購入価格 ¥10,500(グランフォンド約160km)
2013/11/03に宮城県石巻市で行われたツール・ド・東北2013に参加したのでレビューさせて頂きます。参加したのはグランフォンド。距離は約160kmで、06:45頃にスタートし、15:00頃にゴールしました。コースはこちらを参照してください。
http://app.tourdetohoku.yahoo.co.jp/2013/course/map?course=160リアス式海岸の小刻みな起伏が地味に足に堪えますが、峠というほどの峠はありません。1kmほどの長さの釜谷トンネルは、普通に走ったら一番嫌なポイントになるのですが、ある程度の人数がまとまって走る上に、最後尾をオフィシャルのサポートカーが「追い越し禁止」の横断幕を付けて追走してくれていたようです。
コース上のそこかしこにボランティアスタッフが待機しており、次のエイドまでの距離とゴールまでの距離が一目で分かる看板も備えてありました。万が一サイコンが故障したとしても、残り距離で不安になる事は無かったと思われます。
そして、なんといってもエイドが非常に豊富でした。秋刀魚のつみれ汁、焼きホタテ、ホタテと鮭のホットドッグ、カジキのフライとシーフードのカレー、フカヒレスープ、アワビが入った茶碗蒸しなどなど。バナナとサントリー提供のドリンク類は各エイドに備えてありましたし、最終エイドではオールフリーまで用意されていて驚かされました。
私は好物なので大歓迎なのですが、食材が海産物、特に貝類に偏っていたのは否めません。貝が苦手な人には厳しかったかもしれません。
事前に800円分のミールクーポンが渡されていたので、ゴール後にはそれで牛タン焼きを堪能しました。サバだしラーメンが売り切れだったが非常に残念ですが、1500人近くが参加したので全員に行き渡らせるのは無理というものでしょう。
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これだけなら「初心者でも安心して走れる至れり尽くせりのサイクリングイベント」ですが、ツール・ド・東北は復興支援のイベントでもあります。
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コース上には至る所に「過去の津波浸水区間」の標識があります。ここまで津波に覆われた、という事を示す標識です。上りでは「津波から逃げるためにこれだけ登らないといけないのか」と思い、下りなら「ここから先は津波に覆われたんだ」と心がすっと冷えていきます。
自転車で開けた場所を走るのは気持ちが良いのですが、開けた原因は津波です。地元の人の応援に手を振って応えるのですが、背後には仮設住宅があります。
完走後も、達成感と、スタッフ、ボランティア、応援への感謝と、弔いの思いと、復興へ向かう力強さへの敬服と、これから仙台まであと60km走らなければならない煩わしさとが入り交じり、複雑としか言えない気分になります。
それでも、仙台駅まで自走して、日本シリーズ最終戦を戦う東北楽天ゴールデンイーグルスへの声援を耳にすると、ここに来て、走って、本当に良かったと実感しました。
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自分は当然ながら自転車乗りなので、自転車イベントが開催されることに疑問は抱かなかったのですが、BIKE JOURNALに掲載された「Yahoo!がツール・ド・東北を主催する理由」を読んで膝を打ったので引用させて頂きます。
(以下引用)
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ー多くの人を呼ぶと言う意味では、マラソンや音楽祭の方が人を呼べると思うのですが?
もう一つの側面がそこなのです。もの凄く多くの人に来て頂く事も重要なんですが、ただ石巻に来て帰るだけでなく、実際に被災地の復興を見て頂きたいという思いがあるんです。三陸海岸というのはご存知の通りもの凄く長い距離で、マラソンは42km。往復で考えると僅かに21kmしか見る事が出来ません。自転車は、自分の力で一日で200km近くを走る事が出来ます。そうして被災地を自分の足で周る事で、見て感じた事を周りの人に伝えて頂けると良いなという思いがあって自転車イベント。という事になりました。
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http://bikejournal.jp/main/?p=6884======================
主催がヤフーという事で、ネットの使い方がとても上手でした。twitterやFacebookでの公式の情報発信はもちろん、有志による試走レポートまで拡散してくれました。他社サービスは積極的に利用しているのに、同じヤフーのサービスであるルートラボでコースデータを公開しなかったのは不思議ではあります。
ヘルメットに貼るゼッケンシールや“応縁団”(地元の商店が参加者を応援してくれるシステム)のシールが剥がれやすいなど、ちょっとした改善点はあります。芸能界やスポーツ界の著名人を「アンバサダー」として招くコストを復興支援に回すべき、という意見もあるでしょう。それでも東京のIT企業がこうしたイベントを主催し、これからも続けるつもりでいることには大きな意義があると思います。
価格評価→★★★★★(サイクリングイベントとしては高いが、エイドの充実と復興支援で相殺)
評 価→★★★★★(楽しいだけじゃない)