購入価格 ¥4091
序
あなパーにするかタイトルをどうするか迷いましたがネタ的に一緒なのでDIYにこのタイトルで
流行のプーリー大径化については皆さんいろいろ試されていて、方法としては
①BERNERやCDJのキットを購入する
②GSディレイラーケージのテンションプーリー側を切断/延長する(溶接)
③ALTUS RD M-310のケージを利用する。(Lifecycleさんはそのまま使用)
があります。私は設備も費用も乏しいので③で行くことにしました。
材料
ALTUS RD M-310 ヤフオク500円
105 RD-5600(現在乗っている愛車で使用中のもの)
KCNCジョッキーホイール15T ネットあさひ 2079円
KCNCジョッキーホイール13T ネットあさひ 1512円
シマノのディレイラーのプーリーケージは
1.ロード用はSORA以下、マウンテン用はAVILIO以下のCリング固定式
2.TIAGRA~ULTEGRA、DEORE~ XTのイモネジ固定式
3.DURA、XTRのボルト固定式
で本体に取り付けられています。
今回はCリング式のRD M-310のケージをイモネジ式のRD-5600に移植することになります。
因みにRD M-310→TIAGRA~ULTEGRAは可能ですが、シャドウディレイラーであるDEORE~XTは大きいスラント角に対応するべくケージが長く、ディレイラー本体の可動域も大きくてM-310のケージに接触するため移植できませんでした。MTB用ディレイラーで大径化するためには既定のケージを改造する②でないとできません。
ケージ作成編
まずRD M-310のケージを外します。錐みたいな尖ったもので固定部のカバーを外します。
Cリングが嵌っています。これを回転させて切込み部分を窓の正面に向けて、小さめのマイナスドライバー2本を使って
分かりにくいので絵で説明します。
外れました。
RD-5600です。イモネジを外すとケージが外れます。
RD5600 とRD-M310 シャフトの比較です。 ここまでヤスリで削って溝を広げることになります。こんなに削って強度的に大丈夫なのかという不安とともに、こんなに削らないといけないのかと気が重くなります。そこで一工夫。
プーリーケージの動く範囲はここからせいぜいこのくらいなので
イモネジを刺しこんでビニールテープでマーキングします。
おおよそ赤い範囲をだけ削れば最小限度で削れるはず。それでは削りにかかりましょう。
使うヤスリは中目の半丸ヤスリです(これ重要)。Cリングの溝を拡げるように削っていくので溝より薄い部分があった方が削りやすいです。そして結構削る必要があるのであまり目が細かいと作業が進みません。これでどんどん作業を進め、最後に丸ヤスリで仕上げます。
削り過ぎないように少し削っては削りカスをふき取って本体にはめ、イモネジを挿してを繰り返します。(所要時間約1時間)
出来ました。
なんちゃってセンタロン編
続いての工程は必須ではありませんが、あった方がいいと思います。
シマノのディレーラーではサードパーティーのプーリーに交換すると変速性能の低下するといわれていますが、シマノの変速性能のキモであるセンタロン機構は“ガイドプーリーがボルト上で左右に動けるだけのアソビがある”ことですから、KCNCのプーリーにアソビを作っちゃいましょう。
まずカバーを外します。
カバーは図のようになっていますが、赤い部分を残すように削るとベアリングが横移動できるアソビが作れます。
削ることで精度は低下しますが、そもそもアソビを作る=精度を落として柔軟性を上げることが目的ですから、気にせず行きましょう。ベアリングはいじらないのでプーリーの回転性能は変わりません。
かなりガッタガタになりました。ただしやり過ぎるとチェーンがプーリーケージに接触するようになってしまうかもしれないのでほどほどに
M-310のケージはプーリーボルトの長さで8速チェーンの幅に合わせられているので、RD5600 のボルトを使って10速チェーン幅でl固定します。
こんな感じです。
仕上げ編
確認のためにチェーンを通してみると右側プレート(黒)は問題ありませんが左側プレート(銀)にはチェーンのプレートが抵触します。
右の写真でもわかるように実はRD-M310のテンションプーリーはケージの中央ではなく左側によっています。
またオリジナルのプーリーとKCNCのプーリーを比較すると、歯の数は同じですがKCNCの方が一回り大きくより大径なのが分かります。つまりオリジナルと比べてチェーンがプーリーボルトからより遠いところを通ることになります。加えてKCNCのプーリーには若干のアソビがあってアクシアル方向に振れることがこの抵触の原因と思われます。
そこで左プレートを削って抵触しなくしました。
これで完成です。
3000㎞程走行してトラブルはありません。
換装後のインプレッションについてはLifecycleさんがいわれる通り、ギア2枚分は軽くなったことが体感できます。ホイールをSHIMANO WH-R500→SHIMANO WH-RS80-C24に変えたときや、タイヤをツーキニスト35c→
Continental Grand Prix 4000S23cに変えた時のような異次元を感じさせる感動があります。
ただし不安な点としてはプーリーケージが重いため、路面の凹凸や変速時にかなり大きく振れてチェーンが振り回されます。(特にフロントがインナーでチェーンテンションが低めの時)チェーンがプーリーから外れてしまわないかヒヤヒヤしてました。チェーンテンションは高めの方がいいようです。
この方法の最大のメリットは既存のシフターやスプロケットがそのまま使えるため4000円だけでプーリー大径化改造の効果を体感できる圧倒的なコストパフォーマンスでしょう。(チェーン長は元々RD-5600GSだったので不変です。SSからの変更の場合にはチェーンの交換が必要です)
が、ヤスリで削っただけとはいえリアディレイラーをバラして合体させる”魔改造”です。挑戦される方は自己責任でお願いします。
価格評価→★★★★★ コストパフォーマンス絶大
評 価→★★★★★ 後戻りできない世界へようこそ φ(◎д◎)
後記
①更なる効果を期待し、ベアリングのアップグレードも敢行しました。
・KCNS セラミックプーリーに変更
・ベアリング(内径9㎜外径17㎜厚さ5㎜で両面ゴムシール非接触型)を同型で高精度と思われる日本製NMB-DDL-1790ZZに変更
いずれも違いは体感できませんでした。手でプーリーを回してみる分では違うんですけどね。
なおこのベアリングの型は厳密にはISO/JIS 689VVなのですが、シールド型の上記もしくは両面ゴムシール接触型のEZO 689-2RSしか入手できませんでした。
この型のハイブリッドセラミックベアリングはアメリカ製のものがあるようですが国内では入手が難しそうです。
ベアリングの性能に眼を向けるとEZO 689-2RSでは
許容回転数はグリースで37000rpm、オイルで44000rpm、
基本動定格荷重1330N、基本静定格荷重664N
です。
頑張っても200rpmに届かず、人力でチェーン経由で与える荷重なんかベアリングの性能からすれば屁みたいなものですし、この条件下ならばベアリングの精度による性能差なんか無いも同然と思われます。
ただ、シールをはがして脱脂したときの回転の軽さははっきりと違います。つまりグリースによる抵抗がかなり大きいということです。
性能と費用を両立するならスチールベアリングのプーリーで脱脂し、チェーンオイルを挿してマメに注油しながら使うのが最強と思われます。
②今回投稿するにあたり、写真を撮るためだけにM-310をもう1個購入してバラして削ってしまいました。
敬愛するMascagni神のお言葉を借りるなら“もうすっかりダメな人♡”ですね。