購入価格 約¥27,000 (@ wiggle Priority送料込み)
ユーロフィットのサイズ40(25.0cm相当)を購入。
今まで履いていたのはSIDI Ergo2とGenius Carbon6.6。どちらもサイズ39(24.5cm相当)で、厚手のインソールShockDoctorウルトラ2ロープロファイルを入れてフィッティングを出していました。Ergo2はともかく、Geniusのほうはもう5年以上履いていてサイドのメッシュに汗による褪色と劣化が見られるため、そろそろ前線を退いてもらうべく新しいシューズの購入に踏み切りました。
ちなみに私の足、踵からつま先までの実測長は23.8cm、拇指球を通る甲の周長は23.5cm(ともに日中一番拡がる時間帯での計測)で、特にタイトなラストを採用しているメーカーでなければ幅広モデルを選ばずとも大体問題なく履ける足型だと思います。踵は足全体の大きさに対しては若干大きめなのでしょうか、靴によりますが25.0cm相当かスニーカーだとそれ以上でも快適に履けてしまうことがあります。ShockDoctorに交換したSIDI39は夏用の薄いソックスを履いた状態ならば完璧だったのですが、冬用のウールソックスを履くとつま先が窮屈になるような具合で、今回シューズを新調するにあたって少しサイズアップして25.0cm相当から探すということは予め決めていた条件の一つでした。悪名高きSIDIの純正ペラペラインソールでならソックスの厚さに関係なく適正なフィッティングが出せるのですが、アーチサポートはあった方が快適に感じるので、今回もしっかりしたインソールと併用するというのがもう一つの前提条件。この条件をもとにして、前から気になっていたのがこのR1でした。
さて、Fi'zi:kのシューズにはユーロフィットとG-Fit2種類のラストが用意されていますが、私の履けそうなサイズを、ひとまず24.0~25.0cmの間で抽出してみると…ユーロフィットの40、G-Fitの40・39.5・39が該当します。両ラストの具体的な違いですが、国内ショップCOG'Sの商品説明では…
---------以下引用---------
「G-fit(ジャポネーゼフィット)とEuro-fit(ユーロフィット)の違い」
サイズ42を例に取ると、下記のような違いになります。
・サイズ42で前足部 内側に1.5mm、外側に3mm広い
・アキレス腱部はG-fitのほうが2mmほど狭い
・甲のカーブはG-fitのほうが盛り上がりボリュームがある
---------引用以上---------
とあるので、G-Fitはユーロフィットの長さをそのままに、ハーフサイズ分だけ幅と高さを拡大し踵回りは逆にハーフサイズ分タイトにした感じなのでしょう。実は両者は展開サイズも異なっていて、ユーロフィットは40が最小ですがG-Fitにはさらに下38まで0.5刻みで用意されています。
そしてここで最初の選択を迫られます。海外から買うか、国内で買うか? という問題です。
全世界共通で流通しているものは、国内ショップでユーロフィットとして売られているのと同じものですが、G-Fitは日本市場専用で国外からの購入はできません。まあそれはいいとして、問題は内外の売価に無視できない大きな開きがあること。国内での実売価格は海外の3~4割増という状況です。しかも海外ではとっくに型落ちの旧モデルで。そして本国でのモデルチェンジから遅れること1年以上、4月に入ってようやくG-Fit含め現行デザインのアッパーを採用したモデルに切り替わったのですが、あからさまな増税便乗値上げと評したくなるような大幅な値上げを受けて、なんと海外実売価の倍近くまで跳ね上がりました。
私としてはもう国内で買う気はおおかた失せていて、とりあえずユーロフィットが合わなければ他メーカーからの選択も含め改めて考える腹づもりでした。国内ではシューズやアパレルは原則返品不可のショップがほとんどですが、wiggleを含め海外の大手オンラインリテーラーなら外履きやクリート装着をする前ならば交換あるいは返金を受けられるところはあるし、試しやすい状況だったのも追い風となって、まずはwiggleから40を購入してみることにしました。前述のCOG'Sには複数サイズの試着用レンタルシューズを発送してくれるサービスがあるなど、頑張っているところもあるようなので、もしユーロフィットが合わなければ一度レンタルをお願いして検討してみようかなぁ、ともぼんやり考えていました。
-そして届いたユーロフィットの40。フィッティングは?
