 どこからやり直せば、よいのだろう・・・
自転車乗りが手にしたのはお目当てだったスクエアテーパーの44/32/22T。 ホントはガード付きの170mmが欲しかったのだが、ガードなし175mmで手を打とうと思ったのは、全てはアウターの歯数を基準に考えたがため。もうチェーン切っちゃってたからね。 もちっと言えば、グレードをここいらで妥協したのも同じ理由。こだわり? それは『はしあん』のたこ焼きより美味しいわけ?
しかし、相も変わらず客のいないサイクリー仙台店に足を運び、このクランクを手にした瞬間に自転車乗りは気付いてしまった。
「あ・・・あれ? 無条件にアウター44Tで探してたけど、元のクランクの歯数を確認したことって・・・」
なかった。 一度も、少しも、欠片も、全く、なかった。 その事実は、何を今更、という自己嫌悪とともに強く自転車乗りを打ちのめした。 なんで44Tって思い込んでたんだか・・・・・さっぱり思い出せない。
ブラッド・ウィットフォードが刻むリフ並みのダルさで頭をフル回転させた自転車乗りは、そのクランクをレジへ持って行って店長に言い放った。
「あ、これ下さい」
こだわり、そんなものは、サイクリー近くにある『みの屋』の絶品しおそばに比べれば、何の意味もなかったのだ。足りなきゃ、繋ぎゃいい。
以下のレビューは、こんなレベルのにわかが書いてますので、そんなつもりで読んで頂ければと思い増田明美。
取り付けた自転車はGTの2009年avalanche3.0、交換したのは元々付いていたSR SUNTOUR、その取り付け期間は5年、内放置期間が2.5年といったところです。
標準で付いていたのであろうSR SUNTOUR、中々悪くはありませんでした。 私の手元に来た時はフロントの変速をしようとすると
ガラガラガラガラ ガッシャン ガラ ガッ ガッ・・・ガラガラガラ
うおい! そこまでいっても変わんねえのかよ(笑)! といったレベルでした。 私もまだ全く自転車には興味のない頃で、偶にだましだまし乗る程度で調整もしませんでした。
最近になってこのGTを再生しようと確認をしてみると、チェーンは寿命を遥かに超えて伸びきっており、FDもまともに動いていませんでした。 なのでチェーンをデュラグレードのCN-7701(9速)に替え、FDも偶々手元にあったFD-M191(8速)に替えてみました。 ちなみにドロハン化してシフターはST-3400(3×9速)、リアはRD-3400-GSと11-28Tスプロケ(9速・グレード失念)、でもってこのクランクが9速MTB用という、ロード・MTB、8速・9速混在のクロスオーバー仕様(というほど大層なもんでもないですがw)
「ハッハッハッ! これぞまさにクロスバイクだぜ!」
という場当たりに出来上がった構成です。
ロード用のシフターとMTBのFDでは引き量が異なりますが、ネット上に散見する情報によると
「ロード用シフター3速分の引き量が、MTB用FD2速分でちょうど」
おお、素晴らしい。 上引き・下引き変換アダプタの自作だとか下引き用アウター受けの溶接を考えていたのですが、そのまんまいけるんなら、いんじゃね、それで、という事でゴー。
はい、バッチリいけました。 センターとアウターのみのダブル運用でちゃっちゃと動きました。 新しくつけたデュラチェーンの働きが一番大きいかとは思いますが、歯先の尖ったSR SUNTOURでも、アウターに乗せる際にはカッチャ、と決まり、インナーに落とす際には
「あれ? なんで落ちないの」
と誤解するくらいに音もショックもなしに変速しました。 アウターに乗せる際には若干踏力を抜いたりとちょっと気を遣いはしましたが、それでも街乗りレベルでは全く問題のないレベルでした。
そして新たに交換したこのFC-M391、私のレベルで違いが分かるのか、いいやきっと分からないであろう、と思いましたが、分かりました。ハッキリと。 ただそれは、モデルの違いというよりも、使い古したクランクと新しいクランクの違いなのかもしれませんが(笑)。
まずは形と色ですが、中々・・・悪くねいんじゃねえでしょうか。 私は以前、コスパ抜群の素晴らしい性能に対して哀しいくらいに見た目残念なティアグラなんか使ってましたので、こいつの見た目は中々・・・・・なかなか、イカす(はあと)。 個人的には、6800アルテ・クランクよりカッコいいような気も、するようなしないような・・・
取り付けて実際に走ってみると、うおっ! ちょっとなにコレ! いやだぁ!
上述の通り、トリプルのクランクですが、センター・アウターのみの二枚運用です。
リアをロー付近にしてアウターに乗せてみます。
「 チャッ」
て感じで乗ります。速さといい、感触といい、気持よく乗ります。 微妙なニュアンスなのですが、「チャッ」っという前に小さい「ン」というか、半角スペース程度の間が入る感じ、「チャッ」ではなく「 チャッ」。
続いてインナーに落としてみます。 これがまた驚くことに、音もなく、ショックもなく落ちます。
「あれ、なんで落ちないの?」
と思わず下を見てしまうくらい。 これは古いクランクでも同じでしたので、CN-7701の手柄が大きいのかとも思います。
今度はリアをトップ辺りに上げてからアウターに乗せてみます。 スチッ、という心地良い音とともに一瞬で乗ります。 特に踏力を抜くとか気にしなくとも、回転が低目でも高目でも、安定してタイムラグなく変速します。 ちょっと感動するくらいに気持ちいい。
インナーに落とす際も、「チャッ」という音とともに簡単に落ちます。
なんというか、私がロードで使ってきた4650、5600、6800のどのクランクよりも感動しちゃったんですけど。 個人的にフロントの変速する感触が好きなので、意味もなくぐるぐると走りながらカチャカチャ変速しまくってみたのですが、どう考えても気のせいじゃない気がします。 経験値が少なくて理由が分からないんですが、これはクランクの直径が小さいからなんでしょうか?
ちなみにですが、剛性云々語れるスキルは私にはございません。
今回私が買ったのは格安新古品なのですが、新品定価を見てみると、なんと3,206円、6800アルテの7分の1。 価格と同じように性能も倍化させろなんて言うつもりは微塵もありませんが、うーん、うーん、うーん、なんと言ったらいいのか・・・・・シマノさん、ありがとう・・・・・ありがとう?
価格評価→★★★★★(定価でも十分安いよなあ) 評 価→★★★★★(何も不満はないなあ) <オプション> 年 式→ カタログ重量→ g(実測重量 g)
|