購入価格: ¥4,925 (税込) ※Wiggleで購入
標準価格: ¥8,424 (税込)
『性能、シール性、重量、ルックス等のバランスが良く、コストパフォーマンスに優れるヘッドパーツ』
■SEEKのヘッドパーツの交換を決意
GIANT FIXER RのヘッドパーツをChris Kingに交換してから、クロスバイクGIANT SEEK R3のヘッドパーツも取り替えたい気持ちが徐々に高まってきた。SEEK純正のFSA セミカートリッジはお世辞にも滑らかな動きとは言えないし、何より梨地のコーンスペーサーがかっこよくない。SEEKのパーツ交換が最終段階にきているということもあり、ついに交換を決意した。私が選んだのはCANE CREEKの40.ZS44 ALというものだ。

SEEK純正のヘッドパーツ FSAセミカートリッジ。
■CANE CREEKのFORTYシリーズ
CANE CREEKには110、FORTY、TENの3つのグレードがあり、40ZS44.ALはセカンドグレードのFORTYだ。FORTYシリーズは、性能、耐久性、重量、価格等のバランスがよく、長期の使用にも十分耐えうるのが特徴になっている。6061 T6アルミを使用し、ベアリング等のパーツは110との互換性がある。
40.ZS44 ALを選んだ理由は、性能や耐久性への期待はもちろんのこと、値段の割に上質なルックスをしていたからだ。また、トールカバーがあるのも、私にとっては大きなポイントだった。ショートカバーではコラムスペーサーが多くなってしまうし、かといって今までの梨地のコーンスペーサーを上から被せるのはかっこわるい。トールカバーのあるヘッドパーツの中で魅力的だったのがCANE CREEKだったというわけだ。

CANE CREEK 40.ZS44 AL トールカバー。
■注文前に規格とサイズを確認
ヘッドパーツには様々な規格がある。自転車ごとに規格やサイズが異なるので、しっかり確認しないと届いたヘッドパーツを取り付けられないということにもなりかねない。
これまでのヘッドパーツのメンテナンスの経験から、SEEKの規格がゼロスタック(セミインテグラル、ロープロファイル)というヘッドパーツということは把握していたが、サイズだけが確認を持てずにいた。ヘッドパーツを取り外して各部を計測すれば確実にサイズが分かるが、ヘッドパーツが届くまでは自転車に乗れないし、取り外してから欲しいヘッドパーツの在庫がメーカーにないということになったら困る。
ヘッドパーツを外さずに規格とサイズを調査するのは結構大変で、ましてやSEEKのようなクロスバイクのヘッドパーツを交換した人のブログ等はネットで見つけることができなかった。
そこで私が利用したのは、CANE CREEKのHEADSET FIT FINDERというツールだ。これは自転車のメーカー、モデル、年式を入力すればヘッドパーツの規格が出てくる便利なサービスだ。ここでSEEKに適合するヘッドパーツを見つけることができたのは幸いだった。

商品名からも分かるように、このヘッドパーツの規格はゼロスタックで、トップチューブ内径が44mmのものに適合する。
■ヘッドパーツは自分で交換
前回のFIXERにChris Kingのヘッドパーツを取り付けたときと同様、SEEKのヘッドパーツの交換も自分で行った。専用工具なしでゼロスタックのヘッドパーツを交換したという情報はネットでも少ない。わずかな情報と前回の経験を頼りになんとか取り付けることができた。
①SEE純正のヘッドパーツの取り外し
ラチェットレンチのソケットにエクステンションを付けたものをヘッドチューブ内に挿入し、ヘッドパーツに当ててからハンマーで少しずつ叩き出した。前後左右に均等に叩くとうまくいく。この作業は本来ヘッドワンリムーバーという専用工具を用いる。

②SEEK純正ヘッドパーツのクラウンレースの取り外し
クラウンレースをスクレーパーかタガネを食い込ませて叩いて外そうと思ったが、家の倉庫に使えそうなものがなかった。新たにスクレーパーやタガネを買うのも同じくらいの値段で、GIZA PRODUCTSのクラウンコーンリムーバーを手に入れることができたので、今回はこれを使った。この工具はフォークを傷つけず、わずかな時間で取り外し可能だ。

③40.ZS44 ALのカップの取り付け
カップにグリスを塗ってから、ヘッドチューブに自作工具で圧入した。今回はChris Kingと違ってスムーズにはいかず、作業に時間がかかってしまった。どうしてもカップが斜めになってしまい、微調整を強いられたからだ。スムーズに作業したいなら、ヘッドワン圧入工具という専用工具の方が良いと思う。

