購入価格 ¥3400
サドル高の調整は自転車のポジションを出す基本的な作業であるが、
シートクランプのボルトを締めて、ピラーを適切に固定することは意外と難しい。
緩すぎたら乗車中の振動でピラーがずり下がってしまうし、
逆に締め付け過ぎると、ピラーの変形や割れ、シートクランプ自体の破損を招く。
KCNCのシートクランプは軽量さを重視した製品が多く、その反面固定力については少し頼りない製品が多かったが、
この製品は2つのクランプがっちりと固定できる。
重量は26gと重いが、フレームに付属するシートクランプは25~30gほどあるので、
重量増加無しで確実なピラー固定が得られると思えば悪くない。
一般的なシートクランプは、シートチューブを締め付けてフレームとピラーの間の摩擦に頼って固定するが、
KCNCのツインクランプは、これに加えてピラーを直接掴み固定できる。
2段重ねになったクランプは超々ジュラルミンから一体モノで削り出され、
上側がピラーの直径(27.2mmまたは31.6mm)、
下側がシートチューブの外径(31.6mmまたは34.9mm)
となっている。
ピラーを掴む部分は、滑り止め効果を狙ったのかOリングが入っている。
ボルトは上側がM4、下側がM5で、素材はともにチタン。
M4ボルトは3mmアーレンキー、M5ボルトは4mmアーレンキーを使用するので、
2種類の工具で2種類のボルトを回さなければならず、サドル高調整が非常にめんどくさい。
また、Oリングの所為で、サドル高を上げるとクランプがピラーにひっついたままフレームから抜けたりする。
整備性を考慮すると、あまり使いやすいものではない。
しかし、固定力はさすがの高さで、例えばシクロクロスでぽんぽん飛び乗ってもびくともしない。
仕上げの悪いフレームはピラー内面が寸法の出た平滑な真円断面になっておらず、
どれだけクランプを締め付けてもピラーとフレームが密着しないことがある。
当然、ピラーをしっかりと固定できないし、パーツを破損させる原因にもなる。
ツインクランプは、そういったフレームであっても、低いボルト締付けトルクで確実に固定できる。
フレームやピラーとの組み合わせによっては、乗車中クランプからパキパキと軋み音がするが、特にずれてきたりしていないので無視している。
気になるようなら、オイルやグリスを少量塗ると改善されるかもしれない。
ところで、KCNC製品を見ていつも思うのだが、
これだけの凝った工作をあの価格で実現できるのは凄いと思う。
例えばこのクランプを日本国内で作ったとすると、1個1万円を実現することすら難しいんじゃないかと思ったり。
実際のところ、高い技術やノウハウが要求される特殊な切削加工を除くならば、
アジアでの切削加工コストに全く歯がたたないそうな。
価格評価→★★★★☆ シートクランプ2個分のコストと考えれば妥当
評 価→★★★★★ 重量増を抑えながら、しっかりと固定できる。
カタログ重量 26g
実測重量 26g