購入価格: ¥3,0520 (税込) ※PAXCYCLEに注文
『完組よりもはるかにコスパが高い手組トラックホイール。性能もルックスも値段以上』
■早くも次のホイールの買い替えを決意
GIANT FIXER Rの純正ホイールはそれほど劣化していなかったが、もっさりした反応、接合部でのブレーキの引っかかり等、不満な点がかなりあった。このホイールの乗り心地はそれほど悪くないが、ワンテンポ遅れた反応はトラック由来のフレームのキビキビした挙動を台無しにしてしまう。
劣化を待ってから買い替えようと思ったが、クロスバイク用のホイールを組んでもらってから、ますますFIXERのホイールを交換したくなってきた。完組トラックホイールの実力を知るため、ローラー台に使っていたHalo Aero Track Wheelを試してみたが、それほど大きな変化は得られなかった。大幅な性能の向上と理想を求めて、今回も手組ホイールでアップグレードすることにした。
GIANT FIXER R純正ホイールは、前20H、後24Hのトラックホイールだ。
■耐久性と高めの剛性を希望
クロスバイク用のホイールに続き、FIXERのホイールもPAXCYCLEにお願いした。前回同様、具体的なパーツは指定せず、イメージ、予算、用途、走行距離、機材の不満点、使用期間を伝えた上で、ホイールの構成を提案してもらった。
伝えたイメージと不満点は以下の通り。
○ホイールのイメージ
・高さが30mm程度のリム、ブレーキ面の耐摩耗性が高いもの。
・リム、ハブ、スポーク、ニップルはすべてブラック。
・ハブはラージフランジ、左右固定ギア用。
・クロスバイクよりも更に短い距離での使用なので、乗り心地よりも高い剛性感を味わいたい。
・軽さよりも耐久性を重視。できれば純正ホイールよりも軽いと嬉しい。
○不満点
・ブレーキ時にリムの接合面に引っかかりを感じる。
・高速時の安定感のなさ。
・ダンシングでフロントホイールから力が逃げる。
・踏み込んだときの反応が鈍くもっさりしている。
そして、最終的には以下のような構成になった。トラックホイールのバランスの良さとコストパフォーマンスを重視して構成を提案してくれた。予算は45,000円を提示したのだが、なんと2/3の値段で済んだ。この費用で私の要望どおりになるなら、こんなに嬉しいことはない。即答でこの構成でお願いした。
○構成
リム : KINLIN XR-300
ハブ : NOVATEC トラックハブ 32H (TECHNO CROSS シングルスピードハブ 32H)
スポーク: DT Swiss チャンピオン 2.0
ニップル: ブラスニップル 2.0
※色は全てブラック
左: KINLIN-XR-300 右: TECHNO CROSS シングルスピードハブ 32H
■新しいトラックホイールは大幅に軽量化
届いたホイールを計量して驚いた。なんとFIXER純正ホイールと比べて前後で281gも軽くなった。しかも、ホイールナット込みの重量だ。新しいトラックホイールは前後32Hで、スポーク本数が多くなったにもかかわらず軽く仕上がった。これは走る前から期待感を高めてくれた。
フロント: FIXER純正ホイール: 1050g → 注文したホイール: 934g (-116g)
リア : FIXER純正ホイール: 1152g → 注文したホイール: 987g (-165g)
※リムテープなし、ホイールナット込み (ホイールナットは約30g)
■光沢感のある深いブラックがFIXERのルックスを高める
箱からホイールを取り出すと、リムとハブの光沢感がまず目に入る。KINKIN XR-300のステッカーは貼られていないが、光り輝くホイールはとても存在感が高い。実際にFIXERに取り付けてみると、クランク、ブレーキ、シートポスト等のアルマイトブラックにぴったりだ。ハブのラージフランジはフロントホイールでは特に目立つ。DT Swiss チャンピオン 2.0の太いスポークと相まって力強い印象になる。
スポーク本数は少ないが、FIXER純正ホイールも一応トラックホイールだ。リムハイトもフランジ径も新しいホイールとほぼ同じだが、質感は全くの別物だ。TECHNO CROSSのロゴはあまり好みではないが、値段以上に高品質で私の所有欲を十分に満たしてくれた。
■FIXERの持つキビキビした挙動や軽快さを更に高めるホイール
【高い剛性感と固定ギアでのダイレクト感】