④40.ZS44 ALのクラウンレースの取り付け
クラウンレースにグリスを塗り、内径30mmの塩ビ管(継ぎ手)を繋いだものをハンマーで叩いて圧入した。この方法は費用がかからず、わずかな時間で簡単にできる方法なのでおすすめだ。本来はクラウンレースインストーラーという専用工具を使う。

あとはベアリングを手ではめ、フォークとトップカバーを取り付ければヘッドパーツの取り付けは終了だ。①〜④までの作業は当然自己責任ということになる。確実に取り付けたいなら、ショップで取り付けてもらうか、専用工具を用いた方が良いだろう。ヘッドチューブやフォークのフェーシングは今回も行っていないが、実用上は全く問題なく、ヘッドパーツのアップグレードを実感できている。また、フロントフォークはそのまま使うので、スターファングルナットの圧入作業も行っていない。
■値段の割にかなり美しい仕上げ
40.ZS44 ALによる視覚効果は私が想像した以上のものだった。高い加工精度ときれいなアルマイト処理がSEEKの質感をグッと高めてくれる。ロゴが控えめで、このヘッドパーツの上品さを損なわないのも私の好みだ。このヘッドパーツのデザインは非常にシンプルで、丁寧なつくりによって魅せるという高精度パーツ特有の美しさを持っている。ワンランク上の上質さというか、グレードが上がったかのような錯覚すら覚える。SEEKのルックスを高めるという点では大成功だった。

■高い安定感、滑らかで軽いハンドリング
走り出すとすぐに違いは感じられた。ハンドルにカッチリした感じが生まれ、速度を問わずハンドルがぴたっと安定するようになった。高いスピードで直進するときは顕著で、クロスバイクの手組ホイールの直進性が増すような感じさえした。これは40.ZS44 ALを構成する部品の精度が高く、ガタが非常に少ないからだと思った。
ハンドリングのスムーズさや軽さは、FSAセミカートリッジとは段違い。高いスピードでハンドルを切ったときの安定感と動きの滑らかさはとても驚かされた。FSAセミカートリッジでここまで軽い動きにすると確実にガタが出る。40.ZS44 ALはシールドベアリング採用で、アーレンキーでガタが出ないところまでトップキャップを締め付ければ、軽くて滑らかなハンドリングになる。
規格は異なるが、Chris Kingのヘッドパーツと比べても遜色ない高い性能だ。元々、MTB等に使うようなヘッドパーツだが、SEEKのようなクロスバイクには十分すぎるほどの高性能だ。

見るからに高精度な40.ZS44 ALのカップとシールドベアリング。
■シール性を高める様々な工夫
40.ZS44 ALには高いシール性が期待できる。コンプレッションリングはトップカバーに組み込まれ、外部からの異物の侵入を防ぐ。更にトップカバーの内側にはOリング、外周部にもゴムシールを採用して、防水性・防塵性を高めている。ゴムシールはクラウンレースにも付いているのが驚きだ。
念のため、洗車後にトップカバーを外して中を確認してみたが、もちろん内部への浸水は見られない。簡単に浸水を許してしまうFSAセミカートリッジとは大違いだ。これなら高い耐久性が期待できるし、何かあってもベアリングを交換できるので安心だ。

トップカバー(Top-Cover Assembly)とクラウンレース。TENよりもシール性が高い。
■コストパフォーマンスに優れたヘッドパーツ
GIANT SEEK R3のようなクロスバイクにはFSAセミカートリッジでも実用上は問題ないが、実際に交換してみると大幅なアップグレードを実感できる。軽く滑らかな動きと安定性は、このヘッドパーツの見た目と同様に素晴らしいものだ。調整もメンテナンスも簡単でとても快適だ。SEEKをできるだけ長く楽しみたいと思っている私にとっては、高いシール性や容易にベアリングが交換可能なのもポイントが高い。
私はCANE CREEKの40.ZS44 ALをWiggleで4,925円で購入できた。あまりの安さにトップかボトムの片方だけかと思ったくらいだ。日本での価格は8,425円なので、私はTENと同じくらいの価格でFORTYを手に入れたことになる。日本の販売価格でもコスパが高い40.ZS44 ALだが、海外通販では更にお得。こんなに素晴らしいヘッドパーツを安く手に入れられて大満足だ。

フォーク以外のすべてのパーツを交換したGIANT SEEK R3。ワンコも近くでくつろぐ仕上がりだ。
価格評価→★★★★★ (コスパが非常に高い。海外通販なら日本のTENの値段で買える)
評 価→★★★★★ (性能、シール性、ルックス等、文句の付けどころがない)
<オプション>
年 式→2011年
カタログ重量→97g (1ペア)