購入価格 103,950円
馬鹿野郎! さっきから黙って聞いていれば、ディープリムでも横風に強いだの、スポークはCX-Rayじゃなきゃだめだの、セラミックベアリングがどうのこうのと好き勝手ばかり言いやがって・・・ おまえらはそれでも自転車乗りと言えるのか? どうやらここは俺が、ホイールはブランド物の高級品だけがすべてじゃないことを語らなければならないようだな・・・
あれは俺がひとしときよしの3人でチームを組んで、初めての3時間耐久レースに出場したときのことだ。当時カーボンホイールを持っていなかった俺は、WH7900-C24-CLをはいて出走した。周りを見ればBora OneやFFWD F6R、WH9000-C50-TUといった高価なディープリムホイールだらけ。ちょっとした劣等感を感じていた。
ところが幕張海浜公園に特設されたコースは、ホームストレートで海からの風が強烈な横風となって吹きつけてくる。横風を喰らったディープホイールの連中は、コースの端っこまで吹き流されてがっくりとスピードが落ちている。こちらは横風の影響がないノーマルホイール。ホームストレートでは圧倒的優位に立ち、高級ホイールをはいた連中をごぼう抜きにした。レースを終わってみれば28チーム中4位という意外なほどの好成績だった。
「やったね、俺たち4位だよ!」
喜ぶひとしに、俺は少し悔しそうな顔をして言った。
「いやあ、俺もディープリムのホイールをはいていればチームが3位に入れたんじゃないかなあ。」
その時である。
きよしの顔色ががみるみるうちに緑色に変化し、ジャージは急激にバンプアップした筋肉によって引き裂かれ、きよしはやたら伸縮性の良いパンツ一枚を残して裸になった。次の瞬間むき出しになったきよしの右腕から繰り出される豪腕パンチがうなりを上げて俺に襲いかかり、168cm58kg体脂肪率15%の俺の体は防風林の彼方へと飛んでいった。
「馬鹿野郎!!おまえはノーマルホイールをはいていることに劣等感をもっているのか!ノーマルホイールのおかげでホームストレートでは逆に速かったくせになにを言っているんだ。レースっていうのはなあ、機材を状況に合わせてうまく選んだ者が優位に立てるんだよ。ディープリムをはいていれば勝てるってもんじゃないんだ!」
俺は引っかかった松の枝から傷だらけになって降りながら、その言葉の意味を考えた。
俺「じぃじー、どうしてみんな何十万もする高級ホイールをはいているの?」
おじいちゃん「それはなあ、かつて超円高と呼ばれた時代にみんなはエゲレスから格安の値段で個人輸入をしたんじゃよ。時代を読むのがうまい連中だったんじゃな。」
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要点をまとめます。
【入手性】★★☆☆☆
このホイールは江戸川区小松川にあるショップで購入しました。販売店は全国に25店舗ぐらいあるようです。大手代理店が輸入販売しているわけではないので入荷は不定期になるようで、私が問い合わせをしたときは長期欠品中でした。入荷情報を聞き予約を入れてからも実際に購入するまで2ヶ月以上かかりました。EQUIONOXというメーカーは日本では全くという程知られていませんが、台湾ではマヴィックCOSMIC CARBONのOEMを手がけているメーカーとして認知されているようです。
私の場合はショップが自宅から近かったためにEQUINOXのホイールにも興味があったのですが、ネットで調べてもレビューなどは皆無に等しく買うかどうかをしばらく迷っていたのですが、サイクルスポーツ11月号に小さなインプレ記事が掲載されていたのでそれを信じて買うことに決めました。
【完組ホイールとしての組み上げ精度】★★★★★
ホイールをフレームに取り付け空転させながらブレーキシューとの隙間を見てチェックしたところ、縦ブレも横ブレも皆無でした。試走とレース併せて110kmほど走ったあとでもブレは出ていません。スポークを指ではじいてみる限りでは、結構なテンションで組み上げられており、組み上げ精度はブランド物ホイールに引けを取らないようです。
リムはUDカーボンでブレーキ面はバサルトファイバーで強化されています。スポークはSAPIM DELTAですが、見た目はCX-Rayと見分けがつかないほどよく似ています。ニップルはインターナルです。ハブはNOVATECで日本製のシールドベアリングが奢られています。
【空力特性】★★★☆☆
コストダウンの為か、リムの金型は1〜2世代古い物のようです。集団の中にいれば確かにスピードが落ちにくく、ノーマルホイールよりもかなり楽をできます。トレインの先頭に出されても、速度の維持はしやすいと感じました。
ただし横風にはめっぽう弱く盛大にハンドルを取られます。季節風が強い冬期にこのホイールをはいて河川敷のサイクリングロードを走ったら、自転車を放り投げたくなること請け合いです。
【剛性】★★★★★
振動吸収性が皆無な代わりに、剛性はとても高いと感じました。WH7900-C24-CLと比較すると、登り坂でのダンシングやスプリントをかけたときに力が逃げる感じがしません。C24でどんなにもがいても私の貧脚では50km/hを超えることはできないのですが、このホイールでは少し余力を残しつつも50km/hをあっさりとクリアすることができました。
【漕ぎ出しの軽さ・加速】★★★★☆
ホイール前後セットのカタログ重量が1430gあります。耐久性を重視して、カーボンの厚みを増やしているそうです。このため、漕ぎ出しにとくに軽さは感じません。30km/hまでの加速はC24の方が上です。30km/h以上では空力と剛性が上回るこちらの方がスピードの乗りはいいです。
【ハブの回転性能】★★★★★
初期性能は大変素晴らしく、Dura Aceのハブよりも断然よく回ります。この回転性能が長期にわたって維持できればたいしたものです。
【振動吸収性】★☆☆☆☆
タイヤはTUFO S3 Lite < 215gとの組み合わせですが、乗り心地はとても悪い(笑) がちがちに硬いです。滑らかな路面ではいいのですが、舗装の荒れたところでは振動が容赦なく伝わってきます。ロングライドに使う場合は、乗り心地の良い太めのタイヤと組み合わせる必要があるでしょう。
【ブレーキ性能】★★★★☆
メーカー純正の付属シューとの相性はとてもよく、ブレーキのフィーリングはとてもいいものです。アルミリムと比べても全く違和感を感じません。また、リムの位置によってブレーキの効き具合にムラが出ることもなく、制動力自体も申し分ありません。安心してブレーキをかけることが出来ます。ただし、雨天は未経験なので星一つ減らしました。
【総合評価】★★★★☆
シリアスに順位を狙わないホビーレーサーには十分な性能だと思います。10万円ちょっとという値段を考慮すればまったく不満はありません。プアマンズBora Oneと言っても差し支えないかと思いますが、まだ走行距離が十分ではないので総合評価は星4つとしておきました。
価格評価→★★★★★
評 価→★★★★☆
年 式→2013
カタログ重量→ 1430g(実測重量 g)
※このレビューは文豪momochi先生に対するオマージュです。パクリやパロディの意図はまったくありませんので、予めご了承ください(笑)