走り出してすぐに違いは分かった。クロスバイクのホイールは円盤というより硬い輪が転がる印象だったが、このトラックホイールはホイール全体が硬めでまさに円盤のようだ。真円度の高さによるスムーズな転がりは気持ちがいい。
高さ30mmのリム、高いテンションのスポーク、ハブのラージフランジ等が一体になって剛性の高さにつながっている。踏めば即座に反応し、踏んだだけ前に突き進んでくれる。また、ダンシングではフロントホイールの力が逃げなくなった。踏み込んだときの反力を今まで以上に受ける分、脚が疲れるようになったが、もうすっかり慣れてきた。
このホイールはフリーギアでも楽しめるが、固定ギアならもっと面白くなる。ギアと直結するようなダイレクト感が固定ギアの面白さだが、ホイールにロスなく力が伝わるとますますダイレクト感が高まる。これはバック踏みや低速のときでさえ感じられることだ。
固定ギアでのダイレクト感が一層強まった。
【軽量化で加速しやすくなった】
変速できないシングルスピードにとって、ホイールの軽量化の恩恵は大きい。ゼロからの加速だけでなく、減速した後に再加速するときがとても楽だ。また、軽く走ったつもりでも、結構スピードが出てることがあって驚くことがある。都内を走ると交通渋滞や信号機の多さで、どうしても減速することが多くなる。このホイールの軽さとロスのない走りのおかげで、都内でのストップ&ゴーが快適に行えるようになった。
KINLIN XR-300はリムハイトの割には軽い。
【巡航性能の向上】
このホイールは高いスピードを保ちやすく、巡航スピードが2〜3km/h程度高くなった。20km/h台後半からフッと軽くなって前に進みやすくなる感じがある。エアロ効果が効いているのかもしれない。この辺りの速度域で加速減速を行うのはかなり楽しい。また、高いスピードでホイールがぶれるような感じがなくなり、高い直進性と平地巡航のしやすさを体験することができた。
フリーギアで高めのスピードを出すときも快適。
【乗り心地も全く問題ない】
FIXER純正ホイールよりも硬くなったので、少々地面の凹凸を感じるようになったが、極端に乗り心地が悪くならないバランスは見事だ。これなら街乗りでも使いやすい。ロングライドでは試していないが、少なくとも私の行動範囲では全く問題ないレベルだ。こういう味付けはさすがホイール組の名人だと思った。
スポーク本数の多さも効いているのかもしれない。
【軽く滑らかな回転】
ハブの日本製のシールベアリングは、無負荷では軽く滑らかに回り続ける。実際の走行では感じにくいが、全体としての快適な走行にはつながっているはずだ。
北日本精機(EZO)のシールドベアリング。
【快適にブレーキをかけられる】
BR-5700とCNC加工されたブレーキ面の相性は抜群で、スピードコントロールしやすくしっかり止まれる。ピンジョイントだが引っかかりは全く感じない。シューがリムを擦る音も非常に小さく、とても快適にブレーキをかけられる。ドライコンディション用のブレーキシューならリムへの攻撃性も低く、高い耐久性が期待できそうだ。
BR-5700との相性は抜群。
■トラックホイールは完組よりも手組がおすすめ
今までFIXERのパーツはいろいろ交換してきたが、ホイールは一番最後に交換したパーツだ。パーツを取り替える度に性能やフィーリングの変化を味わってきたが、性能の向上を最も実感できるものはホイールだった。クロスバイク用のホイールを換装したときは、自転車の性格がガラリと変わった印象だった。一方、今回はFIXERの持ち味や良さがホイールによって高められた感じがした。
このホイールのパーツ構成や組み方による乗り味は、まさにピストバイクといった感じのもので、自信を持って提案されただけのことはあると思った。今回も私の要望をかなえつつ、トータルバランスの良いホイールに仕上がって満足だ。
このトラックホイールの価格は、完組のトラックホイールの前後セットよりもわずかに高いだけだ。Halo Aero Track Wheelと今回組んでもらったトラックホイールを比べると、性能の差は値段の何倍も違う。トラックホイールのアップグレードは、ホイール組の名人による手組ホイールがおすすめ。コストパフォーマンスが高く、理想通りのホイールが出来上がるはずだ。
ホイール換装後のGIANT FIXER R。
価格評価→★★★★★ (この構成と組み方のコスパは抜群)
評 価→★★★★★ (文句のつけどころがない。まさに私の理想通りのホイールだった)
<オプション>
年 式→2014年
重 量→フロント934g、リア987g