結論から述べると、結局40がちょうどいいサイズでした。幅・高さはSIDIの39とほぼ同じで縦方向だけ5mm強伸ばした感じです。当初狙っていたとおり、ペダリングしても足が泳がない程度のタイトさは保ちつつ、つま先に余裕を与えることが出来ました。踵はSIDIから直接履き替えるとはっきり緩いと感じるほど大振りだったので注意が必要です。SIDIのGenius6.6以上にはHeel Cup Systemというアキレス腱周辺の締付を調整する機構が付いていて、ギチギチに締め上げることもできるので緩さが強調されて感じられるのですが、およそハーフサイズ分は大きい印象。やや踵が緩めに感じる程度なら、インソールがインステップを強く押し上げて固定するおかげで踵を含め足全体が上下左右に泳いでしまうことはありませんでしたが、くるぶし周辺のカッティングもややゆったりしていますし、踵が小さい場合足が抜けそうになるケースも考えられるので、自覚がある人は踵がきつめになっているというG-Fitのほうが良いかもしれません。
ということで、R1はどうやらアッパー前半部分はハーフサイズ分程度タイトで、踵周辺はハーフサイズ分程度緩めというあることを念頭に置いてサイズ選択することをお勧めします。今履いているシューズが幅広モデルでないのなら、ハーフサイズアップしたユーロフィットを最初に履いてみるといいでしょう。ただし踵周りのフィットがゆったりしているので、踵が小さい人はサイズアップせず今履いているシューズと同じサイズのG-Fitを選んだ方がいいのではないでしょうか。G-Fitの試着はしていないので想像しかできませんが、現在他メーカーシューズの幅広ラストを履いている人もやはりハーフサイズ上げるべきでしょうか? これについては、実際に履いている方のご意見を待たなければならないでしょう。
旧モデルはアッパーのほぼ全面にカンガルーレザーが採用されていたため初期伸びが出て僅かに緩くなると聞きましたが、現行型はレザー部分が減少した為か500km程乗り込んだ今でもアッパーが伸びたような感触がありません。SIDASの熱成型対応インソールは、前述したようにインステップを盛り上げた成型が予め施されているので、初めて足を入れた瞬間から高いサポート力を発揮します。SIDASを扱っている自転車のプロショップのほか、スキーショップなどでも細かな調整や再成型を受ける事が可能らしいですが、私は特に不満を感じなかったので、当面は初期状態のまま使い続けてみることにします。
-履き心地とクオリティは?
きちんと履きこなせるサイズを選んだという前提でなら、素晴らしい履き心地の一言です。ストラップなどの調整幅は十分あるのでがっちり締め上げることも可能なのですが、目一杯締め上げてもタンや踵周りにはたっぷりとパッドが入っているので、あくまでも柔らかな履き心地です。纏足でもするかのごとくギチギチに押さえ込むことが可能なSIDIとは対照的。どちらが良いかは好みの領域になるのですが、個人的には凄く気に入りました。踵も前述したようにガッチリ固定するタイプではないですが、SIDASのインソールがかなりインステップを押し上げて固定してくるため安定感は相当高く、つま先と踵に僅かな開放感が残っているのに足全体は安定して前後上下に動かないという、独特なフィッティング感が出せています。これは慣れるとクセになりそう。各部素材の質感や縫製レベルなど、全体的にSIDIのフラッグシップと比べても遜色ないレベルで、サドル同様非常に丁寧に作られているという印象ですが、ごく細かな部分で不満を感じる部分はあります。それらについては後述します。重量はインソール込みでの実測573gでした(以前フォーラムで620gと書きましたが、あれは計測ミスでした。こちらが正しい数値です)。超軽量という訳ではありませんが、SIDI Ergo2と比べるとはっきりと軽さが実感できます。
-どうやらかなりいい線を行っている様子。他に弱点は?
