購入価格 8,000円 (エントリーフィー)
馬鹿野郎! さっきから黙って聞いていれば、レースに仮装してお祭り気分で走るなんてとんでもないだの、ちんたら走ってるヤツがじゃまくさいだの、おまえらはそれでも懐の深い自転車乗りと言えるのか?
ここはどうやら俺が、過去の耐久レース出場経験を語らなければいけないようだな・・・
それは俺が作シーズン2度目のエンデューロレースに出たときの話だ。受付を済ませ、試走時間も残り20分となり、俺は満を持してまだ気温の上がらないコースに躍り出た。
デヤァァァーーー!
俺の無駄のないフォームからすべての力を伝えられたバイクが、一瞬フレームを撓ませて力を溜めたかとおもうと次の瞬間猛烈に加速をはじめ、ホームストレートですべてのライバルを置き去りにする。
ギュギュギューーーン!
コーナーの手前でロック寸前のフルブレーキングを決め、無駄のないアウトインアウトのラインを描いてコーナーを脱出する。ふははははっ、どうやら今日のレースはもらったようだな。
俺は試走を済ますと、自分の出番を待つために選手交代用ピットで待機した。
その時だった。同じピットを使う他チームの選手が舌打ちをしながらぶつぶつとつぶやいていた。そいつはスマホを取り出したかとおもうと秒速10文字の猛烈なフリック入力で、某巨大匿名サイトに投稿を始めたようだ。俺は無意識に彼のスマホの画面をのぞき込んでいた。
「今日、彩湖のエンデューロレース出てるんです。ワイズカップ。
そしたらなんか人がめちゃくちゃいっぱいで走れないんです。
で、よく見たらなんか垂れ幕下がってて、スポーツバイクデモ、とか書いてあるんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。
お前らな、試乗会やアウトレットセール如きで普段来てないレースに来てんじゃねーよ、ボケが。
耐久レースだよ、レース。
なんか親子連れとかもいるし。一家4人でエントリーか。おめでてーな。
よーしパパゾロ目賞狙っちゃうぞー、とか言ってるの。もう見てらんない。
お前らな、参加賞のアミノ酸やるからリタイヤしろと。
レースってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。
番手争いでいつ喧嘩が始まってもおかしくない、
ハスるかハスられるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。女子供は、すっこんでろ。
で、やっと走れたかと思ったら、後ろの奴が、ヒャハーッ、レース楽し〜い、とか言ってるんです。
そこでまたぶち切れですよ。
あのな、サンデーレーサーなんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。
得意げな顔して何が、つきいちで、だ。
お前は本当にレースを走りたいのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前、レース出たことあるって言いたいだけちゃうんかと。
レース通の俺から言わせてもらえば今、レース通の間での最新流行はやっぱり、
ディープ、これだね。
カーボンディープリムセラミックベアリング。これが通のホイール。
セラミックベアリングってのはコストが多めにかかってる。そん代わりグリスが少なめ。これ。
で、それにサピムのエアロスポーク。これ最強。
しかしこれを頼むと次から店員にマークされるという危険も伴う、諸刃の剣。
素人にはお薦め出来ない。
まあお前らド素人は、中華カーボンでも買ってなさいってこった。」
俺は補給用に持ってきたほうれん草の缶詰を開け一気に中身をむさぼり食うと、錨の入れ墨の入った二の腕にその全エネルギーを注ぎ込み、隆起した上腕筋で会心のウエスタンラリアットをそいつの胸元にぶちかました。
ドゴォォォォーーン!
