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フロントシングル専用に作られた、チェーン落ちしにくいチェーンリング。
今回レビューするのは38Tのもの。ラインナップには40T,42Tも存在する。
シクロクロスでは、フロントチェーンリングを1枚で運用する場合がある。
スピードの出ないオフロード走行では53Tやら50Tは不要だし、純正外の46Tチェーンリング等は変速性能が悪い。
現在はシマノが品質の良い36-46Tチェーンリングを用意しているが、タイトコーナーと直線が繰り返すコースでは、インナーは軽すぎ、アウターでは重すぎる状況が多々ある。
そんなわけで、ここ2シーズンほどはフロント39Tシングルで運用しており、12-27Tや11-28Tのスプロケを組み合わせている。
フロントシングルの主なメリットは、余分なチェーンリングやフロントディレイラー、シフターやワイヤーも不要になり大幅に軽量化できること、
部品点数が減り泥が詰まりにくくなること、さらにはインナー使用時、剥き出しのアウターリングでバッサリ怪我をする心配がない事など。
しかし、アウターリングを取り外しただけのフロントシングルは、よくチェーンが落ちる。
でこぼこの路面やコーナリング、シケイン越えでチェーンは大きくたるみ、しばしばチェーンリングから脱落する。
一度チェーン落ちすると降車して手でチェーンを掛けないと復帰できないので、バッシュガードやチェーンウォッチャーを駆使して対策する必要がある。
PAULやK-edgeから、フロントシングル向けのチェーンウォッチャーが発売されているものの、チェーンリング下側からの脱落は防げない。
Wolftoothは、1x11sで話題になったSRAM XX1のチェーンリングと同じコンセプトの製品。
厚い歯と薄い歯が交互に並んでおり、チェーンのアウターリンクとインナーリンクそれぞれに噛み合うようになっている。そのため、歯数のラインナップは偶数のみ。
ディレイラーによって「脱線」する必要が無いためギヤ歯は高く、チェーンのリンクに深く刺さり、脱落しにくくなっている。
厚歯にあわせた板厚のため、チェーンリングは分厚いが、インナーリングにバッシュガードやチェーンウォッチャーを追加するよりも軽くなるし、泥はけも良くなる。
効果は絶大で、バイクを傾けたまま段差を飛び降りたり、コーナリング中にペダルを逆回転させたりと、敢えてチェーン落ちのしやすい乗り方を試してもノートラブル。
レース中、後輪がパンクしてグリップを失い、スピンしながら転んだ際にもチェーン落ちしなかった。
性能には満足しているが、取り付けに難がある。リング自体が分厚く、さらには取り付け穴がザグられてないため、チェーンリングボルトを選ぶ。
フロントダブル用クランクに取り付ける場合、フロントシングル用のチェーンリングボルトでは短すぎて十分に固定できない。
一方、フロントダブル用チェーンリングボルトはものによっては長すぎて、奥まで締め込んでもチェーンリングがガタつくこともある。
手元にあるチェーンリングボルトをいくつか試して具合の良いものを使ったが、合わない場合はナットを削ったりワッシャーを挟んだり、工夫が必要になる。
なお、フロントダブルのクランクに取り付ける場合はアウター側、インナー側どちらにつけても良いが、
太いクランクではクランクアーム根本と干渉するため、アウター側に取り付けできない。
また、自身では経験がないが、ヘビーな泥コンディションでは歯の間に泥が詰まりチェーンが浮いて外れるトラブルもある模様。
チェーンを短めにしたりテンションの強いディレイラーを使ったりして対策すべし。
割高感はあるものの、ニッチなフロントシングル乗りの要求を満たしてくれる逸品。
ロードバイクでも、38Tというギヤ数はヒルクライム決戦用軽量バイクなんかに良いかもしれない。
価格評価→★★★☆☆ 定価はちょっと勇気のいる価格
評 価→★★★★★ フロントシングルな皆様へ。
実測重量 52g
オルタナティブバイシクルズ様よりモニター品として頂いたものですが、CBNにも掲載許可を頂いたため投稿させていただきました。
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