購入価格 ¥980(近所のワークマンにて)
「ただいま。」
「お帰り。ひうま。雪が降る中自転車で寒かったでしょう。」
「ねえちゃん、いつも言っているだろう。自転車はむしろ暑いんだよ。でもこんだけ寒いとさすがに指先が冷たいよな。」
俺がそういった瞬間、部屋の奥の方にいたはずの父ちゃんが瞬時に俺の前に現れ、魔送球のフォームから繰り出された右こぶしが俺の顎にヒットした。
どごぉぉぉぉ~ん。
俺は晩御飯の乗ったちゃぶ台まで飛ばされた。今日の夕飯になるはずだっためざしや味噌汁が後ろの壁にぶつかり、跳ね返され、俺の上に降り注いでくる。父ちゃんは決してちゃぶ台をひっくり返したりはしない。ちゃぶ台はただ結果的にひっくり返るだけなのだ。
「馬鹿野郎!
自転車に乗っていると指先が冷たいだ?父ちゃんはおまえを巨人軍に入れるために雪の日も雨の夜もツルハシ握っていたが、軍手一つ付けていなかった。それでも、手が冷たいなんて弱音を吐いたことはないぞ。せっかく入ったのに、肩が痛いですなんてすぐ辞めやがるわ、ちょっとアメリカに行ってくるわ、好き勝手しおって、今度は自転車か?まあそれもいいだろう、環境にもいいらしいしな。だが、そんな寒そうな格好でいるんだ、指先が冷たいなんてあたりまえだ。いいか、体が冷えれば末端はさらに冷える。まず暖かい格好をしてから指先の心配をしろ。そもそも寒いなんて言うのは、気合いがたるんでいるからだ!」
「父ちゃん違うんだ。たしかに薄着に見えるけど、こいつはパールイズミ ウィンドブレークタンクトップタイツだし、下にはおたふく手袋 ボディータフネス パワーストレッチ ハイネックシャツを着てる。さらに寒い時にはウルトラライトウインドブレーカーを着るんだ。それで自転車にこいでいると冬でも暑いんだ。長袖のジャージなんか着られないくらいだ。ウインドブレーカーを脱いで、前をはだけてやっとちょうどいいくらいになるんだ。だけど指先は冷たいんだよ。いや、違う。寒さが厳しいときに使っているdhb Amberley II Gloveはそこそこ暖かいんだけど、でかいから脱いだ時に収納が難しいんだよ。走っていると手も暑くなってグローブの中が汗だくになのがいやなんで、それほど寒くなさそうな日はこっちのセブンで買ったノーブランドフィットてぶくろの上にパールイズミ サイクリング グローブを付けているんだ。ただ、これだと寒い日には指先が冷たいっていう話なんだ。そもそも朝行くときはバリ寒むだけど帰りはそれほどじゃないし、両方持っていけば解決だけど、それじゃなくてもロードバイクには荷物が乗らないんだから、こんなかさばるグローブ背中のポケットにも入らないし全部持っていくわけにもいかないだろう。わかってくれよ、父ちゃん」
「なにをいう。そんなのバッグ一つ背負えばすぐ解決じゃ!」
「そんなもの持ちたくないんだよ!父ちゃんの分からず屋!」
「ひうま!お待ちなさい。」
姉ちゃんが止める声を振り切って、俺は家の外へ飛び出し、ロードバイクにまたがるやいなや、全開でNorthwave Celsius ArcticGTXをぶん回す。
デヤァーーーッ!
いつまでたってもロードバイクを理解しようとしない父ちゃんへの怒りが俺の魂の叫びとなってあたりの空気を震わす。外は雪がちらつき風が強い。一日の仕事を終えたあとに、夕飯も食わず寒風の中走り続けた俺は、次第に力が入らなくなってきた。ハンガーノックの兆候だ。次第に意識の薄れていく中、なぜか数年前になくなったじいちゃんの声が聞こえてきた。
「ひうまや。人間柔らかな気持ちでよーく考えてみることが大事なんじゃよ。怒っていたり、こだわっていたりしたら、当たり前のことにも気づかなくなるもんじゃ。おまえはウエアはレイヤーで着こなしているじゃろう。暑くなれば脱げばよい。なぜグローブもそうしないんじゃ・・・」
「そうか、グローブもレイヤーか。なんて当たり前のことだ。最初からそうしとけば父ちゃんに殴られることもなかったのになぁ。あしたさっそくモンベルにでも行ってくるか・・・・」
俺は根拠のない固定観念が自分を支配していたことに気付き自分自身の至らなさを恥じた。これまでに何度自分のことを考えの足りないやつだと悲しくなったことだろう。手袋レイヤーシステムが完成すれば、俺は自転車乗りとして、またひとりの人間として、ひとまわり大きく成長するのだろう。
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【要点をまとめます】
ネオプレーン80%、ナイロン20%の防風アウターグローブ。
晴れの日は通勤で自転車を使用していますが、今の季節は行きは0℃前後、帰りは10℃弱の時が多く行き返り両方に適した手袋の選択が難しいです。そこで、適当なアウターを購入して、10℃用の装備(セブンイレブン ノーブランドフィットてぶくろ+パールイズミ サイクリンググローブ)の上から装着することにしました。最初はモンベルあたりでネット情報を探していましたが、手袋はやはり着けてみないとよくわからず、モンベルショップは割と遠くにあるので、行くのも面倒で決めきれずにいました。そういった折にたまたまホムセンで別のものを探していて、ワークグッズにアウター手袋がいろいろあるのを見て、「ああ、これでいいじゃん」と思い、ワークマンで発見したのが本製品です。
実際に使用してみると、期待通りの暖かさで、十分満足です。操作性もある程度は保持されており、上記の装備の上にこれを装着した状態で、ウインドブレーカーのジッパーが下せます。ブレーキやシフトの操作も問題ありません。取り外した時には背中のポッケに収納可能です。機能的には完全に合格点と言えるでしょう。同じ並びにネオプレン製の防水防風もありました。こちらだと冬の雨の日でも十分暖かそうでしたが、ネオプレンが分厚く、指先の感覚は分からなくなるだろうし、収納的にも不合格だろうと思い、選びませんでした。そもそも雨の日は基本走りませんし。
欠点はやはり外見でしょうか。でもまあ値段が980円だし、基本実用品だからしょうがないです。仲間とツーリングだとちょっとあれですが、通勤用にはこれで十分ともいえます。ただネットでNeoWorkGearのサイトに行きますと、私が今回買ったものはみつけられませんでしたが、良いデザインのものもちらほらとありました。値段は2-3000円でしたが。
サイズですが、私の手は、パールイズミ 26 サイクリンググローブはLを使用していて、ちょっと緩めかな、程度の大きさです。本製品はMを選びました。ちょっと小さい感じでしたが、本製品は結構伸縮性があり、支障はありません。それほど締め付けられる感じもしません。Lも試してみたかったのですが、私の行った売り場にはMとLLしかなく、LLは指先が余るほどだったので、Mにしました。後悔はありません。
買ったばかりなので、耐久性は不明です。ワークグッズなので耐久性は高いのじゃないかと期待していますが、ワンシーズンごとに買い替えてもこの価格ですから全く問題ありません。
価格評価→★★★★★(980円ですから)
評 価→★★★☆☆(デザインで減点、でも要求すべきものではない)