ヤツは不意打ちを食らって為す術もなく、自転車を掴んだまま水平に吹き飛び後ろにいたレーサー達を自転車もろとも将棋倒しにしていった。
俺「馬鹿野郎! 耐久レースの楽しみ方ってのは人それぞれなんだよ! 順位にこだわってガチのレースをするのもいい、レースのふいんきを味わいたくてお祭り気分で参加したっていい、初音ミクの仮装してママチャリで参加したっていいんだ。お互い目指すものが違うから理解し合えないかもしれないが、だからってお互いを非難しちゃいけないんだ。だが、とうぜん安全のための配慮も必要だ。遅いヤツはコースの外側を走れ。速いヤツは遅いヤツを抜くときには声を出して注意を促せばいいんだよ。俺の言っていることが理解できなかったら、おまえのおじいちゃんに電話して聞いてみろ!」
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要点をまとめます。
スポーツバイクデモ・ワイズカップ彩湖4時間エンデューロは、耐久レース・最新モデルの試乗会・各メーカー代理店のアウトレットセールが同時開催される複合イベントです。国内屈指の大型自転車専門店が主催するだけあって、セールの出展者数、レースの参加者数ともに予想を遙かに上回る規模でした。
【レース規模】
まずは、このスタートシーンを見てみてください。いつ終わるのってぐらいの人の数です。第一走者だけでも1,000人ぐらいはいたような気がします。チーム数は約450。参加者総勢は3,000人はいたんじゃないでしょうか。
ソロで参加するエンデューロ常連のような人々、チームでも真剣に上位を狙う人々が前方に陣取り、その後、中堅クラス、仮装チーム、和気あいあいチームなどが続きます。レース中の速度差はかなりのものでしたが、コースが広いこともあって追い抜きはスムーズでした。
VIDEO
【コース】
コースは彩湖の周りをほぼ1周する、4.7kmの周回コースです。彩湖の北側には高さ5メートルぐらいの土手があるため、ここを超えるときに急な登りが2回あります。距離は50メートルぐらいなので、ダンシングで一気に登り切ることができますが、ここをがんばり過ぎると回復困難な疲労が溜まっていきます。また南側には湖を渡る橋があり、ここも登りセクションです。チームで走る場合は、一人何周で交替するかによってここでどれだけ脚を使ってもよいか、作戦を練っておきましょう。
コースに一カ所、30mぐらいの未舗装区間があります。その区間はゴム板で覆われており、さほど違和感もなくとくに危険も感じませんでした。事前に十分な注意があったこと、コースマーシャルが随時警告していることもあって、ここでもトラブルは無かったようです。
ピットはU字型で2メートルおきにコーンが置いてありますが、この1区画を10チームで共有します。選手交代時はさぞかし大変な混雑ぶりになるかと思ったのですが、交替タイミングがうまくばらけてくれるようで、意外とスムーズでした。ただ、ピットは徐行せざるを得ないので、交替回数が増えると、それだけタイムロスになります。とはいっても、我々のようなふいんきを味わいたいだけのチームは、一人3周が限界でしたが。
【レース運営】
7:00 受付開始
7:00 - 7:50 コース試走
8:00 - 8:20 開会式
9:00 レーススタート
13:00 レース終了
14:00 - 14:30 表彰式
開会式終了からレーススタートまでに40分もあり、第一走者はスタートラインで30分以上も待たされました。気温が5〜6℃しかなかったので、この待ち時間が辛かったそうです。ゲストライダーの写真撮影など商業目的に費やされる時間もけっこうあり、もう少し参加者のことを考えてスタートまでの時間を早めて欲しかったなあと思います。
またゴールから表彰式までも1時間ほど待たされました。こちらは結果集計などで仕方ないかな。昼の弁当を食べたり、アウトレットセールを見て回ったりして時間を潰しました。ただし、めぼしい物はすべて売り切れていましたが…
表彰・及び副賞は上位だけでなく、キリ番やぞろ目賞があります。参加者全員にチャンスがあるわけで、副賞も自転車やアクセサリーなど豪華な物がたくさんあり、表彰式は大変盛り上がりました。
表彰式の後、順位表が貼り出されましたが、文字が小さい上に人だかりが凄くて、自分のチームの順位を確認することができませんでした。結果は数日後にワイズのサイトで確認するまで判りませんでした。
【その他】
エントリーフィーは1チーム8,000円です。1人でも10人でも8,000円。3人で参加すれば一人3000円以下とリーズナブルです。その割に協賛メーカーから提供される副賞は豪華で、賞品目当ての参加もありです。完走中もっとも遅かったチームには、なんとカーボンフレームのロードバイクが贈られていました。
開催地の彩湖道満グリーンパークは都心からも割と近く、自走でも参加可能です。また、駐車場も十分に広く余裕がありましたので、自走・車載どちらでも参加しやすかったと思います。ピットは狭いですが、多目的広場と呼ばれる芝生の広場にレジャーシートやテーブルをおいて荷物を置いておくことができます。近くに食事をできる施設はありませんが、当日は吉野家の移動販売トラックが来て、ほかほかの牛丼を販売していました。だから上のコピペwww
各メーカーや輸入代理店が出店して、気合いの入ったセールをやっていますが、レースに参加すると、各ブースを冷やかしている時間がありません。来年はレースには参加せず、セール目当てで出かけてみてもいいかなと思いました。
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価格評価→★★★★★(エントリーフィーの評価)
評 価→★★★★☆(運営に微妙な不満)