ここまでフィッティングと品質に関してほぼベタ褒めしましたが、細かな部分で気になっていることはあります。
まず①。ヒールのスキッドブロック(滑り止めのゴムブロック)が交換式になっていない。釘状のものでインソール側から固定してあるようですが、ユーザーがパッド単体を購入し交換することを想定していないような造りになっています。しかも取り付けは緩く、端のほうは最初からグラグラ動いてしまうほど。滑って踏ん張ったら取れてしまいそう。
②ラチェットの出来ははっきり言って50点。SIDIのラチェットは少々乱暴に扱ってもまず確実に動作しますが、Fi'zi:kのは1ノッチずつ丁寧に締めないと突然詰まって動かなくなります。最初のライドで、いつもと同じ感覚で乗車中にレバーを引き上げ2・3ノッチ締めようとしたら、そのまま詰まって動かなくなり焦りました。詰まった場合は無理にレバーを引き上げようとせずそのままの状態でリリースボタンを押し下げ開放すれば戻るようですが、wiggleのレビュー(旧型のほう)を見ると壊してしまったという報告もあるので、煮詰めが足りないパーツと言わざるをえない印象です。ヌードカーボンは問答無用でカッコいいのですが…あまり頼りないようなら、ここだけSIDIのラチェットに換えてしまうのも手かもしれません(ベルトはそのままで、ラチェットバックルをポン付けするだけで問題なく使えるようです)。
③通気性はいまひとつ。SIDIのErgo2やGenius6.6と比べると、ですがつま先とインステップ周辺のレザー部分は特に風の通りが全くといっていいほど感じられません。初夏の気温30℃前後までで不快になることはありませんでしたが、35℃を超えたり湿度が極端に高くなるような状況だと、放熱・透湿性能が追いつかず不快になるかもしれません。レザー面積を減らして涼しくしたはずの現行モデルでこれなのですから、旧型は相当暑かったことでしょう…どうりでスポンサーしているプロチームのライダー達は、挙ってナイロンメッシュアッパーのR3を選ぶわけです。
④カーボンソールのアールが強いので、クリートとの相性に若干不安が↓
写真のクリートはSpeedplayのものですが、ご覧のとおり前後に隙間が生じています。前後方向の移動代もSIDIと比べると少ないようです。Speedplayクリートにはこういったソールとの隙間を埋めるスナップシムが付いていますが、一番厚みのあるものを装着してもこの状態。もしかすると小サイズ特有の現象なのかもしれませんが、あまり隙間が大きいとクリートそのものや取付ネジに負担がかかりすぎて破損することも考えられるので、今後も経過観察をしていきます。今のところ異音やクラックなどの問題は出ておらず、エンゲージ/開放も問題なく行えていますが…
まとめると
・ややタイトなラスト。サイズ選択時はハーフサイズアップ推奨。踵が小さい人・甲幅の広い人はG-Fitから試着を。
・フィット感はコンフォート寄り。素晴らしいインソールが標準付属しているのもあって、非サイクリング用含め今まで履いてきたあらゆるシューズの中でもトップ3に入るくらい、履き心地は素晴らしい。踵回りのカッティングはどちらかというと緩めで中足への当たりも柔らかく、各部をガッチリ固定できないと不安という人には嫌われてしまいそう。
・通気性は凡庸。本気で走るなら、R3の方が快適でしょう。
・スキッドブロックの取り付けが甘い、ラチェットバックルがジャムを起こしやすいなど細かな部分で残念なところも。
・Speedplayクリートとの相性には一抹の不安あり。
とこんな感じです。細かな不満もありますが全体的にはとてもよく出来ていて、海外での実売価格で考えればSIDIのErgo3やGenius6.6よりも若干安いこともあり、3万円以内で見栄えがよく快適なシューズを探しているなら悪くない選択肢の一つというのが今のところの感想です。
一方、特にR1のクラシックな外観と豪華なインソールにこだわりがないという方は、アッパー素材とインソールを簡素にしてコストダウンしつつも基本構造は共通しているR3の方が向いているかもしれません。R1付属のSIDAS熱可塑成型対応インソールは市販のものと同じようなので、そちらは成型に対応してくれるショップで別途購入するというのも手ですし、R1は素材感や質感を優先しているためかいまひとつ涼しくないので、炎天下での快適性にもこだわりたい人にはR3の通気性が高そうなナイロンメッシュアッパーは却って好都合なのではないでしょうか。
価格評価→★★★★☆ (輸入価格なら。)
評 価→★★★★☆ (履き心地は満点、通気性と細かな装備で★x1を減点。)
年 式→ 2013
カタログ重量→ 478g @ サイズ43、インソール抜き (実測重量 573g @ サイズ40、インソール込み)