購入価格:¥170
最近、シフトワイヤーやブレーキワイヤーを内蔵できるフレームが、ロード/MTB問わず増えています。
電動コンポとの互換性を持たせるため、洗車がラクになるように、フレーム設計の自由度を上げるため、
オフロード車なら 飛び石による断線や泥詰まりを防ぐ事が主な目的でしょうか。
フレーム内にワイヤーの通路が確保されていない場合、こういったライナー管で
通り道を作ってやる必要があります。
僕のロードバイク(マドン4)は、シフトワイヤーもブレーキワイヤーも外出し式です。
砂利道も あまり走らないので、ライナーとは縁がない・・・訳ではありません。
マドンのトップチューブのブレーキアウター受けです。
一見、まっすぐ付いているように見えますし、実際にもまっすぐ付いています。フレームに対しては。
しかし、「アウターケーブルに対しては」斜めに付いているんですね。これが問題です。
トップチューブと平行になっているアウター受けに アウターケーブルが斜めにささっている時、
そこから引き出されるインナーワイヤーはアウター受けの中心を通る事は出来ません。
どれだけリターンスプリングの強いブレーキを使おうと、インナーワイヤーがアウター受けにゴリゴリと当たる事が避けられないのです。
ブレーキの引きが重くなるのは当然ながら、もしテフロンやポリマーのコーティングワイヤーを使っていたら
これが原因でインナーの劣化を早めてしまうでしょう。
長期的な視点で言えば、インナーワイヤーが擦り続ける事で アウター受けが削られてしまう危険性も伴っています。心配し過ぎでしょうか。
アウター受けを溶接で留めている金属フレームでは死活問題だと思うのですが。
TIOGAやシマノのライナー管は、こういったトラブルを回避する為に必要不可欠です。
という訳で、短く切ったライナー管を アウター受けとインナーワイヤーの間に挟まるように取り付けました。
たったこれだけの手間で ブレーキの引きを軽くする事が可能となります。
アウター受けやインナーワイヤーの寿命も延びるでしょう。
角度を変えて よく見ると、インナーがアウター受けのど真ん中を通っていません。
スモールサイズのスローピングフレームは リヤブレーキアウターの取り回しが非常に苦しいので仕方ありませんが、
インナー剥き出しで組んでいたら・・・と思うと、やはりライナーは必需品ですね。
こちらは キャリパーブレーキのアジャスターです。
かなり短くカットしたので見えづらいですが、ここにもライナーを仕込んでいます。
キャリパーブレーキのアジャスターも アウター受けの1種と解釈する事ができますが、
アウターケーブルの末端から アジャスターの末端までの距離が非常に長いので、
インナーケーブルがゴリゴリと擦れる確率の高さは トップチューブ裏のアウター受けの比ではありません。
このレビューとは全然関係ありませんが、リヤブレーキの真上にショップのステッカーを
貼っているロードバイクというのも 珍しいかもしれません。
僕のバイクは左前/右後ブレーキで組んであるので、前ブレーキのフリクションが少ないです。
しかし、効果は薄いものの するとしないとではやはり違うので、この細工は必要です。
キャリパー・ブレーキレバー双方のリターンスプリングが激弱なのと相まって、STIレバーでは実現不可能な引きの軽さを得られました。
夜に撮影したので見えづらいですが、BB裏からフロントディレイラーまでのゾーンにもライナーを被せておきました。
スラムのフロント変速は シマノユーザーから見れば異常なまでに重たいので(特にインナー→アウターへの掛け替え)、
変速が軽くなるような悪あがきを 微細なものでもやっておくべきだと判断し やりました。
写真からは見えませんが、ライナーはBB裏のワイヤーリードの入口から伸びています。
TIOGAのライナー管は、シマノのライナー管よりも 外径が微かに細いのが特徴です。
ブレーキアウターキャップや カンパニョーロのブレーキアジャスターなどは、
ワイヤーの通り道が細く シマノライナーでは通せない場合があります。
そういった場合、TIOGAライナーを使うと解決する事が多いです。
ジャグワイヤも ライナー管をリリースしているようですが(使い勝手はジャグワイヤの方が上でしょう)、
僕が普段お邪魔しているショップでは 取り扱いが無いので使えません。
最後に1つ。
今回使用したライナーは、ブレーキワイヤーを通せるギリギリの内径で作られていますので、
テフロンやポリマーのコーティングワイヤーを使っていて 経年劣化で被膜が剥がれてきた場合、
これがライナー内に詰まってしまい ワイヤーの抵抗が激増、
かえって引きが重たくなってしまうリスクがあります。
むしろ、シマノであれば 9000系以降のブレーキに SLR-EV規格のブレーキレバーを組み合わせ、
全てのアウター受けにライナー処理を施しておけば
普通のステンレスワイヤーでも十分な引き軽さを得られると思います。
価格評価→★★★★★
評 価→★★★★★(内径1.2mmのシフト専用ライナーも作ってほしいです)